最近の税務行政を取り巻く環境は、少子・高齢化の進展や経済のグローバル化・IT化により大きく変化しています。このような環境の中で、適正・公平な課税及び徴収の実現に向けて、国税庁に与えられた使命を着実に果たすため、限られた人的・物的資源を最大限活用していくとともに、我々税務職員一人一人が高いモラルを維持し、一般の納税者の方々には親切かつ丁寧な態度で接する一方、悪質な納税者に対しては厳正な姿勢で臨むことにより、税務行政への理解と信頼を得ていく必要があると考えています。

 こうした考えの下、国税庁に与えられた人的・物的資源を効果的に活用するため、e-Tax(国税電子申告・納税システム)をはじめとしたIT化や、これまで税務署内の複数の部署で税目別に行っていた同種の事務を統合して一体的に処理する「内部事務一元化」の取組など、組織の事務の効率化を進めています。
 特に、e-Taxについては、納税者利便の向上や事務の効率化に資するものであることから、その普及拡大を国税庁における最重要課題の一つとして積極的に取り組んでいるところです。

 また、調査や査察を効果的・効率的に実施するため、幅広く情報を収集し、事案に応じた調査体制を整えるとともに、課税処分を行うに当たっては、課税処理の透明性・統一性を確保するため、事実認定と法令の解釈・適用を的確に行うこととしています。
 さらに、確実に税金を徴収するため、期限内収納に向けた各種施策を推進して滞納の未然防止に努めるとともに、大口・悪質滞納事案への厳正な対応や消費税滞納事案の確実な処理などにより滞納の整理促進を図っています。また、滞納整理に当たっては、納税者の実情を踏まえながら、法令に基づき適切に対応しています。

 この「国税庁レポート2010」は、我々が抱えている課題と取組・その実績を納税者に分かりやすく説明するという編集方針の下に作成したものです。

 この「国税庁レポート2010」が我々の活動に対するご理解を深める一助になれば幸いです。

平成22年(2010年)6月

国税庁長官 加藤 治彦