開催日及び場所 平成29年3月24日(金) 福岡合同庁舎5階 共用第2会議室
委員 委員 青野  弘(青野公認会計士事務所 公認会計士)
委員 屋宮 憲夫(福岡大学 法学部教授)
委員 堺  祥子(井口・堺法律事務所 弁護士)
審議対象期間 平成28年10月1日(土)から平成28年12月31日(土)
契約締結分の概要説明 審議対象期間に係る契約締結分及び契約実績状況調書の概要を説明
抽出事案 4件 (備考)
  競争入札(公共工事) 1件
契約件名 (H28)国有建物解体撤去等工事 (旧茶山住宅)
契約相手方 株式会社イオス(法人番号 3290001046110)
契約金額 30,379,649円
契約締結日 平成28年10月25日
担当部局 福岡財務支局
随意契約(公共工事) -件 -
競争入札(物品役務等) 3件
契約件名 門司税関における通関事務総合データ通信システム等の更新に伴う通信ケーブルの敷設等業務委託
契約相手方 株式会社キューオキ(法人番号 1290001012337)
契約金額 603,720円(税込)
契約締結日 平成28年11月4日
担当部局 門司税関
契約件名 鹿児島税関支署普通貨物自動車1台購入
契約相手方 長崎トヨペット株式会社(法人番号 1310001001436)
契約金額 4,050,000円(税込)
契約締結日 平成28年12月2日
担当部局 長崎税関
契約件名 確定申告期におけるPC設定業務
契約相手方 東芝クライアントソリューション株式会社(法人番号 8010601034867)
契約金額 7,041,600円(税込)
契約締結日 平成28年12月1日
担当部局 福岡国税局
随意契約(物品役務等) -件 -
うち応札(応募)業者数
 1者関連
2件
契約件名 鹿児島税関支署普通貨物自動車1台購入
契約相手方 長崎トヨペット株式会社(法人番号 1310001001436)
契約金額 4,050,000円(税込)
契約締結日 平成28年12月2日
担当部局 長崎税関
契約件名 確定申告期におけるPC設定業務
契約相手方 東芝クライアントソリューション株式会社(法人番号 8010601034867)
契約金額 7,041,600円(税込)
契約締結日 平成28年12月1日
担当部局 福岡国税局
委員からの意見・質問
それに対する回答等
次ページ以降のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし
意見・質問 回答
【事案 1】
契約件名 (H28)国有建物解体撤去等工事(旧茶山住宅)
契約相手方 株式会社イオス(法人番号 3290001046110)
契約金額 30,379,649円
契約締結日 平成28年10月25日
担当部局 福岡財務支局
 
 当該工事は、応札者数が多いが極めて低率な落札率となっている。
 また、本件以外の同種工事3件についても落札率が低率となっていることから、入札状況、低入札価格調査の結果、極めて低落札率となった原因、予定価格の算定方法等について確認したい。
 
 極めて低落札率となった要因として、敷地が広く作業効率が高いということであるが、作業効率はどこも同様と考えられるがどうか。また、入札状況を見ると最高額と最低額とにかなりの差が生じているが合理的な理由はあるか。  例えば商業地での解体工事となれば廃材を置く場所など限定されるが、本件敷地は広く、重機なども数台で施工可能なことを考慮すると作業効率の差は生じるものと考える。また、入札状況の乖離の理由としては、応札者の手持工事の状況等による落札への積極性、解体資材の保有状況などが考えられる。
 低入札価格調査によると、低落札の理由として「解体資材、仮設資材の自社保有によりリース費用を削減できたこと」と記載しているが、当該工事に応札した業者は、全て解体資材等を保有しておりリース費用を削減できたと考えるが如何か。  落札業者は、解体工事を専門としており解体資材等を保有しているが、他者の状況は把握していない。解体工事を専門にしているかどうかで解体資材の保有の状況が変わるものと考える。
 当該解体工事は低落札率であったが適正に産業廃棄物の処理は実施されたか。  監督職員が産業廃棄物処理業者から発行されるマニュフェストを確認するなど適切に処理されている。
 低入札価格調査の際に、落札業者作成の見積書の調査は実施するのか。また、実施した場合、積算価格が大きく違う要因などは分かるのか。  見積書の調査は実施しているが、積算方法等が違うため一律に比較できない状況であり、要因は分からない。
 設計事務所が工事費内訳書を算定する際に、解体資材等は自社保有が前提か、或いはリースが前提か。  工事費内訳書の単価は、刊行物の施工単価資料等を採用しており、その施工単価資料の前提が不明のため承知していない。
意見・質問 回答
【事案 2】
契約件名 門司税関における通関事務総合データ通信システム等の更新に伴う通信ケーブルの敷設等業務委託一式
契約相手方 株式会社キューオキ(法人番号 1290001012337)
契約金額 603,720円(税込)
契約締結日 平成28年11月4日
担当部局 門司税関
 
