日時: 平成28年12月21日(水)10時00分から11時10分

場所: 国税庁第一会議室

出席者:

酒類分科会委員 三村分科会長 佐藤委員(分科会長代理)
  河村委員 篠原委員
  手島委員 広重委員
  吉村委員 渡辺委員
説明者 国税庁 飯塚次長
  山名審議官
  田村酒税課長
  宇都宮鑑定企画官
  宮葉酒税企画官
  磯見企画調整官(兼)酒税課課長補佐
  上丸酒税課課長補佐
  山里酒税課課長補佐
  田中酒税課課長補佐

4.議題

(1) 酒類の公正な取引に関する基準を定める件について

5.議事内容等

【三村分科会長】
 ただ今より第17回酒類分科会を開催いたします。
 私、酒類分科会長を承っております三村でございます。どうぞ宜しくお願いいたします。
 今日は本当にお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。
 本日は、委員の過半数の方々が御出席でございますので、国税審議会令第8条第1項及び第3項の規定に基づき、本会は有効に成立しております。
 国税庁の出席者につきましては、お手元の着席図のとおりでございますので御参照ください。

本日の議題に入る前に、飯塚次長に御挨拶をいただきたいと思います。
 宜しくお願いします。

【飯塚次長】
 おはようございます。国税庁次長の飯塚と申します。
 先生方には、年末の大変お忙しい中、国税審議会酒類分科会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 また、平素から酒税行政のみならず、税務行政全般につきまして、深い御理解と御協力を賜っておりますことを、この場を借りまして厚く御礼申し上げます。
 本日の議題は、酒類の公正な取引の基準の策定についてでございますが、後ほど酒税課長から詳しく御説明させていただきますけれど、簡単に私の方からこれまでの経緯でございますとか、この背景につきましてお話をさせていただければと思います。
 今年の5月でございますが、主に酒類の小売業の状況等に鑑みまして、議員立法という形で、酒税法等の一部を改正する法律が成立したところでございます。この法律の中にいくつか書かれておりますが、主なものはこの酒類業者が遵守すべき公正な取引の基準というものを財務大臣、具体的に国税庁長官が策定すべきということが書かれております。併せてこの基準の策定に先立ちまして、あらかじめ、国税審議会の諮問を経るべしとも書かれております。ということで今日の会議でこの議題を持ち出させていただいているわけでございますけども、2点ばかり補足をさせていただきたいと思います。一つは政治プロセスとの関係ということでございます。先ほど申し上げました通り、この法律は議員立法という形でございますが、この議員立法に至る経緯といたしまして、与党、自民党・公明党の議員連盟の中で酒類小売業等の状況に鑑みて何らかの措置をすべきとの議論が行われた結果、この議員立法に至っているということでございます。したがいまして、私たちが今日の基準案を示させていただく前に、基準の素案につきまして、関係の議員連盟で御議論をいただきまして、この御議論を踏まえて今日の基準案を作らせていただいているということでございます。これが一点でございます。
 それからもう一点、今回の基準作りの背景といいますか、その視点についてです。この議員立法の趣旨というのは酒類業者の過度な価格競争の防止ということですが、一方でこの法律の中には消費者利益への配慮ということも書かれております。従いまして、これら二つのいわば、私どもとしては相反するような二つの要請に配慮する必要があると思っておりまして、この二つの要請のバランスを取りながら、基準案を作ったということでございます。
 いずれにいたしましても、先生方には忌憚のない御意見御議論を賜ればと思っております。
 最後になりますが、酒税の保全、あるいは酒類業の健全な発達のために私ども国税庁として引き続き酒税行政を円滑に進めて参りたいと考えておりますので、先生方におかれましては、引き続き御指導のほどよろしくお願い申し上げます。今日はどうぞよろしくお願いします。

【三村分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、早速ではございますが、本日の議題に入りたいと思います。
 本日の議題は、「資料1 議事次第」にありますとおり、本年12月12日に国税庁長官から国税審議会に諮問のありました「酒類の公正な取引の基準を定める件について」であります。
 まずはじめに、事務局より御説明いただきまして、その後、皆様から御意見等をいただきたいと思います。
 それでは、田村酒税課長、宜しくお願いします。

