この度の東日本大震災において被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
 震災発生以後、政府を挙げて様々な復旧・復興活動が進められていますが、国税庁といたしましても、震災直後に、被災された納税者の皆様に対し申告・納付などの期限を延長するとともに、災害に関する税務上の取扱いや、被災者等の税負担の軽減を図る等を目的とした「震災特例法」(4月27日施行)などについて、パンフレットや国税庁ホームページなどを活用して積極的に周知・広報を行ってまいりました。
 また、納税者の皆様の実情に応じて説明会や出張相談などを実施し、きめ細かな対応に努めています。今後も被災された納税者の皆様の立場に立って親切・丁寧な対応を行ってまいります。

 さて、国税庁の使命は、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことであり、このような使命を果たすためには、国民の皆様から国税庁に対する理解と信頼を得ることが重要であると考えております。このため、国税庁では、税務行政の運営に当たり、

  1. 1 納税者の皆様が申告・納税を「簡単・便利・スムーズ」に行うことができるように、サービスの充実を図る
  2. 2 納税者の権利利益の保護を図りつつ、適正な調査・徴収を行う
  3. 3 国税庁の様々な取組を分かりやすくお知らせするとともに、各種施策の実施結果の評価・検証を踏まえ、税務行政を改善する

ことなどを基本的な考え方として、様々な取組を行っています。

 具体的には、納税者が自ら正しい申告と納税が行えるよう必要な税務情報や法令などに関する情報提供を充実させ、e-Tax(国税電子申告・納税システム)をはじめとするITを活用した利便性の高い申告・納税手段を提供するとともに、税務署の受付窓口を一本化しています。
 また、納税者の権利保護を図りつつ、悪質な納税者には厳正な態度で臨むなど、適正な調査・徴収に取り組んでいます。国際的な取引については租税条約に基づく外国税務当局との情報交換を積極的に行います。大企業については、税務に関するコーポレートガバナンスの充実を図る取組も進めることとしています。
 なお、国税庁が取り組むべき課題や取組方針、各種施策についての実効性ある計画の策定とその実施、実施結果の評価・検証については公表し、その評価・検証を踏まえ税務行政の改善に取り組んでいます。

 「国税庁レポート2011」は、こうした考え方の下、我々が抱えている課題と取組・その実績を分かりやすく説明するよう作成したものであり、我々の活動に対する皆様のご理解を深める一助になれば幸いです。

平成23年(2011年)6月

国税庁長官 川北 力