 システム関係の関連する業務は、同一者が落札するケースが多いと思われるが、異なる事業者が落札しており、かつ低落札となっている。
 予定価格の算定方法や入札状況及び作業内容などを基に、低価格となった要因等について確認したい。
 
 落札者の入札参加資格はC又はDのどちらか。  落札者の入札参加資格はCである。
 予定価格の積算に係る作業日数・人員について問題はないか。  作業日数・人員については、当関において通信関係の保守業者から聴取したものであり、その他については公表されている積算資料により算出しており、予定価格は適正であると考える。
 全国的にスペック等の仕様は統一されているのか。  LANの機器等は全国的に企画が決まっているが、本業務はインターネット一元化のための光回線への移行、通信障害のリスクを軽減するためのケーブル回線の二重化が目的であり、ケーブル等の材料についてまで規格統一はされていない。
 仕様書敷設作業図記載のケーブルは、新規敷設分のみか。
 LAN機器撤去時に不要となるケーブル等撤去作業は発生しないのか。
 また、今回の敷設作業について、LAN機器の再リース時に同時に行うことはできないのか。
 作業図記載のケーブル敷設は、新規分のみであり、LAN機器撤去作業時にケーブル等撤去作業は発生しない。
 今回のケーブル敷設と同時期にLAN機器更改に併せた現有機器の再リース、撤去時におけるデータ消去等の契約を行っているが、ケーブル敷設は門司税関のインターネット回線に係る作業であり、LAN機器更改に係る作業とは別であることから、同時に行うことはできない。
 低価格となっているがコスト削減を理由に赤字になっている恐れはないか。  低価格での応札結果を受け、落札業者へ履行可能等含め確認したところ、問題ない旨の回答をいただいている。
意見・質問 回答
【事案 3】
契約件名 鹿児島税関支署普通貨物自動車1台購入
契約相手方 長崎トヨペット株式会社(法人番号 1310001001436)
契約金額 4,050,000円(税込)
契約締結日 平成28年12月2日
担当部局 長崎税関
 
 一般的に普通貨物自動車の購入であれば一者応札となることは珍しいと思われ、門司税関においても同種の調達案件で競争入札が成立している
 また、通常自動車の購入では値引きがあると考えられるが、落札率がかなり高率となっている。
 本件において、参加者が限定される要件の有無、総合評価方式による調達と一者応札との関係の有無、一者応札の経緯、応札状況、予定価格の算定方法等について、確認したい。
 
 二車種に限定した理由について、伺いたい。  車内で簡単な業務を行うための机・椅子等の設置について、現場部門から要望があり、荷室部分のスペースが取れる商用車として一般的な二車種を選定した。
 他の車種では、スペース的な余裕がないということか。  小型の車では、必要なスペースが取れないとの判断で選定を行った。
 前例も含め、他の税関で同様な荷室改造が必要となる調達はなかったのか。  同種車両の調達前例はないが、同時期の調達として、門司税関・沖縄地区税関でも調達が行われている。
 同じ仕様の車を調達するのであれば、1台より3台を調達したほうが、値引きの点からも経済合理性があると思われるが、同時購入は検討されなかったのか。  当該予算は、それぞれの税関に配賦されており、仕様についても、詳細な部分は各税関で検討のうえ決定し、調達を行っている。
(門司税関に対して)
 同種の調達事案に関して、二者応札の競争入札が成立しているが、落札者が、系列業者の販売店ではないが、調達期間や対象車種について確認したい。
 仕様については、各税関で検討しており、長崎税関の仕様と異なる点もあるが、予定価格等の積算については、同様の考えで積算している。
 門司税関においても、調達対象の車種は、長崎税関と同様に内容量が大きい二車種を選定している。
 また、複数の応札があった理由としては、落札業者はキャンピングカーへの改造を行っている会社であり、もう一者は自動車販売店となっている。
 門司税関においても落札率は高率であるが、長崎税関と同様に、過去に同様の調達実績がないことから、費用見込みが確定できなかったためと思われる。
 複数応札の理由としては、配備官署が博多税関支署であり、近隣に落札者のような車体改造を行う業者があり、入札に興味を示したことが大きいと考える。
(門司税関に対して)
 落札者の納品予定車種は何か。
 落札者は基本的な改造車種メーカーは決まっているようであり、本調達の車種は長崎税関と同じ車種である。
(門司税関に対して)
 門司税関においては、もう一車種についても、改造可能で期限内に納入可能として応札がなされたと考えてよいか。
 応札業者からは、可能であると聞いている。
意見・質問 回答
【事案 4】
契約件名 確定申告期におけるPC設定業務
契約相手方 東芝クライアントソリューション株式会社(法人番号 8010601034867)
契約金額 7,041,600円(税込)
契約締結日 平成28年12月1日
担当部局 福岡国税局
 
