奥村座長
 ありがとうございました。
 田中先生、ご随意にいつでもご発言ください。
 今、全体像の検討は後からにしまして、3番の手当ての必要性と、それを受けての行政のフレームワークというところに焦点を絞って議論を始めております。「社会的」という言葉遣いに関して今一通り終えたところなのですけれども。
 10、11ページで4本柱が立っていまして、内容については皆さんご異論ないのですが、もう少し組みかえた方がいいか、あるいは順序を変えた方がいいかといった点ではいろいろなご意見が出ておりますので、また事務局の方でその点は工夫をしていただいて、再度ご提出をいただくということにしたいと思いますが。
 消費者の観点というのは、後ろの行政のフレームワークで、どこで受けているのかというご意見がおありだったのですが、いろいろな箇所に消費者への情報提供とかといった形では出てきていますけれども、行政のフレームワークの柱としては、消費者ニーズへの対応というところで受けておられるということですか。

若尾酒税企画官
 基本的にはそのように整理しています。

奥村座長
 この10ページの方で挙がっている4本の柱にぴたりと12ページ以降が1対1で対応する必要はないと思いますが、もし対応をより明確にできるというところがあれば、するという意味で、もうちょっとあれでしょうかね、12ページ(2)というので、酒類(販売)業の健全な発達のための取り組みの中に、イ、ロ、ハ、ニ、全部入ってしまっているので、そこから消費者行政に関るようなところはちょっと抜き出すということですかね。そうすれば、10ページの消費者の観点からというところと行政のフレームワークのところは明確に対応させることができるだろうということでしょうかね。
 それでは、12ページの方の行政のフレームワークにも入っていただきまして、再度、ご検討いただきたいと思います。これは12ページのイというところで、社会的規制の具体案が(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)までですか、括弧書きで5点挙がってきますよね。この具体的な政策というのは、例えば公正な取引環境の整備、(ハ)というのを受けた上で最初に(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)の括弧が出てきているということですか。公正な取引環境の整備のために何かやらなければいけないと、こう13ページで出てくるのですが、その何かやらなければいけないというのを具体案で考えると、12ページの5つの中に入っているというように位置づけられますか。

大柳課長補佐
 いや、これは入っておりません。

奥村座長
 入ってないですね。そうすると、公正な取引環境のためにはまた別の案を何か考えてこなければいけないということですか。

大柳課長補佐
 そういうことです。

奥村座長
 ということは、今日はまだもちろん中途の段階なので完璧なものではありませんので、最終的にはこの公正な取引なども、あるいは業界サポート策なども踏まえたコンクルーションというのでまた政策の具体案が出てくるのですか。

大西審議官
 今のご質問ですが、4の(1)の公的規制のあり方の中に3の公正取引の観点からの手当てで、更に何が求められるかでございますが、これについての直接的な答えというのは足りないものですから、今4にありません。それで、こちらの方の、11ページの方の(4)の何が求められるかという質問で、規制が公的規制なり、取り組みがでて参りましたら、それは12ページの(1)に書きたいと思っておりますし、また、11ページの方で、ここに、例えば、実効性を担保するための必要な手だてを講ずべきではないか、あるいは事業者及び行政は消費者に対しても公正取引の観点からの必要な情報を提供すべきではないかと、11ページの方ですが、書いておりますが、具体的な取引の公正性ということでございますので、具体的なことが余り書けないようでしたら、こちらの方にいわば問題意識を変えて書いたという選択肢もあるのかなと思います。

奥村座長
 そうですか。
 そうしますと、今の審議官のお話を受けてなのですが、12ページの4はあくまで行政のフレームワークになっているので、規制のことだけではないということですね。規制のことだけではなくて、行政のフレームワークを言っていますと。そこの中に規制がありまして、それは(1)で出していますと。規制以外の行政のフレームワークというので、例えば、業界サポート策だとか、あるいは消費者に対する規制以外のいろいろな政策展開だとか、そういったことを考えていきましょうと。
 これは従来のやり方から言いますと、従来は行政のフレームワーク、イコール規制だったということですか。規制以外の酒類業に関する行政というのは、今まではほとんどやってなかったですというふうに見ていいですか。

大西審議官
 必ずしもそうは言ってないと思いますが、さまざまな指導なり助言なりというのもありますので、ここでいう公的規制という場合は、極めて規制色の強いものなり、あるいはこういった事柄について、これは1つのアイデアをいただくペーパーでございますので、これを受けて、例えば、法的手当てとか通達の改正とかという、まさに公的規制の手当てをしようとするものでございますので、今、先生のお話ですと、これの外輪といいますか周辺といいますか、そういう部分について、イと4の(1)と(2)の間になければならないというお話だったものですけれど、それは前の方の議論を整理しつつ整理したいと思います。

