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別紙1-1

1  照会の趣旨
トヨタ系自動車販売会社である名古屋トヨペット株式会社(証券仲介業者として財務局登録済み。以下「ディーラー」という。)は、甲証券会社(以下「甲証券」という。)と有価証券の売買の媒介等に関する契約を締結し、顧客向けサービスの拡充を計画しています。
 この場合、ディーラーにおいて生ずる次の(1)及び(2)の費用の法人税の取扱い及び消費税法上の取扱いについて照会するものです。
  1. (1)  証券口座開設者に対するファンドプレゼント
     ディーラーは、甲証券への新規口座開設を斡旋するため、車輌販売の広告にあわせて一般消費者に対し広告宣伝活動を行います。
     そして、新規口座を開設した者に対して、1,000円相当の「トヨタグループ株式ファンド」(※)(以下「TGEF」という。)をその口座に交付します(別添図「口座開設者にファンドプレゼント」 (PDF/38KB) 参照。)。
     なお、この場合ディーラーは甲証券から予めTGEFを一定額まとめて購入(投資信託の設定)しておき、獲得した新規口座開設者につき月末で締めた後に、各々に交付を行うものです。
     この購入費用について、法人税の取扱いにおいて、交際費等には該当しないものとして差し支えないか、また、この購入費用及びTGEFの交付行為について、いずれも消費税法上不課税取引として取り扱って差し支えないかお伺いいたします。
    ※ トヨタ自動車とそのグループ企業の株式に投資する株式投資信託
  2. (2) 新車購入者に対するファンドプレゼント
     ディーラーは、特定車種の新車販売を促進するため、一般消費者に対し広く広告宣伝活動を行います。
     そして、特定車種の新車を購入した者に対して、5,000円相当のTGEFをその証券口座に交付します(別添図「新車購入者にファンドプレゼント」 (PDF/38KB) 参照。)。
     なお、この場合ディーラーは甲証券から予めTGEFを一定額まとめて購入(投資信託の設定)しておき、獲得した新車購入者(かつ口座保有者)につき月末で締めた後に、各々に交付を行うものです。
     この購入費用について、法人税の取扱いにおいて、交際費等に該当しないものとして差し支えないか、また、この購入費用及びTGEFの交付行為について、いずれも消費税法上不課税取引として取り扱って差し支えないかお伺いいたします。
取引の具体的な事実関係は、別紙1-2のとおりです。

別紙1-2

2 証券仲介業者であるディーラーの活動内容と甲証券との間における取引内容
  1. (1) 証券口座開設者に対するファンドプレゼント
     ディーラーは、自らの費用で車輌販売広告にあわせて、一般消費者に対して店頭での証券仲介業のブース等を設けての勧誘及び新聞やチラシ等を利用した広告宣伝を行い、一般消費者が甲証券に新規に証券口座を開設する手続きをサポートします。
     その場合、以下のような広告宣伝を行います。
     「甲証券に新規口座を開設した方に対して、1,000円相当のTGEFを、その新規口座に交付します。」

     具体的には、予めディーラー自身が証券口座を開設し(すなわちディーラー自身が「受益者」となる。)、一定額のTGEFを甲証券を通じて一旦購入(投資信託の設定)しておき、獲得した新規口座開設者につき月末で締めた後にディーラーの証券口座から当該者の証券口座へ移管する旨の「指示書」を発行します。
     そして、当該指示書に基づき、甲証券が、TGEFをディーラーの証券口座から各々の証券口座へ移管するものです。
     このような手続きをとるのは、単にディーラーが各々の証券口座へ1,000円を入金することとした場合には、それが実際にTGEFの取得に当てられるとは限らないためです。
  2. ※ 例えば、100,000円分(100人分)のTGEFの贈与が発生した場合の仕訳は以下のとおりとなります。
【ディーラー】
有価証券  100,000円  /  現預金  100,000円 ・・・ 一定額のTGEFを購入(信託設定)
広告宣伝費 100,000円 / 有価証券 100,000円 ・・・ 100,000円分(100人分)のTGEFを贈与
【甲証券】
ディーラーが支払うTGEF購入金額100,000円は、甲証券を通じて乙信託銀行へ入金されます。そして、指示書によって、ディーラーの証券口座から新規口座開設者の証券口座への当該TGEFの移管が行われます。 したがって、会計上、仕訳は発生しません。
  1. (2) 新車購入者に対するファンドプレゼント
    ディーラーは、特定車種の新車の販売を促進するため、自らの費用で一般消費者に対して、店頭での証券仲介業のブース等を設けての勧誘及び新聞やチラシ等を利用した広告宣伝を行い、 特定車種の新車を購入した者に対して5,000円相当のTGEFをその証券口座に交付します(上記新車購入者が甲証券に口座を有していない者の場合には、新規に口座開設した場合に限り交付 します。)。