【田村酒税課長】(議題について説明)
 酒税課長の田村でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、資料の御説明に入る前にお手元の資料の確認をさせていただきたいと存じます。
 資料は5種類ございまして、資料1が「議事次第」、資料2-1、2-2が「酒類の公正な取引の基準(案)」に関する資料、2-3は「参考資料」、2-4は「参考法令」と記載されている資料でございます。もし、お手元にない資料がございましたらお知らせいただければと存じます。
 酒類の公正な取引の基準について御説明させていただきます。本日、皆様に御審議いただく告示案につきましては、御手元の、右上に資料2-2とある縦長のものでございます。ただし、基準の策定の経緯やその背景も含めて、基準を分かりやすく御説明させていただく資料として、横長の資料2-1を御用意いたしましたので、こちらで御説明いたしたいと存じます。
 なお、資料2-3として、最近の酒類業の状況等、本日の御審議の参考となると思われる資料を配付しております。必要に応じて御参照いただければと存じます。
 それでは、資料2-1をご覧ください。
 まず、1ページをお開きください。今般の酒税法等の一部改正法の成立に至った経緯について簡単に御説明いたします。
 酒類小売業免許については、平成15年9月に需給調整要件が廃止され、これに対応する緊急措置法についても平成18年8月末に失効しています。その後、酒類小売業においては、コンビニやスーパー、ドラッグストア等の異業種の参入が進んでおります。
 緊急措置法の失効に併せて、国税庁においては「酒類に関する公正な取引のための指針」を公表し、指針に則していない取引を行っている酒類業者に対しては、改善指導を実施してまいりました。
 しかしながら、指針に則していない取引が見受けられる状況は残念ながら継続しており、こうした状況等を踏まえ、本年5月に議員立法により、衆議院では全会一致で可決、参議院では反対議員1名での可決により、酒税法等の一部の改正がなされたところでございます。
 本一部改正法は、6月3日の公布日から起算して1年を超えない範囲において政令で定める日から施行することとされております。
 次に、2ページをお開きください。先ほど申し上げた「酒類に関する公正な取引のための指針」に基づき国税庁において行っている取引状況等実態調査の実施状況でございます。
 中程の表のルール1にございますとおり、平成26事務年度は、調査を実施した1,458場のうち1,401場というように、大半の販売場におきまして、合理的な価格の設定に関して問題が認められたという状況にございます。
 ただし、この1,401場の中には、廉売の程度が軽微であったり、その期間が短い事例も多く含まれております。
 一方、独占禁止法に違反すると考えられる場合には、同法に基づき公正取引委員会に報告を行っておりますが、上の表の右側にありますとおり、その件数は年間16件となっております。
 また、「ルール4」をご覧いただきますと、リベート類の提供が透明かつ合理的でないと認められたものが140場ほどございます。
 こうした指針のルールに則していない取引が認められた場合には、国税当局より当該酒類業者に対し、改善指導を行っています。
 次に、3ページをお開きください。ここでは、今般の改正法の概要を記載してございます。改正法の目的は資料の上の囲みにある通り、「過度な価格競争の防止等」でございまして、その内容は大きく2点ございます。
 1点目は、酒類の公正な取引な基準の制定でございます。
 この公正な取引の基準は、財務大臣が定め、告示することとなっております。そして、この基準を定めるに当たっては、あらかじめ国税審議会への諮問を行うこととなっており、本日はこの基準について御審議いただくため、皆様方にお集まりいただいているところでございます。
 基準の策定に当たりましては、消費者の利益を損なうことのないよう留意することとされております。また、この基準を遵守しない酒類業者に対しては、これを遵守するよう「指示」を行うことができることとされており、この指示に従わない場合にはその旨を「公表」することができることとされております。さらに、酒税の円滑かつ適正な転嫁が阻害されるおそれがある場合には、「命令」を行うことができ、これに従わない場合には「罰金」や「免許取消」に至り得ることになっております。
 さらに、質問検査権が拡充され、これまでは酒類業者のみが対象でしたが、今後は調査先の取引先、例えば運送業者や銀行等についても質問検査の対象とすることができることとなっております。
 最後に、財務大臣と公正取引委員会との間との連携強化については、これまでは国税当局から公正取引委員会に一方的に報告を行っていたところでございますが、今後は公正取引委員会から国税庁に対しても基準違反が疑われる取引について報告が行われることとされております。
 2点目は、酒類販売管理研修の義務化です。こちらにつきましては、国税審議会への諮問事項ではございませんので詳しい説明はいたしませんけれども、酒類販売管理者の研修受講や一定期間ごとの再受講を義務付けるとともに、酒類販売管理者の氏名等を店舗に掲示することも義務付けるものでございます。
 4ページをお開き下さい。最初に私どもで考えております基準案の項目と考え方を簡単にお示ししております。
 それぞれ次のページ以降で詳しく御説明させていただきます。
 5ページをお開きください。ここでは、基準の目的を記載しています。
 酒類が、酒税の課される財政上重要な物品であるとともに、致酔性及び習慣性を有する等、社会的に配慮を要するものであるというその特殊性に鑑み、酒類の販売価格は、一般的にはその販売に要する費用に利潤を加えたものとなることが合理的であるとの考え方の下、酒類の公正な取引に必要な事項を定め、酒類業者がこれを遵守することにより、酒税の保全及び酒類の取引の円滑な運行を図ることを目的とする、としております。
 これは、酒類の特殊性を踏まえ、議員立法の趣旨説明で示された考え方、及び国税庁が従来から運用している「指針」に示されている基本的な考え方を明記するとともに、今回策定する基準の目的を明記することにより、これまでの取組との継続性を確保することを趣旨としています。
 6ページをご覧ください。ここでは、「酒類の公正な取引の基準(案)」のポイントをまとめております。
 まず、上段の囲みは基準そのものの内容でございますが、酒類業者は、1正当な理由なく、酒類を総販売原価を下回る価格で継続して販売する取引であって、かつ、2自己又は他の酒類業者の酒類事業に相当程度の影響を及ぼすおそれがある取引を行ってはならない、というものです。
 次に、下段の囲みですが、酒類業者が基準に則した価格設定を行うために必要な各種計算方法について明確化しております。
 まず、リベートについては、1支払の基準が明確に定められており、取引の当事者間において事前に共有されている場合であって、2酒類の仕入れと密接に関連するものに限り、当該リベートを仕入原価から控除できるものとしております。
 また、酒類事業と他の事業に共通する経費がある場合には、この共通経費は合理的な方法により各事業に配賦することとしております。
 それぞれ、次のページ以降で詳しく御説明いたします。
 7ページをお開きください。
 1つ目のマルについてでございます、総販売原価を下回る価格での販売かどうかでございますが、現行指針でも総販売原価を下回る価格での販売に対しては改善指導を行っているところです。なお、総販売原価とは、卸・小売の場合は仕入原価、製造の場合は製造原価となりますが、それらに加えて、倉庫費や運送費のような販売費と、本社の賃料・人件費のような一般管理費を加えた合計額のことでございます。
 そして、2つ目のマルでございます。酒類事業への影響につきましては、ページ中段に1から6で掲げている6つの要素で判断することとしております。
 まず、1について、どれだけ総販売原価を割って販売しているのか。例えば、仕入原価を下回る販売であれば、酒類業者への影響はより大きくなると考えられます。また、廉売した数量は多いほど、期間は長いほど、品目数は多いほど、酒類事業への影響は大きくなると考えられることから、このような「廉売の程度や特性」について調査し、その状況について考慮いたします。
 2についてでございますが、一般的に廉売を行うのが小規模な事業者であれば、酒類業者への影響を及ぼすおそれは小さいと考えられます。一方で、取扱数量や地域でのシェアが高い業者が廉売を行っている場合には、酒類業者への影響を与えるおそれは大きいものと考えられます。このような「事業者の影響力」について調査し、その状況について考慮いたします。
 3についてでございますが、事業者の適切な経営努力により各種の費用を節減して実現した安値での商品の販売、こういったものを広告・宣伝することは全く問題ないと考えております。しかしながら、総販売原価を下回るような廉売商品を目玉商品として広告・宣伝をすることは、これにより例えば、周辺の酒類業者の顧客が当該廉売業者において購入することもありうるなど、酒類業者への影響は大きいものと考えられます。また、広告・宣伝を実施する範囲を調べることで、影響の広範性についても判断できることから、このような「広範性・廉売の目的」について調査し、その状況について考慮いたします。
 これまでの1から3の観点から影響を与えるおそれがあると見込まれる場合には、実際に、周辺又は自己の酒類事業に具体的な影響があるのか、次の4及び5の項目についても調査します。
