日時: 平成19年6月19日 14:54〜16:26

場所: 国税庁第一会議室

出席者:

酒類分科会委員   小林分科会長   飯村分科会長代理
潮田委員 尾原委員
金子委員 ~津委員
田嶼委員 辰馬委員
藤田委員 水野委員
説明者 国税庁 荒井国税庁審議官
小部酒税課長
木下鑑定企画官
亀井酒税企画官
永田酒税課課長補佐
松丸鑑定企画官補佐
櫨田酒税課企画専門官

小林分科会長
 少しだけお約束の時間よりも早いようでございますが、全員お揃いになりましたので、始めさせていただきます。
 今日は第7回の酒類分科会でございます。委員の方々には、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 それでは会議を始める前に、本日御出席いただいております委員の方々を、50音順に御紹介させていただきます。
 まず、飯村 穰委員でございます。
 潮田 道夫委員でございます。
 尾原 榮夫委員でございます。
 金子 ひろみ委員でございます。
 ~津 十月委員でございます。
 田嶼 尚子委員でございます。
 辰馬 章夫委員でございます。
 藤田 利久委員でございます。
 水野 忠恒委員でございます。
 委員10名のうち全員出席でございますので、言うまでもなく国税審議会令第8条第1項に従いまして、本会は有効に成立しているということでございます。
 続きまして、国税庁の方からの出席者を御紹介させていただきます。
 まず、荒井国税庁審議官でございます。
 小部酒税課長でございます。
 木下鑑定企画官でございます。
 亀井酒税企画官でございます。
 永田酒税課課長補佐でございます。
 松丸鑑定企画官補佐でございます。
 櫨田酒税課企画専門官です。
 ありがとうございました。
 それでは、ここで荒井国税庁審議官に御挨拶をお願いいたします。

荒井審議官
 国税庁の審議官をしております荒井でございます。委員の皆様方には、御多用中にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、日ごろから、税務行政並びに酒類行政につきまして、多大な御理解、御協力を賜っておりますことを厚く御礼申し上げます。
 本日、御審議をお願いしております「酒類における有機等の表示基準」は、酒類の容器に「有機」や「オーガニック」の表示をする場合の、原材料や製造工程の管理方法などの基準を定めるものでございまして、平成12年12月の国税庁告示により定め、平成13年4月から施行しているものでございます。
 また、この基準におきましては、酒類における遺伝子組換えに関する表示の取扱いも定めておりまして、酒類の原材料として遺伝子組換え農産物を使用した場合に、酒類の容器に、遺伝子組換えの原材料を使用している旨の表示を義務付けるものでございます。
 今回は、「有機」や「オーガニック」と表示することができる酒類の原材料に有機畜産物を追加すること、それから、遺伝子組換えの表示を義務付ける対象農産物を追加することなどの改正を行うものでございます。詳細につきましては、後ほど事務局より説明させていただきます。昨今の、酒類の品質や安全性に対する消費者の関心は非常に高いものがございます。酒類の表示の基準は、消費者が適正に商品を選択する上で重要な問題であると考えておりますので、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、審議事項のほかに、皆様方に御説明させていただく事項がございます。現在、内閣府の食品安全委員会では、「遺伝子組換え微生物を利用して製造された食品の安全性評価基準」を策定するための議論が行われておりまして、この中で、表示制度についても並行して検討すべきとの意見が出されております。
 醸造用の酵母などの微生物は、酒類の製造に不可欠なものでありまして、新たな表示基準の策定について、今後、審議会で御審議をお願いすることが考えられますことから、酒類に関する遺伝子組換え微生物の現状等につきまして、事務局から報告させていただくものでございます。
 以上、本日の審議事項及び説明事項の概要を申し上げまして、簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。

小林分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。今、審議官からお話しがございましたが、今月5日に国税庁長官から諮問を受けました、「酒類における有機等の表示基準を定める件の一部改正」につきまして、国税審議会会長の方から当分科会に付託することが適当であるという御判断をいただきました。これを受けまして本日、国税審議会議事規則第3条の規定によって、当分科会で御審議をいただくという段取りでございます。
 それでは、小部酒税課長の方から、今回の改正案の内容につきまして御説明をお願いいたします。

