第3回座談会 議事要旨

1 日時 平成18年11月9日(木) 15:00〜17:00
2 場所 八重洲博多ビル11階 Bホール
3 出席者
(酒モニター)
  1. 料理飲食業関係者、一般消費者(女性層)、情報誌関係者など 9名
(酒造組合関係者)
  1. 福岡県、佐賀県及び長崎県の各県酒造組合の会長、若手会代表、事務局 9名
(福岡国税局)
  1. 福岡国税局長、課税第二部長、酒類監理官、酒税課長、鑑定官室長、筆頭酒類業調整官、酒類業調整官、各派遣酒類業調整官 10名
4 内容
「酒造メーカー、卸・小売の流通関係者及び消費者が意見交換し、いかにすれば地酒の需要が拡大されるのかを議論していただくのがこの座談会の趣旨であり、きたんのないご意見をいただきたい。」と福岡国税局長があいさつをし、今回初めての出席となりました酒造組合関係者を交え、出席者の方々から清酒の需要振興のあり方について活発に意見が出され、有意義な座談会となりました。

(議事要旨)

清酒の需要振興のあり方について

【日本文化の観点から】

○ 正月には、ロビーで樽酒を振舞う。また、節句に合わせて、日本酒を提供する。例えば、元旦は、お屠蘇で、桃の節句(3月3日)は、白酒に桃の花びらを3枚浮かべ、端午の節句(5月5日)は、ヨモギとショウブで菖蒲酒を、菊の節句(9月9日)は、菊の花びらを細かく刻んで浮かべた菊酒を提供する。
 こうして日本酒を出すと、普段、日本酒を飲み慣れていない女性でも、気に入る。もっと日本酒を日本文化として大切にすべきである。

○ 酒造メーカーが節句に合わせてイベント企画するなど、おしゃれに飲む機会を教えてもらいたい。

【酒器の観点から】

○ 20年程前に、土鍋に徳利を入れてお燗をつけるという話を聞いた。そのころから、「燗すずめ(簡易燗付器)」のような物を探していた。「燗すずめ」のようなおしゃれな酒器を料飲店にも置いてもらいたい。

○ 若い人の家庭にも、お燗をつける道具を普及させてもらいたい。

【ターゲットの観点から】

○ 日本の文化である日本酒に触れる機会を若い人にも作ってほしい。

○ 少しお金をかけても「日本酒で乾杯」を日本全国に広めてほしい。

○ 若い人には、日本酒を飲むと頭が痛くなると敬遠される。頭が痛くならない日本酒を造ってほしい。

○ これからは、女性も「お酒」を飲む時代。日本酒メーカーも女性をターゲットにすると販路が広がると思う。

【小売店の観点から】

○ 販売店が、御用聞きをし、売り込みをかけるとよいと思う。日本酒メーカーも販売店を通じて、消費者に酒の情報を伝えていくべきである。

【PR方法の観点から】

○ 蔵元、マスメディア、飲食関係、タウン誌などがタイアップしてお酒の情報を地元の消費者に浸透させるべきである。

○ 小瓶三本を酒樽のわら紐で結ぶなどの少しの工夫で日本酒に対してのイメージが大幅に変わる。

○ 簡易燗付器(燗すずめ)や和らぎ水のステッカーをお酒のビンや箱に貼るなどすればPRになる。

【酒造組合の取組状況】

○ 会合等で「和らぎ水」を披露し、「お酒時々水」を勧めている。

○ 日本酒造組合中央会で、「日本酒で乾杯」を推奨している。

○ 佐賀県酒造組合は、簡易燗付器(燗すずめ)の商品開発や佐賀城本丸跡においての「秋酔の宴」開催など日本酒の需要振興を図っている。

○ 各県酒造組合の若手経営者等の会は、それぞれの県において女性を対象とした「お酒の学校」を開校している。

(参考)

