別紙1 事前照会の趣旨

1 大学における認定看護師教育課程の実施

当大学は、学部及び大学院を有する地方独立行政法人法第68条第1項《名称の特例》に規定する公立大学法人であり、また、学校教育法第1条《学校の範囲》に規定する大学です。

今般、当大学では、病院又は保健所・保健センター等に勤務している看護師、助産師又は保健師(以下「看護師等」といいます。)を対象に、認定看護師教育課程(以下「本件教育課程」といいます。)を開設することとしています。

本件教育課程は、公益社団法人日本看護協会(以下「協会」といいます。)の認定資格である「認定看護師」の受験資格とされる教育課程であって、特定の看護分野における看護の実践能力を養成し、更に専門的な知識をもち、多職種と連携し効果的な看護が行える人材を育成し、地域医療水準の向上を図ることを目的としています。

2 学校教育法第1条に規定する学校に係る消費税法上の非課税規定等

学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校)を設置する者が、当該学校における教育として行う役務の提供のうち、授業料、入学金、施設設備費その他入学のための検定料、在学証明等に係る手数料(以下「授業料等」といいます。)を対価として行われるものは、非課税とされています(消法61・別表第一11イ、消令14の5、消基通6−11−1)。

また、大学等において、聴講生として、例えば大学設置基準第19条第1項に基づき編成されている授業科目などの学校教育法その他の規定に基づき設けられた教育課程の授業科目(以下「正規の授業科目」といいます。)の授業を受け、その結果、一般には単位を取得することとなっているような聴講についても、非課税と取り扱われていますが、一般社会人等を対象として行ういわゆる公開講座の受講については、大学等における正規の授業科目ではなく、一般社会人等を対象に一般教養の習得等を目的として開講されるものであることから非課税とはならないと取り扱われています。

なお、上記以外にも、学校教育法第124条《専修学校》に規定する専修学校、同法第134条第1項《各種学校》に規定する各種学校などが授業料等を対価とする教育として行う役務の提供で、一定の要件に該当する場合には、非課税とされています(消法61・別表第一11ロ、ハ、ニ、消令15、16、消規4、消基通6−11−1)。

3 照会の趣旨

当大学では、本件教育課程の実施に当たり、受講者(研修生)から受験料、入学金及び受講料(以下、これらを併せて「本件受講料等」といいます。)を受領することとしており、本件受講料等は、選抜試験、講義等の対価として授受するものですから、消費税法における資産の譲渡等の対価に該当するものです。また、本件教育課程は、以下に記載のとおり、学校教育法その他の規定に基づく教育課程ではないものの、選抜試験により受講者を決定し、当大学が一定の教育課程を設けて教育を行うものですから、「学校教育法第1条に規定する学校を設置する者が、当該学校における教育として行う役務の提供」に該当し、消費税法別表第一第11号イにより、消費税が非課税となると解して差し支えないか照会いたします。

別紙2 事前照会に係る取引等の事実関係

4 認定看護師について

認定看護師とは、特定の看護分野(協会が定める救急看護、緩和ケア等の21分野)において、熟練した看護技術及び知識を用い、水準の高い看護実践ができるとして協会が実施する認定看護師認定審査に合格した者をいいます。

また、認定看護師は、法令に基づく資格(国家資格等)ではなく、協会の定めに基づき協会が認定するもの(民間資格)です。

なお、認定看護師認定審査を受験するには、次のイからハのすべての要件を満たすことが必要です。

  • イ 日本国の看護師等のいずれかの免許を有すること
  • ロ 免許取得後、通算5年以上の実務経験(うち通算3年以上は認定看護分野の実務経験)があること
  • ハ 協会が認定した大学等(以下「認定看護師教育機関」といいます。)が実施する認定看護師教育課程を修了していること(受験には認定看護師教育機関が発行する教育課程修了証が必要です。)

5 本件教育課程の内容

本件教育課程の内容は次のとおりです。

なお、当大学は、既に協会から認定看護師教育機関の認定を受けています。

  • 1 目的:特定の看護分野における看護の実践能力を養成し、更に専門的な知識をもち、多職種と連携し効果的な看護が行える人材を育成し、地域医療水準の向上を図る。
  • 2 対象:病院又は保健所・保健センター等に勤務する看護師等
  • 3 期間:毎年●月から●月の8か月間(実質6か月間)
  • 4 カリキュラム:共通科目(看護管理等)、専門科目、学内演習、臨地実習など(計660時間)
  • 5 定員:●名
  • 6 受講料等:受験料●万円、入学金●万円、受講料●万円