小部酒税課長
 それでは、よろしくお願いいたします。
 冒頭、審議事項についての御説明に入ります前に、御手元の資料の御確認をお願いいたしたいと思います。
 お手元に配付させていただきました封筒の中に、1枚ものの資料で「議事次第」、「配席図」、「国税審議会酒類分科会委員名簿」と、そのほかに、ホチキス止めをしてあります「国税審議会酒類分科会検討資料」という表題のものと、「国税審議会酒類分科会参考資料」と書かれたものがございます。また、A3サイズのものを2つ折りにしているかと思いますが、「酒類における有機等の表示基準の改正のポイント」ということで、合計6種類の資料がお手元に配付させていただいているかと思います。そのうち、「国税審議会酒類分科会検討資料」という表題がついてございますものは、本日御審議をお願いしております、「酒類における有機等の表示基準を定める件の一部改正」の事務局案でございます。また、「国税審議会酒類分科会参考資料」という表題の厚みのある資料がございますが、こちらが御説明させていただきたい参考資料でございまして、資料の1から資料の17までという構成になっておるものでございます。また、A3サイズの資料は改正事項についての図解でございます。お手元の資料、不備ございませんでしょうか。ございましたらお願いいたします。よろしゅうございますか。
 それでは、審議事項についての説明をさせていただきます。まず最初に、審議をお諮りいたしました根拠及び手続について説明させていただきます。参考資料1ページの資料1を御覧ください。
 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律、以下、「酒類業組合法」と略させていただきますけれども、この第86条の6第1項におきまして、財務大臣は酒類の製法や品質などに関する表示について、酒類業者が遵守すべき必要な基準を定めることができるとされております。これを受けまして、資料1の中央の段の酒類業組合法施行令第8条の4を御覧いただきますと、表示を定めることができる事項として1号から3号まで規定されておりまして、本日御審議いただきます、「酒類における有機等の表示基準」というものは、第1号の酒類の製法、品質その他これらに類する事項に該当するものでございます。また、上の段の左側の方でございますが、酒類業組合法第86条の8を御覧いただきますと、酒類の表示の基準を定めようとするときは、あらかじめ国税審議会に諮問することとされております。
 それから、次に、1ページおめくりいただきますと、2ページ目に資料2という紙がございますけれども、先ほど会長からお話がございましたとおり、国税庁長官名で国税審議会会長あてに「酒類における有機等の表示基準を定める件の一部改正」についての諮問をさせていただいているということで、本日御審議をお願いするものでございます。
 次に、本日の審議事項でございます「酒類における有機等の表示基準を定める件の一部改正」についての御説明をさせていただきます。恐縮でございますが、御質問につきましては、説明が一通り終わりました後でお受けさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは冒頭、まず「酒類における有機等の表示基準」につきまして、基準の制定の背景及び概要について御説明をさせていただきます。参考資料の3ページ、資料の3をお開きください。「酒類における有機等の表示基準」の概要につきまして、表示例を図にしたものも含めて、ここから先、3枚の説明資料をお付けしてございます。
 まず、基準制定の経緯についてでございますが、近年、安全・健康といった観点から消費者の食品に対する関心が高まっているということは、よく御案内のとおりと存じますが、こうした中で、いわゆる「有機農産物」あるいは「有機農産物加工食品」という場合の「有機」という言葉や表示について、きちんと定義をする必要が出て参りまして、平成12年の1月に農林水産省におきまして、酒類や医薬品、化粧品を除く有機農産物や有機農産物加工食品についての「日本農林規格」、いわゆる「有機JAS規格」によって、「有機」と表示する際の基準が定められております。これを受けまして、酒類においても、それまで、例えば「有機ワイン」というような名称の酒類が生産されていたということもございまして、「有機」などの表示の適正化を図り、消費者の適切な商品選択に資するために、「酒類における有機等の表示基準」を定めたわけでございます。その際、酒類も農産物を主原材料としておりますので、有機JAS規格に準拠した内容としております。
 次に、この基準の概要でございますが、大きく分けて3項目に分かれております。この辺が資料の3ページから4ページに記載してございますが、まず第1は、酒類の容器に、「有機」または「オーガニック」と表示する場合の基準でございます。3ページの項目番号1というところに書かれておりますが、「(1)原材料及び使用割合の基準」、「(2)製造その他の工程に係る管理」、「(3)品目の表示」、この3つの要件を満たした場合に、「有機」または「オーガニック」と表示することができるというものでございます。
 (1)の原材料及び使用割合におきまして、まず原材料がJAS法に基づいた格付の表示された有機農産物及びその加工食品であること。2点目としまして、その使用割合が95%以上であること。さらに3点目としまして、食品添加物は必要最小限度の量であること、といったことが定められております。
 それから、(2)の製造その他の工程に係る管理におきましては、1点目としまして、物理的または生物の機能を利用した方法によること。酒類の場合では、酵母でアルコール発酵させる工程が生物の機能を利用した方法、これを蒸留、ろ過するなどの工程が物理的方法に該当いたしますが、こうした方法により製造するものであること。それから2点目として、病害虫の防除に使用できる薬剤が一定のものに限られていること。3点目といたしまして、原材料管理において有機原材料とその他の原材料が混合しないように管理されているといったことなどでございます。
 次に(3)でございますが、品目の表示につきましては、酒類の品目の表示に合わせまして、「有機農産物加工酒類」と表示されております。これは、有機農産物などの場合には、有機JASマークを添付することによって、消費者が認識できるようにしているわけでございますが、酒類においては、法令上、こうしたマーク、すなわち「意匠」の表示の権限を有していないため、これに代えて「有機農産物加工酒類」と表示させることといたしております。
