日時: 平成27年6月17日(水) 15時00分から17時15分

場所: 国税庁第二会議室

出席者:

酒類分科会委員 三村分科会長 佐藤委員(分科会長代理)
  河村委員 篠原委員
  手島委員 橋本委員
  広重委員 吉村委員
  渡辺委員  
説明者 国税庁 上羅審議官
  稲本酒税課長
  宇都宮鑑定企画官
  近藤酒類国際技術情報分析官
  松井酒税課課長補佐
  田中酒税課課長補佐
  山根鑑定企画官補佐
  石渡鑑定企画官付企画専門官

分科会長
 それでは酒類分科会を開始したいと思います。ただ今より第16回酒類分科会を開催いたします。私、酒類分科会の会長の三村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様方には本日お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は委員の過半数の方々が御出席されておりますので、国税審議会令第8条第1項及び第3項の規定に基づき本会有効に成立しております。国税庁の出席者につきましてはお手元の配席図のとおりでありますので御確認ください。本日の議題に入る前に上羅審議官に御挨拶をいただきたいと思います。では審議官お願いいたします。

審議官
 国税庁で酒税行政を担当している上羅と申します。よろしくお願いいたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず本会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 また、日頃、酒税行政はもとより、税務行政全般につきまして、深い御理解と多大なる御協力を賜っておりますことを、厚く御礼申し上げます。
 本日は、皆様に多数お諮りさせていただく事項がございます。主な議題としまして、議題1のワインの表示ルールの策定と議題2の地理的表示制度の見直しというのが今回御議論いただく2点となります。
 まず議題1につきましては、これまで業界の自主ルールで運用されていましたワインの表示ルールにつきまして、国として初めてルールを策定することになります。法的拘束力のあるルールとなります。
 背景としましては、1つ目は国産ぶどう100%から造られる日本ワインの保護・振興を図るということ、2つ目は国際的なルールも踏まえた表示ルール作りによりまして内外からの「日本ワイン」の評価を向上させること、そして3つ目としまして、何よりも消費者への分かりやすい表示とすることを目的とするものでございます。
 また、議題2につきましては、地理的表示の見直しでございますが、クールジャパンで政府をあげて日本産酒類の輸出促進に取り組んでいる中で、ブランド力向上の観点から、地理的表示制度の更なる活用促進を目指す上で必要な見直しを行うものでございます。
 これまでの地理的表示に関する基準は、制度の細部についての規定がないことから、指定を受けるための要件を今回明確化することにより、制度を抜本的に見直し、また制度の体系化を図りたいと考えております。
 この地理的表示制度の見直しに関連しまして、指定の具体的な要件の在り方につきましては、新たにガイドラインを策定し、酒類ごとの細目も含めて可能な限り具体化する予定としております。そのため、技術的・専門的な内容になってまいりますので、当分科会の下に地理的表示部会を設置していただきまして、部会におきまして御審議いただきたいと考えております。本日はその点についてもお諮りしたいと思っております。
 通常は2時間程度でございますが、今日はそれ以上のお時間をお願いしております。内容が盛りだくさんとなり大変恐縮ではございますが、是非ともよろしくお願いします。
 以上、簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

分科会長
 どうもありがとうございました。それではさっそくですが、議題に入りたいと思います。本日の議題は資料1議事次第にありますとおり、本年6月1日国税庁から国税審議会に諮問のありました、1. 果実酒等の製法品質表示基準を定める件について、2. 地理的表示に関する表示基準を定める件の全部改正について、3. 酒類における有機等の表示基準を定める件の一部改正について、4. 清酒の製法品質表示基準を定める件の一部改正について、5. 未成年者の飲酒防止に関する表示基準を定める件の一部改正について、6. 酒類の表示の基準における重要基準を定める件の一部改正について、以上の6つと、さらに7. 部会の設置、部会に属する委員の数及び部会長の指名について、ということで合わせて7件になっております。
 ではまず初めに議題1「果実酒等の製法品質表示基準を定める件について」事務局より御説明いただきまして、その後委員の皆様から御意見を伺いたいと思います。それでは稲本酒税課長よろしくお願いいたします。

