1 国税審議会令の一部改正

 税理士法の改正に伴う所用の整理を行うため、昨年10月17日に公布された税理士法施行令の一部を改正する政令により、国税審議会令が一部改正された。

改正後 改正前
(組織)
第二条(略)
(組織)
第二条 (略)
2 (略)
2  (略)
3  審議会に、税理士試験の問題の作成若しくは採点又は税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第七条第二項若しくは第三項に規定する認定のための審査を行わせるため、試験委員を置く。
3  審議会に、税理士試験の問題の作成及び採点を行わせるため、試験委員を置く。
4  審議会に、税理士法第四十五条若しくは第四十六条又は第四十八条の二十第一項の規定による懲戒処分について審査を行わせるため、懲戒審査委員を置く。
4  審議会に、税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第四十五条又は第四十六条の規定による懲戒処分について審査を行わせるため、懲戒審査委員を置く。
   
(委員等の任命)
第三条 (略)
(委員等の任命)
第三条 (略)
2  試験委員は、税理士試験を行うについて必要な実務経験のある者及び学識経験のある者のうちから、税理士試験の執行ごとに、審議会の推薦に基づき、財務大臣が任命する。
2  試験委員は、税理士試験を行うについて必要な学識経験のある者のうちから、税理士試験の執行ごとに、審議会の推薦に基づき、財務大臣が任命する。
3  (略)
3  (略)

2 国税審議会議事規則の一部改正

(1) 経緯
  国税審議会の各部分科会に属すべき委員については、国税審議会議事規則第6条において、国税審査分科会は10人以内、税理士分科会は3人以内、酒類分科会は10人以内と定められている。
 平成13年2月16日に開催された第1回国税審議会において、税理士法が改正された場合には、国税審議会、特に税理士分科会の役割が増すことになるので、委員数の増加を検討すべきではないかとの意見があり、今後、検討していくこととされた。  

(2) 検討
  平成13年6月1日に開催された第1回税理士分科会において、税理士法の改正(平成14年4月1日施行)に伴い国税審議会に新たな任務が増えることを踏まえ、税理士分科会に属すべき委員の数について検討した結果、現在3人以内とされている委員の数を5人以内に改めるべく、国税審議会に対して国税審議会議事規則の一部を改正するよう求めることとされた。  

(3) 改正案
  税理士法の改正に伴い、国税審議会の任務として、1学問領域の認定(改正税理士法第7条第2項、第3項)、2指定研修の指定基準(同第8条第1項第10号)に関する事務等が増加することとなるため、改正税理士法の施行前に税理士分科会の委員定数を5人以内と改めることとしたい(別紙「新旧対照表」参照)。

新旧対照表

改正(案) 現行
(分科会) (分科会)
6条 国税審査分科会に属すべき委員は10人以内とし、税理士分科会に属すべき委員は5人以内とし、酒類分科会に属すべき委員は10人以内とする。
6条 国税審査分科会に属すべき委員は10人以内とし、税理士分科会に属すべき委員は3人以内とし、酒類分科会に属すべき委員は10人以内とする。

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平成13年10月
国税庁

改正税理士法のあらまし

 

 経済取引の国際化、電子化・情報化の進展に伴い、税理士に対する納税者等の要請が複雑化・多様化する中で、規制緩和の要請を踏まえつつ、納税者利便の向上に資するとともに、信頼される税理士制度の確立を目指す観点から、税理士法が改正されました。(法:税理士法、令:税理士法施行令、規:税理士法施行規則)

従来の税理士個人で開業する業務形態に加え、税理士法人や補助税理士という新しい業務形態が創設されました。

1 税理士法人制度の創設
 従来、税理士が個人として行うこととされていた税理士業務を新たに法人形態でも行い得るよう、税理士法人制度が創設されました。その主な概要は次のとおりです。 

(1) 税理士が共同して税理士法人を設立することができることとなり、その場合の社員は税理士でなければならず、また、その名称中に「税理士法人」という文字を使用しなければならないこととされています。(法48の2、48の3、48の41

(2) 税理士法人は、税理士業務のほか、定款で定めるところにより税理士業務に付随する会計業務などや税理士業務に付随しない会計業務などが行えることとされています。(法48の5、規21)
 また、社会保険労務士法施行令において、税理士法人も税理士業務に付随して社会保険労務士業務が行えることとされています。(令附則3

