6 税理士の役割

申告納税制度が円滑に機能する上で、税理士制度が重要な役割を果たしています。
税理士は、納税義務者を援助することなどをその職務とする、税務に関する職業的専門家であり、「税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図る」という公共的な使命を担うことが税理士法において規定されています。平成19年3月末で、全国で70,068人の税理士が登録を受け、また1,332の税理士法人が設立されています。
納税者にとって、税理士に申告書の作成を依頼したり、税理士の専門的な助言に基づいて申告を行ったりするなど、税理士が提供するサービスを利用することにより、納税義務を適正に実現することが可能であり、申告者数が大幅に増加するなどの状況の変化の中で、税理士の役割はますます重要になっています。
また、法人企業や個人事業者では、帳簿の作成や決算などの会計業務についても税理士に依頼したり、助言を受けるケースが多く、税理士は申告の基礎となる正しい記帳の推進においても重要な役割を果たしています。
このような税理士となるためには一定の資格要件が必要であり、1税務代理、2税務書類の作成、3税務相談の各業務は、たとえ無償であっても税理士でない者は行ってはならないこととされており、同時に、税理士に対しては種々の義務と責任が課されています。
国税庁は、各税理士会や日本税理士会連合会とも緊密な協力を行いながら、税理士の業務が適正に運営され、税理士制度に対する国民の信頼が確保されるよう図っています。


(1) 書面添付制度の推進

平成13年5月の税理士法改正(平成14年4月1日施行)により、税理士からの意見聴取制度が拡充され、新書面添付制度が導入されました。この制度は、税理士が申告書の作成に関して果たした具体的な役割を明確にすることができるとともに、国税庁としてもそれを尊重しようとするものです。具体的には、税理士が、申告書の作成に関し、計算し、整理し又は相談に応じた事項を記載した書面を申告書に添付することができるようにするとともに、この書面が添付されている申告書を提出した納税者について税務調査をしようとする場合には、その通知前に、税務代理権限証書を提出している税理士に対し、添付された書面に記載された事項に関して意見を述べる機会を与えなければならないというものです。
この制度は、正確な申告書の作成・提出や信頼される税理士制度の確立に結びつくものであり、ひいては税務行政の円滑化が図られますので、国税庁は、この制度を尊重し、推進することとしています。


(2) 電子申告などの利用促進

税務・会計分野のIT化が進む中、税理士においても、e-Taxやその他のITを活用しつつ、納税者に対して、より良く便利な税務・会計サービスを提供することについての期待が高まっており、日本税理士会連合会においては、平成18年3月に決定した国税関係手続の「オンライン利用促進のための行動計画」(平成19年3月改定)に基づき、自主的な目標を掲げて、税理士のe-Tax利用の推進に取り組んでいます。
国税庁も、税理士によるe-Tax利用の普及拡大を重視しており、平成19年1月から、税理士が納税者の依頼を受けて税務書類を作成し、電子申告などを行う場合の納税者本人の電子署名の省略を可能とするとともに、各税理士会と協力して、電子申告などの説明会の開催や講師派遣を行っています。


(3) 税理士などに対する的確な指導監督

 税理士制度に対する国民の信頼を確保するため、国税庁は、税理士に対する指導監督を行っており、これを円滑に実行するため、税理士会などとの間で協議会を設けています。このような場も含め、あらゆる機会を活用して注意喚起を行い、税理士の非行の未然防止を図るとともに、各種情報などの収集を行い、税理士法に基づく調査を的確に実施するなど、税理士法に違反する行為をしている税理士などに対しては厳正に対処しています。

税理士会と日本税理士会連合会

税理士会は、税理士と税理士法人の義務の遵守、税理士業務の改善進歩に資するために、税理士会の支部と会員の指導、連絡や監督を行うことを目的とする、税理士法に定められた団体で、現在、全国に15の税理士会があり、税理士と税理士法人は、その事務所の所在地を管轄する税理士会の会員になっています。
各税理士会では、1会員の資質の向上、業務の改善・進歩に資するための研修、2小・中・高校での租税教室への講師派遣を通じた社会貢献、3小規模納税者などに対する無料税務相談など、幅広い活動を行っています。
また、日本税理士会連合会は、税理士会を会員とする、税理士法に定められた全国で一の団体であり、税理士会とその会員に対する指導、連絡や監督に関する事務のほか、税理士の登録に関する事務を行っています。
日本税理士会連合会では、これらの事務に関して必要な事項について、税理士会とその会員に対して指示したり、税理士に関する制度についての調査研究などの活動を行っています。詳しくは、日本税理士会連合会のホームページhttp://www.nichizeiren.or.jpをご覧ください。

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