国税庁の使命は「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことであり、この使命を果たすため、国税庁はこれまで様々な取組を行ってきております。
 第1に、納税者サービスの観点から、国税電子申告・納税システム(e-Tax)や確定申告書等作成コーナーなどのICTを活用した利便性の高い申告・納付手段の充実に取り組んでまいりました。
 特に、e-Taxについては、利用者の利便性向上の観点から、一定の添付書類の提出省略などの施策を実施し、また関係各位のご協力を得ることで、その利用件数は着実に伸びてきております。

 第2に、適正な調査・徴収の観点から、納税者の利益の保護を図りつつ、大口・悪質な事案には厳正に対応してきたほか、社会経済情勢の変化に応じ、富裕層や国際化事案などにも積極的に取り組んでまいりました。
 特に、国際的な租税回避行為に対応するため、平成26年1月以降に提出されている国外財産調書の活用に努めるとともに、国内の情報だけでは事実関係を十分に解明できない取引等について租税条約等に基づく情報交換を積極的に進めております。
 また、大企業については、税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組を進めております。

 消費税率の引上げ等については、事業者の方が消費税の仕組みや改正内容を十分に理解して自ら適正な申告・納付が行えるよう、広報・相談・指導に取り組んでおり、総額表示義務の特例や転嫁拒否等に関する相談についても、関係省庁と連携して適切に対応しております。

 私は、納税者の皆様の税務行政に対する理解と信頼の下、申告・納税をしていただくことが重要であると考えております。
 こうした様々な取組を通じて、「国民の信頼に応える税務行政」を推進してまいります。
 また、国税庁の様々な取組について、納税者の皆様の理解を深めていただくため、「対外コミュニケーションの充実」を図っていくことが重要であると考えております。

 これまで国税庁としては、様々な課題や取組方針、各種施策についての実効性ある計画の策定とその実施、実施結果の評価・検証について、ホームページ、報道発表等を通じて、できる限り分かりやすくお知らせしてまいりました。  「国税庁レポート」(年次報告書)もその一つであり、国税庁の1年間の活動について、その年のトピックも含め分かりやすく説明しております。

 「国税庁レポート2014」もこれまでと同様に、国税庁の取組について統計資料等を交えながら、分かりやすく説明しております。
 この「国税庁レポート2014」が皆様のご理解を深める一助になれば幸いです。

平成26年(2014年)6月

国税庁長官 稲垣 光隆