開催日及び場所 平成23年12月15日(木) 福岡合同庁舎5階共用第2会議室
委員 委員 屋宮憲夫(福岡大学法学部教授)
委員 林桂一郎(西日本綜合法律事務所弁護士)
委員 横山研治(立命館アジア太平洋大学国際経営学部長)
審議対象期間 平成23年7月1日 (金) 〜 平成23年9月30日 (金)
契約締結分の概要説明 審議対象期間に係る契約締結分及び契約実績状況調書の概要を説明
抽出事案 4件 (備考)
  競争入札(公共工事) -件 -
随意契約(公共工事) -件 -
競争入札(物品役務等) 4件
契約件名
: 滑石住宅(三)外2住宅給排水設備改修その他工事
契約相手方
: 株式会社ミズノ
契約金額
: 39,898,950円
契約締結日
: 平成23年8月23日
担当部局
: 福岡財務支局
契約件名
: 電子複写機の賃貸借及び保守一式
契約相手方
: コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社
福岡直販事業部
契約金額
: 10,402,635円
契約締結日
: 平成23年8月31日
担当部局
: 門司税関
契約件名
: 蛍光X線分析装置の購入契約
契約相手方
: 正晃株式会社 長崎営業所
契約金額
: 13,282,500円
契約締結日
: 平成23年8月31日
担当部局
: 長崎税関
契約件名
: データエントリー業務(下期第2グループ)
契約相手方
: 株式会社ナニワ計算センター
契約金額
: @86.8円ほか
契約締結日
: 平成23年8月18日
担当部局
: 福岡国税局
随意契約(物品役務等) -件  
  応札(応募)業者数1者
関連
ー件 該当なし
委員からの意見・質問、それに対する回答等 別紙のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし
意見・質問 回答
【事案1】
契約件名
: 滑石住宅(三)外2住宅給排水設備改修その他工事
契約相手方
: 株式会社ミズノ
契約金額
: 39,898,950円
契約締結日
: 平成23年8月23日
担当部局
: 福岡財務支局
 
 期間内では契約金額が最も大きい公共事業であり、落札率も高いことから抽出した。
 
 参加する業者への入札説明会は合同で実施されたのか。また、1回目で予定価格を下回る業者がいなかった段階で予定価格は公表されるのか。  入札説明会は実施しておらず、参加する業者に対しては、申込みを受けた際に入札説明書を交付している。1回目で予定価格を下回る業者がいなかった段階では、最低応札金額は公表するが、予定価格は公表していない。
 入札状況を確認すると、業者間で大きな開きがあるが、これは何か要因が考えられるのか。  今回の工事は、入居中の改修工事ということもあり、入居中の改修工事に慣れた業者と慣れていない業者で作業にかかる積算に差がでたのではないかと考えている。契約業者は過去に当方発注の改修工事を請け負った実績のある業者であったため、入居中の改修工事のノウハウが蓄積されていたと考えている。
 同種工事は過去にもあると思われるが、今までの実績等を勘案して調整等何らかの対応をすることは考えられないのか。  過去の同種工事においては、今回工事と同様の積算を行っているが、80%程度の落札率でほぼ1回で落札しており、今回のように業者間に大きな格差も見受けられなかったことから、積算は適正なものと考えている。
 今回の状況を踏まえ、今後、積算等に何らかの調整を行うことも検討する必要があると考えている。
 契約書上、一部下請けは可能であるが、落札した業者が、参加した他の業者に下請けの形で仕事を配分することはあるのか。  そういったことは確認されていない。通常、それぞれ業者には協力会社があり、そういったところに下請けを依頼しているようである。
意見・質問 回答
【事案2】
契約件名
: 電子複写機の賃貸借及び保守一式
契約相手方
: コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社
福岡直販事業部
契約金額
: 10,402,635円
契約締結日
: 平成23年8月31日
担当部局
: 門司税関
 
