第26回全国菓子大博覧会・広島において協賛者が支出する費用の税務上の取扱いについて(照会)

1 事前照会の趣旨

広島県菓子工業組合、地元経済団体、企業、広島県、広島市等24の団体で構成する「第26回全国菓子大博覧会・広島実行委員会」(以下「実行委員会」という。)は、平成25年4月19日(金)から5月12日(日)までの24日間、広島市の旧広島市民球場跡地、広島県立総合体育館とその周辺において、「第26回全国菓子大博覧会・広島」(以下「ひろしま菓子博」という。)を開催いたします。全国菓子大博覧会は、明治44年(1911年)に帝国菓子飴大品評会として開催されて以来、全国の菓子を一堂に集めその技術を競い合う「お菓子のオリンピック」として、菓子業界及び菓子関連業界の発展と振興を支えてきたもので、広島では、大正10年(1921年)に元広島県立商品陳列所(現在の原爆ドーム)で開催された「第4回全国菓子飴大品評会」以来92年ぶりの開催となります。
 ひろしま菓子博では、「世界にとどけ!笑顔をむすぶお菓子のちから」をテーマに、「人々を幸せにするお菓子のちから」をPRし来場者に夢と感動を与える展示や催事等を実施するとともに、参加・体験型のプログラムの充実、情報通信技術の活用、環境への配慮やユニバーサルデザイン(※1)への対応などにより、来場者満足度の向上を念頭に置いた博覧会にする予定です。さらに、商店街や飲食業者、ホテル、交通事業者など様々な団体・企業等の協力により広島全体が本博覧会を盛り上げることで、広島県内だけでなく全国、海外から多くの人に来場してもらい、経済波及効果をより一層高め、地域経済の発展に寄与することにしています。
 さて、実行委員会では、このひろしま菓子博を地域経済の活性化に資する一大イベントとして成功させるため、主として広島県内の企業・団体(以下「企業等」という。)に対して下記2の協賛形態により広く協賛を募ることとしています。この協賛に参加する企業等(以下「協賛者」という。)に対しては、その協賛に要する費用に相応する広告宣伝の特典を付与する予定です。
 つきましては、広告宣伝を主な目的として協賛者が支出する費用について、税務上次のように取り扱って差し支えないか照会いたします。

