会長
  それでは次の議題に移らせていただきますが、「各分科会の活動状況の報告」について、各分科会長から御報告をいただきます。
 最初に、国税審査分科会については、私が分科会長ですので、概略を御説明しますが、昨年10月17日に第3回の国税審査分科会を開催しております。最初に分科会長の互選を行い、引き続き私が分科会長を務めさせていただくこととなりました。分科会長代理につきましては、引き続き北村敬子委員にお願いいたしました。法定審議事項はございませんでしたが、資料2で御覧いただいております議題について、事務局から説明を受けまして質疑応答を行っております。資料2の国税審査分科会の開催の時期が書いてありますが。
 それから、不服申立ての状況につきましては、原処分庁に対する異議申立て、国税不服審判所に対する審査請求について、発生及び処理の状況の説明を受けました。
 それから、最近の裁決事例として、所得税で2件、国際取引で2件、その他の事例で4件の説明を受けております。
 所得税の事例では、土地売買の契約に関して、当初の土地売買契約を解除して買主に支払った違約金を、その後行った当該土地の譲渡にかかわる所得金額の計算上、譲渡費用として控除できるかどうかというケースなどについて説明を受けております。
 それから国際取引につきましては、出国した人が、父親から受贈した株式の取得時期は、出国前か出国後かという、そういうケースなどについて、裁決事例の御説明がありました。
 最近の税務行政につきましては、税務分野における国際協力などについて御説明を受けております。なお、国税庁のホームページにおきまして、資料及び議事録を公表しております。概略、審査分科会の最近の審議につきまして、以上のようなことを話し合いましたということを私から御説明申し上げました。
 それから、税理士分科会につきましては、辻山分科会長からお願いしたいと思います。

辻山委員
 辻山でございます。税理士分科会は昨年1年間で計4回会議を開催いたしました。お手もとの資料の2の、同じく税理士分科会というところを御覧いただきたいと思いますけれども、まず、昨年6月4日の分科会におきまして、分科会長の互選をさせていただき、引き続き私が分科会長をお引き受けさせていただくことになりました。また、分科会長代理には小川是委員、本日御出席でございますけれども、指名いたしました。
 次に、昨年の分科会における審議事項につきましてでございますが、第6回から第9回というところでございます。このうち、まず税理士試験関係でございますが、6月4日の分科会におきまして、8月初旬に実施いたしました平成15年度の税理士試験の試験問題の審議をいたしました。それから、試験の実施について検討をいたしました。
 12月12日の分科会におきましては、平成15年度の税理士試験の実施結果につきまして審議いたしました。そして平成14年度の指定研修の実施結果、平成16年度の税理士試験の実施に向けての試験委員の人選、日程、それから税理士試験の免除申請について審議をいたしました。なお、税理士試験の合格者は、合格発表日であります昨年12月16日に官報公告をしております。
 次に、税理士の懲戒処分の関係ですが、お手もとの資料の第7回と第8回というふうにしておりますところでございます。計2回開催いたしました。6月27日の分科会におきましては、財務大臣から国税審議会会長に諮問のありました13名の税理士につきまして、懲戒処分の可否及び処分内容について審議を行いました。
 それから、第8回の12月9日の分科会におきまして、同じく財務大臣から諮問のありました13名の税理士の懲戒処分につきまして、審議を行いました。
 なお、この税理士に対する懲戒処分につきましては、税理士分科会議事規則第5条に基づきまして、まず懲戒審査委員による審査を行っていただき、分科会ではその審査結果を御報告いただいた上で審議を行いました。審議の結果といたしましては、両日とも、懲戒審査委員による審査結果のとおり処分することが相当であると議決を行いました。
 この税理士に対する懲戒処分につきましては、当分科会の議決をもって国税審議会の議決とすることが適当であるという、国税審議会会長の御了解をいただきましたので、当分科会の議決のとおり、国税審議会会長から財務大臣への答申を行い、それに基づいて懲戒処分が実施されております。この懲戒処分の内容等につきましては、平成15年7月30日及び16年1月22日に官報公告しております。
 以上でございます。