 従来の購入型の契約形態とは異なっており、また、落札率がかなり低率となっているため抽出した。
 
 仕様書を満たす複写機が用意できない者が何者かあったが、この複写機は特殊なものなのか。  用意できない複写機というのは高速電子複写機のことであり、受注生産であるため納期が間に合わないという理由で辞退されたものであり、特別な仕様の複写機ということではない。
 保守料金に関しては定額ということでなく、消耗品等の単価ごとに決められているのか。  保守料金については、コピー用紙1枚当たりいくらということで決まる。従って、コピー用紙の使用枚数が増えれば保守料金は上がってくる。
 予定価格の算定にあたって参考見積もりを取った業者が落札できず、参考見積もりを取っていない業者が落札している。
 参考見積もりを出していない業者が、かなり努力した結果であると考えられるのか。
 参考見積もりはあくまで一般的な金額を提示してくるが、入札となるとかなり金額を落としてくるのが実状である。
 複写機の予定価格の算定の仕方自体が、現実を反映していないという問題点があるのではないか。  予定価格を積算する上で参考としている定期刊行物において、ある時期から複写機のリース料の掲載が無くなった。発行元に確認したところ、複写機のリース料に大きな幅が見られるようになったため、掲載を取り止めたとのことであった。
 一般的な取引価格より、更に低い価格で取引が行われているのが現状である。
 入札する可能性のある業者に、予定価格の参考となる価格を聞き取るということについて不都合なことはないか。  メーカーのパンフレット等で公表されている価格を参考価格とすることは、算定時の一つの手段であると考えている。また、実際の取引で使われている市場価格を参考にするということもある。
 コピー機については、安く売ってサプライ品で儲けるという調達方法があるが、今回の保守契約について言えば、1回の入札でサプライ品の経費もカバーできるので、大変メリットのある調達方法であると考えている。
 確認であるが、トナーとか修理部品というのは契約上、業者負担になっているということでよいか。
 トナー等の保守時に交換される消耗品は業者負担である。高速電子複写機で使用するステープラー針やコピー用紙については、当方で別途購入したものを使用することとしている。
 今回の調達以外の残りの複写機は、次回で交換ということになるが、次の調達で今回の落札業者が優位になるということはないのか。  そのようなことはないと考えている。
 残りの複写機についても、現在の契約期間が満了次第、リースと保守を絡めた入札を行おうと考えている。
意見・質問 回答
【事案3】
契約件名
: 蛍光X線分析装置の購入契約
契約相手方
: 正晃株式会社 長崎営業所
契約金額
: 13,282,500円
契約締結日
: 平成23年8月31日
担当部局
: 長崎税関
 
 競争入札は成立しているが、落札率が非常に高い点に着目して抽出した。  
 蛍光X線分析装置のメーカーや機種は指定されているのか。  仕様書に例示品及び例示品と同等品であれば他のメーカーや機種も可と記載しており、メーカーや機種の指定はしていない。
 価格調査を行っているが、その相手方は、調査により予定価格がいくらになるか予想できるのではないか。  税関は複数の相手方に対し価格調査を行い、その結果を基に予定価格を積算している。そのため相手方が回答した内容がそのまま予定価格となることはなく、予定価格の予想は難しいと考える。
 蛍光X線分析装置はどのような物質を分析する機器か。  蛍光X線分析装置は物質の中に「どのような元素」が「どの程度」含まれているか分析可能な機器である。税関における分析の一例として、輸出される廃プラスチックの中の鉛の含有の有無の分析がある。
 仕様書に例示品を記載しているが、この仕様を満たす機種は他にもあるのか。  蛍光X線分析装置は例示品のメーカー以外も製造している。仕様書の例示品と同等品であれば他のメーカーの製品も可としている。
 蛍光X線分析装置の機種を例示品に限定しているのか。  仕様書には税関の分析業務に必要な機能を記載し、その仕様に該当する機種の一例として例示品を挙げているが、その他の機種も同等品であれば可とする旨仕様書には記載しており、機種を限定はしてない。
 今回入札の蛍光X線分析装置の導入前は、どのメーカーの蛍光X線分析装置を使用していたのか。  長崎税関においては、今回初めて蛍光X線分析装置を導入するものであり、今回の導入前に蛍光X線分析装置はない。
 価格調査の際、割引率はどのように聞いたのか。  仕様書に記載している例示品の一般的な割引率について調査した。
 予定価格の積算方法について規則や決まりがあるのか。  定価が設定されている商品については、割引率など市場価格の調査を行い、その価格を参考に予定価格を積算している。
 蛍光X線分析装置のメーカーと販売業者である入札者とはどのような関係か。  両者の関係については承知していない。
意見・質問 回答
 【事案4】
契約件名
: データエントリー業務(下期第2グループ)
契約相手方
: 株式会社ナニワ計算センター
契約金額
: @86.8円ほか
契約締結日
: 平成23年8月18日
担当部局
: 福岡国税局
  
