日時:平成16年2月19日 10:30〜12:12

場所:国税庁第一会議室

出席者: 

国税審議会委員  貝塚会長  阿刀田委員
   大西委員  小川委員
   北村(敬)委員  北村(節)委員
   小林委員  島上委員
   立石委員  辻山委員
   水野委員  三屋委員
   宮崎委員  宮島委員
   森委員  八木委員
   吉澤委員  
国税庁  寺澤国税庁長官  
   村上国税庁次長  
   鹿戸審議官  
   西江課税部長  
   徳井徴収部長  
   鳥羽調査査察部長  
   坂口総務課長  
   谷口人事課長  
   平沼企画課長  
   寺内酒税課長  
国税不服審判所  成田不服審判所長  
   富田不服審判所次長  

会長
 それでは定刻になりましたので、第5回国税審議会を開催いたします。
 委員の皆様には、大変お忙しいところ、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日は17名の委員の方に御出席をいただいております。過半数が御出席ですので、本会は有効に成立いたしております。
 なお、今井委員、幸田委員、小早川委員、浜委員におかれましては、御都合により御欠席でございます。
 また、本日の審議会におきましては、国税審議会令に定められました審議事項がございませんが、国税審議会議事規則に規定されております「分科会において処理した事項について当該分科会から報告を受けるため」に開催させていただいております。
 本日の議題は、お手もとの議事次第にありますように、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部改正」、「各分科会の活動状況の報告」、「税務行政の動き」となっております。
 それでは最初の議題であります「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部改正」について、事務局から説明をお願いいたします。酒税課長。

酒税課長
 酒税課長の寺内でございます。御説明させていただきます。
 それでは、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の改正の内容につきまして、御説明させていただきます。
 財務省設置法21条2項の規定によりまして、国税審議会で処理していただく事項としまして、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の規定によりその権限に属された事項が規定されております。この権限に属された事項の根拠法であります、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律につきまして、一部改正がございましたので、御報告させていただきます。
 この改正法は、昨年5月1日に公布され、9月1日から施行されておりますが、改正の趣旨は、酒類業を巡る環境の変化を踏まえ、酒税の保全のほか、未成年者の飲酒防止等の社会的要請の高まりにこたえ、酒類の適正な販売管理を確保するため、所要の措置を講じたというものでございます。
 主な改正の内容としましては、酒税法の免許許否要件に、未成年者飲酒禁止法等に違反し、罰金刑に処せられた者を追加するとともに、酒類小売販売場における酒類販売管理者の選任の義務付け及び研修の制度化を行い、また、酒類の表示基準に違反している者に対して、個別に遵守命令を発することを可能とするよう、酒類の表示に関する命令規定の整備を行いました。この酒類の表示に関する命令規定の整備が、当国税審議会にかかわる事項でございます。
 その内容でございますが、お手もとに資料1がございます。御覧いただきますと、資料1をおめくりいただきまして、2ページ目の第86条の8が国税審議会への諮問の規定でございます。改正前におきましては、下線にございますように「前条の規定による命令をしようとするとき」と規定されておりましたが、改正によりまして「前条の規定により重要基準を定めようとするとき」とされました。この重要基準につきましては、後ほど、酒類分科会長から活動状況報告の際、御説明があるかと思いますが、既にこの法律の改正を受けまして、昨年9月12日、酒類の表示の基準に関する重要基準を定める件、これを諮問させていただきまして、昨年9月29日の第4回酒類分科会の御審議を経まして、昨年11月21日に国税審議会会長から国税庁長官に対し答申をいただいております。その後、答申を踏まえまして、国税庁長官告示により、昨年12月19日にこの重要基準を制定したところでございます。
 その内容でございますが、制定に当たっては、今後の酒類業界の発展を図るため、適正な酒類行政を行っていくとの観点を踏まえ、確実に遵守させる必要がある事項として、清酒の製法品質表示基準、未成年者の飲酒防止に関する表示基準、地理的表示に関する表示基準、酒類における有機等の表示基準の四つの表示基準について基本的に重要基準として定めることといたしました。
 重要基準にかかわる事項である酒類の表示に関する命令規定の整備について御説明させていただきますと、改正前におきましては、資料の1ページ目、酒類業組合法の第86条の7を御覧いただきますと、改正前は、酒類の取引の円滑な運行及び消費者の利益に資するため、特に表示の適正化を図る必要があると認められる事項について、酒類製造業者又は酒類販売業者、業者全体でございますが、財務省令をもって、表示の基準を遵守すべきことを命令することができるという規定でございました。
 しかし、この酒類業者全体に対する遵守命令につきましては、これに違反した場合、改善を促すことなく直ちに罰則が適用される。そしてまた免許の取り消しにまで至るような、相当厳しい体系となっておりました。
 そこで、このような仕組みを、酒類業者に自主的な遵守を促し、違反を指摘された業者にも具体的に改善するための機会を与えることができるよう、実態に即して、より現実的かつ効果的な対応が採り得るように法律の改正が行われたわけでございます。
 具体的には、改正後の第86条の7を御覧いただきますと、重要基準に違反していると認められる者に対しては、まずは酒類業組合法第86条の6の第3項、上の方にございますが、3項の規定により、その基準を遵守すべきことをまず個別に指示をいたします。実際は、その前に行政指導といいますか指導ベースで、ほとんどの場合は、これを是正するものと考えておりますが、それでも直さない場合には指示を出すということでございます。そしてこの指示にもまた従わなかった場合に、その基準を遵守すべきことを初めて個別に命令することができることとし、そしてまた、さらにこの命令に違反した場合に罰則を課すという体系に改めたというものでございます。
 以上が今回の法改正の内容でございます。