酒税課長
 国税庁酒税課長の稲本でございます。よろしくお願いいたします。それでは、まず初めにワインの表示ルールについて御説明します。具体的な告示の中身に入る前に資料2−3、参考資料1をご覧いただきまして表示ルールの策定に至った背景ですとか、現在のワイン産業の状況につきまして簡単に御説明させていただいてから告示案の説明に入らせていただきたいと思います。
 資料2−3の参考資料の1ページ目をご覧ください。上の折線グラフが酒類全体の課税数量の推移でございます。ここ最近は右肩下がりということでやや伸び悩んでおりますが、下の棒グラフにございますように果実酒全体につきましては伸びつつある状況です。黒くなっている部分は輸入ワインでして、輸入ワインが牽引していますが、下の白い部分が国産ワインでございまして、国産ワインにつきましても少しずつではございますが上昇傾向にあります。
 続きまして資料の2ページですが、こちらは果実酒の製造場数です。ここにはぶどうを原料としたワインではない、いわゆるフルーツワインの製造場や少量しか製造していない製造場も含まれております。333場となっておりますが、日本全国でワインを製造している製造場は約200場というイメージを持っていただければと思います。その中で製造場数が多いのは、山梨、長野、北海道、山形となっております。
 それから下のグラフを見ていただきますと、折線グラフで新規の免許付与数を載せております。ワインにつきましては近年新規参入もございまして、新たにワイン造りに参入される方がでてきているという状況にあります。
 次の3ページですが、日本におけるワインの原料が何であるのかという点から見ますと、日本ではワイン用のぶどうの生産量がそれ程多くないという状況ですので、生のぶどうから造られたワインは全体の4分の1程度となっております。4分の3は海外原料、特に海外から濃縮果汁を輸入して水で戻してワインを醸造している状況にあります。
 4ページですが、日本のワインの生産を事業者規模別に見ていきますと資料の一番右側が大手事業者と呼ばれている者になります。大手5社で全体の78.7%を占めております。海外原料を使用しているのはこちらの大手が主となっております。
 左側にいくに従って中小の事業者になっていきますが、中小の事業者につきましては国産ぶどうからワインを造っている者が中心になっています。ただ右から2番目のいわゆる中堅業者におきましては、ある程度海外原料も使用してワインを造っているのが現状となっております。
 本日これからワインの表示ルールを御説明させていただきますが、海外の制度がどのようになっているのかにつきましては5ページにございます。左側はEUについてです。ワインに関しましてはEUが世界基準を牽引している状況ですが、EUにおきましては本日別途御説明させていただく地理的表示というものが中心になっており、地理的表示に指定された場合のみ産地の表示ができることになっております。地理的表示の指定を受けるためには産地のぶどうを85%以上使用していなければなりません。すなわち、ボルドーのような産地名を表示するためにはその産地のぶどうを85%以上使用するといったルールになっております。
 右側のアメリカを御覧いただきますと、州や郡の名称を表示する場合のルールというのは75%以上となっておりますが、特定のぶどう栽培地の地名を表示する場合には85%以上使用していなければなりません。このように海外の例を御覧いただきましても85%以上使用していることが産地を表示できるための条件になっております。
 このような状況を踏まえまして、今回のワインの表示ルールについて御説明させていただきたいと思います。具体的な告示案につきましては資料2−2に示してございますが、まず概要について御説明した方が分かりやすいと思いますのでこちらから御説明いたします。
 今御説明しましたように国内では様々な原料を使用したワインが流通しております。ここで日本ワインというものを、国産ぶどうのみを原料とした果実酒と定義したいと思っております。最近では業界の中でもこのような名称を使用して、海外原料を使用したワインと区別しようという動きがございますので、それを踏まえたものでございます。
 日本ワインと濃縮果汁や輸入ワインを原料としたような様々なワインが流通しておりまして、それぞれのワインを表示上区別することを重視したいと思っております。
 また、現在は業界の自主基準しかございませんので今回初めて国としてワインの表示ルールを作るということになります。
 一般の消費者の方で、現状の表示を見て日本ワインや海外原料を使用したワインであるといった違いを理解している方はそれほど多くないという問題意識がございます。消費者に分かりやすい表示ルールが必要であると考えております。
 このような状況を踏まえましてワインの表示ルールの案を策定しておりますが、具体的に大きな内容としましては2点ございます。日本ワインとその他のワインを明確に区別できるようにすることと、日本ワインについては一定のルールにより産地やぶどうの品種、収穫年を表示できるようにすることです。
 具体的な法形式といたしましては、資料にございますように「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」に基づく酒類の表示基準である告示として「果実酒等の製法品質表示基準」を制定したいと考えております。
 後で御説明いたしますが、初めて制定するルールでございますので、事業者にとりましてはラベルの変更などが必要になってきます。このため、2年間の経過措置期間を設けることで対応したいと考えております。
 資料の図を御覧いただきますと、国内製造ワインと大きく四角で囲っている部分がございます。こちらが日本国内で製造された果実酒及び甘味果実酒を対象としております。便宜上フルーツワインも含まれておりますが、フルーツワインに関しましては後で御説明させていただきますので、基本的にはぶどうを原料としたワインをイメージしていただければと思います。国内製造ワインのうち、国産ぶどうのみを原料としたワインを日本ワインと定義し、濃縮果汁等の海外原料を使用したワインと表示を区別します。濃縮果汁等を使用した場合には表ラベルに「濃縮果汁使用」ですとか「輸入ワイン使用」といった表示を義務付けることを考えております。また海外原料を使用した場合には表ラベルには産地やぶどう品種の表示ができないことになります。
 このようにすることによって、消費者が表ラベルを見たときに一目で日本ワインかそうでないかが分かることになります。
 続きまして資料の2ページを御覧ください。日本ワインにつきましては一定のルールに従った場合には産地名の表示ができることになり、表示は任意表示ですが、表示する場合にはルールに従っていなければなりません。産地表示については国際的なルールとの整合性も踏まえつつ以下のように考えております。
 1点目としまして、その地域のぶどうを85%以上使用している場合はその地域の名称を表示できることとします。図を御覧いただきますと、この図全体は日本ワインを指しております。縦軸にはぶどう産地のうち、最大のものの割合を示しておりまして、85%のところで分かれております。85%以上その地域のぶどうを使用している場合にはぶどうの産地、収穫地を表示することができます。このうち図のAとBで色が異なっておりますが、Aの方はぶどうの産地と醸造地が一致している場合です。例として長野県産のぶどうを使用して長野県内で醸造している場合です。この場合「長野」ですとか「長野ワイン」といった表示をすることができます。
 これに対しましてBは、ぶどうの産地内に醸造地がない場合です。長野県産のぶどうを使用しているが山形県内で醸造しているような場合にぶどうを他の地域に移動させてワインを製造している場合についてです。長野県産のぶどうを使用して山形県内で醸造しているような場合に、Aのように「長野ワイン」という表示をしてしまいますと消費者に誤認を与えかねないことになりますので、「長野産ぶどう使用」のようにぶどうの産地であることが分かるような表示としています。この場合には「長野シャルドネ」のようにぶどうの産地とぶどうの品種を組み合わせた表示につきましても一定の要件を満たせば認めたいと考えております。
 AとBのどちらに区分されるのかにつきましては、表示する地名が市町村のように狭い範囲の場合にはぶどうの産地と醸造地が隣接した地域にあればAとして認めたいと考えております。実際の運用におきましては弾力的に行っていきたいと考えておりますが、原則的には今御説明させていただいたようなルールとなっております。
 図のCのように使用するぶどうが85%未満の場合にはぶどうの産地の表示ができないことになりますが、日本ワインを保護する観点から一定のルールの下、醸造地を表示できるようにすることを考えております。新しくワイナリーを設立したもののその地域では85%以上のぶどうを集められないといった場合や、年によってはぶどうが不作であった場合などにおいて、日本ワインであるにも関わらず産地名が全く表示できないことになるのは厳しすぎる面もあると考え、醸造地の表示についても一定のルールにより認めることとしました。
 この場合に従わなくてはならないルールとして2つございます。1つ目は「○○醸造ワイン」というように、ぶどうの産地ではなく醸造地であるとわかるような表示をすることです。2つ目としまして、「○○はぶどうの産地ではありません。」のような打ち消し表示をすることや他の地域のぶどうを85%以上使用している場合には「○○産ぶどう使用」といったような表示を併せて行うことです。醸造地を表示しているのであって、ぶどうの産地を表示しているのではないということが消費者に分かるような表示にしたいと考えております。
 3ページ目は今御説明いたしました表ラベルのイメージを示したものでございます。図の上段の中央に現行のルールに基づく表示がございます。例として「山形ワイン」と表示しておりますが、新しいルールの制定後も「山形ワイン」と表示できるのは図の左下のように山形県産のぶどうを山形県内で醸造している場合に限られます。山形県産のぶどうを使用しているが東京で醸造しているような場合は「山形ワイン」といった表示ではなく「山形産シャルドネ使用」と表示、あるいは「山形シャルドネ」と表示した上で醸造地を裏ラベルの一括表示欄に表示することになります。
 醸造地を表示したい場合には「東京醸造ワイン」といった表示をすることになりますが、85%ルールに基づく場合には併せて「山形シャルドネ使用」といった表示をすることになります。85%ルールに基づかない場合は「東京はぶどうの産地ではありません。」といった表示をすることになります。このように日本ワインにつきましては産地の表示ルールを明確にしたいと考えております。
 図の右上にございますのは日本ワインでない、海外原料を使用したワインについて示しております。こちらには「山形ワイン」のように地名を使用することは認められませんので、例として「まろやかワイン」と表示しておりますが、地名を使わない名称を検討していただくことになります。それに加えまして表ラベルに「輸入果汁・輸入ワイン使用」等を明記していただくことになります。
 このように表示ルールを消費者に分かりやすいものにしたいと考えております。
 続きまして資料の4ページ目を御覧ください。こちらは裏ラベルのイメージでございます。食品表示法等にもございますが、法律に基づく表示義務事項につきましては一括表示欄というものを設けまして、そこにまとめて表示していただく欄を設けたいと考えております。この一括表示欄には、これまでの既存の法律によって求められておりました表示事項、例えば酒類業組合法や食品表示法に基づく義務表示事項である「製造者の氏名又は名称」、「製造場の所在地」、「内容量」及び「アルコール分」等に加えまして、今回の表示ルールで新たに2点表示することを義務付けたいと考えております。
 1点目といたしまして、日本ワインに該当する場合には必ず日本ワインと表示することです。資料には一括表示欄の例を示しておりますが、日本ワインにつきましては最初に日本ワインと表示することになります。また2点目として、原材料名及びその原産地名の表示も義務付けたいと考えております。日本ワインであれば、原材料名とその原産地名は「ぶどう(日本産)」となります。この「日本産」に代えて「山形産」や、より狭い地域である市町村名を表示することも可能です。
 海外原料を使用したワインにつきましては、原材料名に「濃縮果汁(外国産)」といった表示をすることになります。「外国産」に代えて国名を表示することも可能です。輸入ワインを使用している場合には「輸入ワイン」と表示することになりますが、こちらについても国名を表示することが可能です。このように、裏ラベルには義務的な事項を中心に表示していただくようなイメージになります。
 なお、告示の条文上は一括表示と一括表示欄以外という形で整理しており、資料で使っている「表ラベル」及び「裏ラベル」というのは説明の便宜上使用しているものでございます。一括表示欄以外のルールは先程御説明しました表ラベルについてのルールになりますので、一括表示欄以外に産地名を表示したい場合には85%ルールに従っていただくことになります。
 5ページでは産地の表示ルールを詳細に説明しておりします。資料の左側には現行の業界自主基準が記載されております。現行の業界自主基準では75%以上でございますが、国際的なルールにおいても85%以上であり、業界内でも85%以上に引き上げるべきではという議論がございましたので85%以上としたところです。
 なお、現行の業界自主基準におきましてはぶどう産地と誤認するような商標や商品名についても、これを取り除くための打ち消し表示をすることによって表示できることとなっております。例えば、「○○ワイン」という表示をしていても別途打ち消し表示で「○○はぶどうの産地ではありません。」とすれば「○○ワイン」という表示ができてしまいます。これでは消費者が混乱しかねないと考えましたので、今回の表示ルールでは85%ルールに従って表示していただこうと考えております。
 6ページで更に具体的な表示方法を説明させていただきます。まず一括表示欄と一括表示欄以外と区別しておりますが、一括表示欄には正確に原材料の原産地として表示することが可能というルールでございます。例1のように塩尻市産が85%、松本市産が15%であれば、原材料名であるぶどうの次のかっこ書きについては「長野県産」でも構いませんし、「塩尻市産・松本市産」のように細かく表示しても構いません。さらに例4のように海外原料を使用している場合についても、塩尻市産85%、チリ産15%ですとぶどうの後のかっこ書きに「長野県産」とか「塩尻市産」という表示をした上で、「濃縮ぶどう果汁(チリ産)」等と表示できます。このように、一括表示欄であれば海外原料を使用している場合であっても、濃縮還元果汁の産地がどこであるかを表示することが可能です。これは消費者に正確な情報を伝えるという観点から認めているものです。
 なお、この表示例には使用割合について表示しておりませんが、使用割合を併せて表示して「塩尻市産85%」、「松本市産15%」というような表示をすることも可能となっております。
 一括表示欄以外につきましては85%ルールが適用されますので、例の3にありますように塩尻市産40%、松本市産40%、北海道産20%ですと、長野県産のものだけでは85%になりませんので「長野県産ぶどう使用」とは表示できず、「日本産ぶどう使用」としか表示できないことになります。
 それから例4のように海外原料を使用している場合には日本ワインに該当しないのでそもそも産地名は表示できないというルールになっております。
 続いて7ページがぶどう品種の表示ルールでございます。ぶどう品種の表示ルールにつきましては、現行の業界自主基準が資料の左側に記載しておりますが、上位2品種までの使用割合の合計が75%以上の場合には表示が可能となっております。今回のルールでは国際基準に合わせて85%ルールを基本としております。資料の2にありますように、上位2品種までの使用割合の合計が85%以上であれば、上位2品種まで使用割合の大きい順に表示することが可能です。これは使用割合を示さずに表示することも可能です。
 3品種以上表示する場合には、表示する品種の使用割合の合計が85%以上であり、かつ、使用割合を併記することが必要です。また使用割合の大きい順に表示することも必要となっております。このようなルールとなっておりますが、具体的には次の8ページを御覧ください。
 こちらが品種の表示例となっております。シャルドネ60%、リースリング25%、ケルナー10%、ソーヴィニヨン・ブラン5%の場合ですと、上位2品種であるシャルドネとリースリングで85%以上となっておりますので、1のように「シャルドネ・リースリング」というように使用割合を書かずに表示することが可能です。
 3品種以上表示したい場合には、3のように必ず使用割合を併記することが必要です。4のように全ての品種を表示することも可能です。ただし、「シャルドネ60%、リースリング25%、ソーヴィニヨン・ブラン5%」のように10%使用しているケルナーを飛ばして5%使用しているソーヴィニヨン・ブランを表示することは認められません。使用割合の大きい順に表示することが必要です。
 参考までに海外のルールにつきましても記載しておりますが、基本的には85%以上で表示可能となっておりますので、海外のルールも参考にいたしまして考えたところでございます。
 9ページでございますが、こちらは年号、いわゆるヴィンテージについての表示ルールでございます。
 こちらも85%ルールとなっておりまして、同一収穫年のぶどうを85%以上使用した場合には、ぶどうを収穫した年号を表示することが可能となっております。これはEU等のルールとも一致しているものでございます。
 以上、やや細かいルールについても御説明しましたが、ワイン表示に関するルールでございます。
 これまでぶどうを原料としたものについて御説明してまいりましたが、ぶどう以外を原料とした果実酒につきまして10ページで御説明いたします。ぶどう以外の原料を使用したいわゆる「フルーツワイン」につきましても、一部このルールが適用されます。
 まず1におきまして「ぶどう以外の果実の名称」等をしっかりと表ラベルに表示していただくことになります。ぶどう以外の「桃ワイン」ですとか様々ございますが、ぶどう以外の果実の名称を表ラベルに表示します。この場合、「桃」という文字を表示すること以外に桃の絵柄を表示することも認められます。ぶどう以外の果実を使用しているフルーツワインであることが分かるようにしていただくということでございます。
 一括表示欄につきましては、ぶどうのみを原料としたものと同じルールを適用することを考えております。ただし、3にありますように濃縮果汁を使用している場合の表ラベルの表示ですとか、産地、品種、収穫年に関する表示ルールにつきましてはフルーツワインには適用されません。85%以上使用していなくても産地名を表示することが可能となっております。基本的にフルーツワインの表ラベルにつきましては、ほぼ今まで通りの表示が可能というようなルールとなっております。
 11ページでございます。今回の表示基準を遵守しない場合の措置についても規定する必要があります。まず、この表示基準を遵守しない場合には、基準を遵守すべき旨の指示ができます。その後更に公表、命令というように進みます。後ほどの議題にもなっておりますが、命令まで行うことができるのは重要基準に該当した基準に限られます。命令をしまして、その命令に従わない場合には罰金を課すということになります。罰金を課されますと免許が取り消される場合があるということになります。非常に強制力のあるルールとなります。
 なお、今回の表示ルールの射程範囲につきましては製造者を考えておりまして、製造された方がしっかりとしたラベル表示をしていただくことになります。流通など小売を含めた部分につきましては、今回の表示ルールの射程範囲外ですが、表示ルールが定められた場合には、各流通業界にもルールについて御説明をして、小売店における商品陳列等における取扱いも含め、適切な販売をしていただくようお願いすることを考えております。告示の具体的な条文につきましては資料2−2をご覧ください。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