 4についてですが、ある酒類業者の廉売行為によって、周辺の酒類業者において、廉売対象酒類の売上高が減少した、利益率が低下した、または対抗廉売を余儀なくされた、というような「他の酒類業者の影響度」について調査し、その状況について考慮いたします。なお、※印でございますが、影響の有無を判断する対象とする周辺事業者の範囲については、単に地理的・距離的な範囲ではなく、店舗の態様やインターネット販売かどうかといった販売の態様等についても考慮して判断することとしております。例えば、インターネット販売についていえば、インターネットで販売している酒類業者の物理的な事業所周辺の酒類業者への影響度を調べるのではなく、その事業者の顧客が所在する地域における酒類業者の影響度を調べることとしたいと考えています。
 5についてでございます。廉売行為により法目的である酒税の保全等に影響が生じる場合もあり得ますので、廉売を行った「当該酒類事業者への影響度」について調査し、その状況について考慮いたします。
 以上に加え、6でございますが、廉売業者の過去の改善指導の状況、すなわち、従来から実施しておる国税庁の指針に基づく改善指導を受けていたにもかかわらず、基準に違反した取引を行うような場合には、影響を与えるおそれがあると考えられることから、このような「反復性」についても考慮いたします。
 これらの各要素については通達において規定したいと考えておりますが、「相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかどうか」については、これらのすべてを満たす必要があるわけではなく、個別の事案ごとに、それぞれの要素を総合的に勘案して、判断することといたします。
 以上御説明いたしました基準案については、単に価格面のみで判断して指示等を行うものではなく、廉売行為が酒類業者の酒類事業に相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかについて、1から6の項目について丁寧に確認をし、判断する仕組みとしていることから、法目的である「過度な価格競争の防止」と、改正法に規定されている「酒類業者の適切な経営努力を阻害して消費者利益を損なうことのないように留意する」こと、との両立が図られているものと考えております。
 8ページをご覧ください。原価等の計算方法の明確化について御説明いたします。
 まず、1つ目のマル、売上原価の額は、酒類の取引形態に応じて銘柄・品目の仕入ごとに算定することとしております。
 次に、2つ目のマル、先ほども申しあげた通り、リベートについては、売上原価等の算定を適切に行うため、「支払基準が明確に定められていること」、「当該支払基準が取引の相手方に事前に示されていること」、「対象酒類の仕入と密接に関連するリベートであること」の3つの要件をすべて満たす場合に限って仕入価格から控除可能としております。
 これに照らして、3つ目のマルですが、リベートのうち、例えば次のようなものについては仕入価格から控除できないものとして通達で規定いたします。
 1つ目のチラシ協賛金ですが、例えば小売店がセールをする際の広告に、酒類を掲載するためとしてチラシ協賛金の名目でメーカーや卸売業者からリベートを収受することがありますが、このような広告費や販売活動費の補助については、酒類の仕入れと密接に関連するものではないことから、仕入価格から控除できないこととします。
 2つ目の別の商品ですが、例えばビールの仕入れの際に、発泡酒や食品といったものがリベートとして添付されることがあります。これらについても、特定の酒類の仕入れと密接に関連するリベートではないため、仕入価格から控除できないこととします。
 3つ目の事後的に額が判明するリベートとは、当該酒類の販売時点において額が判明していないリベートを指します。適切な販売価格の設定のためには、販売時点で当該酒類に対するリベートの額が判明していることが必要であるから、このようなリベートは仕入価格から控除できないこととします。
 最後は、例えば赤字を補てんするために裁量的に提供されるリベートですが、支払基準がない、もしくは支払基準が事前に示されていないことから、仕入価格から控除できないこととします。
 こうしたことは、資料2ページでも御説明した通り、現行指針のルール4において、リベートは「透明かつ合理的」でなければならないと定められており、今申し上げた事例についても、これまで取引状況等実態調査においてそうした事例を把握した場合には、改善するよう指導してきているところでございます。
 なお、※印のところですが、これらの規定は、一般的な商行為であるリベート自体を禁止するものではない旨、確認的に記載しております。
 そして、最後のマルでございますが、スーパーやドラッグストアのように酒類以外の商品も取り扱っているような事業者について、他の事業に共通する経費がある場合には、売上高比率や仕入高比率といった実情に即して合理的と認められる配賦方法に従って配賦することを規定したいと考えています。
 このところ、異業種による酒類小売業への参入が増えております。中には、酒類事業が赤字でも、他の事業を含めた事業全体では黒字であるので、廉売の程度は大きくないと主張する事業者もおられるようでございます。今般、この規定を設けることで、このような事業者に対しても、明確に酒類事業のみで判断できることになると考えております。
 なお、共通費用の配賦の際には、各事業者がすでに採用している会計基準に従った配賦方法となることが一般的と考えております。
 9ページをご覧ください。
 国税庁と公正取引委員会の連携のイメージでございます。
 従来、国税庁の調査において、独占禁止法に違反する事実があると考えられる場合には、独占禁止法に基づき公正取引委員会へ報告を行ってきたところです。
 今般の法改正により、国税庁と公正取引委員会の間での双方向の報告制度が創設されたことにより、公正取引委員会から国税庁に対して新たに報告する枠組みができました。これを踏まえ、国税庁と公正取引委員会の間での情報共有・連携を強化し、酒類の公正な取引環境の整備についてより実効的な枠組みを構築してまいりたいと考えております。
 具体的には、報告制度の創設と併せて公正取引委員会と国税庁との協議を基準に明文化し、これを通じて豊富な経験・ノウハウを有する公正取引委員会と国税庁の間で緊密に連携していきたいと考えております。その結果、両者の対応に大きな差が生じることがないようになると考えております。
 また、今般の改正法においては、先ほども申しあげたように、質問検査権の拡充も行われております、酒類業者だけでなく関係事業者までその対象に加えられておりますので、例えば酒類業者の取引先である銀行や運送業者等へのいわゆる反面調査が可能となります。こうしたことにより、これまで以上に効果的な調査が可能となると考えております。
 10ページをお開きください。
 以上御説明申し上げた基準の内容と現行の指針との関係及び運用でございます。
 まず、指針でございますが、これは酒類業者の現場に十分浸透していることから、今般の基準の策定に際し、必要な見直しを行った上で、引き続き、指針に則していない取引があった場合には、改善指導を行ってまいりたいと考えております。
 次に、公正な取引の基準の運用でございますが、先ほど御説明させていただいた取引を対象としまして、その基準を遵守しない場合には、資料の下方にあります通り、指示から免許取消に至りうる行政処分で是正してまいる、そのような運用を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、11ページをご覧ください。今後のスケジュールでございます。
 まず、これまでの状況を御説明いたしますと、冒頭、当庁次長から挨拶させていただきました通り、基準案につきましては、議員立法について検討してこられた与党の議員連盟等において本年秋以降、国税庁から基準の素案を示させていただき、御議論いただいてきたところでございます。本日はそうした議論の上で基準の案というものを策定いたしましたので、審議会の方にお示ししているものであります。
 次に、今後のスケジュールでございますが、改正法の施行日は、公布日である本年6月3日から起算して1年以内とされており、29年6月頭に施行されることと存じます。
 それを踏まえたスケジュールとする必要がございますので、本日の国税審議会酒類分科会での御審議の後に、29年1月あるいは早ければ本年年末にも、パブリックコメントを実施し、2月にはその回答を行い、3月には公正取引委員会との協議を行ったうえで、公正な取引の基準の告示を行い、また、酒類販売管理研修の義務化に係る省令、こちらは、定期研修の期間を3年ごとと定めたり、酒類販売場に掲示する標識の記載事項を定めるものですが、こちらの省令の公布を行うことといたします。
 そして、4月・5月には周知・広報を行うことといたしますが、本改正は小売業者をはじめ、卸売業者や製造業者の計約20万場に関係するものでございますことから、改正法の内容等について、各酒類業者に十分御理解いただくため、1月のパブリックコメントの実施段階から、消費者の方々も含めてしっかりと広報・周知を行っていきたいと考えております。
 このスケジュールに基づいて、来年6月頭に見込まれる法律の施行に万全を期してまいる所存でございます。
 以上で私からの資料説明は終わります。

