田中氏
 今のこととちょっと別な観点になるかもしれませんけれども、未成年者が飲酒する原因というのでしょうか、それは、直感でも構わないのですけれども、つまり基本的には、酒屋さんが野放しだからなのか、家庭教育の問題なのか、伝統的な日本人の酒の問題なのか、その辺の感想で構いませんけれども、どの辺が未成年者が実際にお酒を飲むケース、特に車の運転とか事故とか、犯罪に結びつくような未成年者の飲酒というものが、そういうのに結びつくような飲酒の原因というのは、どの辺に考えたらよろしいものでしょうか。

荒木課長
なかなかそういうのは余り分析したことがないので、難しいご質問なのですけれど。

田中氏
 直感でも構いませんけれど。

荒木課長
家庭によっても、いろいろ飲酒の仕方によって違うと思うのですよね。ある国会議員の先生は、私は幼稚園のときから飲んでいたとかおっしゃって、そんなこと先生言わないでくださいと申し上げているのですけれど、そういう家庭の教育もあるでしょうし、あるいは大学になると入学歓迎コンパとか、多分あるのではないかなと思うのですけれどもね。ですから、この間も新聞なんかで、自主的に学園祭なんかの一気飲みはやめましょうとか、そういういろいろな学校とか周りの環境によって原因は大分違うと思うのですけれども、いずれにしても、勉強もし、スポーツもし、将来の日本を担う若者が酒ばかり飲んでいるというのは好ましくないなというふうには思っております。

本間氏
 私、皆様のご発言を承っていて、やはり日本は、青少年の問題でも、事が起こるとすぐ学校が問題になるのですね。私、これは学校ではないように思うのです。今、文部科学省のところを通ってきましたら、河合隼雄先生のシンポジウムがあって、家庭力をパワーアップするための会合というふうに書いてあったのですけれど、はじめてそこに目が行ったように思います。例えば、これは全体で言うことはできませんけれども、アメリカで何か青少年の問題が起こったとすると、それが飲食にかかわることであったとすれば、あるいは健康の問題でも学校ではなくて地域周辺の啓蒙から始まって、非常に手だてを講じるのが早いのですね。健康に関する栄養指導などでもすぐ何か指導が出て、何年かのうちに、つまり血糖値が高いとか、そういう問題が解決される。日本は、言葉は適切でないかもしれませんけれど、啓蒙活動は一体どこでしているのでしょうか。酒に関してうえばみんな常識的なことは、家庭でも、子供たちさえも知っている。売る方だけでなく、全部日本人は知っていますね、大抵。けれども、さらなる啓蒙というのは、どこでしてくれるのか。
 それからもう一つ、一般的に言って非常に日本人というのは規則を無視する人たちだと思うのです。携帯電話、車内で使わないでくれというアナウンスがあっても、守っている子供はいない。大人でさえ守りませんから。その辺の道義感というのも、しかつめらしく考えて非常にかちかちする必要はないのですけれども、社会生活をする上において、自分のためにも他人のためにも、これだけは最低守らなければならないと考えるのは、学校ではなくて家庭のような気がするのです。ですから、文部科学省の家庭パワーアップというシンポジウムは大変結構なことなのですけれども、啓蒙活動というのは、どういうふうにしてこられたのでしょうか。ただ、お酒は未成年には売りませんと、それだけだったのでしょうか。

酒税課長
私も国税庁でございますから、全体としての啓蒙活動につきましては、十全な知識があるわけではございませんですけれども、恐らく家庭教育あるいは学校教育を含めて、社会のさまざまな場でお酒を飲んではいけない、あるいはお酒を売ってはいけないという教育はされてきたはずでございます。具体的に言えば、政府全体としての取り組みをとれるのは昔の総務庁、現在の内閣府になると思いますが、青少年対策室がございまして、ここで全体としての飲酒に関するさまざまな啓蒙活動を行ってきたはずでございます。そのほかに関係7省庁連絡協議会というのがございまして、それぞれお酒に関します関係省庁が集まりまして、みずからの所管の範囲内で努力ができるかということを申し合わせたこともございます。これは現在もやっているところでございます。
それから、恐らく健康という問題から何らかの教育をするということであれば、それは厚生労働省さんの管轄であると思いますので、そういうことも厚生労働省の方で十分シンポジウムなどをいたしたり、あるいは地方の保健所等の教育をされたりというふうなことをしておられると聞いておりますけれども。

荒木課長
ちょっとお酒と離れるかもしれませんけれど、私、ずっと少年の非行の状況なんかを見ておりまして、おっしゃるようにもちろん子供が悪いのですけれども、その保護者はもっと悪いというふうにつくづく感じております。大人が、中には虐待なんかする親もいるのですけれども、そういうことだから、こういう子ができるのだろうなという気はしております。
 ご存じのように昨年、少年法の改正が50年ぶりに行われたのですけれども、その中で、非行少年に対して家庭裁判所が、親に対して審判が終わった後で訓戒指導ができると、そういう規定が実は入ったのです。これは、やはり親が問題だということをきちんとあらわしているのではないかなというふうに思っております。
 私は浅学でよく知らないのですけれど、イギリスなんかでは、そういう非行少年の親には、ちょっと話が酒とずれて申しわけないのですけれど、非行少年の親には一定期間の研修とか、そういう講習を義務づけて、そこに行かないと罰則がかかるというような厳しいことをイギリスではやっているやに聞いているのですけれども、おっしゃったように、日本の社会というのはどうしても、特に酒には甘いですから、やはりそういうカルチャーの問題もありますし、そういった家庭の問題というのが一番大きな問題で、そこをではどうやって、それぞれの省庁がそれぞれの立場で、あるいは一人一人の大人がやるしかないと思うのですけれども、もう全く同感でございます。

奥村座長
 貴重なお話をありがとうございました。
 時間になってまいりましたので、これで警察庁の荒木課長のお話は終わらせていただきます。
 引き続いて、厚生労働省の方にお願いしておりますが、しばらくお待ちください。
 それでは、ただいまから厚生労働省の生活習慣病対策室長でいらっしゃいます高倉様からご説明いただいて、またいろいろお教えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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