分科会長
 ありがとうございます。では委員の皆さま御意見、御質問等はございますか。

渡辺委員
 先程説明いただきましたが、産地と醸造地は同じ県であればいいのでしょうか。市が違っても問題ないのでしょうか。

酒税課長
 基本的には図のAに該当する場合、例えば長野ワインと表示するにはぶどうの収穫地と醸造地が長野県である必要があります。より狭い市町村レベルの範囲になりますと、基本的には収穫地も醸造地も同じ市町村内ということになりますが、具体的な運用にあたっては収穫地に隣接しているところに醸造地がある場合も含めてある程度柔軟に運用したいと考えております。

渡辺委員
 私はワインには詳しくないのですが、ぶどう産地を表示することは理解できますが醸造地との関係を強調するのはどのような理由からですか。

酒税課長
 ぶどうの収穫地や醸造地の表示は任意ですので必ず表示しなければならないということではありません。消費者がワインを選ぶ場合にどこのぶどうを原料として醸造したものであるかということが重要であると考えております。例えば長野のぶどうを原料としていても東京で醸造している場合に長野ワインと表示していると消費者は長野で醸造されたワインであると誤解してしまうと思います。このような誤解を生じさせないために表示基準を制定して長野産のぶどうを原料としても醸造地が他県である場合には長野産ぶどう使用という表示をさせるのが消費者には分かりやすいと考えております。

篠原委員
 醸造地についてですが、外国から輸入したワインを混和した場合にはどのように表示することになりますか。

酒税課長
 外国から輸入したワインを混和した場合には表ラベルに「輸入ワイン使用」等と表示することになります。また、このようなワインは日本ワインには該当しないため、表ラベルに醸造地を含め地名の表示をすることはできません。

篠原委員
 国産ぶどうのみから醸造された日本ワインを混和した場合にはどうなるのか。

酒税課長
 日本ワインを混和しても全ての原料が国産ぶどうである場合は日本ワインに該当しますので、原材料名には「ぶどう(日本産)」と表示するとともにぶどうの産地がどこであるのかについても表示することになります。

佐藤委員
 表ラベルの表示例についてですが、日本ワインという表示やぶどうの産地、醸造地の表示がありますが、その他にも会社名を表示することになるのではないでしょうか。会社名に地名が入っているような場合、ラベルにたくさんの地名が表示してありますと消費者は混乱するのではないでしょうか。

酒税課長
 表ラベルに日本ワインと表示することは任意となっておりますので、表示しなくても構いません。御指摘のように会社名に地名が入っている会社はあると思いますが、今回制定しようとしている表示ルールでは会社名であることが分かるような表示方法であれば地名が入っていても表示できることとする予定です。例えば会社名に株式会社と併記するような表示方法であれば消費者に混乱はないと考えております。

佐藤委員
 会社名を大きく表示しているワイナリーもありますが、日本ワインという表示やぶどうの産地の表示があると表示の重みが変わってきてしまいますし、消費者も混乱するのではないでしょうか。

酒税課長
 御指摘はごもっともだと思います。各事業者によってどのような事項を強調したいのかは変わってくると思います。会社名を強調したいのであれば会社名を大きく表示することになるでしょう。我々としましては、産地表示の趣旨を丁寧に事業者に御説明しながら消費者に誤認を与えないような表示をするように指導していきたいと考えております。

審議官
 新しく日本ワインという定義を作りましたが、事業者の方々に伺いましたところ、日本ワインという表示より、例えば山形ですとか山形の中のさらに狭い地域である庄内ですとか特定の地域を名乗りたいと考えている事業者が多数でした。
 山形であれば米沢、長野であれば桔梗ヶ原といったようにまずは狭い地域で採れたぶどうであることを強調して、次に委員が御指摘されたように会社名がでてくると思います。

渡辺委員
 ある事業者が山梨ワインという表示をした場合に別の事業者が山梨ワインという表示をすることは認められるのでしょうか。

酒税課長
 表示ルールに則っている場合にはどの事業者も○○ワインと表示することができます。

(注) 「山梨」は地理的表示として指定されているため、「山梨」と表示するためには地理的表示のルールについても従う必要がある。

河村委員
 一括表示の記載方法について質問します。85%の基準を満たしている場合にぶどうの産地を塩尻市とか松本市と表示することになると思うのですが、一番狭い範囲というのは行政区画に限定されるのでしょうか。現在の市町村の名称以外に広く知れ渡っている地名や古い地名なども認められるのでしょうか。審議官が山形の庄内とおっしゃっていましたが、庄内は市町村より広い概念だと思いますが、表示の方法としてはどこまで認められるのでしょうか。表ラベルに都道府県名や市町村名ではない地名も表示できるのでしょうか。

酒税課長
 一括表示欄における表示方法ですが、最低限の表示方法として日本産か外国産という表示をする必要があります。より狭い地域につきましても表示することは認められます。基本的には都道府県名や市町村名を表示するのが消費者にとって分かりやすいと思います。
 表ラベルの表示に関しましては、事業者の判断で古い地名を表示することもできます。その地域のぶどうを85%以上使用している必要がございますが、古い地名も含めまして認める予定です。

手島委員
 一括表示欄の説明で塩尻産85%、チリ産15%ですと産地表示できないとのことでしたが、この85%ルールというのは85%超でないと産地表示できないということでしょうか。

酒税課長
 産地の表示ができないと御説明しましたのは一括表示欄以外の箇所についてです。チリ産のぶどうを使用していますと日本ワインに該当しませんので、一括表示欄以外の表ラベルに産地を表示することはできません。国産ぶどうを100%使用したワインでなければ産地を表示することはできません。外国産のワインや外国産の濃縮果汁を使用した場合は表ラベルには産地の表示はできません。一括表示欄には記載例のとおりチリ産等のように具体的な原産国を記載できることになります。

分科会長
 日本ワインとは国産ぶどうを100%使用したワインということ、85%ルールというのはぶどうの収穫地の地名を表示したい場合のルールということ、山形ワインのようにぶどうがどこで収穫されたのかを表示したい場合のことを85%ルールというのですよね。

