1. 日時 

平成16年6月22日(火) 15:00〜17:15

2. 場所

国税庁第一会議室

3. 出席者

  • (懇談会メンバー)
    • 跡田直澄、岡本勝、奥村洋彦、須磨佳津江、田嶼尚子、田中利見、寺沢利雄、本間千枝子、水谷研治、御船美智子、矢島正見(敬称略)
  • (国税庁)
    • 村上次長、寺内酒税課長、浜田鑑定企画官、若尾酒税企画官、初谷、小森、本宮、前田(以上酒税課課長補佐)

4. 議事概要

 日本酒造組合中央会、日本蒸留酒酒造組合、ビール酒造組合、日本洋酒酒造組合から、社会的要請への対応のあり方等を中心に「業界の現状と課題」というテーマで説明を受けた後、メンバーとの間で質疑応答等が行われた。概要は以下のとおり。

(1) テーマ「業界の現状と課題」

<説明>

  1. 1 日本酒造組合中央会(説明者:日本酒造組合中央会 辰馬会長)
    • ・ 清酒の需要減少の要因として、ファストフード化などの食生活の変化、飲酒態様の変化、健康指向が挙げられ、さらに小売業者の大型化、ディスカウントストア化、コンビニエンス化などの流通形態の変化等が、清酒の需要を育てにくくしている。また、行き過ぎた価格競争が品質低下を招き、品質低下した酒は売れないという悪い循環ともなっている。
    • ・ 今後の方策として、消費者の視点に立った商品の需要開発を主体に、各蔵元の持っている技術力、商品力などを発揮し、伝統ある酒としての文化力を引き出していきたい。
  2. 2 日本蒸留酒酒造組合(説明者:日本蒸留酒酒造組合 草部専務理事)
    • ・ しょうちゅう甲類の課税移出数量は近年増加傾向にあり、平成15年度は431千klとなっている。合成清酒については、平成15年度は64千klとなっている。
    • ・ しょうちゅう甲類の安売り合戦が未成年者飲酒等の飲酒問題に与える影響も大きいと考えられることから、業界として、公正な取引環境の確保に取り組んでいる。
  3. 3 ビール酒造組合(説明者:ビール酒造組合 中村専務理事)
    • ・ 業界の第一の課題はビール需要の減少であるが、その方策として、新商品の市場投入による活性化とビールの価値や魅力をお客様に伝えるために積極的な情報発信を行っている。
    • ・ 公正取引の推進については、平成12年に組合で定めた公正取引ガイドラインについて、平成14年に再構築を行い、実績は上がってきていると認識している。
    • ・ 諸外国ならびに他の酒類に比べ、極めて高率・高額なビール酒税の減税を実現するため要望活動を進めている。
  4. 4 日本洋酒酒造組合・(日本ワイナリー協会)
    (説明者:日本洋酒酒造組合・(日本ワイナリー協会) 下村専務理事)
    • ・ ウイスキーについては、市場回復が一番の課題であり、低アルコール度のリキュール類については、清涼飲料との誤飲防止の観点から、表示が課題である。
    • ・ 平成15年度のワインの課税数量のうち、輸入ワインの比率が約65%となっており、国産ワインの需要拡大が今後の課題である。
  5. 5 質疑応答
    • ○ 大半が零細企業であるという業界の特殊性の中で、今後どのように生き延びていくのか、業界団体(組合)として何か方向付けを行っているか。
      • ⇒ 酒類は食文化や伝承されるべき国民文化と関わる商品であり、これらに配意した多様な酒類の供給の確保は、ある種の社会的要請でもあるが、全てを商品経済、市場原則に委ねた場合、文化性や伝統性の維持が困難になることから、その点に配意した取組が必要と考えている。
    • ○ 文化や伝統を重視することは市場経済の中でも十分に考えていかなければならないが、競争を無くしてしまうことは国民にとってはマイナスとなる。単なる価格競争ではなく、お酒を育てながらそれぞれの業界で競争するような次元の高い競争を行ってもらいたいし、業界を守るために何ができるか、もう少し業界自身で考えることも必要ではないか。
    • ○ 清酒は食文化の中で位置付けるべき。最近魚食文化が凋落していると聞くが、日本人の繊細な味覚、優れた食文化は、魚食が根底にある。この魚食文化、食関係企業との連携を考えてもらいたい。

