開催日及び場所 | 平成21年10月1日(木) 福岡合同庁舎8階共用第9会議室 | |
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委員 | 委員 屋宮 憲夫(福岡大学 法学部教授) 委員 林 桂一郎(西日本綜合法律事務所 弁護士) 委員 横山 研治(立命館アジア太平洋大学 国際経営学部長) |
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審議対象期間 | 平成21年4月1日(水)〜平成21年6月30日(火) | |
契約締結分の概要説明 | 審議対象期間に係る契約締結分及び契約実績状況調書の概要を説明 | |
抽出事案 | 4件 | (備考) |
競争入札(公共工事) | -件 | - |
随意契約(公共工事) | -件 | - |
競争入札(物品役務等) | 4件 |
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随意契約(物品役務等) | -件 | - |
応札(応募)業者数1者関連 | 2件 | ※ 競争入札(物品役務等)の「リコー製電子複写機及び複合機の保守業務委託(1年)」及び「福岡国税局業務アプリケーションの開発支援業務」 |
委員からの意見・質問、それに対する回答等 | 別紙のとおり | |
委員会による意見の具申又は勧告の内容 | なし |
意見・質問 | 回答 |
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【事案 1】
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入札が4回実施されたが、2回目に1社を除き辞退となり、最終的に4回目で落札となった経緯に着目して抽出した。 1回目の入札の開札結果は、最低入札価格を公表されるという説明でよろしいか。 |
そのとおりである。 |
2回目以後の入札を辞退した企業から辞退理由を聴取したところによると、1回目の最低入札価格を聞いて採算が取れないと判断したためとの説明であったが、他の辞退した企業も同様の判断をしたのか。 | 辞退理由を聴取した企業は、平成20年度に引き続き本年度の入札にも参加した企業であり、平成20年度は3回目、4回目まで応札したが、本年度は2回目で辞退したため理由を聴取したところ、1回目の入札結果を聞いて採算が取れないと判断したとの回答であった。 なお、他の企業からは聴取していないものの、辞退理由は同様であると考えている。 |
予定価格は、積算価格に過去3年間の平均落札率を乗じて算定しているとのことであるが、本年度の予定価格の算定も同様の方法で行ったのか。 | 本年度は、新たに各入居官庁の専用部分の清掃業務を一括請負契約に加えたことから、昨年とは契約内容が異なっている。 本年度の共用部分の清掃業務については過去3年間の平均落札率を乗じて算定したが、専用部分の清掃業務については過去の落札率が無いことから、積算価格をそのまま専用部分の予定価格とし、これらを合計して全体の予定価格とした。 |
入札状況をみると、1回目に700万円以上の価格で応札した全ての企業が2回目以降の入札を辞退しているが、700万円以上の契約金額でなければ採算が合わないような要因があるのではないか。 | 本年度に限ってコストが上昇するような特段の要因があるとは考えていない。 しかし、共用部分の過去3年間の入札において、積算価格の50%程度で落札された実績があり、それが共用部分の平均落札率に影響していることから、予定価格が上昇しにくい要因になっていると考える。 |
意見・質問 | 回答 |
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【事案 2】
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一者応札となった事情に着目して抽出した。 保守対象の電子複写機等を購入した際も、今回の契約相手方である株式会社渡辺商事が関係しているのか。 |
保守対象の電子複写機等の購入に際しては、複数者による一般競争入札を実施した結果、株式会社渡辺商事が落札し納入している。 |
同社が機器を納入したのだから保守点検も同社が行うという流れは分かるが、リコーの特約店は同社以外にもある。他の特約店が納入した会社を押しのけて競争入札に参加することは難しいのか。 | 特約店同士の話であり、他の特約店の参加が難しいのか当方ではわからないが、他の特約店は競争入札に参加してこない状況にある。 |
一般的に複写機等では、機器を安く納入しその後の保守や消耗品で利益を得るというリーディングプライスや価格差別が起こりやすいので、機器を購入する場合には、その価格を詳細に見ないと、その後のメンテナンスとの関わりが判断しづらくなる。 次回、複写機等を購入する際は、機器本体の入札価格をいくらで出してきているか、いわゆるリーディングプライスという非常に安い価格設定ではないのか検討してはどうか。 |
本案件より後の電子複写機等の調達に当たっては、購入ではなくリースによる借入れを行い、賃貸借契約と保守契約を一括して締結する形態に移行している。 |
そのように一括してその後の保守等のランニングコストも含めて競争させたほうがわかりやすいし、いわゆるトランザクションコスト(経済取引を行うときに発生する費用)が一番低くなる。 |
意見・質問 | 回答 |
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【事案 3】
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二者応札ではあるが、落札率が極めて高い点に着目して抽出した。 今回の落札者は空調設備の納入業者と同一であると推測するが、当該設備はいつ納入されたのか。 |
ご推察のとおり、落札者は当該設備の納入業者であり、長崎空港国際線ターミナルビルが昭和57年に建設されたことから、同年に納入されている。 |
本案件は毎年同様の契約を締結していることと思うが、昭和57年以降30年近くにわたり、本年と同一の者が一般競争入札で落札しているのか。 | 平成18年度以前は同社と随意契約を行っていたが、競争原理を働かせるため平成19年度に一般競争入札へ移行しており、平成19年度以降は複数業者が応札したうえで同社が落札している。 |