【三村分科会長】
 ありがとうございました。それでは、ただ今御説明いただいた事項につきまして、委員の皆様から御意見をうかがいたいと思います。委員の皆様に御発言いただきたいと思いますので、わたくしから御指名させていただきますので、よろしくお願いいたします。それではまず、佐藤分科会長代理、いかがでございましょうか。

【佐藤分科会長代理】
 意見といいますか、御質問させていただきたいのですが、今御説明いただいた資料の2ページのこの実態調査の場数は1,458場となっております。全体の20万場のうち1%弱の比率になりますが、これはどういう条件で選定されているのでしょうか。

【田村課長】
 御指摘のとおりでございまして、この一般調査につきましては小売業者に限らず卸売業者や、あるいは製造業者を対象としておりますので、この対象となりますのは約20万場ということでございます。そうした非常に多くの対象となる酒類業者の中で、こちらの指針の中で
 ルール1「合理的な価格の設定」、ルール2「取引先の公平な取扱」、ルール3「公正な取引条件の設定」、ルール4「リベート類の透明かつ合理的な提供」というルールにつきまして、それぞれの地域におきまして比較的守られていないのではないかといったような状況が見受けられる事業者につきまして、国税庁が把握している情報もございますし、関連する事業者の方々からの情報提供をいただく場合もございますけれど、そういった方々の中から、私どもの調査人数のマンパワー等も勘案しまして、調査する必要があるという事業所に対して毎事務年度必要な調査を行っているということでございます。よろしくお願いいたします。

【佐藤分科会長代理】
 ということは、全く無作為な抽出等いうことではなく、ある程度、広告等で事実を把握した業者に対して調査を行っているということですね。

【田村課長】
 無作為な調査ではないということは御指摘のとおりでございます。

【三村分科会長】
 それでは、少しまとめて御意見をいただいたうえで、事務局の方から回答させていただきたいと思います。それでは、続きまして河村委員いかがでしょうか。