(2) テーマ「酒類製造業界における社会的要請への対応の概要」

<説明>

  1. 1 酒類業中央団体連絡協議会(説明者:日本蒸留酒酒造組合 草部専務理事)
    • ・ 社会的要請に対する対応について、1「酒類の広告・宣伝に関する自主基準」の策定、2未成年者飲酒対策への取組、3(社)アルコール健康医学協会を通じた健康問題への取組、4妊産婦飲酒に関する注意表示の実施、5リサイクルへの取組、6公正取引の確保の6つの項目について取り組んでいる。
  2. 2 日本酒造組合中央会(説明者:日本酒造組合中央会 辰馬会長)
    • ・ リユースびんの開発などの取組を実施している。
    • ・ 「日本酒で乾杯」運動を行っており、この活動で、酒の正しい飲み方、正しい情報を提供していくことができると考えている。
    • ・ 蔵元と消費者の接点を作ることによって、社会的使命である健康問題や文化を啓蒙していくことができるのではないかと考えている。
  3. 3 日本蒸留酒酒造組合(説明者:日本蒸留酒酒造組合 後藤公正競争規約推進委員会委員長)
    • ・ 顧客の満足と社会の満足が共生することを目指し、1環境問題への対応、2未成年者飲酒防止・適正飲酒の推進、3社会貢献活動に取り組んでいる。
  4. 4 ビール酒造組合(説明者:ビール酒造組合 中村専務理事)
    • ・ アルコール関連問題に関する対応として、1新聞、週刊誌等を中心に「適正飲酒」、「未成年者飲酒防止」、「イッキ飲み防止」、「妊産婦飲酒への注意」をテーマとした組合員共同による広告の実施、2中学生や高校生自身に未成年者飲酒の問題を考えていただくため、未成年者飲酒防止ポスター・スローガン募集キャンペーンの実施、3組合員各社のアルコール問題啓発教材の作成・配付に取り組んでいる。
  5. 5 日本洋酒酒造組合(説明者:日本洋酒酒造組合 高梨アルコール問題対策委員会委員長代理)
    • ・ 環境活動レポートの作成や、適正飲酒啓発パンフレットの作成、配付のほか、適正飲酒啓発等のモデレーション広告を出すなどの啓発活動に取り組んでいる。
  6. 6 質疑応答
    • ○ 未成年者の飲酒を防止するため、具体的にはどのような取組を行っているか。
      • ⇒ ビール酒造組合として酒類自動販売機の斡旋を中止し、また、スーパーの店頭などの試飲会について、未成年者か否かの判別が難しいことや飲酒運転対策のため、本年5月1日から実施を取りやめた。
    • ○ 酒類の種類ごと、業界ごと又は企業ごとに異なる取組を行っていると思うが、酒類業界全体として取り組むことが必要ではないか。
      • ⇒ 酒類業に関わる者として取組を行う責務を内在的に負っており、個々の企業として、また業界全体として対処しなければいけないと考えている。そうしたことからも酒類業中央団体連絡協議会において、酒類業界全体としての取組を行っている。

(3) 主要国における実態調査について

 2月24日の懇談会において実施を了承されている当該調査につき、事務局より、調査の概要、調査項目案について説明があり、メンバーから了承を得られた。メンバーからの質疑は以下のとおり。

  • ○ 例えばカナダのオンタリオでは、屋外での飲酒について厳格に規制が守られている。現状だけでなく、規制の経緯、市民感情についても調査が必要である。

(注) ⇒は、メンバーからの質疑に対する説明者からの回答である。

(以上)