酒税課長
 資料の1ページを御覧いただきますと、手島委員が御指摘された例につきましては濃縮果汁等を使用したワインになります。日本ワインに該当しませんので、表ラベルには地名や品種の表示ができません。裏ラベルの一括表示欄につきましては正確に消費者に情報を伝えるという観点からチリ産等という表示ができることになります。

吉村委員
 日本産のぶどうを100%使用していれば日本ワインと表示できるということでしたが、その場合プロダクトオブジャパンという表示は認められるのでしょうか。表示基準では日本ワインという表示について定義しているだけなので、プロダクトオブジャパンという表示は自由にしてよいのでしょうか。表示基準は国内向けの基準であり、国内の消費者に対する販売ということを念頭に置いているのでしょうけれど、輸出する場合には英語表記にするのでしょうからその場合にはどのように表示すればよいのでしょうか。

酒税課長
 御指摘のようにこの表示基準は国内向けのルールですので、輸出する場合には輸出先国の表示のルールに従うことになります。その上で、国内で製造されたワインにつきましては日本ワインであろうと海外の原料を使用したものであろうとも加工品としての原産国は日本になることは間違いございません。
 現在日本ワインも海外原料を使用したワインも同じように国産ワインとして流通しております。それが日本の消費者には分かりづらいと考えましたので、国内向けには日本ワインという定義を作りまして消費者に分かりやすい制度にしたいと考えております。
 海外に輸出する場合におきましては、海外原料を使用したワインの原産国はどこかと問われれば日本であるということになりますので、海外原料を使用していたとしても、メイドインジャパンですとかプロダクトオブジャパンという英語表記は国際的なルールに則って認められると考えます。
 日本ワインというのを英語表記でどのようにするのかにつきましては検討課題であると考えております。

広重委員
 消費者の立場から意見を述べさせていただきますと、食をめぐる消費者の不安というのはいろいろと問題が生じてきております。例えばトレーサビリティの問題、ホテルやレストランでの産地の偽装表示、異物混入の問題、食品表示の問題などがございます。初めの一歩としまして、国産原料のみ使用されているのか、そうではないのかということを分かりやすく表示するルールになっていますので概ね良い制度であると評価しています。

松井酒税課課長補佐
 先程佐藤委員から御指摘いただいた会社名を記載する場合のルールですとか、河村委員から御指摘いただきました地名を表示する場合に行政区画以外にどのようなものを認めるのかといったルールにつきましては告示ではそこまで細かな規定は設けません。告示の制定と併せまして消費者や事業者にも分かりやすいようにもう少し詳しい考え方を通達として定めたいと考えています。通達につきましてもパブリックコメントを行いまして広く御意見を伺う予定です。

分科会長
 それではこの議題1でございますが、いろいろと御質疑がございましたが、基本的には日本ワインという概念を明確にするということと、85%ルールを設けることによってぶどうの産地を明確にするという枠組が提案されております。それから表ラベルにつきましてはそれぞれの事業者の方の立場とかマーケティングでの表現というがありますので、そのあたりは柔軟に対応していただくようにお願いします。一括表示欄の表示方法につきましても事務局の方で調整、検討していただくことになると思います。
 それでは事務局案を了承するということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 それでは意義なしということにさせていただきます。どうもありがとうございました。議題1に関わる今後の手続について御説明いたします。この案をパブリックコメント及びWTOのTBT協定、貿易の技術的障害に関する協定に基づくWTO加盟国に対する通報の手続を採ることになります。パブリックコメント等の結果を踏まえて大幅な修正がないようであれば改めて審議を行わず、本日の了承をもって当分科会の議決とさせていただきたいと考えております。なお、その場合の判断は私に一任いただきたいと存じますがよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 ありがとうございました。ではそのように進めさせていただきます。
 それでは次の議題に移らせていただきます。議題2「地理的表示に関する表示基準を定める件の全部改正について」事務局より御説明いただきまして、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。それでは稲本酒税課長よろしくお願いいたします。

