審査報告

平成30年広島国税局清酒鑑評会につきまして、出品状況及び審査結果をご報告申し上げます。

まず、出品区分についてですが、清酒の製法品質基準に基づいた製造方法による「吟醸酒」部門、「純米酒」部門及び通常よりも高い温度で評価を行う「燗酒」部門の3部門に区分して行いました。

それでは、出品状況についてご報告いたします。
 3部門のうち、「吟醸酒」部門には71点、「純米酒」部門には64点、「燗酒」部門には56点と、全体で70製造者から191点の出品がありました。

次に審査の状況についてご報告いたします。
 出品酒の品質評価は、中国地方各県の酒造技術指導機関、公立大学法人県立広島大学、独立行政法人酒類総合研究所の職員、清酒製造者など、清酒の製造技術に詳しく、かつ官能評価に優れた方々と、広島国税局鑑定官室員併せて27名により、去る9月25日、26日の予審、10月3日の決審と3日間をかけて、慎重かつ厳正に行いました。

品質評価は、全ての出品部門に共通した考え方として、製造技術の高さが反映され、清酒としての品質の良好さを備えたものを選ぶことを基本として行いました。
 その上で、「吟醸酒」部門では、吟醸香に代表される香りを主体として香味の調和がとれていることに重点をおいて評価いたしました。
 「純米酒」部門では、純米酒らしい味に重点を置きながら香味の調和を重視して評価いたしました。
 「燗酒」部門では、燗酒にしたときの香味の調和を重視して評価いたしました。

この品質評価結果と出品規格等を併せて審査した結果、「吟醸酒」部門26点、「純米酒」部門25点、「燗酒」部門22点、合わせて73点の出品酒を優等賞に相応しいものと認めました。

今回の出品酒についての総評を申し上げますと、各製造場の高度な製造技術により造り出された優れた品質のものが多数出品されていました。

「吟醸酒」部門では、おだやかでやわらかい香りから華やかな果実様の香りまでさまざまな香りのものがありましたが、上品な味やふくらみのある味、また熟成による旨みなどとの組合せが特徴となり、香味がよく調和していました。

「純米酒」部門では、上品な甘味があるもの、適度な酸味によりキレのよいもの、ふくらみがあって旨みの余韻を感じさせるもの、すっきりした味わいのもの、熟成によりなめらかな口当たりになったもの、フレッシュさを感じさせるものなど幅広いタイプのものが見られました。

「燗酒」部門では、温度による味わいの違いが十分に感じられ、ふくよかな味わいのもの、芳醇な香りが立つもの、熟成の香りと柔らかな味わいが良く調和したもの、すっきりとしていて口当たりの良いものなど多くのタイプがありましたが、いずれもじっくりと味わうことのできるもので、清酒ならではの楽しみ方を感じることができました。

このように高い品質レベルの競争の中から、優等賞を受賞されました製造場の皆様方には心からお祝いを申し上げるとともに、敬意を表する次第であります。
 また、この度惜しくも受賞を逃された製造場におかれましてもその差はごくわずかなものであり、それぞれの出品酒のよさがよく出ているものでありました。

当鑑評会は、酒造技術の進歩・発展を促し、管内清酒の品質向上を図ることにより、酒類業の発達に資することを目的として開催しております。今後も、製造者及び品質評価員の皆様方からのご意見等を参考にしながら、この鑑評会の目的が達成されるよう努めてまいりたいと考えておりますので、ご理解とご協力を賜りますとともに、ご意見ご要望等をお寄せくださいますようお願い申し上げます。

終わりになりましたが、いよいよ本格的な酒造りの季節となります。各製造場の皆様をはじめ関係各位が、製造技術の更なる研鑚に努められ、品質が優良で個性豊かな製品を消費者に提供して、伝統ある中国地方の清酒の名声がますます広がりますことを祈念いたしまして審査報告といたします。

平成30年10月31日
広島国税局鑑定官室長  小山 淳