国税庁では、e-Taxや国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」などITを活用した申告・納税を推進することにより、納税者の利便性の向上や事務の効率化を図っています。

(1) e-Tax

 e-Taxは、これまで書面で行われていた所得税、法人税、消費税などの申告や法定調書の提出、青色申告の承認申請などの各種申請・届出について、インターネットを通じて手続が行えるものです。また、税金の納付も、全税目についてインターネットやペイジー(Pay-easy)1 対応のATMなどを利用して行うことができます。
 納税者や税理士は、e-Taxを利用することにより、税務署や金融機関の窓口に赴くことなく、自宅や事務所などから申告や納税などの手続を行うことが可能となり、さらに、e-Taxに対応した税務・会計ソフトウェアを利用することにより、会計処理や申告などのデータ作成から提出までの一連の作業を電子的に行い、事務の省力化やペーパーレス化といった効果が生まれてきます。
 国税当局にとっても、申告書収受や郵送提出分処理、データ入力の事務の削減など、直接的な効果があるほか、間接的な効果として、文書管理コストの低減や、文書検索の容易化が可能となり、税務行政の効率化が図られることとなります。
 こうしたことから、国税庁は、e-Taxの普及のため、国税関係手続の「オンライン利用促進のための行動計画」(平成18年3月決定、平成19年3月改定)や「オンライン利用拡大行動計画」(平成20年9月決定)に盛り込まれた各種施策を強力に推し進めてきました。具体的には、e-Taxで申告された還付申告について、処理期間を短縮したり、税務署が設置する申告相談会場にパソコンを配備し、納税者が「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxを利用することができる体制の整備などを行いました。また制度面においても、個人の所得税申告について、医療費の領収書など一定の第三者作成の添付書類の提出又は提示を省略可能2とされたり、e-Taxの普及の前提となる電子署名の問題について、税理士が納税者の依頼を受けて電子申告を行う場合は、納税者本人の電子署名を省略することができるよう措置がなされました。
 さらに、e-Taxを利用して所得税の確定申告書を提出する場合、納税者本人の電子署名及び電子証明書を付して提出期限内に送信したときは、その年分の所得税の額から最高5,000円の税額控除を受けることができる制度が設けられています(平成19年分から平成22年分の間でいずれか1回受けられます。)。
 平成21年度においては、平成20年度に実施した「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxに送信する際の操作性の改善やヘルプデスクの大幅な拡充に加えて、e-Taxホームページから「確定申告書等作成コーナー」への誘導をより分かり易くする画面の改善、法人税等の申告が集中する5月末の受付時間の延長、確定申告期のすべての日曜日においてヘルプデスクの受付を実施、新たな納付手段であるダイレクト納付のサービスの開始など、更なる利便性向上やサポート体制の充実に努めたところ、e-Taxの利用率は、平成20年度の37%から平成21年度は45%に増加しました(ダイレクト納付については、21ページをご参照ください。)。
 今後も、国税庁としては、e-Taxの普及に向けて、使い勝手の向上など各種施策に取り組んでいきます。同時に、e-Tax普及による事務の効率化等の効果が最大限発揮されるよう、業務・システムの一層の見直しを進めていきます。

注釈

  1. 1 「ペイジー」とは、これまで金融機関やコンビニエンスストアの窓口で支払っていた公共料金などを、インターネットに接続されたパソコンやATMから支払うことができるサービスをいいます。
  2. 2 第三者作成書類の提出又は提示を省略する場合、その第三者作成書類の記載事項を入力して確定申告書と併せて送信する必要があります。
    また、記載事項の入力内容を確認するため、必要があるときは、法定申告期限から3年間、税務署からこれらの書類の原本の提出又は提示を求められることがあります。
e-Taxの図
e-Taxを利用した申告などの件数と利用率の推移のグラフ
イータ君

(2) 確定申告書等作成コーナー

 国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」は、パソコンの画面上の手順に従って金額等を入力することにより、所得金額や税額が自動計算され、所得税、個人の消費税、贈与税の申告書や青色申告決算書などを作成することができます。
 また、作成したデータはそのまま当コーナーからe-Taxを利用して送信することができる(贈与税を除きます。)ほか、必要に応じて印刷して税務署に郵送等で提出することができます。
 平成14年分の確定申告期に導入して以来、利用者数は年々増加しており、平成21年分の確定申告期においては、「確定申告書等作成コーナー」で作成された所得税の申告書の提出人員は、相談会場に設置されたパソコンを通して作成されたものを含めて730万件と、全提出人員の30.8%以上を占めています。このうちの約65%程度がe-Taxにより提出されているところです。
 このコーナーが更に使いやすいものとなるよう、引き続き、利用者からの要望に基づいた改善を行い、より多くの納税者に利用していただけるようにしていきます。

確定申告書等作成コーナーで作成された所得税の申告書の提出人員の推移のグラフ