(3)  税理士法人は、設立の登記によって成立し、その旨を日本税理士会連合会に届け出なければならないこととされています。(法48の7、48の9、48の101
 また、税理士法人は、成立の時に税理士会の会員となります。(法49の63
 なお、税理士法人は、従たる事務所(支店)を設けることもできます。

 

(4) 税理士法人の社員は、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負うことととされています。(法48の11)

(5) 税理士法人の事務所(従たる事務所を含む。)には、その所在する地域の税理士会の会員である社員を常駐させなければならないこととされています。(法48の12)

(6) 税理士法人の社員には、税理士法人の業務との競業禁止規定が設けられています。(法48の14)

(7) 税理士法人は、社員が一人になった場合には原則解散することとされています。(法48の182

(8) 税理士法人には、合名会社に関する商法の規定(連帯無限責任、代表権等)等を準用することとされています。(法48の21)

2 「補助税理士」としての税理士登録
 税理士又は税理士法人の補助者として常時それらの税理士業務等に従事する場合には、その従事する事務所等を税理士名簿に登録することにより税理士となることができることとされました。この税理士を「補助税理士」といいます。(法23、法18、規8二)

税理士の税務に関する専門家としての立場を尊重する見地から、裁判所において補佐人となる制度の創設及び意見聴取制度の拡充が行われました。

1 補佐人制度の創設
 税理士は、租税に関する事項について、裁判所の許可を要することなく、弁護士である訴訟代理人とともに補佐人として裁判所に出頭し、陳述をすることができることとされました。(法2の21
  税理士法人も、その税理士法人の社員又は使用人である税理士に補佐人として陳述させる事務の委託を受けることができますが、その場合、当該税理士法人は、委託者にその補佐人となる税理士を選任させなければならないこととされています。(法48の6)
  なお、この規定は、刑事事件の場合には適用されません。

2 意見聴取制度の拡充
  従来の更正前の意見聴取制度に加え、計算事項等を記載した書面(法第33条の2に規定する書面)が添付されている申告書を提出した者について、あらかじめ日時場所を通知して帳簿書類を調査する場合には、その通知前に、税務代理権限証書(法第30条に規定する書面)を提出している税理士又は税理士法人に対し、添付された書面に記載された事項に関し意見を述べる機会を与えなければならないこととされました。(法351、48の16)
 なお、この税務代理権限証書が第八号様式として新たに定められるとともに、計算事項等を記載した書面について所要の見直しが行われ、第九号様式及び第十号様式が定められました。(規15、17)

税理士試験制度に関し、受験資格要件の緩和が図られるとともに、試験科目の免除制度の見直しが行われました。

1 受験資格要件の緩和
 職歴による受験資格について、必要な実務経験年数が一律3年以上とされるとともに、新たに社会保険労務士、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の業務に3年以上従事した者に受験資格が認められることとされました。(法51二、令5)
 また、学歴による受験資格について、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められるいわゆる専門学校(専修学校専門課程)修了者で法律学又は経済学を修めたもの等についても、新たに受験資格が認められることとされました。(法51三、規1の3)

2 学位取得等による試験科目の免除制度の見直し

(1) 学位取得等による試験科目の免除等の対象となる研究等の内容が、1税法に属する試験科目の免除等については、法律学又は財政学に属する科目に代えて税法に属する科目等に限定され、2会計学に属する試験科目の免除等については、商学に属する科目に代えて会計学に属する科目等に限定されました。(法723、81一二、規2の2)

(2) 修士の学位取得による試験科目の免除制度については、試験の分野(税法科目・会計学科目)ごとに一科目の試験で基準点を満たした者が、その修士の学位取得に係る研究について国税審議会の認定を受ける制度に改められました。(法723)  

3 税務職員等に対する試験免除制度の見直し
 税務職員等の試験免除に係る国税審議会が指定する研修について、その要件が定められるとともに、その指定した研修がその要件を満たしているかどうか、国税審議会が毎年検証することとされました。(法81十、規2の5、2の6)

4 合格等の取消し
  試験免除等に係る国税審議会の認定や試験免除の決定を行った後に、虚偽又は不正の事実に基づいて免除等を受けたことが判明した場合には、国税審議会が事後的にその免除等を取り消すことができることとされました。(法102

