納税者に、自発的かつ適正に申告・納税していただくためには、納税の義務を理解していただくことが何よりも重要です。また、税に関する情報を提供したり、税に関する疑問に回答することも大切です。
このため、「納税者が知りたい情報をいつでも必要なときに税務署に行かなくても入手できること」、「広報の内容が納税者の視点に立った分かりやすい表現であること」、「納税者の意見を広く求め、事務運営の改善に反映させていくこと」といった基本的な考え方に基づいて、広報などを実施しています。
具体的な広報活動としては、国税庁ホームページ(平成20年度アクセス件数104,074千件)を中心に、テレビ、新聞などのマスメディア、税務署や市区町村に用意したパンフレットなどの各種広報媒体や各種の説明会を通じて、租税の意義や役割、税の仕組みなどの様々な情報を提供しています。
また、国税庁では、税に関する一般的な質問・相談について、電話などで回答するほか、一般的な税法の解釈・取扱いについても国税庁ホームページ等を通じて情報提供しています。更に、納税者が実際に行う取引に係る税法上の適用が不明な場合には、事前照会に応じるなど、納税者が適正な申告等を行えるよう取り組んでいます。

(1) ホームページによる情報提供など

 国税庁ホームページは、次の機能を有しており、誰もが容易に利用できるよう、検索機能や案内機能の向上を図るとともに、文字拡大・音声読み上げ機能など視覚に障害のある方や高齢者の方の利便性にも配意しています。

  • 1 税情報の提供
  • 2 ITを活用した申告・納税手続の窓口(e-Taxや確定申告書等作成コーナー)
  • 3 税務行政に対する意見・要望の窓口

 国税庁ホームページにより提供されている情報は、以下のようなものがあります。

  •  〇 税法、法令解釈通達、税に関する質疑応答事例、事前照会に対する文書回答事例
  •  〇 税情報や国税庁の取組
  •  〇 相続税などの課税における土地などの評価額の基準となる路線価や評価倍率
  •  〇 国税局や税務署が実施する公売の情報 など

[国税庁ホームページの概要] ※ 掲載画像は平成21年6月現在のものです。

国税庁ホームページの概要画像

(2) 租税教育

国税庁では、次代を担う児童・生徒が、民主主義の根幹である租税の意義や役割を正しく理解し、社会の構成員として税金を納め、その使い道に関心を持ち、さらには納税者として社会や国の在り方を主体的に考えるという自覚を育てることを目的に、租税教育の充実に向けた支援を行っています。
租税教育は、社会全体で取り組むべきものとの考えの下、学校教育の場においては、各都道府県に設置した、国、地方公共団体、教育関係者などからなる租税教育推進協議会を中心に、広く関係民間団体の協力を得て、租税教室の開催や租税教育用副教材の作成・配付、作文募集などを行っています。
また、児童・生徒が自ら税に関する課題を見つけ、学び、考え、主体的に判断し、問題を解決する資質や能力を育てる場として、東京上野税務署内に租税教育専用の施設「タックス☆スペースUENO」を設置しています。税務署見学や税の学習を希望する全国の児童・生徒をはじめ、大学生・社会人など多くの方々にご利用いただいております。

[租税史料室による税知識の普及活動]

税務大学校和光校舎にある租税史料室では、日本の税に関する歴史的資料を展示した唯一の専門施設として数多くの貴重な所蔵史料を公開し、租税史研究に携わる専門家のみならず、中高生から社会人まで広く一般の方々にもご利用いただいております。
また、専門のスタッフが、所蔵史料の歴史的考察や過去の租税制度の研究も行っております。なお、所蔵史料の解説など、詳しくは、国税庁ホームページ税務大学校コーナーhttp://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/index.htmをご覧ください。

(3) 説明会

国税庁は、税に関する手続や税制改正の内容などについて、納税者に理解を深めていただくため、全国の税務署において説明会を開催しています。
具体的には、申告に必要な記帳や帳簿などの保存の必要性や、申告書や決算書の作成方法などを指導するための説明会、源泉徴収義務者を対象とした年末調整説明会、改正税法に関する説明会、新設法人のための説明会など、税に関する情報提供を行うための様々な説明会を開催しています。

各種説明会の開催回数・参加人員
(平成19事務年度)
各種説明会
開催回数 31,104回
参加人員 1,491千人

(4) 税務相談

税務相談は、納税者が自ら正しい申告と納税が行えるよう、税に関する情報を提供したり、税務一般に関する質問に答えるもので、納税者サービスの一環として行われています。国税庁は、納税者の税に関する質問・相談に答えるため、税に関する一般的な質問や相談を、国税局ごとに設置した電話相談センターで集中的に受け付けています。電話相談センターでは、税務全般について経験豊かな税務相談官が、原則として税目別に対応しており、東京、名古屋、大阪の各国税局には、外国人のための英語による税務相談に対応する税務相談官も配置しています。
また、税に関するよくある質問など定型的な情報をタックスアンサーとしてインターネットなどで提供しています。
一方、電話では対応が難しい複雑で詳細な事実確認が必要な税務相談など面接相談が必要な場合には、所轄税務署において予約制で受け付けることにより、税務署における待ち時間の解消を図るなど、相談内容に応じた効果的・効率的な運営に努めています。

税務相談室における税務相談の状況 インターネット31,993千件、電話、面接4,877千件、その他99千件

(5) 事前照会

納税者が実際に行う取引などについての税法の適用が不明な場合は、税務署や国税局で事前照会に応じています。このうち、文書による回答を求める旨の申出があったときには、同様の取引についての税法上の取扱いが明らかになっていないなど一定の要件を満たす場合に、文書による回答を行っています。更に、他の納税者にも役立つよう、その照会、回答の内容などを国税庁ホームページで公表しています。平成20年度の文書による回答を求める照会件数は、118件となっています。
なお、文書回答手続の対象となる取引について、従来「実際に行われた又は確実に行われる取引」としていましたが、納税者の将来の取引についても、税法の適用をあらかじめ明らかにするため、平成20年4月から「実際に行われた取引又は将来行う予定の取引で個別具体的な資料の提出が可能なもの」としました。併せて、照会者名などの照会者を特定する情報を原則非公表とするなど、納税者が利用しやすいように手続などを改正しました。