1. 日時

平成16年4月2日(金) 14 :00〜16:00

2. 場所

国税庁第一会議室

3. 出席者

  • (懇談会メンバー)
    • 井岸松根、岡本 勝、奥村洋彦、神崎宣武、小宮信夫、田中利見、寺沢利雄、水谷研治、御船美智子、矢島正見(敬称略)
  • (国税庁)
    • 村上次長、寺内酒税課長、浜田鑑定企画官、若尾酒税企画官、初谷、小森、亀井、本宮、前田、土屋(以上酒税課課長補佐)

4. 議事概要

 内閣府、中央大学文学部矢島教授及び警察庁から、 「酒類と青少年問題」に関する説明を受けた後、メンバーとの間で質疑応答等が行われた。概要は以下のとおり。

(1) 内閣府(説明者:内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付 有松参事官(青少年育成第1担当))

<説明>

  • ・ 青少年育成施策大綱において、酒類については、10代の飲酒を無くすための取組みの推進、未成年者が酒類を容易に入手できるような環境を無くすための関係業界への働きかけを強化することなどが盛り込まれている。

<質疑応答等>

  • ・ 大綱において、「能動性を重視した青少年観への転換」の記載があるが、これをはっきりと打ち出すことが重要。その反映として、人に迷惑をかけるような飲酒は問題視されることとなる。
  • ・ 一つ一つの取組みをバラバラに進めるのは問題。連携・連鎖に配意がなされているのか。
    ⇒ 内閣府が中心となって、関係省庁と連携しながら各種施策の実施状況等をフォローしていく。大綱は、こうしたフォローアップを踏まえて5年を目途に見直すこととしている。
  • ・ 飲酒問題については、他の事項に比べかなり具体的に示されているが、酒類を容易に入手できる環境について規制していかなければならないという意味も含まれているのか。
    ⇒ 一般消費者の利便の向上を図りながら未成年者の飲酒を防止していくことが重要であり、規制の強化が必要とまで決めつけている訳ではないが、少なくとも、年齢確認等の取組みの充実は必要と考えられる。

(2) 中央大学文学部矢島教授

<説明>

  • ・ 中高生の飲酒実態について、積極的・習慣的に飲酒する群が存在している。また、単なる法的禁止や親・他人の目などはいずれも抑止力になっていない。
  • ・ 青少年の飲酒と逸脱行動(非行、性的行動)について、習慣的に又は自発的に飲酒をすることとその他の逸脱行動やマナーの欠如などとの間には、明らかな相関関係が認められるが、因果関係まで説明するものではない。享楽志向的逸脱的青年文化の一つに飲酒があると理解すべき。
  • ・ これまでの日本の飲酒文化は、1飲酒に寛容、2酔うことに寛容であることに加えて、3飲み方にうるさいとの特徴があり、青年期に飲み方を教育することが習慣であったが、飲酒形態の変化により、飲み方にも寛容な文化になってしまった。今後、飲み方だけを厳しいものに戻すことは困難であるから、トータルにある程度の規制をしていかざるを得ない。

<質疑応答等>

  • ・ 青少年自身に飲酒を規制しても効果が少ないとすれば、適正な販売を行うよう業者を規制していくことが必要ということか。
    ⇒ 業者を規制することは、それだけでは不十分であるが、親や社会に対し、「未成年者飲酒に問題があること」を警告する効果もある。また、「何事も自分の勝手、個人の自由」という考え方はもはや通用しない、という方向に持っていく必要がある。「20歳になるまで飲酒してはいけない」という規範意識を世の中に十分浸透させる必要がある。

(3) 警察庁(説明者:警察庁生活安全局 保住少年保護対策室長)

○未成年者飲酒防止に関する取組み状況等について

<説明>

  • ・ 平成12年12月の未成年者飲酒禁止法の改正以降、同法違反による検挙人員は増加の傾向にあり、平成15年には、法改正以前の2倍に達している。
  • ・ 未成年者による酒類の入手先としては、「コンビニ・スーパー」「酒屋」「親・家」に続き「自販機」が多くなっている。また、飲酒に対する規範意識は低下している。
  • ・ 警察庁の取組みとしては、各都道府県警察を通じた関係法規に基づく厳正な取締りや関係機関等との連携による街頭補導活動などがある。
  • ・ 少年の飲酒については、重大な犯罪の前兆となり得る不良行為であり、少年の健全な育成を大きく阻害するものとして最重要課題として取り組むべきものとの基本的意識を持っている。
  • ・ 未成年者の飲酒防止対策において、健全な少年の育成のためには、酒販店や関係団体の果たす役割は非常に大きい。

<質疑応答等>

  • ・ 青少年対策は最重要課題と認識されているとのことであり、未成年者飲酒についても積極的に通報してほしいとの理解でよいか。
    ⇒ 最近の刑法犯検挙人員のうち約4割を少年犯が占めるなど、少年犯罪対策は重要課題であり、こうした中で、未成年者飲酒の問題も重視している。
  • ・ 未成年者飲酒防止に関して、例えば飲酒をした未成年者本人も処罰するなど、規制を強化できないか。
    ⇒ 未成年者飲酒禁止法違反は福祉犯とされ、子供は被害者と位置付けられている。そういった観点からも、被害者である子供を処罰することは慎重に検討することが必要。
  • ・ 未成年者本人も処罰できず、親に対する規制も効果が乏しいとすれば、ある程度業者に対する規制を強化していくしかないのではないのか。

(注) ⇒は、メンバーからの質疑に対する説明者からの回答である。

以上