税理士会及び日本税理士会連合会の業務等に関する見直しが行われました。

1 登録制度の整備

(1) 新しい業務形態への対応
 税理士となるためには、税理士名簿の登録を受けなければならないこととされていますが、税理士法人や補助税理士という新しい業務形態が加わったことに伴い、その登録事項について、1税理士法人の社員となる場合、2補助税理士(税理士又は税理士法人の補助者として常時従事する者)となる場合、3税理士事務所を設ける場合、の3種に区分して定められました。(法18、規8二)

(2)  登録取消事由の追加
 税理士登録の取消事由として、税理士の登録を受けた者が2年以上継続して所在不明である場合が追加されました。(法251三)

(3) 登録抹消の制限
 日本税理士会連合会は、税理士が懲戒の手続に付された場合においては、その手続が結了するまでは、その税理士について業務の廃止による登録の抹消をすることができなくなりました。(法47の2)
 また、懲戒の手続に付された税理士法人は、清算結了後も、懲戒処分に関する規定の適用については、懲戒手続が結了するまで、存続するものとみなすこととされています。(法48の203
 なお、この懲戒の手続に付された場合とは、行政手続法に規定する聴聞又は弁明の機会の付与の通知をした場合をいいます。(規14の31

2 研修の充実
 税理士は、税理士会及び日本税理士会連合会が行う研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならないこととされるとともに、税理士会の会則に、会員の研修に関する規定を記載しなければならないこととされました。(法39の2、49の22

3 紛議の調停制度の創設
 税理士会は、会員の業務に関する紛議について、会員又は当事者その他関係人の請求により調停をすることができることが明文化されるとともに、税理士会の会則に、会員の業務に関する紛議の調停に関する規定を記載しなければならないこととされました。(法49の22、49の10)

4 報酬規定の削除
 税理士会の会則の絶対的記載事項(記載しなければならない事項)から、税理士業務に対する報酬の最高限度額に関する規定が削除されました。(法49の22

5 役員の解任権の廃止
 税理士会又は日本税理士会連合会の役員を財務大臣が解任することができる規定が削除されました。(法49の17)

6 財務書類の公開
  日本税理士会連合会は、毎事業年度、貸借対照表及び収支計算書を官報に公告するとともに、これらの書類のほか、財産目録及び附属明細書並びに会則で定める事業報告書及び監事の意見書を事務所に備えて置き、5年間、一般の閲覧に供さなければならないこととされました。(法49の18、規25)

7 総会における税理士法人の取扱い
  税理士会の総会の招集通知は、税理士法人を除き、会員である税理士に対して行えばよいこととされるとともに、日本税理士会連合会の総会の議決権は、税理士会の会員である税理士の数に応じたものとすることができることとされました。(令8、12)

その他

1 税務書類に署名押印する場合等の付記事項
 社員税理士又は補助税理士が税務書類等に署名押印する場合には、所属する税理士法人の名称又は税理士事務所の名称を付記しなければならないこととされました。(規161
 また、計算事項等を記載した書面(法第33条の2に規定する書面)には、税務代理権限証書(法第30条に規定する書面)の提出の有無を付記しなければならないこととされました。(規162

2 弁護士法人
 弁護士法の改正により弁護士法人制度が創設されたことに伴い、弁護士法人の社員である弁護士全員が国税局長に通知した上で、その弁護士法人が、所属弁護士会を経て、国税局長に通知した場合には、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行うことができることとされました。この税理士業務を行う弁護士法人は、税理士業務を行う範囲において、署名押印義務、書面添付制度、税理士の権利・義務等に関する規定等については、税理士法人とみなして適用することとされました。(法5134

3 罰則
 罰則について、罰金の引上げを行うほか、所要の改正が行われました。(法58〜64)

4 許可公認会計士
  国税局長の許可を受けた公認会計士が、税理士の登録を受けることなく税理士業務を行うことができる特例が廃止されました。
 ただし、この法律の施行の際現にこの特例を受けている者については、平成17年3月31日まで引き続きこの特例が適用されます。(旧法附則37〜44、法附則11

5 その他(附則関係)
 旧省令に規定する様式による用紙については、当分の間、これを取り繕い使用することができることとされています。(規附則2
 また、施行の際に旧省令に規定する様式により使用されている税理士証票は、改正後の様式による税理士証票とみなすこととされています。(規附則3

改正税理士法は、平成14年4月1日から施行されます。