【河村委員】
 御説明いただきましてありがとうございます。今般このような取引の基準策定ということで大変結構なことだと思います。ただ最初に御説明くださいましたように、過当な廉売の防止と消費者利益の保護ということで、それはある意味トレードオフでもありますので、そのバランスをどうとるか非常に難しいところかなと思います。それで資料の7ページのところで公正な取引の基準ということで御説明くださったとおりで、子供の受けるテストのようにいくつマルだったとか、そういう話ではなく説明のとおり各項目に係る具体的な判断はそれぞれ案件ごとに判断されて、全体としても総合的に勘案ということで、本当にこれで結構だと思います。税務署なり国税庁のほうで税務調査、お酒の関係に限らずたくさんノウハウを蓄積して持ってらっしゃると思いますので、何が社会的に見て公正で国税を徴収する時に公正かという物差しをお持ちと思いますので、ぜひお願いしたいと思っております。
 細かいところで恐縮ですが、いくつか意見がございまして、私自身消費者でもあり主婦でもありますので、こういうものがどう見えるかといったところで話をしたいと思います、お酒に限らないのですが、昔と小売りの状況が違っているところがあると思うんですね。新聞に特売の折り込みチラシを挟んで、ということを今でもやってはいますけど、そういうルートを頼らないような販促がもうかなりかけられている。世の中の一般的な傾向として、新聞を読む人が結構減っていて、皆さんだれでもスマホを持っていて、ネットなり、SNSなり、お店の方もそれをよくわかっていて、それで販促をかけている。ですからたとえばこの中でおとり商品で広告の状況というのが、実際にチラシが新聞に折り込まれていなくても十分にその当該地域の消費者に別のルートで伝わっているということもありますので、各税務署で調査されるときにはそういったところも見逃さずに有効につかんでほしいということが一つですね。
 もう一つはいろんな販売ルートがあるということで、ネット通販みたいなものもあるということはもう御説明くださった通りなのですが、この手のもの、一つ消費者から見て共通の特徴があると思うのは、お酒、高いものから安いものまでいろんなものがあると思うのですが消費者にとって共通するのは、どれも重たいんです。重たいということは、持って帰るのが大変なのですね。そうすると我々の目からすると、同じ値段で街の酒屋さんで売ってくれるとしても、サービスで配達して下さる所もあるかもしれないけれども、だいたい販売のシェアを伸ばしているところ、参考資料の方でも、グラフでいかにスーパーとか量販店とか業務用卸主体店とかがシェアをここ数年で上げているかがわかると思いますけど、そういったところが何を武器にやっているかというと、単価、そのビールの1ケースの値段だけじゃないのですよね、ケースで買えば送料無料とか、無料になる地域がどのぐらいのエリアかということで、要するにここのスーパーならスーパーで結構営業しているエリアが広くっても、どの地域のほかの街の酒屋さんが影響を受けるか、そういうところからも判断できますし、消費者にとっての実質的な価格という意味もありますので、総販売原価の計算の時の販売費及び一般管理費のところで運搬関係の経費というのも入るのかもしれませんが、消費者の目に入っていく価格という面で、単にチラシとかで言われているものと、ちょっと違うことがよくあります。私が知っているところでは特売期間中お酒をケースで買えば他の商品の配送料も全部無料というところもあります。だいぶ世の中の小売りの状況は変わってきていて、高齢化も進んでいたりとかで昔と違ってみんながお店に行って買えるという状況でもない。地方であれば車を大体皆さん持っていて、駐車場もいっぱいありますから、車で行ってまとめ買いもできるかもしれませんけど、都心はそういったこともなかなかできない。というので今申し上げたような意味も大きくなってくるかと思いますので、その地域の特性、それから時代の小売りの状況にも合うような形でぜひいろいろ、いろんな情報をキャッチしていただいて、公正な御判断を各税務署や国税庁の方でしていただければありがたいと思っております。以上でございます。

【三村分科会長】
 では篠原委員いかがでしょうか。

【篠原委員】
 こういう事例はどうするのかということで、一つ出してみたいと思うのですが、大手の小売業者が廉売をしているので、調査に入った。しかし実際に書類を調べてみると、卸売業者の方がかなりの値引きをして、大手小売業者は廉売ではない。数字上廉売ではないけれども、この卸売業者への見積書を出すときに卸売業者にプレッシャーをかけて安く納入させる。卸売業者の方は本意ではないのだけれども、それをしないと取引の問題だとか、店頭から姿を消すといったプレッシャーがかかる。だから大手小売業者に実際調査に入って書類を見る限りでは廉売ではないけれども、実際は廉売といえる。そういう経緯があるときにはどうするか。書類上は何ともしようがないのだけれど、どういう指導をされるのか、そのあたりが、この法律の中では、立派な法律なので批判するところを申し上げることはないんですけれど、実際我々が商売やっていて、その事例を指摘されても、これは公には言えない、言ってしまうと大手小売業者から締め出される。このあたりをどう運用でやっていくのかなというのが、不安といいますか、このあたりが周りから見ても「やっぱりそうだね」という裁定が出るように運用の面で考慮してもらいたいというのがある。それが一番気になっている点なのでお話し申し上げました。以上です。

【三村分科会長】
 ありがとうございます。では手島委員お願します。

【手島委員】
 少しわからないところがあるんですけれども、7ページで総販売原価というところで、今回の酒類というのは、結局、ビール、ワイン、日本酒、あらゆるものが対象になっていて、かつ、国産、輸入全部含まれるわけですよね。そうするとこの仕入原価とか製造原価というところの考え方とか仕入れ方に違いがあって、そういうことに関してはこの法律が実際にこの7ページの1番のものに該当するんじゃないかということを考え、調査に入った時、その辺のことはどのように考慮されるのか、判断されるのか。その仕入原価という部分に関してのことについて少々教えていただければと思います。