(参考)

  • 1 本件教育課程の内容は、協会の定めに従い、認定看護師教育課程に必要なカリキュラム、時間数等に合わせて設定されています。
  • 2 認定看護師教育課程の受講料等は、それぞれの看護分野(21分野)により各認定看護師教育機関が独自に設定しています(協会の規程には受講料等に関する定めはありません。)。
     なお、当大学においては、公立大学法人であるため、設置団体の長(県知事)の許可を受けることとしています。
  • 3 当大学の学則では、大学その他の団体からその所属する職員に特定の専門事項について研修させるため、本学に派遣の申し出のあるときは、本学の教育研究に支障のない範囲において、選考の上、研修生として受け入れることができることとしていますが(学則47)、本件教育課程の受講者(研修生)は、これに該当しません。

6 学校教育法に定める大学における教育について

学校教育法に定める大学における教育として行われる役務の提供は次のとおりです。

  • 1 学部、学科、課程を設けて行われる教育(いわゆる大学教育、修業年限4年、ただし、医学部等は6年)【学校教育法87】
  • 2 専攻科及び別科(修業年限1年以上)を設けて行われる教育【学校教育法91】
  • 3 大学院を設けて行われる教育【学校教育法97】
  • 4 特別の課程(総時間数120時間以上)を設けて行われる教育【学校教育法105、同規則164】
  • 5 科目等履修生への教育【大学設置基準31、学校教育法88、同規則146】

なお、1から3の各教育については、文部科学大臣の認可又は同大臣への届出が、また、4及び5の各教育については、学則の変更及び変更後の学則の同大臣への届出が必要です(学校教育法4)。

7 上記6に掲げる各教育と本件教育課程の関係

本件教育課程は、次のとおり、上記6に掲げる学校教育法に定める教育として行うものではありません。

  • 1 学校教育法上、大学が新たに学部、学科(又は課程)(修業年限4年以上)、専攻科及び別科(修業年限1年以上)及び大学院を設置する場合は、文部科学大臣の認可又は届出が必要とされていますが(学校教育法4)、本件教育課程は、協会の定めに基づき開設するものであって、期間も8か月と短く、大学教育研究上の組織である学部、学科等には該当しませんから、文部科学大臣の認可又は届出は行っていません。
  • 2 学校教育法第105条《証明書の交付》及び同法施行規則第164条《特別の課程及び履修証明書》において、大学は、文部科学大臣の定めるところにより当該大学の学生以外の者を対象とする特別の課程(総時間数120時間以上)を編成することができることとされていますが、本件教育課程は、当該特別の課程に該当しませんから、学則の変更及び変更後の学則の同大臣への届出は行っていません(本件教育課程の修了者に「教育課程修了証」を交付するものの、特別の課程の修了者に対して交付する証明書には該当しません。)。
  • 3 本件教育課程の内容は、認定看護師教育課程に必要なカリキュラムに従って設定したもので、当大学の学生が学部、学科等において履修することとされている授業科目を受講しないことから、本件教育課程の受講者は、大学設置基準第31条《科目等履修生等》に規定する大学の学生以外の者で一又は複数の授業科目を履修する者(科目等履修生)等に該当しません。

別紙3 事前照会者の求める見解となることの理由

8 理由

本件教育課程は、学校教育法その他の規定に基づき設けられた教育課程には該当しないものではありますが、次のとおり、大学における教育として行う役務の提供にほかなりません。

  • 1 県内認定看護師資格の取得状況、認定看護師の必要性等から、県の計画を踏まえて開設するものであること。
  • 2 本件教育課程は、開講期間は8か月にわたり、協会の定める認定看護師教育課程に必要なカリキュラム、時間数等に従い、認定看護師認定審査の受験に必要な教育課程として体系的に編成したものであり、本件教育課程の修了者には、当大学から「教育課程修了証」を交付することとしているなど、当大学の学部、学科等において行われる教育課程と同様に、一定の教育課程を設けて看護師等に対し教育を行うものであること。
  • 3 本件教育課程は、消費税が課税とされている一般社会人等を対象に一般教養の習得等を目的として開講される公開講座とは異なり、選抜試験により決定した受講者に対して、当大学が教育を行うものであること。

したがって、本件受講料等は、消費税法別表第一第11号イにより非課税とされる授業料等を対価とする教育に係る役務の提供の対価に該当し、消費税が非課税になると考えます。