 次に、第2番目の項目、有機農産物を酒類の原材料に使用した際の原材料表示の基準でございます。資料の3ページ、下の方に項目番号の2というのがございます。ただいま、有機原材料を95%以上使用した場合に「有機」または「オーガニック」の表示ができると申し上げましたが、有機原材料が95%に満たなかった場合に、有機原材料を使用している旨の表示が一切できないかといいますと、そういうことではなくて、一定の条件のもとに認める、という内容でございます。
 具体的には、酒類の品目の表示に合わせて、「有機農産物○%使用」という、その使用割合を表示した場合には、「有機米使用」といった表示も認めるということでございます。ただし、この場合も、有機米使用などの表示を大きな文字で表示したり、商品名と一体として表示した場合には、消費者が有機農産物加工酒類と誤認する恐れがあるということで、商品名との一体表示を禁止するとともに、表示する文字の大きさにも制限を課しております。この有機原材料の使用表示につきましても、JAS法に基づく食品の表示のルールに準拠しているものでございます。
 1枚おめくりいただきまして5ページをお開きいただきますと、表示の具体例というものが出てございます。一番上の図が有機原材料を95%以上使用した場合の表示例で、清酒の品目表示の下に「有機農産物加工酒類」と表示いたしまして、商品名と一体的に「有機米使用清酒」と表示をいたしております。
 2の(1)という図がございますけれども、これは有機原材料50%以上使用という場合の表示例でございまして、ここでは80%使用というものを例にしておりますけれども、右側の清酒の品目表示の下に、「有機農産物80%使用」と表示いたしまして、商品名と一体とならないように少し離して「有機米使用」と表示をいたしているところでございます。
 そして一番下、2の(2)という図でございますが、有機原材料の使用割合50%未満の表示例でございまして、ここでは30%しか使用していないということで、清酒の品目表示の下に「有機農産物30%使用」と表示して、左側の有機米使用の表示が「お酒は20歳になってから」と表示している文字の大きさを超えない小さい活字で表示をするということにしているものでございます。
 それではお戻りいただきまして、4ページの3、3番目の項目でございますが、遺伝子組換え農産物を酒類の原材料に使用した際の原材料表示の基準について御説明させていただきます。
 項目番号3でございます。一般の食品におきましては、JAS法に基づきまして、遺伝子組換えの原材料を使用して製造いたしました食品に「遺伝子組換え」の表示を義務付ける基準が定められておりますが、酒類につきましても、この基準を準用いたしまして、遺伝子組換え食品を酒類の原材料として使用した場合について、同様の表示義務を義務付けております。
 具体的には、遺伝子が人為的に組み換えられた大豆、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実を酒類の原材料に使用した場合で、そのDNAまたはこれによって生じたたんぱく質が残存する場合、あるいは遺伝子組換えによって、通常のものよりもオレイン酸を多く含有する大豆を主要な原材料とする場合には、その原材料名とあわせて「遺伝子組換え」といった表示を義務付ける、という内容になっております。
 以上が、現行の「酒類における有機等の表示基準」の概要でございます。
 それでは次に、本日お諮りする「酒類における有機等の表示基準の一部改正」についての御説明を申し上げたいと思います。
 改正の経緯でございます。先ほど「酒類における有機等の表示基準」は、JAS法に基づく食品の表示基準に準拠していると御説明申し上げましたが、有機加工食品のJAS規格及び遺伝子組換え表示基準は、平成17年10月以降、4回改正が行われています。
 お手元の資料6ページにこの資料がお付けしてございますが、平成17年10月11日の改正において、遺伝子組換え表示を義務付ける対象農産物に、アルファルファを追加しております。
 それから同じく平成17年10月27日の改正において、有機加工食品の原材料に使用できる物品に有機畜産物を追加し、使用可能な食品添加物を追加し、また、使用可能な薬剤の整理をいたしております。
 それから平成18年10月27日の改正におきまして、外国で生産される農産物にかかる有機の「格付の表示」の規定の追加、食品添加物の追加をいたしております。
 同年11月8日の改正におきまして、遺伝子組換え表示を義務付ける対象農産物に、てん菜が追加されております。
 これらにつきまして、有機加工食品の使用原材料に有機畜産物が追加された時点では、商品化された有機畜産物、有機牛乳などの発売が当面見込まれていなかったということ、それから、遺伝子組換え表示の対象農産物に追加されましたアルファルファ及びてん菜については、家畜の飼料用として開発されたということで、酒類の原材料として使用される可能性が低かったことから、有機加工食品のJAS規格など一連の改正が落ち着くのを待って、「酒類における有機等の表示基準」を改正するということにいたしておりました。
 最初の17年10月の改正から1年半が経過いたしまして、有機加工食品のJAS規格などの改正も一段落をしたということ、それから有機牛乳などの有機畜産物を原材料としたものが、実際、市場に出回るようになった状況を踏まえまして、この、「酒類における有機等の表示基準」について、これまでの有機JAS規格などの改正内容に準拠する内容の改正を行うに至ったというものでございます。
 それでは、この6ページの資料に基づいて、「酒類における有機等の表示基準」の主な改正事項の御説明をさせていただきます。それから別に、A3版の資料は、「酒類における有機等の表示基準」の改正案と現行規定、それとJAS法に基づく有機加工食品のJAS規格及び遺伝子組換え表示基準の現行規定と従前規定、つまり改正前の規定との比較対照をしたものでございまして、どこが変更になったということを対照しております。今回の改正が、有機加工食品のJAS規格などの改正に準拠したものであるということを主として示すねらいがあるものでございまして、適宜御参照いただければということでございます。
 資料4に戻りますと、まず1でございます。有機農産物加工酒類の原材料に「有機畜産物」を追加したという点について御説明を申し上げます。