戸田酒税課長
 1つは免許等を中心とした酒税の確保という酒税課の役割がございますが、1年半ぐらい前に財務省設置法が施行されまして、酒類業の健全な発達ということも入ったのであります。
 但し従前では、酒類業の健全な発達を念頭に置いて行政をやっていなかったかというと、必ずしもそうではございませんが、しかし多くの場合、免許の運営とスピルオーバーする形でもって産業行政を行なっていたという感覚はあるのではないかと思います。しかし、消費者ニーズが、今皆様方よりご検討されております社会的要請というものも念頭に置いた行政のフレームワークづくりというものが、また新しいと申しましょうか、そういった考え方がされるのではないかなというような形で整理をいたしたいというように思います。

奥村座長
 全くそのお話でよくわかったのですが、1年半ほど前に、設置法の中にこの酒類業の健全な発達が入ってきたということですよね。それはかなり重い意味を持っているのではないですか。それがなかった場合とあった場合で。

戸田酒税課長
 実は行政法としては同じことなのであります。つまり、それは当然のことながら、酒類業の健全な発達というのが明文化されてなくても明文化されていても、それは当然私どもの行政範囲に入っているのであって、もちろん当時の法改正の説明はただ単に行政の役割というものを明確にしたんだ、という説明でございます。新たに盛り込みました効果としては、それは当然のことながら消費者もメーカーの方々も、あるいは流通の方々も、経済の発展の取り組みのためにどういうフレームワークを国税庁がつくってくれるんだろうかというふうな期待感があると思いますので、そういった社会的要請にどう応えていくのかということだろうと思います。

奥村座長
 これは山下先生にお教えいただく以外ないと。
 その設置法に新しくエクスプレシットに文言が入ってきたということは、どういうインプリケーションを持っているのですか。その酒税を取らなくてはいけないので、酒類業は健全に発達していかなければ酒税は取れませんと。だから、それが入っていたのは当たり前のことです、という極端な意見と、もう1個は、そういうのも明確に文言化したということは、酒類とかお酒にかかわることについても、担当課に責任があるし、権限をもってもいいのだというように捉えてはいけないのでしょうか。

山下氏
 私はそういう法律の分野の専門ではありませんので、責任のある答えができないのですが、恐らく、以前からご説明いただいたように、では国税当局は酒税を取ることに専ら集中して権限を行使する仕事をしてきたのかというと、実態の上ではもう少し広い行政をしてきたので、そのことが今の権限規定としての設置法の中に実態に合ったように明確化されたと、そういう趣旨ではないでしょうか。

奥村座長
実態に合わせた……。

山下氏
 その改正によって何か急に大きくなったとか、そういう話ではないです。

井岸氏
 悪く言えば行政の縦割りだと思うのですね。経済産業省、ここの中でお酒に関して面倒を見てくれる部署があるかというと、ないわけですよね。国税庁しかないのですよね。卸売業、例えば、酒の卸売業は、経産省に相談なんか行ったことはないです。行ってもどうにもなりませんから。言ってみれば、国税庁へ行ったらどうですか、と言わんばかりの話だけですから。ですから、それはうたわれて当然であったのだと思いますね。また事実、いろいろな面で、国税庁あるいは局を通してですけれども、いろいろな具体的に指導なり助成ということが行われてきたと思いますね。ただ免許を管理しているだけの話では絶対ないと思います。

奥村座長
 前、私は一度お尋ねをしたことがあるのですが、どの官庁さんがこの産業の育成について関わっておられますか、ということを伺ったことがあったのですけれども、今、井岸先生がおっしゃったような現状があるということと、もう一方は、経産省さんが関わっています、というような話がもう一方にあるということですよね。でも、実際にもし業界の方が何かご相談なさるとすると、多分、国税庁の方にいらしてますよね。それらをもう少しエクスプレシットな文言にして設置法の中に入れていくと。そういう流れを踏まえて、社会的規制緩和をどんどんここへ入れてくるというのだったら非常にわかりやすいのですけれども、何で今ごろ突然「社会的規制」という文言が入ってくるのだということに対して、いろいろな要請があって、それに対してこたえていきたい、それに対して政策的な手当てもしていきたいということで、こういう広い範囲で検討しておりますということでしょうかね。

戸田酒税課長
 実は、山下先生がおっしゃるように、それは過去から現在に至るまで、国税庁の政策は総合的な酒類行政であるということには変わりがないのだというようには思います。しかし、そうは言いながら、ご議論がありますように、過去においてはやはり酒税の確保と、それ以外のことは、例えば、価格面の問題はマーケットに任せようと、そういう感覚でもって私どもやってきたのではないか、というような部分があります。したがって、社会的な何らかの枠組みが必要ならば、場合により、そういうようなことも検討いたしたいと思っていますし、またできると現時点においては明確に規定されていると思っているところでございます。

奥村座長
 今の事柄に直接かかわることでいかがでしょう。
 田中先生は何かご意見ございますか。

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