別紙1

 民法第34条の規定により設立された公益法人である照会者は、債務超過の状態であり県からの借入金の未払利息約41億円を平成25年までに債務免除(以下「本件債務免除」といいます。)してもらう予定ですが、本件債務免除は、照会者が非収益事業を行うために使用した資金の借入金に対する利息であることから、本件債務免除に係る利益は、法人税法上、収益事業に該当しないと解することで差し支えないでしょうか。
 また、本件債務免除は、消費税法上の対価を得て行う資産の譲渡等に該当しないと解することで差し支えないでしょうか。

別紙2

  • 1 照会者は、昭和42年9月1日に民法第34条の規定に基づき設立された公益法人であり、その後、昭和60年1月10日に県知事から分収林特別措置法第9条に規定する森林整備法人の認定を受けています。
  • 2 照会者の設立等の目的は、県内において造林、育林等の森林及び林業に関する事業その他緑化に関する事業を行うことにより、県土の保全及び森林資源の培養を図り、その他緑資源のもつ多面的な機能を総合的かつ高度に発揮させ、もって地域経済の振興と住民の福祉の向上に寄与することにあります。
  • 3 照会者は、分収林事業の造成等の事業運営に必要な経費を補助金収入と県、市町村、市中銀行等からの借入金に依存し、多額の債務が累積する一方で、昭和55年以降木材価格が長期にわたって低迷するなど林業を取り巻く環境の変化により、厳しい経営状況に置かれており、平成16年度から計画的な伐採を実施している状況で、毎期損失が発生している状況です。
     そこで県は、平成19年3月に「照会者に係る経営形態等検討会議」を設置し「照会者の今後の経営形態について」という報告書をとりまとめ、その報告書のW「照会者の抜本的改革の概要と主な成果」の(5)県貸付金の既往利息の支払免除において、既往利息約41億円を免除することとしていますが、その実行については、当面は保留することとし、議会の承認を得て、平成25年までに免除を受ける予定です。

別紙3

 照会者は、民法第34条の規定に基づき設立された社団法人であり、法人税法上の公益法人等に該当します(法人税法第2条第6号、別表第二)。
 法人税法において、普通法人は、各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入すべき金額は、1資産の販売による収益の額、2有償による資産の譲渡又は役務の提供による収益の額、3無償による資産の譲渡又は役務の提供による収益の額であり(法人税法第22条第2項)、また、公益法人等については、収益事業を営む場合に限り法人税を納める義務がある旨規定しています(法人税法第4条第1項)。
 したがって、公益法人等は、収益事業とは関係のない無償による資産の譲渡又は役務の提供による収益の額は、課税されないこととなります。
 そして、収益事業について、法人税法は「販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて営まれるものをいう。」(法人税法第2条第13号)と規定しているところ、照会者が、県から受ける本件債務免除に係る借入金は、収益事業の対象とならない分収林事業を目的として、同事業の経費に充当されたものであることから、本件債務免除に係る収益は、課税対象とならないと解されます。
 なお、消費税等については消費税法第2条、第4条により対価を得て行う資産の譲渡等に該当しないため、課税関係は生じません。