 一般競争入札は成立しているが、同種の業務を四分割で発注しており、その中では落札率が高率である。業務内容、分割発注の経緯、予定価格の算定、応札の状況などに着目して抽出した。
 参考として、他の3グループの入札状況等も確認させていただきたい。
 
 1回目の入札において予定価格以下の者がおらず不落となった。この場合、参加者には入札最低価格を公表するのか。  参加者には、ただ今の入札の入札最低価額は○○社のいくらであったと公表し、これは当方の入札基準価格よりも高いため、再度の入札を行う旨を宣言し、即座に2回目の入札を行った。
 この場合、最低入札価額を公表しないで、2回目、3回目の入札を行った場合には、どうのようなことが起こると予想されるのか。  一番札を入れた○○社は、自分がもう少し入札価格を抑えれば取れるのではないかと考えるが、当初から高い金額を入れたところは、少ししか下げてこないと考えられ、再度の不落になる可能性があると思われる。
 ○○社がもう少し下げてくる可能性が高いのか。  一概には言えないが、その可能性はあると思う。
 この場合、当局側に不都合、手間がかかるとか、コストの増大などが発生する場合があるのか。  特にないと思われる。逆に、最低入札価格を公表しなかった場合には、一番札や二番札を入れた者には有利になるが、高い価額をつけた者には不利になる可能性がある。
 4つのグループ全体の入札状況をみると、各グループを通じて同じような応札率で入札している者がいくつかある。これらの者は予定価格をある程度推測して、統一的に入札していると思われるが、これはどう考えるのか。  今回の入札では、4つのグループに分けて入札しているが、入札書の提出については全てのグループを開札する前に事前に提出させている。その上で、第1グループから順に開札していった。これらの者は、ある程度の自分たちの利益を確保した上で入札している。当初から一括で入札書を提出させているため、同じ基準で入札している。当局の予定価格の積算については、公表されている積算資料を使用して積算しているため、業者側もある程度の価格の予想はでき、利益を確保した上で入札書を提出している。
    これを第1グループだけを先に入札させて、その場で開札して、その結果を受け、ある程度の予定価格が分かった上で、次の第2グループの入札を実施するなどのやり方をすれば、これらの者はそこで自分たちの積算が高すぎたことが分かり、入札書の数字を下げてくる可能性はあったと思う。
 今回の入札では、4グループを一括で先に入札書を提出させているので、訂正する暇がなかった。事前に入札書を一括して提出させるのがいいのか、その都度入札書を提出させるのがいいのか、我々もどちらが良いのか考えるところでもある。
 この案件については、予定価格の推測がかなりできると考えてよいのか。  もともと定価(業務数)は、ストローク数の見込みで分かるため、そのストローク数に単価をどう設定するかで積算できる。公表されている資料もあるので、業者側も調整率をかけないある程度の積算はできる。そこからどれぐらい割り引くかの問題になる。
 これらの業者はいろんなところで入札に参加しているので、ある程度の予定価格の推測はつくと思うが、業者の中に予定価格の2倍以上の者もあり、本当に落札しようという気持ちがあったのかと思われるが。  この業務については、全国の国税局で同時期に実施しており、全国では20社程度の業者が参加している。それらの業者が他の国税局で先に落札した場合には、無理に値段を下げて落札する必要もないと考え、この価格であれば新たに人を雇っても採算が取れると入札してくる可能性はあると考える。
 全国的な統計はないのか。
 国税局間での情報交換はしていないのか。
 把握していない。
 国税局間の情報交換は特に行っていない。
 民間では当然に情報交換するはず、国税局間のバランスは必要と考えるが、可能な限り情報交換の努力はしてほしい。   
 今回の入札は、実質的には上位の5者程度が競争範囲で争っていると考えてよいのか。計算方法や情報量は各グループとも均等になっており、大きな変更はない、他の業者はもともと競争に入っていない可能性が高いと思う。
 また、応札率を第1グループでは高めに設定し、第3グループでは低めに設定してきた者もある。一括して入札書を提出させているのであれば、何故こういうことが起こるのか。
 業者間で業務を割り振りしている可能性はないのか。
 この業務自体は、業者間で取り合いになっており、談合めいた話はないと想定している。
 公表されている積算資料には一部のキー操作の単価設定がないため、この単価設定や業者の得意分野の業務などの関係から、グループ毎に積算の算定を変更していると考えられる。当局としては、そのような調整が行われているとは理解していない。
【委員会の審議結果】  
 本日、抽出した4件の事案については、各部局とも適法かつ適正に調達の手続がなされていたことを確認させていただいた。
 委員会のほうから、今期の全体の調達に関して意見を付させていただく。
 全体の調達の状況については、公共工事の落札率が低下傾向にあり、競争が十分に働いた適正な率の案件が多くなっており、一者応札の案件が減少している。特に、今期はそれが顕著であり、評価してよいのではないかと思う。
 その中でも二つの税関で発注している監視艇関係の業務については、従来よりも一者応札が減少しており、部局の努力を委員会としては評価できる。
 なお、残存しているものについては、もともと競争性が確保できないものが多くみられるが、今後も引き続き努力をお願いしたい。
 