※ 各県酒造組合関係者の方々から第1回・第2回の酒モニター座談会においての要望に対するご意見が寄せられていますので、ご紹介します。

【日本酒の良い面をもっとPRして欲しい】というご要望に対して

○ 健康・美容に関しての日本酒の効果が、医学的にきちんと評価、検証されているものに関しては、積極的にPRしたいと思う。

○ 業界でも機会あるごとに日本酒は肌にいいとPRしているが、自己宣伝しても受け取り側である消費者は、差し引いて受け取るため、情報誌、医者、芸能人など第三者の「ささやき」が欲しい。

○ 佐賀県酒造組合では、名刺大の小冊子を作り、消費者への手渡し、お酒への首下げなどを通じて健康、お肌、飲み方などをテーマにしたPRを行っていきたい。

○ アンケートによると若い世代は日本酒に対して「粋」というイメージを持っているようである。いかに「粋に」「かっこよく」日本酒を提供するか、日本酒を飲んでいるシーンを見て「私もあれを」と言わせるようなイメージ戦略も必要と思っている。

【日本酒のPR方法を考えて欲しい】というご要望に対して

○ 日本酒の有料試飲にワイングラスを使っているが、日本酒とワイングラスとの組み合わせに対して、驚きと期待が入り混じった感動があるようだ。意外な組み合わせが話題となっている。

○ インターネットを通じての売買代金が数兆円と言われ、欲しい物はインターネットで手に入れる時代である。全国には販売店を持てない地酒メーカーとしては、インターネットによる商品のPRや消費者へ直接販売する手段として充実させる必要を感じる。
 県酒造組合のホームページでも日本酒の楽しみ方の啓蒙、それを実現するためのおしゃれな酒器、湯燗ができる酒器などのPRをしたいと思う。

○ 最近のTVドラマでは、若い女性が1人で日本酒を飲む姿を多くみかける。
 日本酒を手酌する飲み方が「かっこいい」と思われるような戦略も必要だと思っている。

【消費者が望む商品を】というご要望に対して

○ 地酒メーカーは、コストが高いので価格も高く、品質・個性がそれなりでは生きていけない。単価が高く、粗利益率が高い商品なので、個性のある商品、他社が追随できない技術力、根強いファンなど地域だけではなく、全国あるいは世界的なファンの獲得が必要だと思う。
 個々の会社の個性を生かし、それぞれの違いをお客様にアピールすることができるメーカーになれば、業界も活性化すると思う。

○ 米と水で醸している日本酒は、蔵により様々な味があることが消費者に伝わっていない、我々が伝えるべきである。

【料飲店へ日本酒の提供方法等のアドバイスを】というご要望に対して

○ 一番の問題点は料飲店での日本酒の扱われ方である。価格の問題、酒燗器の問題、お燗の温度の問題、日本酒の知識、取り扱いの知識など、すべてわれわれ業界が商品を売り込むだけで提供の仕方を十分にレクチャーしなかった結果だと反省している。
 現状においては、銘柄をお客様に明示して提供する方法が一番だと思う。

○ 日本酒をお銚子ではなく小瓶で提供することが可能かどうか。ホテルがパーティ会場で日本酒を出したくなる方法は?飲み放題1,500円の予算で使用される日本酒の品質レベルを上げる方法は?お客様にお燗酒の銘柄指定をしていただく方法は?これらの問題は、業界全体であらゆる機会を通じて、業界の共通認識として、業務用販売店と歩調をあわせて取り組むべきだと思う。

○ 業界として販売店や料飲店の方へ日本酒の味、サービスの仕方(燗のつけ方)などを教えていく必要がある。

【提供コンセプト】についてのご意見に対して

○ ちょっと買ってみようと思うお酒の価格の上限が500円だと仮定すると、300ml以下の容量が必要になると思う。
 県単位、地域単位での300ml、180mlのセット販売もこれからは面白いと思う。自分の好みに合った銘柄と出会えればファンの獲得になると思う。