会長 
 それでは、最後に酒類分科会につきまして、小林委員、よろしくお願いします。

小林委員
 それでは、酒類分科会の活動状況を御報告させていただきます。
 先ほど、寺内酒税課長から法律の改正の内容について御説明がございましたので、私の方は、活動状況を簡単に説明させていだくことにいたします。
 酒税分科会におきましては、昨年5月19日と9月29日に第3回及び第4回の分科会を開催いたしました。
 まず、第3回の分科会におきましては、前任の田島酒類分科会長が国税審議会委員を御退任されましたことから、分科会長の互選をさせていただき、私が酒類分科会長をお引き受けすることになりました。また、分科会長代理には、小川委員を指名させていただきました。
 第3回酒類分科会でございますが、まず一昨年、11月27日に開催された第2回酒類分科会からの引き継ぎ事項であります「清酒の製法品質表示基準を定める件の一部改正」につきまして、純米酒の精米歩合の基準等に関して見直しを行う。こういう事項について審議を行いまして、当分科会として了承いたしました。
 また、第2点目といたしましては、「未成年者の飲酒防止に関する表示基準を定める件の一部改正」についてでございますが、これは酒類の陳列場所における表示としまして、酒類の売り場である旨、及び未成年者の飲酒は法律で禁止されていますといったような旨の表示を求めるなどの基準を新設する、新たに設けると、こういう事項について審議を行い、当分科会として了承いたしました。これは先ほど寺内酒税課長に報告していただいたとおりであります。
 その後、この両案につきまして、パブリック・コメントの手続及び「清酒の製法品質表示基準を定める件の一部改正案」につきましては、WTO通報の諸手続を行っていただきました。その結果、特段の意見がございませんでしたことから、私の方で両案につきまして酒類分科会の議決とすることを了承しまして、国税審議会会長に国税審議会の議決とすることについて御判断いただきました。なお、それぞれ酒類分科会の議決どおり、国税審議会会長から国税庁長官に対して答申されております。
 以上が第3回の酒類分科会でございます。
 次に、第4回の酒類分科会におきましては、まず、「酒類における有機等の表示基準を定める件の一部改正」について、有機等の表示基準が準拠しております、「有機農産物加工食品の日本農林規格」の改正を受けまして、有機等の表示を行う酒類に使用できる食品添加物の一部に関して見直しを行う事項について審議を行いました。そして、当分科会としてこれを了承いたしました。
 また、「酒類の表示の基準における重要基準を定める件」としまして、酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部改正という点につきましては、酒類の表示に関する命令規定の改正が行われましたことから、特に表示の適正化を図る必要があるものとしまして、重要基準として定めるという内容について審議を行い、当分科会として了承いたしました。これも先ほど寺内課長からお話があったとおりであります。
 その後、両案につきまして、パブリック・コメントの手続及び「酒類における有機等の表示基準を定める件の一部改正案」につきましては、WTO通報の諸手続を行っていただきました。その結果、特段の意見がございませんでしたことから、私の方で両案につきまして酒類分科会の議決とすることを了承いたしました。国税審議会会長に国税審議会の議決とすることについて御判断をいただきました。
 なお、それぞれ酒類分科会の議決どおり、国税審議会会長から国税庁長官に対して答申がなされております。
 酒類分科会についての御報告は以上でございます。

会長
 どうもありがとうございます。それでは、三つの分科会の審議状況といいますか、御説明いただいたのですが、どうぞ御自由に御質問ありましたら。

森委員
 今、この時点で質問させていただくのが適当かどうか分かりませんけれども、実は税理士試験の結果ですけれど、あちこちで私はよく聞くのですけれども、聞かれるのですけれども、今年の15年度の税理士試験ですけれども、科目別の合格率の問題ですけれど、簿記と財表がものすごい高いのですね、従来にない。ほかの税法については、従来どおりの合格率なのですけれども、簿記、財表に対しては20%を超えているということですね。これは非常に今までかつてないことなのですね。私は覚えていますけれども、私が受けたときですけれども、確か財務諸表が、これは昭和33年ぐらいですけれど、25%ぐらいいったのですね。これは驚異的な数字だったのですけれども。恐らくそれまでずっとなかったのですけれど、今年が簿記、財表とも20%を超えたということは、ちょっと今まで例がないわけなのですけれども、この辺について何か背景があったのかどうかということなのです。この辺がよく聞かれますので、偶然かどうか知りませんけれども、何か意図があるのかないのか。ちょっとあればお伺いしたいと思います。