     具体的には、予めディーラー自身が証券口座を開設し(すなわちディーラー自身が「受益者」となる。)、一定額のTGEFを甲証券を通じて一旦購入(投資信託の設定)しておき、獲得した新車購入者(かつ口座保有者)につき月末で締めた後にディーラーの証券口座から当該者の証券口座へ移管する旨の「指示書」を発行します。
     そして、当該指示書に基づき、甲証券が、TGEFをディーラーの証券口座から各々の証券口座へ移管するものです。
     このような手続きをとるのは、単にディーラーが各々の証券口座へ5,000円を入金することとした場合には、それが実際にTGEFの取得に当てられるとは限らないためです。
【ディーラー】
有価証券  100,000円  /  現預金  100,000円 ・・・ 一定額のTGEFを購入(信託設定)
広告宣伝費 100,000円 / 有価証券 100,000円 ・・・ 100,000円分(20人分)のTGEFを贈与
【甲証券】
ディーラーが支払うTGEF購入金額100,000円は、甲証券を通じて乙信託銀行へ入金されます。そして、指示書によって、ディーラーの証券口座から新車購入者(かつ口座保有者)の証券口座への当該TGEFの移管が行われます。したがって、会計上、仕訳は発生しません。

別紙1-3

3 税務上の取扱い
(1) 証券口座開設者に対するファンドプレゼント
  1. 1 ディーラーが、甲証券に新規口座を開設した者に対して交付するTGEFの購入費用は、法人税の取扱いにおいて交際費等に該当しないものとする。

     租税特別措置法通達61の4(1)−9で、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図するものは広告宣伝費の性質を有するものとし、具体的に交際費等に含まれないものの例示がされています。
     同通達(4)において「小売業者が商品の購入をした一般消費者に対し景品を交付するために要する費用」とあり、この例示とTGEF購入費用とは完全に一致した取引ではないものの、本通達の趣旨は以下のとおりであると考えられることから、それに合致すれば交際費等に該当しないものとして取り扱っても差し支えないと考えられます。

     すなわち、本通達の趣旨は、広告宣伝に要する費用の交際費等と広告宣伝費との区分につき、「不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図するもの」は広告宣伝費となることを明らかにしたものであると思われます。
     ディーラーは証券仲介業者として、ちらし等の媒体を利用して広く一般消費者を対象に広告宣伝を行います。
     具体的には、ディーラーを通じて甲証券に証券口座を開設した者にディーラーから1,000円相当のTGEFを交付する旨を広く一般消費者に対して広告宣伝を行います。そして、新規口座開設者を獲得した場合に、ディーラーが甲証券から予め購入しておいたTGEFのうち1,000円相当を該当者の口座へ交付することになります。
     したがって、当該TGEF購入費用は、「不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図するもの」に該当すると考えられるため、交際費等に該当しないものとして取り扱って差し支えないものと思われます。