※1 年齢や障害の有無にかかわらず、全ての人が使いやすいように工夫された用具・建造物などのデザインのこと。

2 事前照会に係る取引等の事実関係

  • (1) 協賛の方法
    • イ 金銭による協賛
       金銭による協賛者(以下「金銭協賛者」という。)は、ひろしま菓子博の運営に要する費用に充てるための金銭(以下「協賛金」という。)を実行委員会に対して提供する。
    • ロ 役務提供による協賛
       役務提供による協賛者(以下「役務協賛者」という。)は、自社の従業員を無償で実行委員会に派遣し、実行委員会においてひろしま菓子博の広報・誘客活動、会場計画、施設整備・管理運営、出展・営業出店に関する業務に従事させる。
    • ハ ソフトウェアの提供による協賛
       ソフトウェアの提供による協賛者(以下「ソフトウェア協賛者」という。)は、メインゲートや会場内に設置するデジタルサイネージ(※2)やスマートフォン、タブレット端末等でひろしま菓子博の情報(会場案内、イベント案内、各パビリオンの混雑状況、限定商品案内等)を発信するソフトウェアを開発し、当該ソフトウェアを実行委員会に無償で貸与する。
  • ※2 表示と通信にデジタル技術を活用して、平面ディスプレイやプロジェクタなどによって映像や情報を表示する広告媒体のこと、電子看板。
  • (2) 協賛に対する特典
     上記(1)の各協賛者は、協賛金額に応じて、次表に掲げる広告宣伝の特典を受けることができる。なお、上記(1)ロ(役務提供による協賛)においては、役務協賛者が支出する派遣者に対する派遣期間の人件費相当額を協賛金額とし、上記(1)ハ(ソフトウェアの提供による協賛)においては、ソフトウェアの賃貸料相当額を協賛金額とする。また、上記(1)の協賛を複数行う協賛者については、それらの協賛に係る協賛金額の合計額に応じて以下の協賛特典が与えられる。
広告宣伝の内容 広告宣伝期間
丸1 会場のぼり、スタッフユニホーム、ベンチ、プランターでの協賛者名表示 会期中(平成25年4月19日から5月12日まで。以下同じ)
丸2 会場案内パンフレットへの広告掲載 会期中
丸3 新聞広告内での協賛者名表示 平成24年10月、平成25年1月から4月までの間で月1回程度
丸4 入場ゲート、ステージ、会場内施設、会場内案内板での協賛者名表示 会期中
丸5 インタビューボードでの協賛者名表示 イベント開催日
丸6 ステージイベント用施設における協賛者名表示 イベント開催日
丸7 告知チラシ、ポスターでの協賛者名表示 平成24年10月から会期末まで
丸8 交通広告での協賛者名表示 平成24年5月から会期末まで
丸9 テレビCMでの協賛者名表示 平成24年10月、平成25年3月から4月まで
丸10 会場内ブースにおける協賛者名表示 会期中
丸11 入場券裏面への広告掲載 平成24年8月から会期末まで
丸12 デジタルサイネージ、スマートフォン、タブレット端末等での協賛者名表示 会期中
丸13 ひろしま菓子博ホームページでのバナー広告又は協賛者名表示 協賛承諾日の翌月から会期末まで
  • ※3  各協賛者は、協賛金額に応じて9つの区分にランク分けされ、広告宣伝の内容丸13は全ての協賛者が受けることができ、協賛金額が高額になるにつれ丸1から丸12の特典を順次付加して受けることができます。
  • ※4  広告宣伝の内容丸1から丸5まで、丸7から丸9まで及び丸13については、協賛金額に応じ、協賛者名の表示の大きさ、ロゴ使用、数等に差が設けられています。
  • ※5  協賛者は、協賛を行うに当たり、実行委員会に対して協賛承諾書を提出することとされており、当該協賛承諾書を実行委員会に提出した日が協賛承諾日となります。

3 2の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由

  • (1) 金銭による協賛
     金銭協賛者が行うこととなる広告宣伝のうち、上記2の表の丸13にあっては協賛承諾書を実行委員会に提出した日の翌月から会期末までが広告宣伝期間となり、上記2の表の丸5及び丸6にあってはイベント開催日のみが広告宣伝期間となります。
     しかしながら、協賛者は一括して協賛金を支払うこととされており、上記2の表の丸1から丸13までの広告宣伝に係る個々の広告宣伝の対価の額も定められていないことから、協賛者において区分し、個々の広告宣伝に係る対価の額をそれぞれの広告宣伝期間に応じ損金の額に算入することができません。
     このため、金銭協賛者が支払う協賛金については、広告宣伝期間のうち、全ての金銭協賛者の広告宣伝が実施されている上記2の表の丸13に係る広告宣伝期間(協賛承諾書を実行委員会に提出した日の翌月から会期末まで)を基礎として期間配分し、損金の額に算入することとして差し支えないと考えます。
  • (2) 役務提供による協賛
     役務協賛者が当該役務を広告宣伝を目的として実行委員会に提供するために必要な費用は、役務協賛者の従業員である派遣者に対する給与ですから、通常の給与と同様に、その支出の都度、役務協賛者の損金の額に算入することになると考えます。
  • (3) ソフトウェアの提供による協賛
     ソフトウェア協賛者が当該ソフトウェアを広告宣伝を目的として実行委員会に貸与するために必要な費用、すなわち当該ソフトウェアを取得するための費用は、無形固定資産として資産計上し、貸与期間中も自己の事業の用に供するものとして、減価償却を行う等一般の例によるものと考えます。