1 国税の申告・納付等の期限延長の終了に伴う措置

 東日本大震災の発生を受け、平成23年3月15日付国税庁告示により、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の5県について同月11日以降に到来する国税に関する申告・納付等の期限を延長する措置を講じました。
 その後、各地域の状況を踏まえ、順次、期限延長措置を終了してきました。今般、残る福島県の田村市、南相馬市、川俣町、広野町、たる葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、かつら尾村、飯舘村の12市町村について、自主的な申告・納付の状況等を踏まえ、平成26年1月31日付国税庁告示により期限延長措置を同年3月31日をもって終了しました。
 ただし、この期限延長措置の終了により、当該12市町村の納税者が、複数年分の申告・納付等をしなければならなくなること等を考慮して、1年間の手続期間を設け、平成27年3月31日までに申告・納付等の手続をしていただくこととしています。また、同日までに申告・納付等をすることが引き続き困難な納税者については、申請により、更なる期限延長を行うこととし、納税者の個々の実情を踏まえながら、必要な手続をお願いしていくこととしています。
 全国各地に避難されている納税者が、全国の最寄りの税務署で適切に相談できる体制を整備しています。

2 確定申告期における相談

 今般の期限延長措置の終了に伴い、複数年分の申告書の作成に時間を要する納税者からの申告相談等が見込まれたことから、確定申告期の納税者対応に万全を期すため、仙台国税局及び同局管内の税務署の職員を福島県下12市町村を管轄する税務署に派遣(延べ約2,200人)しました。このほか、仙台国税局への全庁的な支援として、平成26年2月13日(木)から3月18日(火)までの間、福島署、郡山署、いわき署及び仙台市内署に対し、各国税局から職員派遣(延べ約1,300人)を行いました。
 また、被災した納税者が申告しやすい環境を極力整備する措置として、福島県下12市町村を管轄する相馬署及び郡山署、特に避難者が多いいわき署についても、閉庁日対応を実施しました。

3 酒類業者等に対する復興支援

 放射性物質に対する酒類の安全性確保及び輸出環境維持等のため、平成25年度においても、酒類及び醸造用水について、独立行政法人酒類総合研究所と連携しながら、放射性物質の調査(2,435件)を実施しました。また、東日本大震災後に導入された日本産酒類に対する輸入規制措置に対しては、輸入国からの求めに応じて、必要な酒類に係る証明書(製造日証明:1件、製造地証明:5,329件、放射能の検査証明:865件)を発行しました。
 今後も、こうした取組等を通じて、酒類業者等の復興支援を積極的に行っていくこととしています。

東日本大震災により被害を受けた場合の税制上の特例措置

 平成23年4月27日に、東日本大震災の被災者等の負担の軽減等を図るため、震災特例法が施行されました。
 また、震災特例法については、平成23年12月14日に、東日本大震災の被災者等の負担の軽減及び東日本大震災からの復興に向けた取組の推進を図るため、震災特例法の一部を改正する法律が施行されるなど、所要の改正が行われています。
 この震災特例法において、東日本大震災により被災された方などに適用される主な税制上の措置については以下のとおりです(平成26年4月1日現在)。

所得税  東日本大震災により住宅や家財に損害を受けた方は、まる1所得税法に定める雑損控除の方法、まる2災害減免法に定める税金の軽減免除による方法について、平成22年分又は平成23年分のいずれかの年分を選択して、これらの軽減等の措置を受けることができます。
 また、まる1の方法による場合で、東日本大震災により生じた損失について、雑損失の金額を有するときは、その雑損失の金額に係る繰越控除の期間が5年間(所得税法:3年間)とされています。
 棚卸資産・事業用資産等について東日本大震災により生じた損失については、その損失額を平成22年分の事業所得の金額等の計算上、必要経費に算入できます。
 また、棚卸資産・事業用資産等について一定の純損失の金額を有する場合には、その純損失の金額に係る繰越控除の期間が5年間(所得税法:3年間)とされています。
  • まる1 東日本大震災により住宅借入金等特別控除の適用を受けていた住宅について居住できなくなった場合についても、その住宅に係る住宅借入金等特別控除の残りの適用期間について、引き続き、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。
  • まる2 東日本大震災によって自己の所有する家屋が被害を受けたことにより自己の居住の用に供することができなくなった方が、住宅の再取得等をした場合には、選択により、通常の住宅借入金等特別控除の適用に代えて、その居住の用に供した年に応じた控除率等による「住宅の再取得等に係る住宅借入金等特別控除の控除額の特例」を適用できます。
  • まる3 上記まる1まる2については、重複して適用できます。
法人税  平成23年12月26日から平成28年3月31日までの間に認定地方公共団体の指定を受けた法人で、復興産業集積区域内に新設されたものについては、指定のあった日から同日以後5年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度において法人税の課税が繰り延べられるよう、次の特例を受けることができます。
  • まる1 所得金額を限度として再投資等準備金を積み立てたときは、その積立金を損金の額に算入できます。
  • まる2 復興産業集積区域内で機械又は建物等に再投資等を行った事業年度において、準備金残高を限度として特別償却ができます。
自動車重量税  東日本大震災により自動車検査証の有効期間内に被害を受けて廃車となった被災した自動車・二輪車等の所有者の方は、運輸支局又は軽自動車検査協会において自動車・二輪車等の永久抹消登録又は滅失・解体の届出の手続を行い、自動車重量税に係る還付申請書を提出することにより、自動車重量税の還付を受けることができます。
 被災した自動車・二輪車等の使用者であった方が、平成28年4月30日までの間に、買換車両を取得して自動車検査証の交付等を受ける場合には、運輸支局又は軽自動車検査協会に自動車重量税に係る免税届出書を提出することにより、最初に受ける自動車検査証の交付等に係る自動車重量税が免除されます。
印紙税等  地方公共団体又は政府系金融機関等が、東日本大震災により被害を受けた方に対して、他の金銭の貸付けの条件に比し特別に有利な条件で行う金銭の貸付けに係る「消費貸借に関する契約書」について、印紙税が非課税となります。
 東日本大震災により滅失し、又は損壊したため取り壊した建物及び警戒区域設定指示等が行われた日においてその警戒区域設定指示等の対象区域内に所在していた建物の代替建物を取得する場合等において、その被災された方が作成する「不動産の譲渡に関する契約書」及び「建設工事の請負に関する契約書」についての印紙税が非課税となります。また、その所有権の移転登記等に係る登録免許税が免除されます。
酒税  東日本大震災により酒類の製造場について甚大な被害を受けた清酒等の製造者が、平成23年4月1日から平成28年3月31日までの間に酒類の製造場から清酒等を移出する場合において、前年度の課税移出数量が1,300kl以下であるときは、当年度の課税移出数量の200klまでのものに係る酒税が軽減されています。

※ その他の措置及び詳細については、国税庁ホームページhttp://www.nta.go.jp/index.htmをご覧いただくか、最寄りの税務署にお尋ねください。