1. 日時

平成16年5月31日(月) 15:00〜17:00

2. 場所

国税庁第一会議室

3. 出席者

  • (懇談会メンバー)
    • 井岸松根、奥村洋彦、須磨佳津江、田嶼尚子、寺沢利雄、本間千枝子、水谷研治、矢島正見(敬称略)
  • (国税庁)
    • 村上次長、寺内酒税課長、若尾酒税企画官、初谷、小森、亀井、本宮、前田、土屋(以上酒税課課長補佐)

4. 議事概要

 公正取引委員会事務総局取引部野口取引企画課長、厚生労働省医薬食品局総務課尾崎課長補佐、警察庁交通局交通指導課堀金交通事故事件捜査指導官及び日本自動販売機工業会黒崎事務局長から、「不当廉売等に対する取組」など様々なテーマで説明を受けた後、メンバーとの間で質疑応答等が行われた。概要は以下のとおり。

(1) 公正取引委員会事務総局取引部 野口取引企画課長

○不当廉売等に対する取組

<説明>

  • ・ 企業間での自由な競争が原則であるが、採算を度外視した低価格によって他の事業者の事業活動を困難にさせることは、独占禁止法により不当廉売として禁止しており、具体的には、個別の業種・業態に即してガイドラインを定めている。
  • ・ 20数年前には、目玉商品化したパック牛乳の不当廉売が問題化した。これは安さを強調しやすい商品であったためと考えているが、ビール、発泡酒も同様の商品と考えられる。
  • ・ 安売りは、単に価格が安いといった問題だけではなく、表示面の問題も含んでいる。

<質疑>

  • ○ 不当廉売はどのような監視システムにより把握しているのか。
    • ⇒ 他者から情報提供されたものが主である。
  • ○ 違反者について、何らかの傾向があるのか。また、酒類の注意件数が大幅に減少している理由としては、どのようなことが考えられるのか。
    • ⇒ 同一の違反者が軽微な違反を繰り返し行うことが多い。違反者に対しては、ある程度軽微な段階で注意を行っているが、減少している理由としては、「他がやらなければうちもやらない」ということも背景にあると思うし、全体的には大幅な廉売は減少してきていると思っている。

(2) 厚生労働省医薬食品局総務課 尾崎課長補佐

○医薬品販売に係る規制緩和等について

<説明>

  • ・ 医薬品販売はその販売できる医薬品等により、薬局、一般販売業、薬種商販売業、配置販売業及び特例販売業の5つに分類され、薬局と一般販売業には、必ず薬剤師の配置が必要である。
  • ・ 薬剤師の店舗への配置については、薬事法に規定する「実地に管理」の解釈について様々な議論があり、「常時配置」、「対面販売」ということで周知徹底を図っているが、制度と実態とが乖離しているとの指摘もある。
  • ・ 医薬品の一般小売店における販売については、昨年6月の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(閣議決定)を踏まえ、かぜ薬(外用)、消化薬等の15製品群について、平成16年度末までの早期に医薬部外品に移行してコンビニ等の一般小売店で販売を認める予定である。

<質疑>

  • ○ 医薬販売に関しては、「安全性の確保」と「販売の自由化」という要請がある。医薬品販売については、自己責任を明確にして必要最低限の規制しかしないとすべきではないか。
    • ⇒ 一般の人が何気なく買っているかぜ薬や鎮痛剤でも、死亡あるいは高度障害に至る可能性があることを念頭に置かなければならないと考えている。なお、本年4月に厚生科学審議会に医薬品販売規制改正検討部会を設置したところであり、この場において、規制緩和という考え方だけではなく、安全性の確保といった点について、実際の指導等に関わっている都道府県や様々な方の意見を聞きながら、抜本的に議論していきたいと考えている。
  • ○ 医薬品が必要な時にすぐに手に入ることも重要だが、購入後のフォローアップについて何か言及したほうがよいのではないか。
    • ⇒ 使用説明については、現在努力義務にとどまっているところであり、今後は、説明義務や副作用があった時の措置義務に関する規定を設けるなど、国民が安心して医薬品を使用できるよう、法令上の位置付けをはっきりとしていきたい。

(3) 警察庁交通局交通指導課 堀金交通事故事件捜査指導官

○飲酒運転の防止等に対する取組の現状と課題

<説明>

  • ・ 飲酒運転に対する厳罰を求める社会的要請が高まったことから、平成14年に刑法の改正(飲酒運転致死傷罪の追加)、道交法の罰則規定の強化が図られた。その後、交通事故件数、死亡事故件数とも大幅に減少している。
  • ・ 酒気帯び運転の罰則を適用する飲酒の基準は、先進諸外国の中でスウェーデンに次ぐ厳しい基準となっている。
  • ・ 交通死亡事故の抑制には、罰則の強化による心理的強制のほか、自発的な安全性向を高める必要があると考えている。

<質疑>

  • ○ 罰則を更に強化していけば事故件数は減少するのではないか。
    • ⇒ 事故の減少に見られるように、罰則強化の効果は現れていると思うが、罰則によって得られる効果は一時的なものとの見解もあるので、罰則強化の評価については、何年か経過を見て判断すべきものと考えている。
  • ○ 酒類を販売した者に対する道交法上の罰則規定はないのか。
    • ⇒ 酒を売ること自体に罰則規定はないが、飲酒運転が行われることを知って酒を勧めたりすれば、飲酒運転が行われた場合に、共犯として処罰される可能性がある。

(4) 日本自動販売機工業会 黒崎事務局長

○自動販売機による物品販売の現状と課題

<説明>

  • ・ 平成15年末の自販機の普及台数は、約552万台で、平成15年の年間自販機での販売金額は約7兆円となっており、コンビニの売上と拮抗している。
  • ・ 自販機業界が直面する課題としては、省エネルギーの問題と未成年者の問題があり、未成年者問題については、小売酒販売組合中央会や日本たばこ協会などが取組んでいる。
  • ・ 酒類・たばこの自販機については、成人識別機能付自販機の出荷を推進しており、運転免許証方式、IDカード方式、インターホンカメラ方式、センター集中管理方式及び非接触ICカード方式があり、全て技術的には有効であることが確認されている。

<質疑>

  • ○ 年齢識別機能付自販機の普及について、トラブル及びユーザー等の反応はどうか。
    • ⇒ 特にトラブルはない。ユーザーは、未成年者の飲酒を防止する上では仕方ないという反応である。酒販店も同様な反応である。
  • ○ カードの貸し借りの問題はどう対処すべきか。
    • ⇒ 単なるIDカードのようなものは簡単に貸し借りすると思われるため、クレジットカード方式や電子マネー機能付IDカード方式などは有効な対策となると思う。

(注) ⇒は、メンバーからの質疑に対する説明者からの回答である。

(以上)