会長
 ただいま御説明のありました酒税の改正、主として基準といいますか由来を明示するということと、それを遵守させるかといいますか、促すということが中心にあったと思います。どうぞ、もし御自由に御質問あるいは御発言がありましたら、どなたからでも。

水野委員
 それでは、余り詳しくないので教えていただきたいのですけれども、ここで言う第86条の6に、いわゆる重要基準の前提になっている必要な基準というのがありますけれども、これは性格的にはどういうものになるのでしょうか。

酒税課長
 実は酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の第86条の6第1項の規定と、それから施行令の第8条の4の規定によりまして、財務大臣は酒類の取引の円滑な運行と消費者の利益に資するため、酒類の表示の適正化を図る必要があると認めるときは、酒類の製法、品質その他これらに類する事項、未成年者飲酒防止に関する事項、そういったものについて表示の基準を定めることができるということで、先ほど申し上げました清酒の製法品質表示基準、未成年者の飲酒防止に関する表示基準、地理的表示に関する基準、有機等の表示基準、この四つの表示基準が定められてございます。
 今回、重要基準に指定させていただいたものは、この四つの表示基準でございます。ただし、例えば文字のポイント数とか、任意的表示事項とか、それから表示を省略できる事項とか、そういったものは除いてございます。
 したがって、表示の基準として定めることができる四つの表示基準を基本的に重要基準として定めさせていただいたということでございます。

次長
 実例を説明して。

会長 
 実例ですね。

次長
 実例で、清酒の品質とか、吟醸酒とかそういうのがありますので。

酒税課長
 はい。実例ですが、今申し上げた清酒の製法品質表示基準といいますのは、例えば、吟醸酒とか純米酒とか本醸造酒とか、そういった、いわゆる特定名称酒を表示することができる基準、あるいは原材料名、製造時期等の表示事項、これは記載しなければいけないといったものでございます。そのほか表示禁止事項として、最上級とか、そういった表示はしてはいけないといったようなものもあります。
 それから、有機の表示基準というのは、有機農産物、これはJAS法で定められていますが、酒については、こちらの方の酒類の表示基準で、有機と表示することができる場合の必要な要件等を決めています。
 それから、地理的表示の基準というのは、これはいわゆるTRIPS(トリップス)協定によりまして、WTO加盟国の域内で、例えばボルドーとかコニャックとか、そういう表示については、ほかの地域では使ってはいけない。日本の場合ですと壱岐、球磨とか琉球といったような焼酎が、国税庁長官告示でほかのところでは使ってはいけないということになっています。
 未成年者に関する飲酒防止基準につきましては、これは容器や包装に、お酒は二十歳になってからとか、法律で禁止されていますとか、あるいはお店の陳列場所に、お酒コーナーとか、あるいはお酒とほかの商品を区分して陳列して、お酒があるのを表示する、また、自販機について申し上げますと、未成年者の飲酒は法律で禁止されているという表示をする、その他、通信販売等についても同様の表示をするといったような内容のものでございます。以上が、この四つの表示基準の概要でございます。

会長
 ほかに御質問ございませんか。

(「なし」の声あり)

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