【三村分科会長】
 輸入品か国産かの違いで考え方が違うのではないかということでしょうか。

【手島委員】
 輸入か、国産か、加えて酒類によっても原価の考え方が違うのではないでしょうか。

【田村課長】
 それでは、私の方から順番に御回答させていただきたいと存じます。補足があれば、また補足していただければと存じます。まず、河村委員の方か大きく2点お話しいただいたかと存じます。1点目がいわゆる広告につきまして従来型の紙媒体のチラシといったものでない、スマホなどを使った、いわゆる電子的な広告といったものも多様化しておりますのでそういったところも注意すべきという貴重な御意見御指摘だったかと存じます。私どももここで書いてあります広告といったものは、単なる紙媒体に限らず電子媒体によるものも含めてしっかりと実情に応じてきめ細かく調査していきたいと考えております。それから2点目のお話でございますが、インターネット販売業者などが典型でございますが、お酒の消費者への輸送について、無料扱いをしているといったケースについてのお話でございました。私どものこの基準の総販売原価を計算するにあたりましては、インターネット販売に限りませんけれども、ある酒類業者さんが実際に運送業者さんにお支払いになっておられる費用というものに着目をして、そこを原価として計算していくとさせていただきます。

それから、篠原委員の方から、個別具体的な事例についてのお話を頂戴いたしました。こういった調査につきましては、個々の案件について、案件の実情に応じてきめ細かく調査をさせていただくということになりますので、個別の事案についての御答弁というのはなかなか難しいというのは委員もよく御案内と存じます。あえて一般論として申し上げさせていただきますと、私どもの基準におきまして先程私どもの方から御説明申し上げましたように、一般的にその廉売の原資になっているものの中には不透明・不合理なリベートといったようなものがあると言われているところではございますので、そういったところにつきましてはこの基準におきまして原価に算入して控除することができないこととしますので、そういったところがまず一つ影響してくるのではないかと考えております。さらに、小売業者と卸売業者のお話を頂戴いたしましたけれども、これもまた一般論ということになりますが、私どもはこの法律の施行後も独占禁止法に仮に違反するというような事例を私どもの調査で仮に把握した場合には、公正取引委員会当局に引き続き報告をいたします。したがいまして、仮に大手の小売業者と卸売業者の関係でそういった事例に該当するものが万一ありましたら、それは個別事案に応じて適切に法令にのっとって対応させていただくこととなると思っております。いずれにしましても、委員もおっしゃられましたとおり運用ということにかかってくるかと思っておりますので、私どもといたしましてはこの法律の施行後は適切に運用してまいりたいと考えております。
 それから、手島委員の方から、総販売原価の仕入原価についての輸入品と国産品との違い、あるいは、それに限らず、酒類、ビール、ワイン、日本酒と様々ございますので、それらについての総販売原価の計算方法についてのお尋ねがございました。まさに御指摘の通りかと存じます。輸入品、あるいは国産品に応じまして、実際の仕入原価といったものはそれぞれ、輸入品でありましたら、実際にその輸入品を仕入れた価格がいくらかということになるかと存じますし、仮に国産品にいたしましても、小売業者が仕入れる先が卸売業者であったり、あるいは直接製造業者から仕入れていたりと、これは非常に種類、取引に応じて多種多様であるかと存じます。ただ、いずれにいたしましても、どのような種類、輸入品あるいは国産品でありましても、この総販売原価というものは、私どもは計算ができると考えておりますので、そこは適切に計算していきたいと考えております。何か補足があればお願いします。

【山里補佐】
 篠原委員から御指摘あったのは、大手小売業者からのプレッシャーを卸売業者が受けて、書面上では小売業者の方は基準上は問題ないといケースかと思います。そういった部分については、酒税課長からお話させていただいた通り、どちらかというと優越的地位の濫用というようなことになってくるかと思います。我々も調査の中でそういった実態を把握した場合には、今お話させていただいた通り、従来の公正取引委員会の調査の範ちゅうの中でしっかりやっていただくということになると思いますけれども、今回基準の中でも、まさに我々が独占禁止法違反と思慮する事案がある場合には報告をして、かつ、その時に協議をすると書かせていただいておりますので、従前よりもより深堀りというか、しっかりとした対応をまさに運営の中で実現していくということになるかと思います。もう一点申し上げますと、今回の基準の前からありました、平成18年に出された指針の方ございますが、こちらの方も当然基準が策定された後も従来通り運用していきますが、今回の基準の策定に合わせて平成18年の指針も必要な部分を見直しもさせていただければと思っております。そういった中で、今御指摘いただいた部分も含めてどういった見直しができるかどうか考えていきたいと思います。以上でございます。

【広重委員】
 大変分かりやすい御説明をありがとうございました。消費者の代表として、今回のこの基準で消費者の利益を損なうことないように留意ということがございまして、大変にありがたいことだなと考えております。一方で、このようなお話がございますと、例えば以前にはビール系飲料の中でそれまで第三のビールだったものが、発泡酒ではないかということで値段が上がったかなと記憶しております。また、これは国税庁とは無関係なことですが、例えば消費者問題の分野では加工食品の表示の問題ですとか、あるいは食品の異物混入のような問題が連日報道されてございまして、色々な身近な飲食品の値上がりが懸念されている状況が続いていると考えます。このような時期にこのお話なので、またお酒の値段が上がるのではないかという消費者の漠然とした不安というのが潜在的にございます。できればそこを払拭するような、その20万場関係する事業場がある中でその現状ですと公正取引委員会報告件数は16件ということですので、そういう例外的なレアケースです、本当に悪質なごくわずかな話なのでそういう不安にはつながらないということを、どこかで払拭するような消費者に対する分かりやすい説明をお願いしたいと思います。今日御説明いただきました11ページのスケジュールの方にも、残念ながら広報・周知というところは酒類業者さんが対象ということでございます。消費者へ向けてもそのような御説明をしていただけると消費者の漠然とした不安が払拭されるのではないかと思いますので、そこをぜひよろしくお願いします。以上です。

