1. 日時

平成16年6月8日(火) 13:30〜15:30

2. 場所

国税庁第一会議室

3. 出席者

  • (懇談会メンバー)
    • 井岸松根、奥村洋彦、須磨佳津江、田中利見、寺沢利雄、本間千枝子、御船美智子、矢島正見(敬称略)
  • (国税庁)
    • 村上次長、寺内酒税課長、浜田鑑定企画官、若尾酒税企画官、初谷、小森、亀井、本宮、前田、土屋(以上酒税課課長補佐)

4. 議事概要

 全国卸売酒販組合中央会、日本チェーンストア協会、社団法人日本フランチャイズチェーン協会及び全国小売酒販組合中央会から、社会的要請への対応のあり方等を中心に「業界の現状と課題」というテーマで説明を受けた後、メンバーとの間で質疑応答等が行われた。概要は以下のとおり。

(1) 全国卸売酒販組合中央会

<説明>

  • ・ 酒類小売業界の業態変化が進んでおり、卸売業についても、激しい価格競争のもとで、中小企業を中心に経営悪化が続いている。また、酒類業界は、再編・淘汰が進んでおり、卸売業も高度なレベルのサービス(正確性、迅速性、品質保証)が求められている。
  • ・ 昨年、酒類については、社会的管理体制の整備が必要という立場から、これからの新しい酒類業界に関するビジョンとして、「これからの時代の酒類事業のあり方」を策定した。行政に対しては、生産から消費まで一元化した産業政策、例えば、酒類事業法により一元管理するようなことも提言している。
  • ・ 今後の酒類業界は、酒類事業のあり方・理念を十分に理解して、酒類を適時適切な価格・方法で適量生産して販売することが社会的責任であるということを自覚し、売上高等による評価から安心・安全、健康、環境等に配慮した評価ができるような業界にしていくべきであると考えている。

<質疑>

  • ○ 流通業界が変化している中で、酒類卸売業の役割についてどう考えているか。
    • ⇒ 卸売業者の役割は、生産者と小売業者の間にあって、最適流通、社会的トータルコスト削減という調整機能を担っている。ローコストでの適正流通の実現、リテールサポートなども重要な機能である。

(2) 日本チェーンストア協会

<説明>

  • ・ 社会的要請に対する取組みについては、酒類の特性である致酔性等を考慮し、未成年者の飲酒防止を中心に取り組んでいる。
  • ・ 未成年者の飲酒防止に関する表示については、仕切り板・ポスター等を作成し、会員企業に無償で配付している。また、加盟各店の自主的な取組みとして、未成年者の飲酒防止についての啓蒙用ポスター等を会員企業に配付しており、未成年者がお酒を購入しづらい環境作りに努めている。

<質疑>

  • ○ 様々な取組みに対する客の反応はどうか。また、未成年者に対しての効果はどうか。
    • ⇒ 具体的に把握しているわけではないが、未成年者と思われる者が酒類の売場に立ち難くなっていると聞いている。
  • ○ 酒類販売管理者は、レジ担当者などのパート従業員にどのような研修等を行っているのか。
    • ⇒ 各社ともマニュアルの中に酒類販売についての対応を組み込んでおり、これに基づきパート従業員に対しても適切に研修等を行っていると考えている。

(3) 社団法人日本フランチャイズチェーン協会

<説明>

  • ・ コンビニエンストアは全国に42,000店あり、そのうち協会会員である40,000店の来店客は1日3千万人である。
  • ・ 青少年問題等の社会的要請については、自らが取組むべき問題と認識しており、また、国民の1人として本部・店舗ともにそれに応える義務があると考えて努力している。
  • ・ 平成15年3月から自主的地域安全活動として「セーフティステーショントライアル」を実施しており、防犯効果を上げているものと考えている。
  • ・ 未成年者飲酒禁止法違反については、把握しているところでは、平成13年39件、14年26件、15年15件と徐々に減少してきている。

<質疑>

  • ○ 深夜販売についてどのように考えているか。
    • ⇒ 深夜においても対面販売を行っていることから、未成年者への販売は防止できる。「深夜販売」は、深夜まで働いている成人に対するある意味での「憩いの場」の提供であり、そういったニーズへの対応は必要と考えている。

(4) 全国小売酒販組合中央会

<説明>

  • ・ 小売酒販組合中央会としては、免許制度は、酒税の保全目的に加え、致酔性を有するための販売制限を行う等の目的を併せて有していると考えている。酒税の使途については、飲酒運転の防止目的などに使ってもよいのではないか。
  • ・ 結果責任、自己責任といわれることがあるが、酒類については、社会に与える影響が大きいので、何らかのコントロールが必要である。
  • ・ 小売酒販組合として、未成年者飲酒防止等に対する積極的な取組みを行っているが、組合の組織率が低下しているため、組合加入を義務付けるような形を作ってもらいたい。
  • ・ 欧米では日本と異なり、売る側買う側ともに一定の不便性についてコンセンサスが得られていることから、我が国においても、社会的管理の観点から国際的整合性のある酒販免許制度を構築してもらいたい。
  • ・ 酒類を目玉商品的に取り扱っている業者も散見されることから、酒類取引に係る公正な取引環境の整備を行い、市場の安定を図ってもらいたい。
  • ・ 組合員に対しては、公のために奉仕する、地域社会に貢献するといった酒類業者の役割について再認識するよう言っている。

<質疑>

  • ○ 未成年者の飲酒問題は地域ぐるみで取り組まなければならない問題と考えられるが、他の団体と一体として地域的な取組みを行うことはどうか。
    • ⇒ 一体で取り組むということについてはそのとおりと考えるが、学校など地域ぐるみで取り組まなければ未成年者の飲酒防止の問題は難しい。組合としては、自動販売機は撤去し、深夜販売も止める方向にいくべきと考えている。

(注) ⇒は、メンバーからの質疑に対する説明者からの回答である。

(以上)