     なお、景品として交付するものが有価証券であるという点ですが、同通達の例示では「金品」と「景品」という言葉が使い分けられています。しかしながら、景品の種類、金額について特別には規定されていないこと、同通達全体が例示であるということからすれば、本件において交付されるものが有価証券であっても、そのことをもって同通達の適用はないと考える必要はないものと思われます。
  2. 2 TGEF購入費用及びTGEFの交付行為について、いずれも消費税法上は不課税取引として処理する。

     消費税については、第一に、TGEFの購入費用は投資信託の設定行為に係る費用であるため、資産の譲渡等には当たらないことから、不課税取引となると考えます。
     すなわち、本件においては、ディーラー自身が証券口座を開設し、交付に必要なTGEFを甲証券を通じて購入(投資信託の設定)するもの(ディーラーは、甲証券を通じて、受託者たる乙信託銀行に対して、投資信託設定のため金銭を信託し、当該投資信託の受益権を証する受益証券を受領するもの。)であることから、受益者(投資家)による投資信託の設定行為として不課税取引であると考えます。

      第二に、TGEFの交付行為は、ディーラーが、証券口座開設者に贈与するものであることから、消費税法上「資産の譲渡等」に該当せず、不課税取引となると考えます。

      なお、本件における投資信託とは、信託財産を委託者である丙社の指図に基づいて、主として有価証券に対する投資として運用することを目的とする信託であるから、「投資信託及び投資法人に関する法律」第2条1項及び3項で規定する「委託者指図型投資信託」に当たり、消費税法上は、第14条1項、2項の「投資信託」に該当するものです。
(2) 新車購入者に対するファンドプレゼント
  1. 1 ディーラーが特定車種の新車を購入した者に対して交付するTGEFの購入費用は法人税の取扱いにおいて交際費等に該当しないものとする。

     租税特別措置法通達61の4(1)−9(4)において「小売業者が商品の購入をした一般消費者に対し景品を交付するために要する費用」とあり、この例示とディーラーが特定車種の新車購入者に交付する5,000円相当のTGEF購入費用とは完全に一致した取引ではありません。

     しかしながら、本通達の趣旨は(1)1で述べたとおりと考えます。
     本件においては、ディーラーは特定車種の新車の販売を促進するため、ちらし等の媒体を利用して広く一般消費者を対象に広告宣伝を行います。
     具体的には、ディーラーで特定車種の新車を購入した者で、既に甲証券に証券口座を開設している者又は同時にディーラーを通じて甲証券に証券口座を開設した者にディーラーから5,000円相当のTGEFを交付する旨を広く一般消費者に対して広告宣伝を行います。
     そして、新車購入者(かつ口座保有者)を獲得した場合に、ディーラーが甲証券から予め購入しておいたTGEFのうち5,000円相当を該当者の口座へ交付することになります。
     したがって、当該TGEF購入費用は、(1)1と同様に、交際費等に該当しないものとして取り扱って差し支えないものと思われます。

     なお、景品として交付するものが有価証券であるという点についても、(1)1で述べたとおり、そのことをもって同通達の適用はないと考える必要はないものと思われます。
  2. 2 TGEF購入費用及びTGEFの交付行為について、いずれも消費税法上は不課税取引として処理する。

      消費税についても、(1)2と同様の理由により、TGEFの購入費用は、投資信託の設定行為に係る費用であり、また、TGEFの交付行為は、ディーラーが、新車購入者に贈与するものであることから、いずれも消費税法上「資産の譲渡等」に該当せず、不課税取引となると考えます。

     なお、特定車種の新車を購入した者で、既に甲証券に証券口座を開設している者又は同時にディーラーを通じて甲証券に証券口座を開設した者に対しては、TGEFをもれなく交付することから、消費税法上、値引き若しくは割戻しによる売上に係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除(消法38)に該当するのかという点について疑義が生じます。
     しかし、ディーラーは、有価証券であるTGEFを購入し、新車購入者に対して景品として贈与するものであり、課税資産の譲渡等に係る対価を調整(減額)するという性質を有していないことから、消費税法第38条の適用はないものと考えます。