辻山委員
 後で人事課長の方から御説明いただきたいと思いますけれども、私の承知しているところでは、一応60点という基準を満たすということが合格ラインになっておりまして、人数について、あるいは合格率について、特段の配慮をしたということはないというふうに承知しております。
 ただ、試験問題が、従来非常に分量が多い、あるいは内容が非常に高度だということがありましたので、少しそれを普通の勉強をしていれば受かりやすいような、そういう改良というか配慮をしてきたということはありますけれども、特に人数や合格率について特段の配慮があって、そういう結果になったというふうには理解しておりませんけれども。ちょっと補足して人事課長からお願いできませんか。

会長
 人事課長どうぞ。

人事課長
 今、辻山先生から御説明のあったとおりでございまして、試験でございますので、基本的には受ける人とか、問題の相性とかで、合格率は変わると思います。ただし傾向としては、簿記、財表は必ず受からなければいけない会計科目でございまして、税法の方は、数ある税法の中から3科目合格すればいいということで、本人のある意味で得意科目を選択できるという意味がございまして、簿記、財表について余りに難し過ぎると、税理士になりたい方が、なかなかなれないということもありますので、余りに問題数が多いのではないかと。それこそ専門学校に何年も通わないと受からないのではないかといったような意見が、受験生等から我々の方に上がってきたものですから、そこは十分に税理士の能力が判断できる適正な問題量にしようというようなことは、試験委員の先生方にお願いしてまいりました。そういうことの結果で、従来に比べると多少60点の基準を超える人が結果的に多かったかと思いますけれども、特にそれで、わざわざ適正な能力のない人をどんどん合格させようというようなことは、当然のことながらございません。

森委員
 ありがとうございました。
 もう1点は要望なのですけれども、これは私が発言すると税理士会の要望かと言われるかも分かりませんが、私の個人的要望なのですけれど、税理士の試験科目というのを若干見直してもらったらどうかという気がするのですよ。ということは従来、簿記、財表、税法ですけれども、大体簿記というのは最近、余りやっていないというのが多いのですね。全部コンピューターでやってしまうという傾向があるわけですから。基本的なものは当然必要ですけれども、実務的には余りやっていないのではないかなという気がするのです。その辺も含めて、やはり簿記会計の簿記と財表については、やはりひっくるめて考えてもらうような方法。
 それから税法については、国税基幹法はいいのですけれども、地方税に至ってはたくさんあるわけですね、選択ですけれど。そこまで必要なのかどうかという問題を感じているわけですよ。それよりももう少しグローバル的なことになっているわけ、時代が。したがって、例えば民法を入れるとか、あるいは会社法制を入れるとか、もう少しグローバル化をして、実際に税理士が実務をできるような法律も入れるべきではないかなと。今、特に税法については、地方税の本当に細かい税法まで入っていますから、そんなの果たして必要なことかと非常に私は疑問を感じているわけですよ。
 したがって、ひとつ、これは時間がかかると思いますけれども、税理士の試験科目について検討をしていただく時期ではないかなというふうに考えますので、要望として申し上げておきます。
 以上でございます。

会長
 今の件、御発言ございませんか。

辻山委員
 御要望として承ったということで検討させていただきます。

次長
 これは士(さむらい)業と試験問題との関係でいろいろあるでしょうし、すぐにお答えをできる問題ではありませんので、また検討させていただきます。

辻山委員
 一つ確認だけ。今の御発言の中で、民法等の法律科目ということで、これは必修として必要だということですか。選択科目の一つに入れたらどうかということでしょうか。

