国税庁では、申告納税制度が円滑に機能するように、e-Taxや国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」などITを活用した申告・納税を推進することにより、納税者の利便性の向上を図っています。

(1) e-Tax

 e-Taxは、これまで書面で行われていた所得税、法人税、消費税などの申告や法定調書の提出、青色申告の承認申請、納税地の異動届出などについて、インターネットを通じて手続が行えるものです。
 また、納税についても、全税目についてペイジー(Pay-easy)1対応のインターネットバンキングやATMなどを利用して行うことができます。
 納税者や税理士は、e-Taxを利用することにより、税務署や金融機関の窓口に赴くことなく、自宅やオフィスあるいは税理士事務所から申告や納税などの手続を行うことが可能となり、さらに、e-Taxに対応した税務・会計ソフトウェアを利用すると、会計処理や申告などのデータ作成から提出までの一連の作業を電子的に行えるため、事務の省力化やペーパーレス化につながります。
 国税庁においては、「行動計画」に盛り込んだ普及のための各種施策を強力に推し進めてきました。
 平成20年1月からの主な取組として、個人が、平成19年分又は平成20年分のいずれかの所得税について、e-Taxを利用して確定申告書の提出を行う場合、納税者本人の電子署名及び電子証明書を付して、提出期間内2に送信したときは、その年分の所得税の額から5,000円(その年分の所得税額を限度とします。)の控除を受けることができるようになりました。
 また、医療費の領収書や給与所得の源泉徴収票など一定の第三者作成の添付書類については、その第三者作成書類に記載されている事項を入力して確定申告書と併せて送信することにより、これらの書類の提出又は提示を省略することができる3ようにするなど、納税者の利便性の向上を図りました。
 さらに、e-Taxを利用するためには、事前に、「電子申告等開始届出書」を提出し、利用者識別番号を取得する必要がありますが、開始届出書をオンラインで提出された方には、利用者識別番号をオンラインで発行することとし、手続の迅速化・簡素化を図ったほか、平成19年分の確定申告では、確定申告書等作成コーナーによる申告書の作成に加え、e-Taxの利便性も体験できるパソコンを税務署に設置し、来署納税者に実際に操作していただき、e-Taxの利便性を体験してもらうことで、翌年以降ご自宅などのパソコンからe-Taxを利用してもらうことを目的とした施策を導入したところです。
 このほか、e-Taxの利用が集中する所得税の確定申告期については、24時間受付(通常期は、21時まで)を前年より前倒しして実施しました。
 これまで、多くの納税者や税理士から、e-Taxの利用に関するアンケートなどを通じて、さまざまなご意見やご要望をいただいており、今後、より一層の納税者の利便性の向上を図るため、利用者の視点に立った機能や運用の改善に取り組み、多くの納税者や税理士に利用していただけるシステムにしていきます。
e-Taxの図


  1. 1 「ペイジー」とは、これまで金融機関やコンビニエンスストアの窓口で支払っていた公共料金などを、金融機関のインターネットバンキングやATMから支払うことができるサービスをいいます。
  2. 2 平成19年分は平成20年1月4日から3月17日、平成20年分は、平成21年1月5日から3月16日となります。
  3. 3 入力内容を確認するため、必要があるときは、法定申告期限から3年間、税務署からこれらの書類の原本の提出又は提示を求められることがあります。

e-Taxを利用した申告などの件数の推移のグラフ

(2) 確定申告書等作成コーナー

 確定申告書等作成コーナーは、パソコンの画面上に示された手順に従って入力すれば、所得金額や税額などが自動計算され、所得税、個人の消費税、贈与税の申告書や青色申告決算書などを作成することができます。
 さらに、e-Tax用の申告データも作成でき、作成したデータを当コーナーから直接e-Taxを利用して電子申告することができます(贈与税を除きます。)。
 また、プリンターを使って申告書などを印刷すると、そのまま郵送などにより提出することもできます。
 平成14年分の確定申告期に導入して以来、利用件数は年々増加しており、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーで作成された申告書の提出件数は、平成19年分の確定申告期では、e-Taxにより提出されたものを含め、約205万件となっています。さらに、税務署などの相談会場に来られた方に翌年以降、相談会場に赴くことなく、ご自宅などのパソコンを利用して申告していただけるよう、相談会場にこのコーナーによる申告書の作成に加え、e-Taxの利便性を体験できるパソコンを設置し、できるだけ多くの方に利用していただけるよう努めた結果、これを利用して作成された申告書の提出件数は283万件となっています。
 このコーナーは、自宅での申告書作成の促進やe-Taxのより一層の普及拡大にもつながるものと考えています。
 このコーナーがさらに使いやすいものとなるよう、引き続き、利用者からの要望に基づいた改善を行い、より多くの納税者に利用していただけるようにしていきます。
確定申告書等作成コーナーで作成された申告書の提出件数の推移のグラフ