<税務行政を取り巻く環境の変化>
 現在我が国は、かつてない速さで少子・高齢化が進んでいます。貯蓄率が著しく低下するとともに、労働力人口の減少が見込まれるなど、いわゆる「右肩上がり経済」が終焉を迎え、このような動きを背景に現在、さらなる行財政改革の要請が強まっています。また、このような社会を支えるための税制の見直しも進行しています。さらに、働き方や家族のかたちの多様化など、企業や家族のあり様が大きく変化する中、経済活動については、IT化が著しく進展し、アジア諸国の経済発展や経済のグローバル化により、個人や企業の国境を越えた活動が広がりを見せ、会計基準の国際的相互浸透も進んでいます。
 経済社会のこのような動きを背景に、税務行政を取り巻く環境は大きく変化しています。消費税の事業者免税点の引下げや年金課税の見直しなどの税制改正が行われたこともあり、確定申告書の提出件数が著しく増加し、それらを処理するための税務署の事務が増加しています。また、経済社会のIT化・グローバル化が著しく進展し、租税回避の手口がますます巧妙になってきているため、税務調査や徴収の事案は従来に増して複雑かつ困難なものになってきています。このように税務行政を取り巻く環境は、質量ともに厳しさが増してきています。

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