【吉村委員】
 全体像について大変わかりやすい説明をどうもありがとうございました。この場で質問していいか分からないほど細かい質問ですが、2、3点もしお分かりであればお願いいたしたいと思います。まず6ページあるいは7ページのですね、「酒類業者の酒類事業に相当程度の影響を及ぼすおそれがある」と、「相当程度」という表現を使っておられるのですが、法律の表現としてよく出てくるのは「著しい影響」の「著しい」という用語なんですけども、あえてそういう用語を使わなかったということは、著しいという程でもないような程度までも含むという、そういう趣旨でお使いになっておられるのかどうかという、相当程度の意義ですね。これはまず1点でございます。2点目の御質問は、酒類の事業に相当程度の影響を及ぼすという場合には、おそらく通常小売業者が念頭に置かれておられると思うのですが、卸売業者も当然含まれるということだとすると、卸売業者の行為が取引先の小売業者、あるいはその取引先にない小売業者に対する影響ということについてもこの中に含めて読むことになるのかどうかということが2点目です。そして3点目はですね、8ページに関係してくることですが、仕入価格から控除できないリベートと控除できるリベートというのを比較的明確な基準で分けられていると思いますが、例えば報奨金といいますか、ある程度の数量を売った時に、何かお金がいただけるというようなリベートがあった場合、この場合には基準においては取引相手宛に純粋にされていれば、金額が分からなくてもこれは控除できるという理解でよろしいかどうかという点が3点目でございます。
 4点目も大変細かい点で恐縮ですが、9ページの指示と命令の違いですね。指示のバックグラウンドは公表で、命令のバックグラウンドは罰則と違いはあろうかと思いますけれど、どちらもその公表とか罰則というような不利益な措置があるということだとすれば、両方とも取消訴訟の対象になる。命令が対象になることは間違いないのでしょうけれど、指示についても取消訴訟の対象になるということであろうと思うのですけれども、そういう理解でいいのかどうかという点です。そして、第5点、最後の点でございますが、不利益処分をする際には行政手続法の趣旨からいうと、弁明手続もしくは聴聞ということをやらなければならないということですが、命令をやる前に弁明あるいは聴聞の手続をやるのか、指示の前にやるのかというようなことについても、事前手続ですね、行政手続法がそのまま適用されるかどうかちょっと記憶にないのですが、ひょっとしたら適用除外になっているかもしれませんが、その点についても分かれば教えてもらえれば結構でございます。

【渡辺委員】
 これまでの説明、取引に関しては良く分かりました。私は全般的なことですが、目的の最初に酒類は致酔性や習慣性を有しており社会的配慮を要するという前文があって、背景や必要性について明記して、これができていると書かれている。ここに書かれている内容はおそらく普通の取引の一般的な基準を書いてあるだけであって、どこに酒の特徴があるのかよく分からない。単にこれは価格を決めるルールを作っているのだろうと思うのですが、こういう例えばお酒飲みすぎはよくないとか、厚生労働省は1日1合が適量とかいっておりますけれども、それに対する何らかの考慮は基準の中に入っているのかどうか、これは単に価格を決めているという価格の有無だけですよね。前文の目的に書かれていますが、それがどこに入っているのかなという疑問です。将来的にもしコストがもっと下がるような場合、それにある程度利益を乗せても当然に値段は下がるわけですけれども、それに対しても何らか、例えば、たばこのように税金をかけて値段を維持するとか、あまり下げないとか将来的に考えるかどうかの2点です。

