コラム32 子育てと仕事の両立に関する支援策

 国税庁では、平成15年(2003年)7月に制定された「次世代育成支援対策推進法」の基本理念に基づき、子育てと仕事の両立の推進という視点に立った職場環境を整備するため、「国税庁特定事業主行動計画」を策定し、平成17年(2005年)2月10日に公表(国税庁ホームページ)、4月1日よりスタートしたところです。
 我が国は、先進国の中でも少子化の速度がとりわけ早く、労働力人口も平成17年をピークに減少することが予想されています。一方で、高齢化の進展によりピーク時には国民の約3人に1人が65歳以上の高齢者という本格的な高齢社会の到達が見込まれています。したがって、今後、我が国においては、男女を問わず生涯を通じてできるだけ長期にわたり社会に出て働くことが必要となります。とりわけ、30歳代前後の女性労働力率が他の先進国と比べ特に低いことを踏まえれば、今後、我が国の経済・社会活力を維持していくためには、女性が安心して子どもを産み、子育てと仕事の両立を実現できる環境整備を更に図る必要があります。
 国税庁の職員約5万6,000人のうち約13%は女性職員であり、また、平成16年度(2004年度)における女性の新規採用職員の割合は約3割を占めており、国税庁における女性職員の在職割合は年々増加しています。こうした中、国税庁の中で子育てと仕事が両立できる職場環境を整備することは、国全体として男女共同参画社会を実現していく上で、大きな影響を与えるものと考えられます。
 したがって、「国税庁特定事業主行動計画」の実効性ある推進は国税庁としての社会的責務であるとの認識のもと着実な実施に努めていきたいと考えています。

コラム33 税務行政を取り巻く環境の変化と国税庁の対応について

税務行政を取り巻く環境の変化と国税庁の対応についての図

納税環境の整備 内部事務(総務関係事務を含む)の基本的見直し 調査・徴収事務の基本的見直し 国税職員の職場環境の整備
○基本的視点
申告者数の増加に対応した申告納税制度の趣旨に沿った納税者サービスの再構築
○基本的視点
適切な事務運営の確保に配意しながら、IT化に対応した事務の見直しや、職員以外でも実施可能な事務のアウトソーシング化の徹底等により効率化、スリム化を促進
○基本的視点
納税者のコンプライアンス維持・向上のため、調査・徴収体系の基本的見直し等により、更に効果的、効率的に調査・徴収事務を実施
○基本的視点
職員が意欲と希望を持って職務に精励できる職場環境づくり
(1)情報提供のIT化の推進
国税庁HPやタックスアンサーの充実、メールマガジンの活用
(2)申告手段の多様化、IT化の推進
e-Taxの導入、HPの確定申告書等作成コーナーの充実
(3)確定申告期の対応
1申告相談の日曜日(2日間)実施(閉庁日対応)
2申告相談における自書申告の一層の推進
(4)税務相談体制の効率化に向けた検討
税務相談のあり方に関し、税理士との関係も含め、対応すべき相談の範囲や体制について整理、見直し
(1)内部事務の効率化等
内部事務の一元化・集中化の試行による内部事務の効率化策の検討
(2)総務関係事務の効率化等
会計、厚生、給与等関係事務のIT化、局集中化、アウトソーシング化の推進
(1)調査・徴収事務の充実
局署の役割分担等を踏まえた調査・徴収体系の基本的見直しの検討
(2)公共的使命を有する税理士の役割
新書面添付制度の育成等
(3)先端分野等に対する対応
1国際的租税回避スキームへの対応等の国際課税の充実 企業活動等の高度情報化への的確な対応
2連結納税制度への的確な対応
3納税者の予測可能性の確保
・事前照会に対する対応の充実
・移転価格課税に関するAPA(事前確認制度)の活用
(1)男女共同参画社会実現のための取組み
1女性職員の能力適性を生かせる人事政策の推進
2子育てと仕事の両立の観点から「国税庁特定事業主行動計画」の推進
(2)若手職員に対する指導育成策の充実
(3)取り巻く環境の変化に対応した研修制度の見直し
(4)執務環境の整備(狭あい庁舎の増築、喫煙室の整備等)
(5)税務大学校の研究機能の強化

 諸施策の推進のために、限られた定員の最適配分 定量的効果を踏まえた予算配分 適材適所の人事配置に更に努める。また、政府全体の取組みとして「業務・システムの最適化計画」の策定(平成18年3月)
 KSK(国税総合管理)システムのリプレース(平成22年度目途)に向け計画を実現

コラム34 システムコストの削減と透明性の確保

 国税庁においては、経済取引の複雑化・広域化、情報化など税務行政を取り巻く環境の変化に対応するとともに電子申告や電子納税等の税務行政のIT化を支える情報通信基盤として国税総合管理システム(KSKシステム)を導入しています。
 KSKシステムは、平成15年(2003年)7月に政府全体の取組みとして決定された「電子政府構築計画」の中で「レガシー(旧式)システム」と位置付けられ、コストの削減、調達の透明性の確保等の観点から見直しを行うこととなりました。
 国税庁では、平成16年(2004年)4月までに外部専門家による刷新可能性調査を実施するとともに、この調査結果を踏まえ、1システムの効率性・経済性、2システムの安定性・信頼性の確保、3セキュリティの確保、4調達の透明性の確保に向けた取組みを実施することとし、その取組みとして、プロジェクトマネジメント業者の導入、一般競争入札の拡大、オープンシステム化の推進、KSK端末機やOCR機器の汎用製品化、外部と接続しないネットワーク構成によるセキュリティの確保など、さまざまな取組みを行っています。

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