1 職員の採用

 国税庁は、毎年4月に欠員等に応じて新規職員を採用しており、その事務職員の採用は、次のようになっている。

  1. (1) 国家公務員採用1種試験による採用

     主として大学卒業者を対象として、人事院(国家公務員の人事行政に関する事務を行う目的で内閣の所轄の下に置かれた機関)が行う国家公務員採用1種試験に合格した者のうちから数名の職員を採用している。

     平成15年(2003年)度の採用者は、8人(うち女性2人)である。

  2. (2) 国税専門官採用試験による採用

     主として大学卒業者を対象として、人事院が行う国税専門官採用試験に合格した者のうちから採用している。

     平成15年(2003年)度の採用者は、580人(うち女性150人)である。

  3. (3) 国家公務員採用3種(税務)試験による採用

     主として高校卒業者を対象として、人事院が行う国家公務員採用3種(税務)試験に合格した者のうちから採用している。

     平成15年(2003年)度の採用者は、359人(うち女性179人)である。

2 職員の構成

 国税庁に勤務する事務職員の数は、平成14年(2002年)10月1日現在で5万4,585人であるが、その男女別構成は、

男性
4万7,540人
(87.1%)
女性
7,045人
(12.9%)
5万4,585人
(100.0%)

 となっている。

  これらの職員の年齢別構成をみると、

29歳以下
7,459人
(13.6%)
30〜34歳
1万004人
(18.3%)
35〜39歳
9,208人
(16.9%)
40〜44歳
8,307人
(15.2%)
45〜49歳
8,105人
(14.9%)
50〜54歳
7,188人
(13.2%)
55歳以上
4,314人
(7.9%)
5万4,585人
(100.0%)

 となっている。

3 職員の研修

 国税庁では、税務職員として高度な専門的知識を要求されることから、新規採用者に対する研修をはじめとして各種研修を実施し、職員の資質の向上に力を入れている。

 研修の実施機関として、税務大学校を置き、本校のほかに全国に12の地方研修所を設置している。

  1. (1) 税務大学校における研修(表39参照

     税務大学校には、本校に部内教授及び教育官を、地方研修所に教育官を配置するとともに、部外の一般大学等からも多数の講師を招いて次のような研修を実施している。

    1. イ 国家公務員採用3種(税務)試験採用者等に対する研修
      1. (イ) 普通科

         国家公務員採用3種(税務)試験による新規採用者に対して、採用直後から1年1か月間、全寮制により地方研修所において実施している。

         研修科目は、1社会人としての教養を培うための法律・経済等の基礎科目及び教養科目、2税務の執行に必要な知識・技能を修得させるための税法・簿記会計学等の専門科目、3社会人としての良識・公務員としての自覚を身に付けさせるための班別活動、4強じんな心身を育成するための体育・文化活動等である。

      2. (ロ) 初任者基礎研修

         普通科卒業後11か月の実務経験期間を経た職員に対して税務職員として必要な知識・技能を習得させるため、3か月間、地方研修所において実施する研修であり、個人課税、資産課税、法人課税及び管理・徴収の各専攻班に分かれている。

         研修科目は、専攻税法に重点をおいた税法等の専門科目を中心としている。

      3. (ハ) 本科

         税務職員として7年以上の経験年数を経た職員で部内の選抜試験に合格した者に対して1年間本校において実施する研修であり、個人課税、資産課税、法人課税、酒税及び管理・徴収の各専攻班に分かれている。

         研修科目は、税法・簿記会計学・財務諸表等の専門科目、法律・経済等の基礎科目を中心に、税務の中核となる職員として必要な教科目が組み込まれている。

    2. ロ 国税専門官採用試験採用者に対する研修
      1. (イ) 専門官基礎研修

         国税専門官採用試験による新規採用者に対し、採用直後に4か月間、本校において実施している。

         研修科目は、税務の執行に基本的に必要な知識・技能を習得させるための税法・簿記会計学等の専門科目を中心としている。

      2. (ロ) 専科

         専門官基礎研修修了後、実務経験を経た職員等に対して7か月間、本校において実施する研修であり、個人課税、資産課税、法人課税及び管理・徴収の各専攻班に分かれている。

         研修科目は、税法・簿記会計学・財務諸表論の専門科目に重点を置き、専門官職としてふさわしい素養を養うために必要な教科目が組み込まれている。

    3. ハ 国家公務員採用1種試験採用者に対する研修
      1. (イ) 1種基礎研修

         国家公務員採用1種試験による新規採用者に対して、採用直後に約1週間、本校において実施している。

         研修科目は、国税庁の組織と事務の概要に関する内容を中心としている。

      2. (ロ) 高等税務研修

         2年の実務経験を経た職員に対して、約1か月間、本校において実施している。

         研修科目は所得税法・消費税法・簿記会計・経営分析の専門科目を中心に実施している。

      3. (ハ) 税務理論研修

         3年間の実務経験を経た職員に対して、3か月間、本校において実施している。

         研修科目は、税務行政に関する高度の知識及び識見をかん養する観点から、税法に重点を置いている。

      4. (ニ) 通信研修税務会計

         2年の実務経験を経た職員に対して、通信形式で行う研修である。

         研修科目は簿記及び財務諸表論である。

    4. ニ その他の研修
      1. (イ) 研究科

         研究員として選定された者に対して、1年3か月間、本校において実施している。

         研究員は、高度な専門的理論・技能を習得するため、選定された特定のテーマについて自主研究を行い、その結果を研究論文として取りまとめている。

         研究活動に役立たせるため、研修生を大学又は大学院に派遣し、法律等の講義を聴講させている。

      2. (ロ) 国際租税セミナー

         社会経済の国際化に対応して、海外取引に関する課税の充実を図るため、国際租税法・国際課税調査法等の専門的知識・技能を習得させることを目的として、本校において次のとおり実施している。