森委員
 それはいろいろとあると思うのですけれども、私は必須でいいと思いますけれども、特に民法、商法というのは、そんなに深く突っ込んで、奥深いものでなくてもいいと。税理士が実務として、いわゆる知っておかなければいけない程度のものをやはり必須として入れる方がいいのではないかなというように思っております。

辻山委員
 ありがとうございます。

会長 
 私は、大学の教師をやっていますと、入試とか、そういうので、平たく言うと、どの程度の合格率で、どの程度の人が来て、どういうレベルの出題をするかというのは結構難しくて、しかもその辺は非常に微妙なところがあるので、多分この問題も、普通の試験問題の合格者の数をどの程度に持っていくかというのは、出題の仕方とか、どの程度の人が税理士試験を受けられるかとか、いろいろなことがあって、昔とはかなり事情は変わりつつあって、それに対応できるような体制がどうなっていくかというのは、これは森委員のおっしゃるとおりだと思います。そういう感想を持っています。
 ほかに何か。

辻山委員
 一つよろしいですか。20%の合格ということですけれども、実施試験の場合、御承知のように5科目ということで、簿記で合格した人は、その20%が、同じ集団が財表の合格者とは限りませんので、掛け合わせるということで、全体の合格率はそんなに高くない状況で、科目別の合格率が直ちに税理士試験の合格率ではないという、そういう点もあるということ。今後検討をさせていただくということだと思いますけれども、一応念のため。科目別が20%でも掛け合わせますので、両方合格するというのはかなり大変なもの。

森委員
 それは分かっていますけれどもね。我々としては科目別合格というのは非常に興味を持ちますからね。えらい多いなとか、少ないとか、いろいろ比較しましてものを考える、また判断することもあるわけですから、それを申し上げているわけであって、全体的な数字で見れば、そうかもわかりませんけれども。

会長
 ほかに何か御質問、あるいは御意見、分科会の審議状況についてございませんでしょうか。

北村(敬)委員
 形式的なことなのですが、国税審査分科会の開始時間と終了時間は、どちらかが間違っているのではないですか。私は延々と会議をした記憶がないものですから。

総務課長
 申し訳ございません。これは単純なミスでございまして、終了時間が12時12分でございました。16時と書いてございますが、これは12時の間違いでございます。申し訳ございません。

会長
 ほかに何かございませんか。

水野委員
 これは前に国税審査分科会でもお話ししたかと思うのですが、またこれも大きな問題になるのですが、御承知のように、この4月から法学部の上に法科大学院というのを作って、専門職の法曹を養成するということになっているわけですけれども、全国で大体5,000人を超えるような学生がいまして、恐らく司法試験のところで相当絞られると思うのですけれども、この国税不服審判所に、そういうものを卒業した法曹を任用するという、こういうルートはできないものなのだろうかと前から考えているわけなのですけれども。ちょっと年齢的に見て、審判官になる方はもう40過ぎている方ですが、ここで出てくる新司法試験の合格者、司法修習生を終わっても30前後だと思うので、そういったギャップはあるのですけれども、何分率直に申し上げますと、国税庁あるいは国税局で採用した方というのは、商学、それから経済学部の出身が多くて、場合によっては普通科の方もいらっしゃいますけれども、意外と法律の分野を専攻していた学生が少ないと。最近、特に審判所から訴訟に上がる事案ですけれども、非常に複雑といいますか、考え方が難しくなってきているわけです。典型的なのはストックオプションの例で、最初、気楽に一時所得だといったものですから、こういう状況になっているのですけれども、そういう意味で、法律のトレーニングを積んだ人を少し拡充してはどうだろうかと、これが私の希望なのですけれども、いかがなものでしょうか。