 関連する「確定申告期におけるLAN配線等工事業務」とともに以前は競争入札が成立し、競争性が確保されていたが、今回は両事案とも一者応札となっている。一者応札となった経緯、予定価格の算出方法を説明していただきたい。
 また、両事案の経年的な入札状況についても確認したい。
 
 予定価格の算定に当たり、単価等の根拠は何か。  パソコンの台数は、当局が予定している台数であり、単価は、市販の積算資料等に掲載されている人件費単価を採用し、作業時間、日数は、前年の実績を基に算出している。
 パソコンの台数等でどの業者も金額の目安が立てられると思われるが、なぜ一者応札となるのか。  かなりの台数があること、また、契約金額が安価であるため、入札に参加しても落札できる見込みがないと判断し参加していただけないものと認識している。
 落札率は高いが、入札参加者がいない時点で競争はすでに働いているということか。  落札率は高いが、過去の入札において、他の入札参加者の応札金額は高額で契約金額とかなり開差があったため、入札参加者がいない時点で競争は働いていると認識している。また、予定価格の積算は、適性であると考えている。
 毎年同じ作業が必要なのか。  確定申告相談会場は、常設ではなく確定申告時期のみ設営するため、毎年作業が必要となる。また、ソフトウェアも税制改正等変更があるため、毎年最新のソフトウェアをインストールする必要がある。
 契約金額が徐々に上がっているが、パソコンの台数が増えているのか。  パソコンの台数は、ほとんど変わっていない。人件費の上昇ではないかと考えている。
 仕様書では、東芝の特定のパソコンの品番を明記し作業内容を記載しているため、対象のパソコンが東芝製のみのように見受けられるが、作業対象のパソコンはすべて東芝製か。  仕様書別紙1に記載しているとおり、すべてが東芝製ではなく、NEC製のパソコンもある。
 使用目的ごとに作業内容が異なり、ご指摘の箇所は、東芝製の品番を明記した機種のみに必要な作業である。
 契約状況の推移の中で、平成27年度のLAN配線等工事については、例年に比べ落札率が低い。契約状況が公表され、落札率が低かったことを入札者が認識したことが、今年一者応札となり落札率が上がったことに影響しているか。  予定価格は公表していないため、落札率については入札者は認識できない。
【委員会の審議結果】  
 今回抽出した4つの事案については、いずれも適法かつ適正な調達手続きが尽くされていることを確認した。
 調達事案について全体的な意見を申し上げると、公共工事については、応札者数が全体的に増加傾向にあり、落札率が極めて高率な案件も減少している。
 財務支局においては、一者応札が今期全くなかったことは高く評価できるが、一部の入札でかなり競争者が少なく高落札率となっているため、今後の状況を注視し、発注規模や発注方法など改善策を検討していただきたい。
 税関においては、従来一者応札がかなり多かった監視艇の整備工事・上架工事について今期一者応札がなかったことは評価できる。
 一者応札、随意契約については、ほとんど競争性の確保が困難な調達に限られており、全体的に競争性が確保されているものと評価できる。
 ただし、少数ながら競争入札が期待できる調達もあることから、一者応札の解消に向け、なお一層の取組みを期待したい。
 
(第1事案について)
 本件工事のような解体工事は、産業廃棄物の処理の管理が重要であるため、今後も十分注意が必要である。
 今回本件を含む4件の解体工事の落札価格は予定価格より大きく乖離していることから、今後、予定価格が過大となっていないか注意するとともに、低落札価格調査の際に予定価格との対比ができる形式をとるような改善を検討していただきたい。
 他の地域の解体工事の予定価格と落札価格の状況と比較することも改善方法として有効と考える。
 
(第2事案について)
 落札価格が低価であり、落札業者のコスト割れが懸念される。
 落札業者から作業日数、人件費を聴取して参考とし、事後の予定価格の積算時に反映させ、実態に即した予定価格の積算に努めていただきたい。
 
(第3事案について)
 予算措置の状況から、調達期間が短くなり、一者応札となった事情については、委員会として理解できるところであるが、複数者の応札が可能となるよう調達期間の設定を進めることが重要であると考える。
 また、同一の調達に関して、他部局の取り組みの例を参考に一者応札の解消を検討することが良いと思われる。
 
(第4事案について)
 関連する「LAN配線等工事業務」とともに一者応札が続く可能性が高いことが危惧される。今後の落札率など入札状況の推移を注視していただきたい。また、他の国税局における同業務の入札状況等を把握し、競争が成立している国税局の競争成立の背景等実態を検討するなど改善策を模索していただきたい。