3 e-Tax等のIT化への取組

 国税庁では、申告納税制度が円滑に機能するように、国税電子申告・納税システム(e-Tax)や国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」などITを活用した申告・納税を推進することにより、納税者の負担の軽減に努めています。
また、税務行政の簡素化・効率化、税務調査・滞納整理の一層の充実のため、ITの活用と併せ、IT化に対応した事務の見直しや事務のアウトソーシング化を推進することにより、国税関係業務・システムの最適化を図ることとしています。


(1) ITを活用した納税者利便の向上

1 e-Tax
 e-Taxは、これまで書面で行われていた所得税や法人税などの申告や青色申告の承認申請、納税地の異動届出等の申請・届出等手続について、インターネットを通じて手続が行えるものです。また、納税については、税務署や金融機関の窓口で行うこととなっていましたが、e-Taxでは、ペイジー(Pay-easy)1対応のATMやインターネットバンキングなどを利用して納税が行えるようになりました。
 納税者は、e-Taxを利用することにより、税務署や金融機関の窓口に赴くことなく自宅やオフィスから申告や納税などの手続を行うことが可能であり、さらにe-Taxに対応した財務会計ソフトを利用すると、会計処理や申告等データの作成から提出までの一連の作業を電子的に行えるため事務の省力化やペーパーレス化につながります。
 平成18年1月からは、e-Taxの利用開始届出手続をオンラインで行えるようにするとともに、開始届出書を提出する際に添付していただいていた本人確認書類を不要としました。
 また、e-Taxの利用が集中する所得税の確定申告期間中は、受付時間を23時まで(通常期は21時まで)拡大し、さらに土・日曜日も受付を行うこととしました。
 これまで、多くの納税者からe-Taxの利用に関するアンケート等を通じて、さまざまなご意見・ご要望をいただいており、今後、利用者利便の向上を図るため、国税関係手続の「オンライン利用促進のための行動計画」(平成18年3月公表)2に基づき、第三者作成の添付書類のオンライン化、e-Taxソフトのダウンロード方式による配付、早期還付によるインセンティブ措置、確定申告期における24時間受付、さらに一部電子署名の省略などの機能及び運用の改善に取り組み、公的個人認証サービスなど認証基盤の普及拡大に併せ、より多くの納税者に利用していただけるシステムにしていきたいと考えています。


  1. 1 ペイジーとは、これまで金融機関やコンビニの窓口で支払っていた公共料金等を、金融機関のATMやインターネットバンキングから支払うことができる決済サービスをいいます。
  2. 2 「オンライン利用促進のための行動計画」は、「今後の行政改革の方針」(平成16年12月24日閣議決定)、「IT政策パッケージ2005」(平成17年2月24日IT戦略本部決定)等により、年間申請件数10万件以上の手続等をオンライン利用促進対象手続として、行動計画を策定し、公表したものです。

●e-Taxを利用した申告等件数の推移

e-Taxを利用した申告等件数の推移のグラフ
 (注) 15年度は、16年2月〜3月の合計です。

2 確定申告書等作成コーナー
 確定申告書等作成コーナーは、パソコンの画面上に示された手順に従って入力すれば、所得金額や税額が自動的に計算され、申告書等が容易に作成できます。パソコンに接続したプリンタで印刷すると、申告書等としてそのまま税務署に提出できます。
 なお、作成した申告書等は郵送等により提出することができますし、また、作成した申告書等データをe-Taxに引き継いで電子申告をすることもできます。
 平成14年分の確定申告期に導入して以来、アクセス件数は年々増加しており、平成17年分の確定申告期では、約1,459万件となりました。
 このシステムは、自宅での申告書作成の促進やe-Taxのより一層の普及拡大にもつながるものと考えられます。
 確定申告書等作成コーナーがさらに使いやすいものとなるよう、引き続き、利用者からの要望に基づいた改善を行い、より多くの納税者に利用していただけるシステムにしていきたいと考えています。

●確定申告書等作成コーナーのアクセス件数
(平成14年分〜平成17年分までの推移)

確定申告書等作成コーナーのアクセス件数のグラフ

3 タッチパネル
 税務署に設置しているタッチパネル方式による自動申告書作成機は、銀行のATMのように画面上の表示に従ってパネルに触れていけば、簡単に申告書が作成できるものです。


(2) 国税関係業務・システムの見直し

 国民の利便性の向上と行政運営の簡素化、効率化、信頼性及び透明性の向上を図るため、政府全体の取組として、平成15年7月に「電子政府構築計画」が決定されました。これは、IT化の一層の推進により効率化を図る観点から、システムに関連する業務の見直しを行うとともに各システムを見直し、業務・システムの双方の最適化を図るものです。
 国税庁においても、これに基づき、1業務を的確に実施するための事務処理の簡素化・効率化、2IT活用による納税者利便性の向上等、3IT活用による調査・滞納整理に関するシステムの高度化、4システムの安定性・信頼性及び情報セキュリティの確保及び5システム関係経費の削減及び調達の透明性の確保を図ることを基本理念として、平成18年3月に「国税関係業務の業務・システム最適化計画」を策定・公表しました。具体的には、内部事務の一元化、事務の簡素化、事務の集中化、アウトソーシング化の推進、e-Taxの機能・運用の改善、納税者窓口関係事務の一本化(ワンストップサービス)の推進、段階的なオープンシステム化の推進などを行うこととしています。
 これにより、行政運営の簡素化、業務効率の向上を図るとともに、適正かつ公平な賦課及び徴収の実現という国税庁の任務を的確に果たすため、税務調査や滞納整理の一層の充実を図り、納税者のコンプライアンス向上を目指すこととしています。

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