酒税課長
 それでは続きまして地理的表示について御説明いたします。こちらにつきましても改正内容の御説明の前に、資料3−3の参考資料2を御覧ください。
 地理的表示という制度を御存じの方も多いと思いますが、特にヨーロッパを中心に広まっている制度でして、ワインの例ですと、ボルドー、ブルゴーニュが有名ですが、その他パルマハムとかチーズ等の農産品にもあります。地域の名称の使用を特定の原料、製法によるものに限定することによってブランド価値を高めるという制度でして、海外に輸出をしていく上で有用なツールと成り得る制度となっています。
 参考資料の1ページ目を御覧ください。現在日本産酒類の輸出について、クールジャパンの一環として政府を挙げて取り組んでおります。資料にもございますが、ここ数年酒類の輸出につきましては増加傾向にあり好調である状況です。平成26年の輸出金額は294億円と3年連続で過去最高を記録しております。更に輸出を後押しする観点から地理的表示制度の活用をしていきたいと考えまして、制度改正を検討したところです。
 2ページ目は地理的表示制度の概要について記載しております。EU等で普及している地理的表示制度は酒類や農産品において確立した品質、社会的評価又はその他の特性が当該商品の地理的な産地として主として帰せられる場合に、その産地名を地域ブランドとして独占的に名乗れることになります。注書きに記載しておりますが、地理的表示の効果として2点挙げられます。
 1つ目は、地域ブランドとしての価値が上がるということがあります。そして2点目として、地理的表示制度は国際的な枠組みで作られている制度ですので、今後国際交渉を通じて、海外において地域ブランドへのただ乗り、模倣品のようなものが流通している場合に外国当局に対しても模倣品の取締りを求めることができる制度となっております。
 酒類につきましては、既に制度を作っているところであり「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」に基き、「地理的表示に関する表示基準」を告示によって制定おりまして、これに基づき国税庁長官が地理的表示として指定を行っております。
 この地理的表示制度を設けた経緯ですが、WTOの協定の附属書にTRIPS協定というものがありまして、この協定において各加盟国がぶどう酒及び蒸留酒の地理的表示を保護するための法的手段を確保することが義務付けられました。国際協定により各国が地理的表示制度を設けなければならないことになりましたので、制定されたものです。「法的手段の確保」となっておりますが、行政上の措置によって実施することも認められておりますので、この協定の国内担保措置としまして告示による表示基準が制定されました。
 一方皆様御承知だと思いますが、農産品につきましては農林水産省において法律という形式で制度ができまして、今年の6月から施行されております。酒類につきましては、平成6年12月に基準を制定しまして制度が作られました。
 現在までの指定状況ですが、まず平成7年6月に「壱岐」、「球磨」、「琉球」という3つの焼酎を指定しました。その後平成17年に「薩摩」を指定しております。清酒につきましては「白山」、ワインにつきましては「山梨」を指定しておりまして、これまでに6つの指定を行っております。
 平成6年12月に制度を作りまして20年が経過しましたが、未だに指定されたのは6つとなっております。ヨーロッパにおいては酒類に関するものだけでも100以上の地理的表示が指定されていることを考えますと、日本ではまだ十分に活用されていない状況ではないかと考えております。
 活用が進まない理由は様々あると思いますが、理由の1つとして、どのような場合に地理的表示の指定が受けられるのかということがこれまであまり明確ではなかったという点があると考えています。また、消費者にこの地理的表示制度というものが浸透していないということが課題となっております。
 資料の3ページ及び4ページは現在の地理的表示に関する表示基準を示しておりますが、3ページの第1項では定義として地理的表示とはどのようなものなのかが規定されております。4ページの第2項において地理的表示の保護について規定しており、地理的表示として指定された産地以外の人は使用してはならないという規定となっております。
 現行の告示ではこの程度の規定だけですので、具体的な指定の要件というものは告示上では規定されておりません。定義のところにあります第1項の(1)で「地理的表示とはその確立した品質、社会的評価その他の特性が当該酒類の地理的原産地に主として帰せられる場合においてその地方を原産地とするものであることを特定する表示」と規定しているだけだということです。
 次の5ページが現在の指定状況です。先程御説明しました6つを指定しております。
 6ページには法令解釈通達を記載しております。取扱いに関する規定の中で指定する場合の基本的な考え方を示しておりますが、御覧頂いても分かりますように先程御説明した地理的表示の定義をなぞったような形になっている状況です。
 実際に地理的表示として指定した6つにつきましては、7ページに記載しておりますように法令解釈通達によって具体的に例えば「山梨」とはどのようなものが地理的表示として指定されているのか規定されております。
 9ページ及び10ページでは、指定基準についてQ&Aの形で考え方を示したものです。どのような品質特性が必要であるとか、地域由来の製造方法によって製造されているとか、地域の気候風土等の自然的要素が当該地域で製造された酒類の特性に影響している、といった説明だけでした。
 11ページを御覧ください。先程地理的表示制度は国際的な枠組みによる制度であると御説明しましたが、これまでに資料に記載しました3つの国とお互いに地理的表示を保護し合うことを約束した協定を締結しております。具体的にはメキシコ、チリ、ペルーの3カ国です。今後更に国際交渉を通じて我が国の地理的表示の保護を図っていく必要があるのではないかと考えております。
 以上が現在の地理的表示制度の概要です。
 その上で資料3−1を御覧ください。今回は大幅に告示を改正したいと考えております。現在の規定は十分に体系化されていませんでしたので、告示自体を分かりやすいものに改正するとともに、指定の要件の詳細につきましては、告示ではなくガイドラインという形で示したいと考えております。
 1ページを御覧ください。題名につきましては「酒類の地理的表示に関する表示基準」に改めます。農産品について制度ができましたので酒類に関する制度であることを明確にしました。
 地理的表示の定義につきましては、TRIPS協定において定義されていますのでそれに準じております。国内で保護される地理的表示には2種類ありまして、1つは「国税庁長官が指定するもの」、もう1つは「日本国以外のWTO加盟国において保護されるもの」となっております。元々現在の制度が国内で国税庁長官が指定したものと、WTOの各国で地理的表示として保護されているものについて保護する制度となっている経緯があり、今回もそれを引き継いでいます。資料の注書きにも記載しておりますが、地理的表示制度はヨーロッパが中心になってWTOの中に多数国間通報登録制度を作り、互いに自国で保護している地理的表示を登録して自動的に保護し合うという制度とすることを考えておりました。しかし現状このような制度は作られておらず、外国当局と個別の交渉を通じて互いの地理的表示を保護しております。そのため地理的表示には国内では国税庁長官が指定するものと外国との国際協定に基づいて保護を行うものの2種類ある形になっております。
 地理的表示の対象ですが、現行制度においてはぶどう酒、蒸留酒及び清酒の3種類に限られております。制度ができた当初は国際協定の関係でぶどう酒と蒸留酒のみでしたが、その後清酒を追加しております。現在では農産品に関する地理的表示制度も作られましたので、酒類全体について地理的表示として保護する必要があると考え、今回の改正により保護の対象を酒類全体としました。これまでのぶどう酒、蒸留酒及び清酒に加えてその他の酒類という区分を追加しています。
 地理的表示の指定要件につきまして、告示レベルでは2点を要件とすることを考えております。1つ目は酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性が明確であること、2つ目は酒類の特性を維持するための管理が行われていることです。更に詳細な要件につきましては、ガイドラインによって示す予定です酒類の区分ごとにどのような特性が必要であるかといった観点から議論する必要があると考えており、ガイドラインにつきましては酒類分科会の下に地理的表示部会を設置しまして議論していただくことを考えております。この点につきましては後ほどお諮りすることになります。
 次に「地理的表示として指定しない要件」を御説明します。どのような場合には指定できないかを明確にしたいと考えておりまして、まず商標登録されている場合です。地理的表示と同じ表示が商標登録されている場合には先行する商標の方が優先されますので、地理的表示として指定しても使用できないおそれがあります。このような場合には地理的表示として指定できないことになります。ただし、商標に関しましては一般に産地名だけで商標として登録される例はあまり存在しませんが、地域団体登録制度という制度がありまして、一定の地域団体が管理する場合に、○○の酒というような形で地名についても登録されている例があります。
 また、一般名称については地理的表示として保護しないこととします。一般名称とは例えば「さつまいも」が挙げられます。さつまに限定されたいもではなくどの地域でも「さつまいも」として通用するものとなっております。このように一般名称となっているものは地理的表示として保護しないこととなっております。
 外国の地理的表示につきましては、その国で保護されない表示は指定を行いません。外国から地理的表示として保護してほしいとの申立てがあった場合には指定することは制度上可能となっております。しかし、その国において地理的表示として保護されていなければ日本においても保護しないということ明確にしております。
 「その他保護することが適当でないと認められる表示」につきましては、例としては産地の範囲や地名に関して地域で争いがあるような場合でして、このような場合には指定することは難しいという考えです。以上が地理的表示として指定しない表示です。
 続きまして地理的表示の指定内容につきまして御説明します。次の事項を地理的表示として指定することを考えております。1つ目は地理的表示の表示方法です。「山梨」、「薩摩」等どのような表示を保護するかといった表示方法に関するものです。2つ目の産地の範囲は、具体的に「○○県」等のように行政上の区画として明確に線引きして指定することになります。3つ目に酒類の区分としまして、「ぶどう酒」、「蒸留酒」、「清酒」、「その他の酒類」に区分します。4つ目は次の事項を定めた「生産基準」と記載しておりますが、これは指定する酒類の特性に関するものです。酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性に関する事項、原料や製法に関する事項、酒類の特性を維持するための管理方法に関する事項、酒類の品目に関する事項の4つです。地理的表示として指定する場合にはこれらを指定の内容とすることを考えております。
 現行制度においては具体的な生産基準に該当するようなものは告示では規定しておらず、具体的な基準は法令解釈通達に示している状況でした。今後は地理的表示としてこれら全てを指定する形にしまして、指定された要件に違反する場合には取締りを行うことを明確化したいと考えております。
 地理的表示の指定等の手続に関して御説明します。現行制度では指定の手続等が明確ではありませんでしたが、国際的にも手続規定をしっかりすることが必要になっております。まず、地理的表示の指定をする場合にはパブリックコメントを実施して広く一般の意見を求めることとします。現行制度ではこのような手続を行うことは明記しておりませんでしたし、これまで地理的表示として指定したものにつきましてもパブリックコメントは行ってきませんでした。今後は指定する前にパブリックコメントを実施して広く意見を求めて、その上で指定することとします。
 地理的表示の指定等の公告につきましては、指定した場合にはその旨を官報に公告することを考えております。これまでは告示本体とは別に告示を定めて指定してきましたが、今後は官報に公告する方法にしたいと考えております。
 指定した地理的表示の取消しにつきましては、取り消す場合の規定を設ける予定です。取消しの要件としましては、1つ目に地理的表示として使用されなくなった場合、2つ目に先程御説明しました「地理的表示として指定しない表示」の要件に該当することとなった場合、すなわち事後的に一般名称になってしまったり、外国で保護されなくなったりした場合です。3つ目に地理的表示として指定する前に「地理的表示として指定しない表示」に該当していたことが事後的に明らかになった場合です。これについては期限を3カ月以内としておりますが、指定しない表示の要件に該当していたにもかかわらず指定してしまった時には取り消すことができるとするものです。4つ目に指定が適当でないと認められた場合で、例として酒類の特性を維持するための管理が十分にされなくなった場合を考えております。
 指定した地理的表示の変更につきましては、表示方法、産地の範囲、酒類の区分、生産基準を変更することが可能であることを明記しております。
 地理的表示の使用の禁止につきましては現行の基準でも設けられておりますが、より明確化したいと考えております。1つ目として、地理的表示の産地の範囲外を産地とする酒類に地理的表示を使用すること、2つ目として、地理的表示の産地の範囲内を産地とするが、生産基準を満たさない酒類に地理的表示を使用することです。カタカナ、ローマ字表記を含む翻訳された上で使用する場合や「種類」、「型」、「様式」、「模造品」等の表現を伴って使用する場合にも使用が禁止されます。
 ただし、異なる酒類区分での使用は禁止されません。例えば、ぶどう酒の地理的表示である「山梨」を清酒に使用するような場合です。
 商標との調整のところですが、今回、地理的表示と商標との関係を整理しました。地理的表示の指定より先に登録(出願)された商標は、指定された地名を含んでいても引き続き使用することが可能です。また、地理的表示に指定された地名を含む商品名等については、地理的表示の指定に併せて公示したものに限り引き続き使用することが可能としています。これは登録されていない商標でも、地理的表示の指定を行う時に限定的に定めたものについては例外的に使用できることとしたものです。この規定を設けた理由は、現状において酒類の銘柄・商品名等に地名が入っているものが多いことを考慮したものです。地理的表示に指定しますと一定の基準を満たしたものでない限り、その地名を表示できなくなりますので、今まで使用していた銘柄を使用できなくなってしまうことは地理的表示の指定を受けようとする動きの妨げになっている例がございます。例外的にいくつかこの表示については使用できるというものを指定する制度を設けることによって地理的表示制度の活用を促進できるのではないかと考えました。ただし、指定の際に限定的に例外的なものとして公示して認めるということですので、地理的表示制度の趣旨を減殺するようなことがないようにするつもりです。
 地理的表示と同一又は類似の表示との調整につきましては、公衆が誤認するようなものを除いて、地理的表示の指定後も使用できることとします。例としては、人の名前や法人の名称、製造場の住所、原料の産地として使用する場合です。ワインについては「山梨」が地理的表示として指定されていますが、長野県で製造したワインに「山梨県産ぶどう使用」というように表示することは認められます。
 次に統一的な表示方法についてですが、現状消費者になかなか地理的表示制度が浸透しておりませんので、地理的表示を使用する場合には「地理的表示○○」、「Geographical Indication ○○」、「GI○○」のいずれかの表示をすることとします。1つの酒類に地理的表示を複数箇所表示する場合には、いずれか一箇所以上に表示すれば良いこととしております。
 また、地理的表示の指定を受けていない酒類には、「地理的表示」、「Geographical Indication」又は「GI」の文字を使用することは禁止されます。
 「地理的表示」等の表示がしてあれば、消費者に地理的表示制度に基づいた酒類であることが明確になると考えております。
 この表示方法の義務付けにつきましては、既存の地理的表示にも適用することを考えておりますが、準備期間も必要であると思いますので2年間の経過措置期間を設けることとしております。今後新たに指定する場合につきましても2年間は表示の義務付けを猶予します。
 以上が今回の告示改正の概要です。
 資料の5ページになりますが、地理的表示の指定要件の明確化につきましては、告示の下にガイドラインを設けまして更に具体的に示したいと思っております。5ページは地理的表示制度の体系のイメージになっております。今日御審議いただくのは資料の左側中央に四角で囲っている部分である酒類の地理的表示に関する表示基準〔告示〕になりまして、御説明しましたように指定の要件はこちらに記載している2点を定め、その他手続規定や表示方法についても定めております。そして更に具体的な要件や手続につきましてはガイドラインで明記していきたいと考えております。特に指定の要件については酒類に共通して考えられる「酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性」や「産地の範囲」の考え方、管理の団体の構成、業務等に加えて、指定要件の細目として酒類の区分ごとに御審議いただく予定です。
 例えばワインですと、日本ワインであること、地域のぶどうを85%以上使用していることといった要件の他に、ぶどうの品種、補糖について各地域が自主的にどのように基準を定めるのが良いのかというところが論点になると思います。その他ワインだけでなく清酒や蒸留酒についてもそれぞれ定める必要があると考えています。また、具体的な管理方法として商品の出荷前の官能分析等を含めて管理をしていただくといったことについて具体的にガイドラインで定めていきたいと考えておりますが、本日は告示の部分を御審議いただきたいと考えております。
 告示の具体的な条文は資料の3−2で示しております。1ページ目の前書きに記載しておりますが、今回の改正は全部改正ということになりますが、形式的には以前の告示を廃止して新たな告示を制定する形になっております。
 説明は以上です。