 農林水産省におきまして、平成17年10月に有機畜産物のJAS規格を新たに制定いたしまして、これに伴いまして、有機加工食品のJAS規格を改正して、有機農産物加工食品の原材料に、有機畜産物及びその加工品が加えられたことから、酒類の表示基準についてもこれに準拠して、「有機」または「オーガニック」と表示する酒類に使用することができる原材料に、有機畜産物及びこれを加工したものを新たに追加するという内容でございます。ここでいう「畜産物」や「その加工品」には、例を申し上げますと、卵、牛乳、ヨーグルトなどが考えられまして、これらを原材料とする酒類としては、実際に、たまご酒ですとか、牛乳焼酎、ヨーグルト・リキュールなどが商品化をされているところでございます。
 こうした商品化されているたまご酒などについて、現時点では、「有機」または「オーガニック」の表示をしたいとの要望は出てきておりませんけれども、今後、有機畜産物及びこれを加工したものを酒類の原材料として使用して、「有機」または「オーガニック」の表示をしたいとの要望が出される可能性もございますので、有機農産加工酒類の原材料として新たに追加をするものでございます。
 次に、2番目の有機農産物加工酒類に使用することができる食品添加物の追加につきまして御説明をいたします。有機加工食品のJAS規格で使用が認められております食品添加物につきまして、国際食品規格であるコーデックス・ガイドラインにおいて使用が認められている食品添加物のうち、我が国の食品衛生法で使用が認められているものの中で、さらに食品製造において使用する可能性があるものということで、個別に掲名しております。
 酒類につきましても同様の考え方に基づきまして、コーデックス・ガイドライン、それから食品衛生法で使用が認められている食品添加物のうち、酒類の製造に使用される可能性のあるものを再整理して別表1として掲げております。これは国税審議会酒類分科会検討資料の8ページにその別表が出ております。
 次に、3番目の製造その他の工程に係る管理において使用できる薬剤の整理につきまして御説明を申し上げます。有機加工食品のJAS規格で使用が認められている薬剤につきましては、コーデックス・ガイドラインで使用が認められている薬剤のうち、我が国の農薬取締法により登録されているものとされております。
 酒類につきましても、原材料を倉庫等に貯蔵する場合に、有害動植物、例えばネズミ、虫、あるいはかびなどの被害に対処するために薬剤を使用する可能性がございます。したがいまして、有機加工食品のJAS規格で認められている薬剤と同一の薬剤を別表の2として掲げているところでございます。これらの薬剤は、倉庫の床や壁などに散布するなどして使用されるものであって、お酒やその原材料に直接散布されるものではない、というものでございます。
 次に、4点目の酒類における遺伝子組換えに関する表示の対象農産物の追加につきまして御説明をいたします。遺伝子組換え農産物を原材料とする加工食品の表示基準につきましては、農林水産省において、遺伝子組換え農産物の新たな商品化の状況、組み換えられたDNAそのものや、これによって生じたたんぱく質の除去及び分解の実態、検出方法の進歩に関する新たな知見、消費者の関心などを踏まえまして、毎年、見直しが行われているところでございます。
 アルファルファ及びてん菜につきましては、内閣府の食品安全委員会におきまして遺伝子組換え食品としての安全性が確認され、食用に供することができるようになったということを受けまして、加工食品の原材料として使用した場合に遺伝子組換え等の表示を義務付ける対象農産物として、平成17年10月にアルファルファ、平成18年11月にてん菜が追加されております。
 アルファルファにつきましては、参考資料の7ページ、資料の5というところを御覧いただきたいと思います。この資料は一般の食用アルファルファに関するものでございます。遺伝子組換えのアルファルファは飼料用として開発されたものでございまして、除草剤に強いという遺伝特性が認められております。食用アルファルファはもやしのほか、カット野菜を混合したミックス野菜などとして食べられているというもののようでございます。
 次に、てん菜につきましては参考資料8ページの資料6を御覧ください。これは一般の食用てん菜に関する資料でございます。遺伝子組換えのてん菜につきましても、飼料用として開発されたものでございまして、遺伝特性はアルファルファと同様、除草剤に強いというものでございます。一般の食用てん菜は通常は砂糖に加工されておりますけれども、産地ではてんぷらなどという形で食用に供されるということもあるようでございます。
 これらアルファルファやてん菜は、現時点でお酒の原材料として使用されている例は見られませんけれども、今後、消費の多様化が進み、さまざまな食品開発が行われる中で、酒類の原材料として使用される可能性が全くないということでもございませんので、これを酒類の原材料とした場合に、遺伝子組換えの表示を義務付ける対象農産物として、新たに追加をするものでございます。
 次に、高リシンとうもろこしにつきまして、参考資料9ページの資料7を御覧ください。リシンとはアミノ酸の1つでございまして、栄養強化等の食品添加物として使用されておりまして、高リシンとうもろこしとは遺伝子組換えにより、リシンの含有量を高めた飼料用のとうもろこしとして開発されたものでございます。この高リシンとうもろこしにつきましては、現在、農林水産省において、遺伝子組換え表示を義務付ける対象農産物に追加するための作業が進んでおりまして、既にパブリックコメントを終えて、WTO通報の手続きを行っているところでございます。また、今後、本年秋を目途といたしまして、農林物資規格調査会総会にお諮りいたしまして、年内にも指定告示をする見込みと聞いております。
 高リシンとうもろこしにつきましては、主として飼料目的で開発をされているというものでございまして、現在のところ、お酒の原材料としては使用されていないようでございますが、今後、使用される可能性が全くないとまでは言えないということで、酒類の原材料として使用した場合に、遺伝子組換え表示を義務付ける対象農産物に追加していく必要があると考えておりますので、今後の農林水産省における指定告示が行われれば、速やかに「酒類における有機等の表示基準」に追加をいたしたいと考えております。
 以上が、「酒類における有機等の表示基準を定める件の一部改正」の事務局案の内容でございます。以上で御説明とさせていただきます。