(第1事案について)
 入札状況をみると、一者以外はかなり高額で応札している状況であり、多少入札状況に不自然さが感じられないこともない状況である。今回と同様の改修工事等については、入札状況の点検、比較を注意してやっていただく必要があると思われる。
 特に、業者間で仕事が回されていないか、落札した業者から同じ入札に参加した他の業者に下請けさせていないかということを確認していただく必要があるのではないかと思われる。
 
(第2事案について)
 本件については、保守時のサプライ品に掛る費用も含めた形で入札されており、非常に適切な発注方式ではないかと思われる。他のOA機器の導入についても参考として頂きたい。
 予定価格についてみると、参考見積もりを取った業者の見積もり価格が極めて高額であり、業者からの見積もり価格の聴取には信頼性に疑問がある。業者から参考見積もりを取ることについては、注意する必要があると思われる。
 一般的な話であるが、参考見積もりを取ることにより、その見積もりを取った業者が有利になることがあるのであれば、公正な競争が妨げられる可能性があるため、問い合わせについては十分注意して運用して頂きたい。
 
(第3事案について)
 仕様書に例示品及び例示品と同等品も可とすると記載されているが、例示品の記載により、例示品以外の機種が今回の入札の対象となるか否か分かりにくくなっている。他に競合する製品がある場合は、仕様書に例示品を記載しないなど仕様書の記載方法を検討してはどうかと考える。
 価格調査においてメーカーに定価を聞くと、メーカーから販売業者へ製品を安く売らないよう価格を拘束する価格維持行為が発生する可能性がある。そのため、市場価格の調査の仕方については注意する必要がある。

 
(第4事案について) 
 本件は、4グループの分割発注ということで、数量を合わせ、上期の実績などで予定価格を調整して、予定価格程度で落札されている。
 上期の実績を予定価格に反映していくという手法は、非常に有効な方法であり、適切な予定価格の算定に寄与している。前年度や前回の調達の価格を予定価格に反映させることが重要であると考える。
 今回作成していただいたグループ全体の資料については、監視委員会の審議に有効であったと思う。同時期の同種の業務の発注や、経年的なものを審議させていただく際には有効であり、今後も同様の資料の作成をお願いしたい。
 また、同じのような業務や近隣の国税局や財務省関係の部署で発生しているものなど、例えば、西日本地区などで、高い入札価格をつけた業者が他の地区でどのような状況になっているなどを検討して欲しい。そのためのデータの共有などは非常に有効であり、今後の課題であると思う。