本案件についてはコピー機の保守契約のように特約店等の関係は存在せず、独立系を含むすべての業者で請け負うことが可能であるとの認識でよいか。 | そのとおりである。 |
意見・質問 | 回答 |
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【事案 4】
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一者応札で落札率が極めて高い点に着目して抽出した。 本契約に基づき開発納入されるアプリケーションの品質は常駐者の技術レベルで左右されるが、入札段階ではレベルを特定することは不可能である。開発されたアプリケーションの品質は、その稼動をもって確認するのか。 |
そのとおりである。アプリケーションの正常稼動を当局職員が検査することで品質確認を行っている。 |
本契約は仕様書で契約期間を通じて同一人が常駐、アプリケーション開発作業チーム責任者の経験2年以上、との厳しい条件が付してあり、業者にとって主要な技術者を1年間国税局に派遣常駐させる条件であると読めるが、そのような契約形態で間違いないか。 | については、必ずしも同一人である必要はなく、状況に応じて交代を受け入れるが、については、開発作業の進捗、品質及びコスト管理が重要不可欠であるため、ソフト開発業務で最高レベルの技術者であるプロジェクト管理者の経験がある者による開発支援を契約の条件としている。 |
前年以前も同様の契約は締結されていると思うが、業務の性質上作業に継続性があって代替性に乏しく他の業者が入りにくいため、一者応札となっているのではないか。 | 本業務は平成19年度から委託を開始し、同一の業者が落札しているが、プログラム開発言語は汎用性があり、開発したプログラムの版権は国税局にあること、常駐者は毎年交代していることからも、特定の業者に有利な条件とはなっておらず、代替性はあると考えている。 |
高度な技術者の常駐を条件としていることから、福岡国税局の場合は応札者があったが、他の地区によっては同一条件で入札参加を求めても応札できる業者が存在しない場合が考えられ、競争性確保の面がやや心配である。 開発するソフトは福岡国税局だけで使用できて他の国税局では使用できないようなものか、それとも、汎用性があって他の国税局でも使用できるものか。 |
他の国税局で使用可能なものもある。 また、他の国税局が開発したソフトを福岡国税局で使用するために修正変更することもあるので、そのような修正変更も開発支援業務には含まれている。 |
常駐者を派遣できそうな大手の業者が仕様書を取りに来ているのに応札していないのは、どのような理由が考えられるのか。 | 仕様書を取りに来て応札しなかった業者から聞き取ったところでは、機器の保守管理を行う技術者は福岡にも常駐させているが、プロジェクト管理者は東京など中央に集約しており福岡には置いていないと回答したところがあった。 |
【委員会の審議結果】 | |
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全体の調達状況としては、一者応札は特定の業務契約に集中しており、件数自体は減少している。 入札に競争性が働いた案件の落札率は一者応札と比較して確実に低下しており、各部局とも一者応札を解消する努力を行っている点は評価しているので、今後とも引き続き努力願いたい。 また、各抽出事案については、入札、調達が適正に行われていることも確認できた。 それでは、委員会として審議・検討した結果を報告させていただく。 |
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事案1の佐賀第2合同庁舎清掃等業務委託については、入札状況を見ると1回目の入札で落札業者とそれ以外の業者の入札価格にかなりの開きがあること、及び、2回目の入札で落札業者以外が辞退している点でやや不自然な状況にはあるが、落札業者は過去にも相当の低価格で落札した実績があり、特に本案件の契約に意欲的であることは理解できた。 今後におかれては、特に福岡財務支局の清掃業務に関して本案件と同様の傾向がみられないかということについて、注視していただきたい。 |
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事案2のリコー製電子複写機及び複合機の保守業務委託については、一者応札になった経緯はよく理解できるところであるが、業界の特約店システムが競争の可能性を低めているのではないかと思われる。 複写機等のように保守点検のランニングコストが発生するものについては、賃貸と保守を合わせて費用を決めて、最初の入札で競争する形の調達形態のほうがより実態に合っているのではないかと考えられる。 門司税関としては、このような形態(リース契約)に移行しているということなので、他の部局を含めてこのような形態の見直しを進めることが重要である。 |
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事案3の長崎空港国際線旅客ターミナルビル空調機器保守点検業務に関する請負契約については、競争原理が働きにくい分野の調達であることは理解できた。 このような調達案件についてより競争性を高めるためには、各保守点検業者が提供できる定期保守点検の技術内容等によって、入札に参加できる業者が何社程度存在するのか、また、業者にどのように働きかければ入札に参加するのか等を検討していただき、応札者の増加を図っていただきたい。 |
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事案4の福岡国税局業務アプリケーションの開発支援業務については、情報通信技術や先端技術のアウトソーシングという今後各部局でも増加が見込まれる契約案件であり、予定価格の考え方、品質の担保、労働問題(人材派遣に類似)、情報の漏えい等克服すべき課題が多い点で大変興味深い。 一者応札となった理由が業者側で派遣できる技術者の常駐人員不足にあることは理解できたが、競争性維持の観点から作業工程に応じて常駐者を交代させることが可能か仕様書の条件を検討する、他部局における類似案件にどのような業者が応札しているか調べる、業者に採算性を検討する機会を付与する目的で敢えて予定価格を公表する、等の改善策が考えられるので、検討していただき、一者応札の解消に努めてもらいたい。 |