小林分科会長
 ありがとうございました。そうしますと、お手元に配布されている国税審議会酒類分科会検討資料に改正案と現行との対照表がございますね。この改正案の方をこれでいいかどうかを審議するということですね。
 今、課長の御説明がございましたけれども、大変、専門的なものでございますが、この審議会にはお医者様もいらっしゃいますし、栄養士さんもいらっしゃいます。もちろんメーカーの方もいらっしゃいますので、とりあえず御専門の立場から、御意見などをお願いできればというふうに思っております。
 今、お聞きしますと、要するに、農林水産省の有機JAS規格に基づく表示基準の変更などがございまして、今回の一部改正ということですね。

小部酒税課長
 大きくはそういうことでございます。

小林分科会長
 はい、ありがとうございました。難しい問題ではございますが、それではひとつ、どのような御意見、あるいは御希望でも構いませんので、ございましたら御発言いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 藤田委員、どうぞ。

藤田委員
 今、明解に課長から説明がありまして、実際的なことでわかりにくい部分もありますけれども、現実的には、あくまでも根拠がJAS法に基づく表示基準であるということ、これが準拠ということですから、特に問題があるとは思いませんので。

小林分科会長
 ありがとうございます。
 消費者が実際にお酒を購入するときに、例えば有機農畜産物という表記に、消費者がどの程度注目するでしょうか。その辺は辰馬委員、メーカーの立場からいかがですか。

辰馬委員
 量から質へのマーケティングが主流の中にあって、ただ「品質第一」を標榜するだけではなく、質を高める新しい価値を、時代に即して絶えず創造していかないとお客様の満足は得られません。私たちメーカーが生産する商品の生い立ちや、ストーリー性は、商品価値の大切な構成要素であり、この有機表示も消費者に好感を持ってもらえるメッセージのひとつとなるでしょう。従って審議事項の有機の表示基準の整備は、私たちの望む方向であり、賛同いたします。

小林分科会長
 専門家の御意見として、まず飯村先生からお願いできますか。

飯村委員
 農林水産省の規格に準拠するということでは、アウトラインではこれでよろしいと思いますし、これを表示していくということで、今お話のありましたように、質を、ちゃんと表示しているというふうに解釈できると思います。そこで、表示にはそのほかに、例えば精白歩合の表示とか、それからアルコール分の表示があるのですが、オーガニック、有機ということを謳った場合に、実際にそれが正しい表示であるかどうかということです。これは、メーカーさんの表示をもちろん消費者は信じて買うわけなのですが、その辺がどういうふうに保証されているのかということ、あるいは保証していくのかということですね。そのことがはっきりしていれば、私はこの流れでよろしいのではないかと思うわけでございますが、その辺、酒類の行政に携わる側としましては、どのようなことをお考えになっているか、もし、ございましたら伺いたいと思います。

小部酒税課長
 これは、「酒類における有機等の表示基準」というのは、今、飯村委員からも御指摘がございましたとおり、ほかの品質表示基準等とあわせまして根拠法になっておりますのが、先ほどから申し上げております酒類業組合法でございます。これに基づく質問検査権というものを使って、我々としてはそれが正確な表示であるかということを検証して参りたいと思います。もちろん、科学技術的に検証の手法などということは、いろいろと工夫をしなければいけない面があると思いますし、メーカーの御協力もいただかなければいけないと思いますけれども、そういった調査権というものを使いながら検証して参りたいというふうに考えております。

飯村委員
 よろしいですか。

小林分科会長
 はい、どうぞ。

飯村委員
 例えば95%とか、それからこの例にございますように80%といっても、これを成分的に検証するというのは、恐らく不可能に近いのだろうと思います。したがって、それを例えば、あくまでも行政指導的に、表示に間違いがないように極力やっていくということしか、現実にはないと思いますけれども。

櫨田企画専門官
 参考資料の15ページを御覧ください。こちらに酒類の表示制度のスキームという図が掲げてございます。ただ今、課長から説明ありましたように、酒類業組合法に基づきまして、お酒にはこういったものをこういった基準で表示しなければならないという基準を幾つか定めておりまして、それにつきまして、もし仮に間違った表示、あるいは故意に誤った表示をした場合には、こちらの法律に基づきまして、質問検査権の中でその間違いを正していくといったことにしております。
 具体的には、仮に表示に誤りがあった場合に、私どもがその法律の権限に基づきまして、基準の遵守の指示をいたします。この指示が守られなかった場合には、氏名等の公表ということ。その表示基準の中にもさらに重要な基準について間違いがあった場合には、基準を遵守する命令を発すると。仮に命令が守られなかった場合には告発、罰金と、最終的には免許取り消しという手続きを踏むことによりまして、この表示の適正性を担保するといったことをやっております。

小林分科会長
 適正な表示の問題はいずれにしましても出てまいりますね。
 先ほど藤田委員の方から小売業者の立場から御意見ございましたが、小売段階では、酒類販売管理者制度などもあって、販売店員の教育についても、今回のような表示の問題についても、こうやって次から次に新しいことを導入しなくてはいけないわけですね。

