国税庁では、税法の一般的な解釈や取扱いについて、法令解釈通達等を定めて公表するとともに、個別の取引等に対する税務上の取扱いについて納税者からの事前の相談に応じ、課税当局としての見解を明らかにしている。
 また、事前相談の中で、その相談者以外の多数の納税者にも関係すると認められるものについては、従来から一部文書による回答を行い、これを公表して、税務処理の透明性を高めるとともに、納税者の便宜に供することとしてきた。
 ところで、従来からの文書による回答については、その事務手続が明らかでなく、また、今後は文書回答へのニーズが高まるものと予想されることから、「行政機関による法令適用事前確認手続」(平成13年3月27日閣議決定)の導入趣旨等も踏まえ、文書による回答の対象とする事前照会案件の範囲、具体的手続等について事務運営指針を定め、9月3日からこれにより全国統一的に実施することとした。

【文書回答の趣旨及び手続等】

  1. (1) 趣旨
     納税者サービスの一環として、個別の取引等に係る税務上の取扱い等に関する照会で多数の納税者にも関係するような事案について、文書により回答を行うとともに、その内容を公表することにより、税務処理の透明性を高め、また、納税者の予測可能性を高めることを目的として実施する。
  2. (2) 文書回答を行う対象となる事前照会の範囲
     上記の趣旨を踏まえて、文書回答を行う事前照会の対象について以下の要件全てを満たすものとしている(この対象とならない照会等については、従来どおり税務署又は税務相談室において口頭での相談・回答を行う。)。
    1. 1  照会者が実際に行う(又は行った)取引等に係る法令の解釈・適用等に関する照会で、これまでにその取扱いが明らかにされていないもの。
    2. 2 業種等に共通する取引等に係る照会で多数の納税者から照会されることが予想されるもの、又は反復継続して行われる取引等に係る照会で不特定多数の納税者に関わるものであること。
    3. 3 照会内容の審査に必要な資料の提出をすること。
    4. 4 照会内容等を公表することに同意していること。
    5. 5 申告(源泉徴収等の場合は納付)前の照会であること。
  3. (3) 照会文書の提出
     税務署に備え付けの用紙に必要事項を記載し、所轄税務署の担当部署(国税局調査課所管法人の法人税に係る照会等の場合は国税局調査管理課等)に提出する。
  4. (4) 事前照会に対する回答等
     照会事案については、国税局で審査し照会者に文書で回答すると共に、国税局又は国税庁のホームぺ−ジに掲載・公表する。

[署備え付けチラシ]

税務上の取扱いに関する事前照会に対する文書回答について

 国税局では、納税者の方から、申告前に、具体的な取引等についての税務上の取扱いに関する照会(以下「事前照会」といいます。)を受けた場合、その照会が同様の取引等を行う他の多数の納税者の方の適正な申告に役立つと認められる場合など、一定の要件に該当するものについては、文書により回答するとともに、その内容を公表することとしているところです。
 文書回答の対象となる事前照会の範囲は、下記「1 文書回答の対象となる事前照会の範囲」のとおりですが、この対象とならない照会や一般的なご質問については、口頭での相談・回答を行っていますので、税務署の担当部門又は税務相談室をご利用ください。

1 文書回答の対象となる事前照会の範囲

 対象となる事前照会の範囲は、次のすべての要件を満たすものに限ります。

  1. (1) 事前照会者が実際に行う(又は行った)取引等に係る国税に関する法令の解釈・適用その他税務上の取扱いに関する照会であって、これまでにその取扱いが明らかにされていないものであること
     次のイからニのような照会については、対象となりません。
    1. イ 仮定の取引、想定事例等に係るもの
    2. ロ 事実関係が明らかでないもの、あるいは、事実関係の認定を行わなければ審査ができないもの
    3. ハ 調査等の手続、徴収手続、酒類等の製造免許若しくは酒類の販売業免許又は酒類行政に関係するもの
    4. ニ その取引等に係る取扱いが、法令や既に公表されている法令解釈通達あるいは質疑事例において明らかにされているもの
  2. (2) その業種等に共通する取引等に係る照会で多数の納税者から照会されることが予想されるもの、又は、反復継続して行われる取引等に係る照会で不特定多数の納税者に関わるものであること
     したがって、特定の納税者の個別の事情に係るものについては対象となりません。
  3. (3) 照会内容の審査に必要な資料の提出をしていただけること
  4. (4) 照会及び回答文書の内容を公表することに同意していただけること
  5. (5) 申告(源泉徴収等の場合は納付)前の照会であること
    • (注) 次のものについては、従来どおり担当の部署でお受けしていますので、最寄りの税務署にお尋ねください。
      1. (1) 譲渡所得等に係る収用等の特例の適用に関する事前協議
      2. (2) 国等に対する寄附金の事前確認
      3. (3) 独立企業間価格の算定方法等の確認

国税局・税務署

〈文書回答の対象となる事前照会の例〉

  1. 1 金融保険業の同業者団体からの特有な所得計算に関する照会
  2. 2 リース業の同業者団体からのリース資産の減価償却等に関する照会
  3. 3 博覧会等のイベント参加費用の取扱いに関する照会

〈文書回答の対象とならない事前照会の例〉

  1. 1 法人税法上の役員の過大報酬の判定に関する照会
  2. 2 個々の相続財産の評価に関する照会

2 文書による回答を求める場合の手続

 文書による回答を求める場合には、税務署に備えつけてある「取引等に係る税務上の取扱い等に関する事前照会」の用紙に照会の趣旨、取引等の事実関係などの必要事項を記載し、照会事項に関する参考資料を添えて、照会を行う方(納税者等取引の当事者となる方)の納税地の所轄税務署の担当部署(法人税については法人課税部門、所得税については個人課税部門等)に提出してください。
 なお、次の照会はそれぞれ次に掲げる窓口に提出してください。

  • ・ 国税局調査課所管法人の法人税及び消費税の事前照会
    → その法人を所管する国税局の調査審理課、調査管理課、調査課
  • ・ 酒税の事前照会
    → その酒類等の製造場等又は酒類の販売場の所在地を所轄する税務署
     国税局所管酒類製造場等に関するものは所轄国税局の酒税課(沖縄国税事務所にあっては間税課)
  • ・ 間接諸税(印紙税を除く。)の事前照会
    → その製造場等の所在地を所轄する国税局の消費税課(沖縄国税事務所にあっては間税課)

3 回答までの手続等

  1. (1) 照会内容の具体的な審査及び文書による回答は、国税局課税総括課で行います。
  2. (2) 照会内容によっては、いったん税務署等で受け付けた後でも、文書回答ができない旨の連絡をさせていただくこともありますので、あらかじめご承知おきください。
  3. (3) 照会の内容を確認させていただくため、資料の追加提出等をお願いする場合がありますのでご了承ください。
  4. (4) 文書回答の時期をあらかじめ申し上げることはできません。回答までにある程度の期間を見込んでご照会ください。
     なお、回答がないことを理由に申告期限等が延長されることはありませんのでご留意ください。また、申告等が行われた後については、文書による回答は行いません。

4 その他留意事項

  1. (1) 文書による回答を行った場合には、その照会及び回答文書の内容を公表することとなります。
  2. (2) 文書による回答を求めるために提出していただいた書類は、文書回答できない旨の連絡をさせていただいた場合を含め、返却いたしませんのでご了承ください。

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