分科会長
 ご説明に対しまして御意見、御質問等ございますでしょうか。

渡辺委員
 今御説明いただきました産地についての表示と先程御説明いただいた果実酒等の製法品質表示基準での産地の表示の関係はどのようになるのでしょうか。山梨という地理的表示がございますが、山梨産のぶどうを使用して山梨県内で醸造すれば山梨ワインと表示しても構わないということですね。

酒税課長
 地理的表示に指定されますと一定の基準を満たしたもののみが産地を表示することができます。ワインにつきましては、山梨のぶどうを85%以上使用して山梨県内で醸造していれば、ワインの表示ルールからすると山梨ワインと表示できることになります。ただし、山梨を地理的表示として指定しておりますので、山梨と表示するためには生産基準を満たしたものであるなど特性を有するものに限定されることになります。
 現状ですと山梨のみが先程御説明いたしました産地表示のルールに加えまして地理的表示の基準を満たしていないと「山梨」と表示できないことになっております。

渡辺委員
 この申立ては各メーカーが行うのですか。それとも地域で行うものなのでしょうか。

酒税課長
 基本的には地域で団体等を作っていただいて、その団体等が管理していただくことを考えております。そのため地域から申立てを行っていただくことを考えております。

渡辺委員
 基準を満たしていればどの事業者のワインにも山梨と表示できるということですか。

酒税課長
 そのとおりですが、地域において審査を行うなどしっかりと管理していただくことになります。

松井酒税課課長補佐
 若干補足させていただきますが、山梨を例といたしますと先程御説明しました品質表示基準では85%以上山梨県産のぶどうを使用していれば山梨と表示できます。現行の地理的表示「山梨」の基準では山梨県産のぶどうを100%使用していなければなりません。さらに使用するぶどうの品種につきましても限定しております。地理的表示の基準は通常の表示ルールよりも厳しい基準になっております。したがって地理的表示に指定されますと通常の表示ルールに加えて地理的表示のルールも満たす必要があるということになります。

橋本委員
 地域で申請を行い管理するということでしたが、その地域の事業者を構成員とする団体なのか、それとも自治体が管理を行うのでしょうか。

酒税課長
 その地域で酒類を製造している事業者等で構成される団体と考えております。

吉村委員
 今申請という用語がでてきておりますが、表示基準には申請に関する規定がございません。これは申請する権利を認めないという趣旨でしょうか。表示基準では規定しなくても下位のレベルの規定で申請する権利を認めるということも考えられますが、そうしますと申請に対して答えないと行政訴訟が発生するということもあると思うのですが。

酒税課長
 この制度は国税庁長官が地理的表示として指定するという制度ですので、申請に対して処分をするという制度にはなっておりません。指定の手続につきましては、ガイドラインにおいて指定を受けるための申立ての手続の規定を設けますが、申立てを踏まえてその他のことも総合的に国税庁長官が判断した上で指定を行うという制度になっております。

吉村委員
 そうなりますと指定の取消しを行う場合に行政処分に該当するのではないかという問題が生じると思いますが、この場合には処分性があるとお考えでしょうか。

酒税課長
 今回の制度の枠組といたしましては、そもそも指定自体が行政処分には当たらないものと考えております。

河村委員
 指定の要件につきまして、1つ目に酒類の特性、2つ目に酒類の特性を維持するための管理となっておりますが、具体的にどのような管理を行わせることを考えているのでしょうか。
 それと、指定の取消しの手続に関しまして3カ月以内に明らかになった場合という規定がございますが、この3カ月以内という規定を設けた理由を教えていただきたい。制度の安定性をお考えということでしょうか。

酒税課長
 地理的表示として指定された酒類は一定の要件を満たした特性を有するものでございますが、誰かが一定の要件を満たしていることをいわば保証しなければなりません。そこで、生産者を中心とした団体を作って要件を満たしているかどうか管理をしていただくことを考えております。すなわち、団体が酒類を審査して地理的表示を名乗るのにふさわしいかどうか判断するような枠組を基本として考えております。
 2つ目の御質問についてですが、地理的表示として指定する場合には、事前に要件について十分な検討を行うつもりですので、指定前の段階で要件を満たしていないという状況には基本的にはならないと考えておりますが、万が一要件を満たしていないという状況であった場合には指定の取消しを行うことができるという規定です。この場合は無期限に指定の取消しを行えるようにするのではなく、御指摘のように制度の安定性の観点から3カ月以内という一定の期限を設けました。

河村委員
 日本国内の要件については詳細に調査されると思いますので問題ないのでしょうが、外国の地理的表示であってその国で保護されていないかどうかといったことについては事前には分からないこともあるのかと思います。
 今回の制度改正は世間の関心も高いようですし、ブランド価値の向上にも繋がるのではないかと考えておりますが、地理的表示として指定された酒類のそれぞれがしっかりと要件を満たしているかどうかについては地域の団体に任せるということですね。そうなりますと、そのような管理をさせることは地域の団体にとって非常に負担になるのではないでしょうか。地域の団体が審査をするというのは非常に良い制度であると思いますが、地理的表示として指定された後、しっかりと要件を満たしているかどうかを審査しないような事態も発生するのではないでしょうか。

酒税課長
 河村委員の御指摘はごもっともであると思います。酒類が特性を有しているかどうかを管理することが必要であると考えます。ただし酒類に関しましては免許制度を採っておりますので、当局としましても様々な機会におきまして要件を満たしているかどうかを調査していくことができると考えております。また、先程も御説明しましたが、酒類の特性を維持するための管理が不十分であると判断しましたときには地理的表示の指定を取り消すこともあり得ます。

渡辺委員
 最初の説明で、日本酒などの輸出が増加しており、地理的表示として指定されることによりブランド価値を向上させることにも繋がるということであったが、現在までに地理的表示として指定されているのは焼酎に関して4件、日本酒は1件、ワインが1件の計6件しかない状況ですね。今後地理的表示として指定される件数はどの位の割合で増えていく見通しでしょうか。

酒税課長
 具体的な見通しは有しておりません。業界の方々との意見交換をさせていただいておりますと、指定要件が明確でないので申請にまで至らないというご意見もございました。今回の制度の見直しにより各地域で地理的表示の指定を受けようといった動きが盛り上がれば良いと考えております。

篠原委員
 日本酒は全国に産地がございます。多くの産地で地理的表示の指定を受けたいと考えているようですので、基準が明確になれば要件に該当するようなものが各地ででてくると思います。各地の酒造組合で検討を行っているような状況です。

手島委員
 地理的表示の地域の範囲というのは国が決めるのではなく、生産者の団体が県であるとか市であるとかより狭い地域というように申立てしたところが認証されればその地域が地理的表示になるということでしょうか。

酒税課長
 具体的にどのような地域の範囲でどのような表示をするのかといったことにつきましては第一に地域が決めていただいて、その範囲でしっかりと管理できるのであれば申立てをしていただくということになります。

松井酒税課課長補佐
 補足させていただきますが、地理的表示の指定内容につきましては資料の2ページにあるとおりです。まず地理的表示の表示方法、これは地理的表示として保護される表示はどのようなものなのかということです。次に産地の範囲がございます。それ以外には酒類区分と生産基準がございますが、これらの項目を一体として地理的表示として指定するということになります。先程酒税課長から御説明させていただきましたが、産地の範囲につきましては、まず地域の団体の方がこの範囲で指定して欲しいと申立てを行いまして、地域と話し合いを行いつつ、最終的には国税庁長官が産地の範囲も含めて指定することになります。

手島委員
 例えばフランスのAOCですとボルドーワインがあってその中にサンテミリオンワインがあります。例えば東京都という範囲では日本酒の地理的表示を指定しないけれども渋谷で地理的表示の指定を受けたいという申立てがあった場合には東京という地理的表示はないが渋谷で地理的表示があるということになるのでしょうか。