藤田委員
 実際問題、消費者に対しての私どもの業界ですが、現在、辰馬委員からお話がありましたとおり、これからお酒というのはより良いもの、品質ということ、これを追求していかなければいけない時期であるのかなと私どもは認識しています。というのは、価格破壊一辺倒で来まして、すばらしいお酒をつくれるからメーカーとして成長して大きな企業体になった。
 ところが、今は価格ですから、良い悪いよりも値段なんです。酒文化というのは二千年の伝統に支えられたものがあるはずなので、価格ではなくて一つ一つの商品、そこに価値を見出しておいしいものをせいぜい召し上がっていただきたい。
 例えば、今の有機米使用のことですが、10年先はわかりませんが、当面考えた場合に、市場に出回る商品の中での割合というものは大変に低いものであろうと思うんです。ですから、これだけ表示方法についてきちんと整備されていれば問題はないかと思うのですが、先ほどお話が出ましたが、例えば純米酒と言いましても、特別純米というのもありますし、あるいは吟醸酒との仕分けとか、では消費者の中でこれをどれだけ追求するかといいますと、本当にお酒に関し興味を抱く人のある部分ですよ、これは。その中で、例えば精米度であるとか、好適米の問題であるとか、一般的に消費者の認識はどこにあるかというと、極めて低い状況です。ある一部の方が、伝統に基づいた杜氏の技術であるとか生産者の意図であるとか、そういうものを追いかける、飲みたいということで比較的、当然丁寧につくられた値段の張るものを愛飲される、購入される、そんなような全体像だと思うのです。
 ですから、10年先のことはわかりませんが、その有機米というものについて3段階で95%以上のもの、あるいは50%以上か、それ未満か。これだけの表示をしなければいけませんよということになると、消費者がどれだけこれを認識した上で購入されるかどうかわかりませんけれども、表示よりまず味覚、舌の問題があると思うのです。その中で、飲み比べではないけれども、やはり95%以上のものはいいとかという評価につながるのではないかと思うのです、実際問題。ですから、表示というものを、こういうスキームできちんとやらなきゃいけませんよ、ということであれば、私は問題ないのではないかと思います。

小林分科会長
 ありがとうございます。何かほかにございませんか。
 金子委員は管理栄養士の立場から、何かご意見などございませんか。たとえば食品の安全性といったものが基本的な問題になるのだと思いますけれども。

金子委員
 そうですね。食品としましては、その食の安全性というのは非常に追求されるものなのですけれども、嗜好品ということで、そこは今まではあいまいになっていたと思います。何が重要かと言いますと、このように表示が分かれまして、一般の消費者の方たちは、この資料の5ページの右側に書いてありますポイントのところが、それが人々にどのように伝わるかということになると思います。表示だけが露出されていきましても、なかなか内容について流通側で説明できなかったりとか、どういう意味合いがあるのかというのが、なかなかこの文字だけではわかりづらいので、それをもっとたくさん露出していただいて、皆様の認知度を高めていただいた方が、それをどのようにするかということが重要になってくると思います。

小林分科会長
 なるほど、ありがとうございました。
 潮田委員はジャーナリストの立場から何か特に消費者教育といったものに責任があるというふうに脅かしてはいけませんけれども、こういう問題についてはいかがでしょうか。

潮田委員
 もちろん、一般的にはそういうことなのだろうと思うのですけれども。いろいろな意味で、観点が違うかもしれませんが、付加価値、あいまいでない形で明解にしていくというのはあるべきことだろうと思うので、全く異論はないし、こういう方向でよろしいのではないかというふうに思います。
 これ、実際のところどうなんですか。小売段階で有機米がいっぱい使われていると相当高いのですか、実際問題どれぐらいの値段の差があるものなのですか。例えばこの例示されているようなもので、かなりな差があるということなのですか。それとも大したことはないのですか。

藤田委員
 これが逆に質問になりますけれども、例えば焼酎なんかですと3年ぐらい土壌を改良して、有機米、原料をつくらないと認めないなどという、そういう制度もありますよね。あれ、助成するとかどうとか、そういうことにかかわっているのですか。

櫨田企画専門官
 農産物に「有機」を表示をするためには、今、御指摘があったように、3年間、農薬等を使わないなどの基準を満たす農場で栽培した作物でないと表示できないという制度になっております。

藤田委員
 この場合はそういう仕組みがあるわけですね、もちろん。

櫨田企画専門官
 酒類につきましても、農産物の方で「有機」という表示をしたものでなければ基本的には使用できないというような仕組みになっておりますので、そこと連携していくということになると思います。

藤田委員
 そうしますと、コストには影響するんですよ、要するに。畑ですけれど、農薬を散布する形で何か農作物をつくっていた。ところが、その原料を有機のものに変えるとすると3年間はその薬というか、残っていてはいけないわけですから、だから準備していかないといけない。

小林分科会長
 マーケティング上は有機ということから出てくるイメージというのはいろいろございますけれども、適正な価格ということになりますとまた別の問題が起こってまいりますね。

藤田委員
 そうですね。ですから目に見えては原料をつくる畑、畑地にミミズが群生していますよ。要するに農薬というものは効き目はない、要するに害がないと。ですから、そういうところでできるものは当然、有機ということになるのだと思うのですが。

