主要な取組事項

 国税庁では、経済社会の国際化・高度情報化の急速な進展、消費税事業者の免税点引下げや年金課税制度の見直しに伴う申告者の増加などに対応するため、さまざまな取組を行っています。
 平成17年度においては、特に、国際化への対応、電子申告等ITを利用した申告・納税の推進や改正消費税法の定着に向けた取組を行いました。


1 国際化への対応

  1. (1) 国際的租税回避等への対応
     各国の税制の差異や租税条約の違いを巧みに利用して税負担を免れる国際的租税回避スキームが問題となっています。また、国際的な二重課税の問題に対応する必要性が高まっています。
     このような問題に対処するため、国税庁では各国の税務当局とともに国際取引に関する共通の課税ルールの整備に取り組んでいます。また、我が国は、現在、45の租税条約を締結しており、そのうち、44の租税条約に情報交換規定を盛り込んでいます。情報交換の重要性は近年ますます高まっており、我が国もその推進に向けて積極的に取り組んでいます。
     具体的には、制度面では、我が国に課税利益がない場合にも相手国の要請に対応するための質問検査権を平成15年度に創設しました。さらに、平成18年度においては、犯則調査目的の情報提供要請に対応するための情報収集手続を整備しました。これらにより、租税条約の相手国からの情報提供要請に我が国がより円滑に対応できることになり、相手国からも積極的な協力を得ることができる環境が整いました。
     体制面でも、平成17年7月から国税庁国際業務課に情報交換専担チームを設置し、相手国との協力の緊密化や対応の迅速化を図っています。
     このような施策を踏まえ、国税庁は、あらゆる機会を通じて国際取引の実態把握に努め、課税上問題があると認められる場合には、綿密な税務調査を行い、厳正に対処しています。
  2. (2) 開発途上国に対する技術協力
     開発途上国における税制及び税務行政を改善・向上させることは、財政基盤の改善を通じてこれらの国の経済発展に貢献することとなります。また、課税ルールについて開発途上国と我が国の税務当局が共通の認識を持つことにより、国際的な課税問題の発生が未然に防止されること、相互協議などが迅速に進展することなどが期待できます。こうしたことから、国税庁は、開発途上国に対する技術協力について積極的に取り組んでいます。最近においては、昭和43年以来実施している国際税務行政セミナー(ISTAX)に加えて、近隣のアジア諸国については、個別に研修を実施するなど、各国の現状や課題に対応したきめ細やかな協力を行っています。

2 電子申告等ITを利用した申告・納税の推進

 国税庁では、申告・納税の際の納税者の負担を軽減するため、国税電子申告・納税システム(e-Tax)や国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」など、情報通信技術(IT)の活用を推進しています。

  1. (1) e-Tax
     e-Taxは、所得税や法人税などの申告、全税目の納税及び各種申請・届出など国税に関する手続について、インターネット等を利用して電子的に手続を行うことができるシステムです。平成18年1月からは、e-Taxの利用開始届出手続をオンラインでも行えるように改善しました。
     今後、e-Taxのより一層の普及拡大に向けて、幅広い広報・周知に努めるとともに、利用者の視点に立った機能や運用の改善を図り、さらなる利用者利便の向上に努めます。
  2. (2) 確定申告書等作成コーナー
     確定申告書等作成コーナーは、国税庁ホームページで、申告書や決算書等を作成できるシステムです。平成17年分の確定申告期には、納税者から寄せられたご意見やご要望を受けて、カラープリンタのほか、モノクロプリンタにより出力した確定申告書等でもそのまま税務署に提出できるように改善しました。また、ご自宅等にパソコンがない方でも税務署でご利用いただけるよう機器の整備を行いました。

3 改正消費税法の定着に向けた取組

 消費税法の改正により、平成17年分の確定申告期は新たに課税事業者となる方が大幅に増加すると見込まれたことから、国税庁では、この対応を平成17年度の最重点課題の一つと位置付け、制度の円滑な定着に向けて広報、相談、指導といった各種施策を重層的に実施しました。
 具体的には、改正直後から、新たに課税事業者となる方々に、まずは消費税法の改正内容を知っていただくとともに、記帳や書類の保存を適正に行っていただけるよう、各種媒体を活用した広報、説明会の開催などを行ってきました。さらに、平成17年度においては、申告と納税を適正に行っていただけるよう、確定申告説明会の開催、納税資金の積立や振替納税の利用勧奨など、各種施策のきめ細やかな実施に努めてきました。
 これらの取組により、新規課税事業者として見込んだ122万人のうち96%超の方が申告を行うなど、平成17年分の確定申告期はおおむね順調に終了することができました。
 なお、平成17年分全体でみると、消費税にかかる個人事業者の申告件数については約158万件、法人の申告件数については約202万件1となっており、これらを平成16年分の申告件数と比較すると、個人事業者は約116万件、法人は約49万件増加しています。

●個人事業者及び法人の消費税の申告件数

個人事業者及び法人の消費税の申告件数のグラフ


  1. 1 法人の対象期間は、3月決算〜翌年2月決算で集計しています(平成17年分の件数については、平成18年5月30日現在の速報値)。

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