        1. A 基礎コース

           税務職員として一定の経験年数を経た職員で部内の選抜試験に合格した者に対して、2か月間、実施している。

           研修科目は、国際実務や国際租税法等、国際課税に関する基礎的事項を中心としている。

        2. B 実務コース

           基礎コース(一般コースを含む)を修了した職員等の中から選定された者に対して、4か月間、実施しており、国際渉外要員育成コースと海外調査要員育成コースに分かれている。

           研修科目は、国際課税等に関する専門的知識を中心とする他、各コース毎に以下の科目に重点を置いている。

          1. (A) 国際渉外要員育成コース

             国際渉外能力の養成を主な目的として、英語及び国際課税制度等の専門的事項に重点を置いている。

          2. (B) 海外取引調査要員育成コース

             海外取引に関する高度な調査能力の養成を主な目的として、国際課税調査法及び国際取引実務の専門的事項に重点を置いている。

      3. (ハ) 短期研修

         国税局及び税務署の職員に対して、主として各事務系統別に比較的短期間実施する研修であり、本校短期研修と地方短期研修とに分けて、次のとおり実施している。

        1. A 本校短期研修

           主として国税局の職員に対して、専門事務を円滑かつ効率的に遂行し又は税務署の職員を指導していく上で要請される高度な知識・技能を習得させるために必要な研修を本校において実施している。

        2. B 地方短期研修

           原則として、経験年数別又は官職別の階層区分により、職員の能力、資質の向上を図る目的で、職務の遂行に必要な研修を地方研修所において実施している。

          1. (A) 経験年数別

             審理等の専門的能力の維持・向上を図ることを目的とした総合研修を、事務職員の経験年数に応じてI〜IV課程に分けて実施している。

          2. (B) 階層別

             税務署の新任統括国税調査(徴収)官等に管理者としての必要な知識・技能等を付与する監督者研修及び税務署の職員の官職に応じ、現に従事している事務について必要な専門知識・技能を習得させるための実務研修を実施している。

      4. (ニ) 通信研修

         国税庁・国税局及び税務署の職員に対して、職員の自学自習を助け、自らの研さんによって税務の執行に必要な知識を習得させるため、本校において会計学を、地方研修所において英語(1)・(2)をそれぞれ実施している。

  2. (2) 職場における研修

     (職場研修)

     税務を取り巻く環境の絶え間ない変化に十分対応するため、国税局、税務署及び署ブロック単位による各種の専門研修及び一般研修の一層の充実に努めている。

4 職員の任用

  職員の昇任、配置換等に当たっては、行政効率を最大限に発揮させるという観点から、いわゆる年功序列にとらわれることなく職員の能力、適性、勤務成績、職員の身上等を十分考慮し、適材を適所に配置するよう努めている。そのため、職員の身上及び職務遂行状況について記録し、職員個々の実情に即した適正な人事管理を行うための基礎資料の1つとして毎年1回、監督者による勤務評定を実施しているほか、職員の身上及び希望等を的確に把握する目的で、事前に職員自身が身上申告を行う制度を採用している。

5 職員の給与

 租税の賦課徴収事務等に従事している職員に対しては、法律の定めにより税務職俸給表が適用されている。

 この税務職俸給表は、職務の複雑困難さ及び責任の度合いに応じて11級から1級までの11段階に分かれ、税務大学校普通科を卒業した新任の職員は1級、税務署長クラスは通常11級から9級に格付けされているが、このようにそれぞれの級に対応する官職の範囲は、各級ごとの定数と併せて、人事院によって決定される。

 上位級への昇格に当たっては、当該職員の職務内容、経験年数及び在級年数のほか、その能力、勤務成績等の要素が重視される。

 なお、このほか勤務成績の特に良好な職員に対しては、特別昇給あるいは勤勉手当の高率支給を行うなど積極的なメリットシステムの活用にも配意している。

6 職員の服務規律

 服務規律については、国家公務員法及び人事院規則並びに国家公務員倫理法及び同倫理規程に規定が設けられている。

 職員の服務に関しては、服務規律に対する職員の自覚を高め、職務に係る倫理の保持を図り、綱紀の保持に努めるとともに、非行者に対しては、厳正な態度をもって臨んでいる。

 税務行政が国の行政の中で基幹的な重要性をもつため、国税庁においては、部内に監察官制度を設け、職員の非行の未然防止、早期発見と的確な処理に努め、税務行政に対する国民の信頼保持を図っている。

 国税庁監察官は現在120人おり、それぞれ国税庁長官によって任命され、そのほとんどが各国税局及び沖縄国税事務所に派遣されている。