田嶼委員
 今回の表示基準を定める、つまり、より質が高く安全な日本酒が造られるようになるというのは、大変結構なことだと思いますし、国民にとっても好ましいことだと思うのですけれども、今の藤田委員の御説明にもありましたけれども、恐らく価格は高くなるということだと思うんです。一方で安いお酒が大変売れるという現状がありますね。特に、今回は輸入酒類については何も手を入れていらっしゃらないのではないでしょうか。そうなりますと、日本酒をつくる業界に対する、何と言いますか、プレッシャーになるというようなことはないのでしょうか。日本の文化と日本酒を守るということからすると、少し厳しい状況が来るかもしれない。そうなったときに、国は、なぜこういう基準をつくったのかと、このことがどういうメリットを日本に与えるのかということを、わかりやすい形で周知させるといいますか、宣伝するといいますか、そういうことも併せて考えていらっしゃるのでしょうか。

荒井審議官
 酒類産業にどういう影響を与えるかというのは、先ほど辰馬委員の方からお話がありましたとおり、ある意味では今、量から質へという形で業界の方も随分シフトしていますので、こういう有機ということについて、質の高いお酒をつくって、それが表示という形で明確に見えるという形になるというのは、恐らく業界の方も非常に好ましい傾向にあるというふうに考えているのではないかと思います。ある意味では、メーカーさんにとっても非常に質のいいものというのですか、あるいは他社と差別化するというのですか、そういう形で自分の商品を特徴付けていって質の高いものにして売っていくという機会が与えられますし、逆に言うと、消費者にとってみると、安全性とかそういうものに対して高いコストを払うなり、そういう形が見えてくるということになるので、全体としては産業、酒類業全体にとっては非常にプラスの効果になるのではないかというふうに考えていますけれども。

田嶼委員
 お言葉を返すようですけれども、少し楽天的ということ。と言いますのは、フランスのワインなんてすごく高いですね。しかし、ものすごくよく売れると。日本酒はどうしてこんなにおいしいのにフランスのワインほど、特に赤ワインのように高いものでもどんどん売れないのかなと思ってきたのです。ですから、日本酒がとてもおいしくて、安全で、そして高いけれども、あるいは高いことが保証になっていて、そして売れていくというような、そういうふうな仕組みがこれから作られていくと良いと思います。恐らくそういうふうに審議官はおっしゃっていらっしゃるのだと思うのですけれども、それが本当に見えるかどうかということが少し気になるのです。
 それと一方で、日本酒か発泡酒なのか私わかりませんけれども、安全で、しかも安い日本の国のつくる酒類が提供されるような基準といいますか、そちらの方も同時にできてくると、日本が造るお酒がどんどん盛んになっていくのではないかな、というふうに思っております。

荒井審議官
 楽観的過ぎると言われてなんですけれども、多分、辰馬さんからお話しいただいた方がいいのかもわかりませんけれども、恐らく業界の方としては、いろいろな選択肢というのですか、要するに、他社との差別化みたいなことに今、非常に関心が高くなってきて、どちらかというと今までは、質というよりは量でいろいろな競争してきたのですけれども、量というところから、むしろ質というか、差別化というか、そういうところにシフトしてきているような傾向が一般的にはありますので、そういう面でこういう新しい基準ができて差別化するような要因が出てくるということはいいのではないかなと思っているので、辰馬さん、いかがですか。私だけが言っても。

辰馬委員
 メーカの立場に御配慮いただきありがとうございます。清酒は残念ながら低迷・下降状態が長年続いておりますが、これはあくまで平均値でありまして、このところ新しい風も吹きはじめております。数ある銘柄やアイテムの中で、純米酒やプレミアム的な商品、あるいは蔵元が何らかのこだわりを持って育てたオンリーワン性の高いコンセプト清酒なんかは、安定的に支持されています。このような「少し高くても価値ある商品を」というトレンドの一方、清酒は「大衆性」ということも無視できません。高付加価値商品は、毎日晩酌するには、家計への影響が大きすぎます。また料飲店において、清酒だけがずば抜けて高いというのでは競争力にならず、他酒類とのバランスも考慮しなければなりません。現状大きなボリュームを支えているのは、一般酒とパック入りエコノミー酒です。蔵元の理念により高付加価値商品に特化するところ、ボリューム主体に大衆酒路線を走るところ、またその中間を行くところと戦略はさまざまですが、高付加価値商品をけん引商品にしたいという思いは、ほぼ共通しています。多くの選択肢の中から、好みの酒をいかにリーズナブルに楽しんでいただくか、各蔵元ともコストダウンに懸命に知恵を絞り、技術力を競っています。
 誤解されやすいのは、品質とスペックの関係です。特に酒のような嗜好品においては、スペックと品質は、かならずしも一致しません。良し悪しよりも好き嫌いで選択されます。選択肢の中に、良い酒と良くない酒のイメージでお客様の誤解を生んではなりません。純米酒は良い酒、アル添酒は良くない酒。有機表示のある酒は良い酒、それ以外は悪い酒ということになると、ボリュームゾーンの一般酒やエコノミー酒は全部良くない酒になってしまいます。
 特に今食品類には、安全・安心・健康・環境というキーワードで、厳しい品質管理が求められています。数ある酒類の中で清酒とワインは語れる酒だと思います。各アイテムを通じ私たちは一層技を磨き、語れる酒を育てて参ります。語れる酒を藤田委員のところのように語れるお店で更に価値をつけて、お客さまにすすめて頂くことを私たちがいちばん望んでいる方向ですので、よろしくお願いいたします。

