当社は、人口減少社会の到来による新規採用の困難さを打開し、安定的に雇用を確保しながら事業を前進させるために、就業規則を改定し、2019年4月1日より従業員の定年を60歳から64歳に延長することを決定しました。
この定年延長に伴い、賃金規則を改定の上、従業員の入社時期にかかわらず、一律で延長前の定年(以下「旧定年」といいます。)である満60歳に達した日の属する年度末の翌月末までに退職一時金(以下「本件退職一時金」といいます。)を支給することを予定しています。
この本件退職一時金は、引き続き勤務する従業員に対して支給するものであり、本来の退職所得とはいえませんが、所得税基本通達30-2(5)《引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの》に定める給与に該当し、退職所得として取り扱ってよいか照会いたします。
当社の退職金制度は、確定給付企業年金及び内部積立てによる退職金で構成されており、当社の賃金規則に定められた方法により計算の上、対象者へ支給されます。
当社は、就業規則を改定し、2019年4月1日以降は従業員の定年を60歳から64歳に延長することを決定しました。この定年延長に伴い、賃金規則を改定し、従業員の入社時期にかかわらず、一律で旧定年である満60歳に達した日の属する年度末の翌月末までに本件退職一時金を支給することを予定しています。
本件退職一時金は、旧定年である満60歳に達した日の属する年度末までを基礎として計算し、定年を延長した期間は本件退職一時金の計算の基礎に含めず、その期間に対する退職金の支給はしません。
当社の給与は、職務内容に応じて個別に評価設定する職務給と職務職能制度に基づく格付により支給する職能給で構成されますが、従業員が満60歳に達した日の属する年度末の後においては、職能給を一定の月額で統一することにより、旧定年前と比べて、平均で40%程度減額することを予定しています。
また、人事異動については、肉体的・精神的負荷を考慮する以外に、特別な変更は行わず、旧定年前と同様とし、労働条件等については、勤務時間又は勤務形態を変更することはありません。
なお、年次有給休暇等の福利厚生について、従業員が満60歳に達した日の属する年度末を境に特段変更することはありません。
当社は、人口減少社会の到来による新規採用の困難さを打開し、安定的に雇用を確保しながら事業を前進させる必要があり、また、現在活躍し今後も働く意欲のある従業員について60歳で雇用を打ち切ることは、本人にとっても当社にとっても損失になりますので、社会情勢や経営状況を踏まえて、定年を延長することにしました。
イ 定年延長前に入社している従業員
定年延長前に入社している従業員の大半は、旧定年である60歳を迎えたときに退職金が支払われることを前提に、マイホームローンや子の教育ローンの返済を計画する等の生活設計をしており、実際に旧定年時での本件退職一時金の支給について、当該従業員に対してアンケートを実施した結果、97%の賛成があったことから、旧定年のときに本件退職一時金を支給したいと考えています。
ロ 定年延長後に入社する従業員
当社は、従業員が満60歳に達した日の属する年度末の後において、それまでの給与水準から40%程度減額することを予定しているところ、定年延長後に入社する従業員に対して旧定年のときに本件退職一時金を支給することにより、当該従業員のその後の生活資金の補填及び人生設計における資産の購入資金に寄与すると考えられることから、定年延長後に入社する従業員についても旧定年のときに本件退職一時金を支給したいと考えています。
所得税法第30条第1項《退職所得》は、退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下「退職手当等」といいます。)に係る所得をいう旨規定し、所得税基本通達30-1《退職手当等の範囲》は、退職手当等とは、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいう旨定めています。
また、所得税基本通達30-2(5)は、引き続き勤務する役員又は使用人に対し退職手当等として一時に支払われる給与のうち、労働協約等を改正していわゆる定年を延長した場合において、その旧定年に達した使用人に対し旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与で、その支払をすることにつき相当の理由があると認められるもので、その給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものは、同通達30-1にかかわらず、退職手当等とする旨定められています。
以上のような退職所得に関する法令等を前提とすると、本件退職一時金は、次の理由から所得税基本通達30-2(5)に定める給与に該当し、退職所得として取り扱うのが相当であると考えます。