資料1

平成 14 年9月

  酒類販売業に関しては、致酔性を有する酒類の未成年者対策を含めた販売管理に関する社会的な要請が高まっており、酒類小売業免許の数次の規制緩和措置などにより取引環境にも大きな変化が生じている。また、平成14年度与党三党税制改正大綱においては、「酒販免許制度についてはこれを堅持し、距離基準、人口基準が廃止された段階における免許の付与基準について基本的な検討を進める」とされている。
 このような状況などを踏まえ、国税庁においては、平成 13年12月に審議官主催の懇談会として「酒類販売業等に関する懇談会」を開催し、10回にわたり、酒類の販売管理などの社会的要請への取組み及び平成15年9月以降の酒類小売業免許のあり方等について検討を行ってきた。
 この 6日、懇談会における検討結果が、「酒類小売業を中心とした酒類業等の現状と課題」として座長により取りまとめられたところであり、今後は、平成15年9月以降に向け法的措置を含め所要の枠組整備を図る必要がある。

1 環境変化を踏まえた将来の酒類業の姿

  • ○ 酒類を巡る変化
    • ・ 酒類の特性:代表的な嗜好品、文化・伝統性、致酔性、課税物資。このうち、近年、酒類の一般商品化、購入アクセスの容易化などにより「致酔性」がクローズ・アップ(未成年者飲酒問題の拡大等)
    • ・ 数次の規制緩和により酒販店が多様化する一方、酒類の消費量は横ばい(成人一人当たりでは減少傾向)。酒類市場では広告宣伝、販促活動を通じた低価格志向の激しい販売競争
  • ○ 酒類業の特性とあるべき姿
    • ・ 伝統性・地域性があり、中小企業が多い。アルコールを含む飲料で、かつ、課税物資である酒類の取扱業者(酒税の円滑な転嫁、回収を図る観点から免許を付与)の役割は今後も重要
    • ・ 消費者利便の確保に加え酒類業に対する社会的要請に対応する必要
      • ※ 社会的要請(例示)
        1. 1 酒類の品質・安全性の確保、情報の提供
        2. 2 マナー広告の実施等による飲酒教育、啓発
        3. 3 公正な取引の実現
        4. 4 効率的な事業経営及び酒税の確保
        5. 5 未成年者の飲酒防止
        6. 6 飲酒に起因する各種の事件、事故、トラブル、健康障害の発生防止
        7. 7 リサイクル社会への貢献
  • ○  国税庁等における酒類行政の運営体制の整備
      国税庁は、酒税確保を中心とした事務運営から消費者利益の確保及び酒類業の健全な発達のため、酒類行政を広く捉えて運営体制の一層の整備を進める必要

2 これまでの規制緩和等の評価

  • ○ 規制緩和に伴い、市場は活性化。他方で、公正取引確保については、公正取引委員会ガイドラインの発出等の取組みが行われ、また、未成年者飲酒問題については、未成年者飲酒禁止法の2度の改正等の取組み等が行われているところ
  • ○ 公正取引の確保、未成年者飲酒防止対策の取組み等は更に実効性を上げる必要

3  酒類小売業に関わる今後必要な手当て

  • ○ 「酒税の確保に加え適切な販売管理のため」などの要請に対応する必要
    1. (1) 消費者の利便性の確保から、今後とも規制緩和については着実に推進
    2. (2) 消費者ニーズに応え得る安全・高品質の商品提供や的確な商品情報の提供
    3. (3) 公正取引の観点
      • ・ 公正取引確保の実効性を一層高めるための独禁法違反行為に対するペナルティのあり方
      • ・ 酒類業者による公正な取引遵守の表明、結果及び評価の公表
    4. (4) 酒税確保の観点
      • ・ 酒税の回収確保上の問題に備えるため、必要最小限の事後的是正措置として、地域、期間を限定した臨時措置を検討
    5. (5) 販売管理等の観点
      1. 1 販売管理上のミニマム・リクエスト
          売場での酒類の完全な分離・陳列、販売管理の責任者の配置等
      2. 2 従来型自動販売機の撤廃・改良型自動販売機への移行、長期的には撤廃
      3. 3 小売業者に対する研修の実施
      4. 4 リターナブル容器の回収体制の確保
      5. 5 人的要件の整備
      6. 6 免許の目的の見直し、更新制の導入等
      7. 7 最低販売量基準を加えた上での販売管理のモニタリング
      8. 8 社会的要請に対応する実施主体としての小売酒販組合の活性化及び役割の発揮
    6. (6) 人口基準が廃止される15年9月に向けて、必要な手当てを整理し、段階的に措置

4 酒類小売業の健全な発達のための取組み

  • ○ 行政は、小売酒販組合、独立行政法人酒類総合研究所等と以下について協力
    1. 1 飲酒教育・啓発についての情報発信への助言
    2. 2 未成年者飲酒防止対策についての指導・助言
    3. 3 活性化事業(酒類の販売技術・ノウハウ構築、情報ネットワーク化等)の推進
    4. 4 専門知識、販売サービスの研修