酒税課長
 指定された範囲のみということになりますので、御質問の例では渋谷だけが地理的表示になるということです。現在山梨という地理的表示をしておりますが、これは山梨県全体での指定になっております。その中でさらに特色のある地域がございましたらその地域を地理的表示として指定することは可能です。フランスについては比較的幅広く地理的表示として指定されているようですが、日本ではこれから地理的表示が広まっていくのではと考えております。

手島委員
 流通の場においてはボルドーワインよりもサンテミリオンワインの方が高いのが一般的です。地理的表示は商品の価値にも繋がるものであると理解しておりますので、そのような制度が日本においてもできるのだと認識しておりましたが、今の制度ではそうではないのでしょうか。

酒税課長
 ヨーロッパの場合ですと地理的表示の中にもAOCといったより価値の高い制度ございますが、今回の日本の制度としましてはもう少し広く、一定の要件を満たせば地理的表示として指定するといったものになっております。さらに付加価値を付けたい場合には、地域ごとに話し合っていただいてより狭い地域でより特色のあるものを指定していくことになります。ある程度広い範囲で指定を受けるだけで良いとする地域もあると思いますし、さらに付加価値を付けようと狭い地域で指定を受けようとする地域もあると思います。それはその地域の判断であると考えております。

手島委員
 通常は狭い地域の範囲で指定を受けた方が厳しい基準となっているので、狭い地域で指定を受けることから始まってしまうと、次に広い範囲での指定を受けようとする場合の基準はどのように考えているのでしょうか。
 また、日本酒は輸出が増加していますが、海外からみた場合、都道府県よりも狭い範囲で指定を受けてもどこなのか分からないのではないでしょうか。地理的表示の指定を受けたいというところから始まってしまうと、狭い範囲での地理的表示の基準と広い範囲での地理的表示の基準は後から整合性がとれるものなのでしょうか。

酒税課長
 その辺りの考え方につきましてはガイドラインで整理する予定です。手島委員がおっしゃいましたように一般的には狭い範囲の方が厳しい基準であって、広い範囲の方が緩い基準になると思います。ただ広い範囲から先に指定しないと狭い範囲での指定はしないのかというと、いろいろと議論しなくてはならないと思います。
 現在でも白山を地理的表示として指定しておりますが、これは石川県の白山市という市のレベルで指定をしております。日本全国の各地が地理的表示として指定されるというよりもその地域ごとに特色のあるところを地理的表示として指定するようなことを考えております。基本的には狭い範囲の基準の方が厳しいものになりますが、広い範囲を先に地理的表示として指定しないと狭い範囲での指定をしないということは運用が難しいと思います。

分科会長
 今のお話を伺いますと全体として整理が必要なのではと思われます。日本酒の場合ですと、日本酒という大きな区分と、都道府県として力を入れている場合と、特定の産地が過去からのいろいろな蓄積を持っている場合がございます。先程の議論は戦略的にどのように指定していこうかといったところであると思います。この点につきましては、今の段階で明確な枠組を作らないほうがよろしいのではないでしょうか。海外に打って出るということですので、どのような方法が良いのかといったことは、いろいろと議論しながら進めて行くのが宜しいのではないでしょうか。
 手島委員がおっしゃったようなフランスのワインの事例につきましてはそれが日本の場合にも当てはまる場合と当てはまらない場合があるのではないでしょうか。全体として広い範囲からいくのか、狭い範囲からいくのかで整理すべきではないと思います。事務局としては両方から詰めていくということを考えているのではないでしょうか。
 手島委員が御懸念されていることは私も理解しております。一度形になってしまうとそれがイメージとなってしまい、後になってそれを変えることができない可能性がございますので業界の関係者の方と慎重に進めて行かなくてはいけないのだと思います。

酒税課長
 今御指摘いただきました点はガイドラインの検討においても議論することとなると思いますので、手島委員の御指摘も御紹介させていただきまして議論していただくことにしたいと思います。

篠原委員
 日本酒に関しましては酒税法において製法が決められておりますので、特徴は素人には区別がつきにくいものです。例えば山形においても山形の酒造組合の中でランク付けを行っています。ある基準を超えたものはこの銘柄で出しても良いというランク付けを県の中で行って付加価値が高い酒というのを県のレベルで審査しています。県全体で山形の酒を地理的表示に指定してほしいという動きになっておりますので、地理的表示を申請する人の考え方によって変わってくるのではないでしょうか。狭い範囲であれば付加価値が高いということにはならないと思います。狭い範囲であれば付加価値が高いとは政府も考えていないのではないかと思います。地理的表示を申請する人がこれは付加価値が高い酒として販売していこう、この酒は通常の値段で販売しようというように考えています。日本はこのような状況ですのでフランスとは状況が異なるのではないでしょうか。
 日本酒については国全体で地理的表示として指定しようという流れになっておりまして、酒造組合の中でも議論を行っているところであります。酒税法では清酒ということになりますが、国内の米を原料として国内で醸造されたものにつきましては日本酒という地理的表示として指定しようというものであります。組合の中でもいろいろと議論をしましたが、概ね賛成の方向で進んでおります。
 私も酒造業界で50年くらい過ごしておりますが、その間2年位は米が採れなかった時期がございます。これはフランスのぶどうも同様でしょうけれど、その時にどうするのかといった疑問はございますが、これは一部の意見であって米が採れなくなった時はその時に考えればよいと思います。個人的な意見としましては、各地でどのような地理的表示を指定していくのかにつきましては、非常に判断が難しいのではないかと思っております。

河村委員
 先程手島委員の御意見もありましたが、地理的表示の範囲をどのように設定していくのかという問題が生じると思います。地理的表示に関しましては世間でも関心が高いものであり、今後いろいろな事例が発生してきて、制度ができて実行に移す段階でどうすれば良いのかといった事態になるのではないでしょうか。手島委員の御懸念もごもっともと考えておりまして、具体的な地名を上げても良いのか分かりませんが、山梨で指定を受けるのか、勝沼で指定を受けるのかといったことを地域で検討する場合に、合意がすぐに得られるのかといった疑問があります。何年か経過すれば状況は変わってくるということもあるのでしょうが、事務局からの説明では手続に関してもしっかりと整備するということでもありますし、一度地理的表示として指定されても変更できる規定も設けるということですので、先に指定を受けたものが得をするということにならないように運用していただいて、制度の柔軟性は残しておいた方が良いのではと思います。何年か運用していけばいろいろな事例が発生して当局にも見えてくるのではと思いますが、運用の仕方によっては混乱が生じる可能性もございますので、このあたりにつきましてもガイドラインを検討する時には御検討いただくのが宜しいかと思います。

酒税課長
 貴重な御意見ありがとうございました。ガイドラインを検討する時に参考にさせていただきます。

分科会長
 いろいろと御意見いただきまして、手続の問題、運営上の問題、そしてそれをガイドラインに具体的に活かしていくということでございましたが、それでは議題2「地理的表示に関する表示基準を定める件の全部改正について」は事務局案をご了承いただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 ありがとうございました。それでは異議なしということにさせていただきます。議題2につきましても今後パブリックコメント、それからWTOのTBT協定に基づくWTO加盟国への通報の手続を採ることになります。パブリックコメント等の結果を踏まえて大幅な修正がないようでしたら改めて審議を行わず本日の了承をもちまして当分科会の議決とさせていただきたいと考えております。なお、再度当分科会にお諮りする必要があるかにつきましては私に御一任いただきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 ありがとうございました。ではそのように進めさせていただきます。それでは次の議題に移らせていただきます。
 議題3「酒類における有機等の表示基準を定める件の一部改正について」、議題4「清酒の製法品質表示基準を定める件の一部改正について」、議題5「未成年者の飲酒防止に関する表示基準を定める件の一部改正について」及び議題6「酒類の表示の基準における重要基準を定める件の一部改正について」であります。これら4つの議題を事務局より一括して説明いたします。その後委員の皆様から御意見を伺いたいと思います。
 それでは稲本酒税課長、よろしくお願いします。