【田村課長】
 それでは順番に答えさせていただきたいと存じます。まず、広重委員から消費者への周知・広報の重要性といった御指摘を頂戴いたしました。私も資料の文には書いておりませんでしたけれど、あえて御説明の中では消費者の方々にもしっかりと広報させていただきます、ということは御説明させていただいたかと存じます。いずれにしましても、広重委員の御指摘極めて重要な点でございますので、酒類業者だけでも20万場ございますけれども、実際に酒を購入しておられる消費者の方々へもこの基準の内容につきましてしっかり分かりやすく御理解いただけるように、パンフレットを作成したり、HP等を活用したり、あるいは説明会を行ったりとか様々な工夫をしまして、周知を図っていきたいと考えておりますので、またその節はどうぞ宜しくお願いいたします。
 吉村委員からは、かなり技術的な御質問を頂戴させていただきましたので、まず渡辺委員の部分に先にお答えさせていただければと存じます。渡辺委員がおっしゃられた通りでございまして、この基準の目的は過度な価格競争の防止ということでございまして、先生がまさに御専門であられるアルコール健康障害対策、あるいは未成年飲酒の防止といった観点は含まれていないと、これは御指摘の通りでございます。他方、私も冒頭御説明申し上げましたけれども、この法律案の趣旨説明の中におきまして、酒類が国の重要な財政物資であるとともに、アルコール飲料として致酔性や依存性を有する社会的に配慮を要する特殊性を持っているという点について、この法律案の改正がなされるときに立法府の趣旨説明でそういった指摘が言及されたところでございます。いずれにいたしましても、先生にも御協力いただきましたけれども、本年の5月末にアルコール健康障害対策基本法に基づき、アルコール健康障害対策推進基本計画を政府が策定しておりますので、この基準の中にはそういったものは入れておりませんけれども、国税庁としましては酒類業者に対しまして未成年者への販売禁止等のアルコール健康の観点から必要なことはしっかりと取り組んで参りたいと考えております。それから、補足をお願いするかもしれませんけれども、私から可能なところをお答えさせていただきたいと存じます。まず、吉村委員から御質問がございました、卸売業者の調査において周辺の事業者への影響という際に、同業の他の卸売業者に加えて、取引先である小売業者の方々も対象になるのかという趣旨の御質問だったかと思いますけれども、そこは同様に基準上影響をうける酒類業者を同業の方に限定していません。基本としましては周辺の卸売業者の状況と当該卸売業者の仮に基準の違反があった場合に、それが周辺の同業の卸売業者に、どのような影響が出ているかということになりますけれども、製造業者や小売業者に関しましても全く排除しているというものではないという整理かと考えております。それから、指示と命令の違いというところでございますけれども、ここは取消訴訟の対象になるかという御質問だったかと存じます。ここは先生の方が御専門であられるかと存じますけれども、訴訟の対象になるかについては、後ほど付け加えさせていただきます。あと8ページのところでリベートに関しまして、先生は報奨金というキーワードをおっしゃっておられましたけれども、そうしたリベートにつきましては、先生もおっしゃっておりましたけれども、私どもの基準に盛り込むリベートに係る3要件を満たしておれば、額が確定していなくてもそれは控除ができるとなろうかと考えております。それともう1つ、まさに先生の御専門の行政手続法の観点からの弁明・聴聞というお話もでましたけれども、そこは担当の補佐からお答えさせていただければと存じます。宜しくお願いいたします。あと、相当程度と著しいとの差についての御質問ございましたけれども、ここは恐縮ですけれども単なる影響ということではなくて、最終的に免許取消まで至りうるということでございますので、単なる影響を及ぼすおそれではなくて、相当程度の影響を及ぼすおそれがあるという認定が必要であろうと考えて、相当程度と書かせていただいたところでございます。著しいとの差というところについてはさほど厳密に捉えているところではございません。むしろ、単なる影響ではなく、相当程度の影響がでているという事実認定が必要であろうと行政処分との内容の関係から考えて規定させていただいているところでございます。

【山里補佐】
 いくつか追加で答えさせていただきます。御指摘ありました訴訟のお話は、先生の御専門ですので私よりお詳しいですけども、基本的には、指示までは行政処分には該当せず、命令からが該当するというくくりになってこようかと、不利益処分という意味でですね。そういう意味では外形的には命令から取消訴訟に入ってくるという考え方もありうるのですけれども、御案内の通りですが、昨今の裁判例等を見ていると、やはり必ずしも不利益処分ではない部分についてもそういった訴訟の可否というのは御議論もあるようですので、指示まで含めてその可能性はあるのかと考えております。したがって、我々としては、命令は当然ですけれども、指示を出す際にも対象となる酒類業者に対して取引先との取引の実態などを十分踏まえたところで、しっかり話合いを経た結果として指示を出していくと、丁寧にやっていくということになっていくかと思いますので、そういった丁寧な手続を経ながらしっかりやっていきたいと考えているところでございます。

【飯塚次長】
 さきほど渡辺先生がおっしゃった致酔性うんぬんがこの基準の中にどのように反映されているのかと、基準は価格だけの問題じゃないかというお話で、酒税課長の説明の通りで基準は価格についてですけれども、法目的の中にこういうものが入っていたからという御説明ですけれども、ちょっと補足します。私の理解では、もともと価格だけの話であれば独禁法の世界だけで済んでしまう話ですが、その独禁法の体系と違う立法を行って、独自の基準を作ってその基準の効果としても独禁法とはまた微妙に違う効果をもたしていると、そこのところの根本の趣旨は、やはり通常の物品と違う性格があるから独自の体系を作るというところにあるのではないかと理解しております。

【田村課長】
 それから、弁明の機会という御質問につきましてでございますけれども、私どもは命令を出すまえに、弁明の機会を付与します。これは行政手続法に基づいてやらしていただくということになるということでございます。

【三村会長】
 貴重な御意見御質問いただきまして、大変理解が深まったように考えております。時間がそろそろ参りましたので、一応質疑はここまでとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【三村会長】
 はい、ありがとうございます。それでは、議題「酒類の公正な取引に関する基準を定める件について」は、事務局案を了承したいということを思いますけれども了承するということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【三村会長】
 はい、ありがとうございました。
 それでは、今後の手続について御説明いたします。
 さきほど御説明ございましたように本議題につきましては、この案をパブリックコメントにかけ、この結果を踏まえて、大幅な修正がないようであれば、改めて審議を行わず、本日の了承をもって当分科会の議決とさせていただきたいと思います。
 なお、この判断は、私に御一任いただきたいと思いますがが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【三村会長】
 はい、ありがとうございました。それでは、そのように進めさせていただきます。
 本日予定いたしました議題は以上となっております。その他に何か御意見とか御質問ございますか。

(質問等なし)

【三村会長】
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、他に何もないようでございますので、本日の議事はこれで終了させていただきます。
 本日の議事要旨及び議事録の公開につきましては、国税審議会議事規則第5条、酒類分科会議事規則第4条に則りまして、まずは簡潔な内容のものを議事要旨として公表し、議事録は完成次第公表させていただきたいと思います。
 なお、議事録につきましては、公表前に皆様の御発言内容に誤りがないかどうかを確認させていただきたいと思いますので、その点宜しくお願いいたします。
 議事要旨の内容等につきましては、分科会長一任ということにお願いしたいと思いますがよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【三村会長】
 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。
 これをもちまして、第17回酒類分科会を閉会させていただきます。
 本日はどうも貴重な御審議ありがとうございました。以上でございます。

―――了―――