審判所次長
 実は、10年ぐらい前に、羽田大蔵大臣が国会答弁をいたしておりまして、国税不服審判所の職員に必要な能力として、一つはいわゆるリーガルマインド、それからもう一つは税務に関する法令通達を熟知していること。それからもう一つが何と言いましても事実認定ですね。これが大部分、例えば架空売上なのか、そうではないのか、売上は除外しているのか、していないのかとか、そういう意味でのいわゆる税務調査能力。この三つの能力を満たしていることが必要だろうと。そういう人材であれば法科大学院の卒業生でも任用の対象になり得るのかなということでございます。
 ですから、法科大学院の卒業生がいいかどうかということではなくて、そういう人材であればいいのだろうと。ただ、なかなか正直申し上げまして、そういう人材は得がたいのと、そういう人材がいる場合、これも大臣も国会で答弁しているのですけれども、給与面の問題がございまして、来ていただきたい方はなかなか来ていただけないというのが実情でして、判検事の方は比較的来ていただきやすいという環境なので、それはいろいろお願いしているのですけれども、なかなかそういう方は、全体の人数の関係とかいうので難しいと。そういう中で毎年度、法務省サイドにはいろいろお願いをしているという状況でございます。

次長
 今は一応うちも採用試験を持っていますので、事実上の中途採用扱いになるのだと思うのです。中途採用の場合、例えば司法試験合格者は基本的には1種合格者と同じ格付になりますし、一般的な大学卒の場合は、うちは国税専門官試験をやっておりますが、それと同じ格付になります。現在、任期付採用という制度などもできており、かつて司法修習生にお声をかけたこともありましたが、実際に手を挙げられた方はいらっしゃいませんでした。あくまでも公務員でございますので、特別な処遇はできないということですね。
 それから、確かにリーガル、ちょっと法律が弱いのかもしれませんが、そこはうちの審判所、所長今おりますが、裁判官でいらっしゃいますが、要所要所に裁判官の方とか検事の方に御出向をいただいているのですね。実際の裁決を最終的には審判所長が見ていただいておりますし。また、法規審査担当審判官というのがいるのですが、それはリーガルの面からのチェックをしていただいています。
 実際の審判官は結局何をやっているかといいますと、かなりの程度、事実認定の世界といいますか、言ってみれば税務調査みたいなものの延長線上をやっているのですね。
 したがって、従来から御出向していただいている方もいらっしゃるのですが、なかなかうまくいかない面もあるのです。そういうことですので、体系的に法科大学院から採るというわけにはいかないのですが、実際、そういう人がいらっしゃれば検討させていただくということだと思うのですが、今の制度ではそういうふうになっているということだと思います。
 また、先生がそういうお考えを持っていらっしゃれば、是非ともまた検討させていただきたいと思います。

人事課長
 将来的には、長い目で見れば、法科大学院を卒業された方が、いわゆる普通の国家公務員、国税庁1種試験とか、あるいは国税専門官試験を受けて入ってこられると。そういう方々が、必ず審判所に行かれるとは限りませんけれども、国税の中で、そういうリーガルマインドを持って活躍して要所を締めるということは、長期的にはあり得ると思います。

審判所次長
 あとリーガルマインドと言いましても、先ほど森先生からお話がございましたように、民商法の基礎的な知識があれば十分でして、それ以上のものは実際には必要ないな、法令上難しい事件は余り多くないなというのが実情です。先ほど村上次長からお話がございましたような所長、東京、大阪の所長、あるいは東京、大阪、名古屋、関信、広島に判検事の方が法規審査で入っておられますのと、それから例えばストック・オプションとか、国際課税事案というのは、最終的には東京、大阪の所長の意見も踏まえた上で本部の所長が御決断をすると。そういう形で、事前に十分検討した上で結論を出すと。こういう体系になっているということを御紹介しておきます。
 以上でございます。