酒税課長
 議題の3から5までにつきましては、資料の4−1に基づきましてまとめて説明させていただきます。資料4−1の1ページをお開きください。今回の改正の概要ですが、まず平成27年4月1日に食品表示法が施行された関係で、1ページに掲げております3つの表示基準について所要の改正を行うものでございます。
 具体的な改正内容としまして、まず1つ目の、「酒類における有機等の表示基準」ですが、1にございますように基準において引用している法律名が変わりましたので、それに伴う修正がございます。
 それから、2点目でございますけれども、遺伝子組換え表示に関する規定を削除いたします。これは、食品表示法に酒類を含む食品全般の遺伝子組換え食品の表示の規定が加えられ、今回酒類もその規定が適用されることになりましたので、現在ある遺伝子組換え表示に関する規定を削除するものでございます。
 3点目でございますが、2の改正に伴いまして、基準の名称でございますが、酒類における有機等の「等」を削除し、「酒類における有機の表示基準」に変えたいというものでございます。
 続きまして、その下にございます、「清酒の製法品質表示基準」及び「未成年者の飲酒防止に関する表示基準」でございますが、こちらは非常に細かい技術的な話ですけれども、その基準の中で定める文字のポイントの定義について、今回食品表示法におきましていわゆるJIS規格に基づくポイントであるということが明記されましたので、これらの表示基準におきます文字のポイントについても、それに合わせる形で基準に明記するというものでございます。具体的な規定等につきましては、その後の6ページ目等に示させていただきましたけれども、こういった形でポイントがどの規格に基づくものなのかということを明記するものでございます。
 以上が「酒類における有機等の表示基準」等の改正の概要でございます。
 続きまして、議題6につきましては、資料5で御説明したいと思います。「酒類の表示基準における重要基準」の改正でございます。資料5の1ページをお開きください。酒類の重要基準でございますが、最初の議題でも少し御説明いたしましたが、酒類の表示の基準を遵守しない事業者に対しまして、重要基準に該当する場合におきましては「命令」という行政処分をすることができるという酒類業組合法の規定がございますので、命令をすることができる基準の規定の範囲を具体的に定めるという枠組になっております。
 これまで重要基準に定める際の基本的な考え方というのは、そこにございますように3つございまして、1国民の健康や安全性に対する意識の高まりに応え、消費者の商品選択に資するべく酒類の適正表示・製法品質を確保するために必要がある場合ということで、製法品質表示基準等の一部規定については、重要基準に指定しております。それから2国際的に調和のとれた対応を図る必要があるものということで、地理的表示がこれに該当しています。それから、3酒類の致酔性を踏まえた社会的要請に対応するために必要がある基準についても指定するということで、「未成年者の飲酒防止に関する表示基準」において一部規定を重要基準に指定してきたところでございます。
 現行の表示基準のうち重要基準として定められている規定は、次の2ページに書かれているとおりでございます。「清酒の製法品質表示基準」につきましては、表示を義務付けるものですとか、表示を禁止するような条文につきましては、重要基準に指定しているところでございます。また、「未成年者の飲酒防止に関する表示基準」についても同様でございます。地理的表示につきましては、現行の条文の、第2項ということで、こういった場合には使用してはいけないという「使用の禁止」に関する規定を重要基準として指定しています。
 3ページに、今回重要基準として追加したい規定がございます。それは、まず議題1でございました「果実酒等の製法品質表示基準」のうち、いくつかの規定について重要基準として定めたいと考えております。具体的には1から5に示させていただいておりますが、表示を義務付けるもの、あるいは任意表示であっても地名、品種、収獲年のように一定のルールに合致した場合にしか表示できないというようなルールにつきましては、重要基準に指定しまして、もし違反があれば命令まで行えるような法的拘束力を持たせたいと考えております。
 それから議題2でございました「酒類の地理的表示に関する表示基準」につきましては、現行と同じく、使用の禁止に係る条文につきまして引き続き重要基準として指定したいと考えており、項の番号は変わりますけれども、基本的に現行どおりの指定としたいと考えております。
 それから最後に書いてありますように、先ほど御説明しました「酒類における有機等の表示基準」のうち、遺伝子組換えに係る表示基準の一部が重要基準になっておりましたが、規定自体が削除されるということで、重要基準からも削除するという改正をしたいと考えております。具体的な条文案は4ページに示させていただいております。以上でございます。

分科会長
 今の御説明に対しまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

(質問等なし)

分科会長
 それでは、議題3「酒類における有機等の表示基準を定める件の一部改正」、議題4「清酒の製法品質表示基準を定める件の一部改正」、議題5「未成年者の飲酒防止に関する表示基準を定める件の一部改正」及び議題6「酒類の表示の基準における重要基準を定める件の一部改正」につきましては、すべて事務局案を了承するということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 はい。どうもありがとうございました。
 それでは、議題3から議題6に係る今後の手続について説明いたします。議題3から議題5につきましては、食品表示法の規定を受けた軽微な改正でありますので、パブリックコメント等の手続は取らずに、この了承いただいた案をもって官報、公告の手続に進みます。また、議題6につきましては、パブリックコメントの手続をとることになります。パブリックコメントの結果を踏まえて大幅な修正がないようであれば改めて審議を行わず、本日の了承をもって当分科会の議決とさせていただきたいと思います。
 なお、この判断を私に御一任いただきたいと存じますがそれでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 はい。ありがとうございました。それではそのように進めさせていただきます。
 以上諮問事項である議題1から議題6について御審議いただき、御了承を承ったところでございますけれども、この後の進め方をご説明いたします。
 酒類分科会における議決につきましては、国税審議会長に御報告いたします。国税審議会では国税審議会令第6条及び国税審議会議事規則第3条の規定によりまして国税審議会の会長が適当と認めた場合に限り、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができるとなっております。
 したがって国税審議会長に分科会での議決の報告を行った際に、議題1から議題6の議決についてそのように取り扱ってよろしいか国税審議会長に御判断いただくことになります。国税審議会長から御了承いただきますと、答申の形に体裁を整えたうえで、国税審議会長から国税庁長官にお出しすることになります。

 それでは最後の議題に移りたいと思います。
 議題7は「部会の設置、部会に関する委員の数及び部会長の指名等について」でございます。国税審議会令第7条第1項では、分科会はその定めるところにより、部会を置くことができるとされており、酒類分科会議事規則第2条第1項の規定によりまして、当分科会に部会を置くことについてお諮りをしたいと思います。
 先ほど事務局から議題2「地理的表示に関する表示基準を定める件の全部改正について」におきまして、基本的な事項を国税庁長官告示に定め、実務的な事項をガイドライン(通達)に規定する方針であることを御説明いただきましたが、ガイドライン(通達)の内容につきましては、高度に専門的、実務的な知識が不可欠であると考えまして、国税審議会令等の規定に基づき酒類分科会に部会を設置したうえ、知見の有る臨時委員の方々を加えていただき審議を行っていただくことを考えております。
 酒類分科会に部会を設置する件につきまして、御了承いただきたいと存じますけれどもいかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 はい、ありがとうございます。
 異議なしということで御了承いただきました。
 では、酒類分科会に部会を設置することといたします。
 お手元にございます資料6「『地理的表示部会』設置要綱案」をご覧ください。読み上げますと、酒類分科会議事規則第2条第1項の規定に基づき下記のように定めるということになっております。

  1. 1 酒類分科会に地理的表示部会を置く。
  2. 2 部会は地理的表示に関する表示基準に関わるガイドライン(通達)の内容について調査、審議するものとする。
  3. 3 部会の構成員は別紙のとおりとする。

 というものでございます。
 国税審議会令第7条により、部会に属すべき委員及び臨時委員は当該分科会長が指名することとされ、また、酒類分科会議事規則第3条の規定によりその部会に属する委員の数は調査審議すべき事項に必要な数を限度とするとされております。地理的表示に関わるガイドライン(通達)の中では、事務局において酒類ごとの具体的な指定要件や酒類の特性を管理するための管理機関の業務等を規定することを予定しております。かなり実務的な審議が必要であることから、部会に属すべき委員及び臨時委員につきましては、私を含めて資料6の別紙に掲げる計8名の委員としたいと考えております。委員の皆様におかれましては、酒類分科会議事規則第3条の規定によりまして、部会に属する委員の数及び部会に属する委員について御賛同をお願いできればと存じますがいかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 はい、ありがとうございます。
 では、部会に属する委員の数及び部会に属する委員につきましては、資料6の別紙のとおりとさせていただきます。
 部会の部会長につきましては、国税審議会令第7条の規定により私が指名することになっております。部会で審議することとしている事項は、本日審議いただいた地理的表示に関する表示基準の内容と密接に関係するということを踏まえまして、私がそのまま部会長を務めさせていただきたいと考えておりますので、宜しくお願いします。
 また、国税審議会令第7条で、「部会長が、当該部会に属する委員及び臨時委員のうちから、その職務を代理する委員をあらかじめ指名する」ということになっておりますので、佐藤分科会長代理にお願いしたいと思います。佐藤委員よろしくお願いします。

佐藤委員
 分かりました。

分科会長
 どうもありがとうございます。
 なお、国税審議会令第7条及び酒類分科会議事規則第2条の規定により、当該部会での議決をもって酒類分科会の議決としたいと存じますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、部会での議決をもって酒類分科会の議決とさせていただきます。
 部会(地理的表示部会)の開催日時につきましては、今月25日木曜日を予定しております。
 部会に所属されることとなった委員の皆様には、後ほど改めて、開催の通知をさせていただきますのでよろしくお願いします。
 本日予定しておりました議題は以上となりますが、他に御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。

広重委員
 先ほど議論が白熱したので言いそびれてしまったのですが、地理的表示の件ですけれども、私はイメージとしては、例えば魚沼産コシヒカリみたいな感じのお酒が今後出てくるのかなと期待しておりまして、色々なエリアの地域の活性化にもつながるでしょうし、切磋琢磨することによってより良いものが登場するとすれば消費者にとっても利益のあることだと思っておりまして、浸透していくことを期待しております。

分科会長
 ありがとうございました。
 他にないようでしたら、本日の議事要旨及び議事録の公開につきまして御説明させていただきます。
 国税審議会議事規則第5条、酒類分科会議事規則第4条に則りまして、まずは簡潔な内容のものを議事要旨として公表し、議事録は完成次第公表させていただきたいと存じます。
 なお、議事録につきましては、公表前に皆様の御発言内容に誤りがないかを確認させていただきたいと思います。
 それから、議事要旨の内容等につきましては、分科会長一任ということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

分科会長
 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。
 これを持ちまして、第16回酒類分科会を閉会させていただきます。
 今日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――