会長
 一言ちょっと。最近、大学の体制はものすごく変わっておりまして、専門職大学院とか、法科大学院もそうですが、公共政策大学院というのもできます。ですから、要するに従来の学士さんというより、大学院レベルの資格を取得した人が、これから増えてくるわけですね。恐らく、大局的には公務員の制度とそういう専門職大学院とか法科大学院とか、そういうものの卒業者をどういうふうな形で、これは多分、人事院とかそういうところとも関係すると思いますが、どうも昔のままでは、私は個人的には無理だというか、無理というのは昔の体制のままで、学士様のところだけでやるという形が、果たしてこれからどうなるかというのは、そこもかなり流動的に動きつつあって、結構難しい話とは思いますが、変わりつつあるということは、個人的にはそう思っておりますね。

審判所次長
 現場としては、要は能力さえあれば、法科大学院であっても高校卒業生であっても一向に構わないというのが実態でございます。よろしくお願いいたします。

会長
 ほかに何か、先ほどの。

水野委員 
 ちょっと図々しくて申し訳ないのですが、もう1点ございまして、今、会長が言われましたように、公共政策大学院というのが全国に幾つか作るような状況にございまして、うちの大学でも来年度開設を目指しているわけなのですが、それと今度は税務大学校からの研修生の受け入れで、今年度10名来ていただくのですけれども、公共政策大学院との兼ね合いで、優秀な方が多いものですので、ただ、公共政策大学院は2年間履修した上で取得できる修士号ということになりますので、何とか1年3カ月、これが少し延びないかなという気持ちを持っておりまして、できればそういう方々に来ていただけるとありがたいと思うわけです。
 こちらの方でも多少短い期間で修士号を取れないかということも検討していますけれども、短くして取れるのだったら長くしても取れるはずだとは思うのですが、非常に優秀な方々ですので、できればそういう機会を、税金を使うことになりますけれども、それもちょっと御検討いただけたらと思うのですが。これはお願いですが。

人事課長
 今、先生のお話になったことは、税務大学校の研修の中に、大学院レベルの研修を受ける研究科というのがございまして、そこで修士号を取らなくても、とにかく大学院等で1年間一生懸命勉強するというようなことをやっているのですが、最近は、我々の研修生のレベルが上がってきたこともありまして、本当に修士を取らせるという研修も始めております。幾つかの大学院側に受け入れていただいて、従来の大学院は、もちろん普通は2年コースなのですけれども、一生懸命単位を取れば、あと論文を書けば、1年でも修士号が取れるというコースがありましたので、そういうコースに主に入れていただいて、指導教授に指導していただいて、修士を取っていただくということをやっております。
 ところが、今の先生の御指摘は、専門職大学院が今度新しくできているわけですが、専門職大学院については法科大学院も典型ですけれども、最低2年かかるのですね。普通の生徒は3年、法学部出身で能力があれば2年ということで、最低2年ということになりましたので、従来の私どもの研修制度で、丸々2年研修させるコースがないのですね。
 ここから先は、我々の正に判断の問題になりますが、研修も税金でやっておりますので、2年コースにしますと、研修に派遣する生徒の数が半分になると。もし予算が同じならですね。したがって、ある程度平等にある程度の能力のある人を研修1年で、2倍の人数の人にある程度入れるような教育をさせるのか。それとももっと絞って、2年間の教育をさせて専門職大学院の修士をとらせるのか。ここは予算が本当に限られているものですから、そういう中で我々の人材をどうやって育てるかといった判断をこれからしなければいけないと思います。
 ただし、先生がおっしゃったように、世の中が変わって、通常の大学院ではなくて専門職大学院の教育といったものの価値が高まるとすれば、そういうこともやはり考えていかなければいけないかなということで、ちょっと思い悩んでいるところでございます。

会長
 私も多少経験があるので。私は法学部に所属しておりまして、税法の方で国税庁から派遣された方は大体1年で修士を出すということになっていまして、東京大学はどういうふうにされているか知りませんが、私の大学のケースは、審査員は数が多く、普通の審査だと3人で修士論文を見るのですが、5人でやっているのですね。かなり多角的に。優秀な方が来ておられるのですよね。それは全くそのとおりです。ちょっと実例を申し上げますと、そういうことです。
 ほかに何か、御質問あるいは御意見ありませんでしょうか。

 (「なし」の声あり)

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