藤田委員
 例えば辰馬委員のところの純米大吟醸、これは木箱に入ってほぼ1万円ぐらいですね。これはもうおいしいものですよ、すばらしいものですよ。ただ、それを買う方がその1万円の純米大吟醸を飲むために買うかどうかですね。普通だと大体贈答用品ということになるわけですよ。いただいて飲んだ方は「ああ、おいしいな」と思いますよ。ではワインで3,500円ぐらい、あるいは4,000円のものを買うという人、これはロマンを求めてお買いになるのでしょうが、日本酒に対しては今その観念が薄れているんですね。ですから、例えばフランスワインの何年のどこの赤がどうとかという、こだわる方はそういうものを5,000円でも8,000円でも出して買いますけれど、日本酒に対してということになるとちょっと薄らいでいると。価格だけを追っかけていると。実際に御家庭で、消費者の家庭ではだれが購入するかというと、先だっても父の日がありましたので、そういうときにはお子さんなり、娘さんがお父さんに買ってくれるわけです、ふだん飲めないようなものを。間にはどうかというと、家庭の主婦が値段を追っかけて安いのを買ってきて御主人に提供する、そんな仕組みだと思うんですよね、簡単に言うと。
 ですから、今は価格ということで社会に蔓延しているけれども、やはりつくった人、蔵人なりの意図を感じて、若干、付加価値が伴って高いけれども、まず提供していただいて飲んでもらう。おいしければ今度は自分で買うという、やはりそういうような社会の現象というものが必要なのではないかと思います。

田嶼委員
 そうですね。本当におっしゃるとおりで、私は日本酒がとても好きなものですから、反対しているつもりなんて全然ありませんので、大変結構だと思うんです。それをうまくつくる方に何かプレッシャーといいますか、大変なんじゃないかと思うんですね。かえって価格が高くなってしまうとか、ミミズがたくさん出てくるんですか。その手当てもしなければいけないというふうなことで……。

藤田委員
 いた方がいいんですよ。
 むしろこの表示で心配するのは、例えば国内の生産者は継続性を持って生産するから、ほぼ順法で間違いないと思うんですね。外国の名前は出せませんが、外国でも米を材料に日本酒を造っているわけです。そこから入るものが問題だと思います、むしろ。これを表示を悪用するというか、正しく生かさない、その方がむしろ心配だと思いますよね、この表示については。

~津委員
 ちょっとそのことで一つお伺いしたいと思っていたので。 今、表示されている有機等と表示された酒類の状況というところがありますけれど、清酒の次に多いのはワインですので。私もこのところ気をつけて見ているのですけれども、例えばワインなどでも有機農園、ここのぶどう園は長らく有機でずっとやっている有名な何とかかんとかで、というような手書きのそういうようなものが横についていたりして売っているというものもあって、私、ラベルまできちんと読まないのでわからないのですけれど、きっとここにあるWTOとの関係というのもあるのでしょうけれど、輸入で入ってくるワインのラベル表示であるとか、そういうものについての、あるいは有機のこの表示についての明確な、その辺のところというのはどういうふうになっているのかちょっと教えていただきたいと思います。

小部酒税課長
 それでは、先ほど田嶼委員からも御指摘のあった輸入酒類に係る取扱いについて申し上げます。
 輸入酒類に係る取扱いにつきましては、酒類の有機表示基準の4というところに定めを置いておりまして、JAS法の格付制度と同等の制度を有する国から輸入される酒類のうち、その国の制度のもとで認証等を受けた酒類であるということの、その国の政府機関等が発行する証明書が添付されている酒類について原材料の使用割合、それから製造その他の工程にかかる管理の規定を満たすということになりますと、有機農産物加工酒類と取り扱うことにしております。したがって、そういうことを名乗れるということになります。逆に言うと、その基準を満たさなければ名乗れないということになりまして、これは同等の取扱いをするということでございます。
 JAS法の格付制度と同等の制度を有する国以外からの輸入酒類というものにつきましては、原材料として使用する有機農産物及び有機農産物加工食品は、日本農林規格の格付がなされているというものであって、その酒類の送り状等にその酒類が酒類有機表示基準2に定める規定を満たしていることを確認できる書面等が添付されているという場合、しかも、それを輸入業者さんが保存しておられるという場合に限って、有機農産物加工酒類というふうにして取り扱うことにいたしております。したがいまして、その基準を満たさなければ有機農産物加工酒類というふうに名乗れないということになります。同等の制度を有する国というのは、20カ国、19年の3月時点で20カ国あるようでございまして、同等の制度を有しているかどうかということはどういうふうに決まるかと申しますと、各国からの要請に応じまして、農林水産省が国ごとに審査をすると、その結果、当該国の制度の同等性が認められますと、農林水産省令で随時公示されるということになって、それは外から見えるということになります。先ほど名前が出ておりましたフランスのワインなどもこの同等の制度を有する国ということにされております。
 それから、先ほど潮田委員からお酒の価格が高くなるのではないかと、その有機米を使ったお酒というのは大体どれくらいかという御質問がございまして、これも各メーカーさんの御方針、原料調達のコストと違いますので、たまたま私の手元にあった雑誌情報に基づいて一例を御紹介申し上げますと、これは有機米100%を使用した純米吟醸酒の例で、精米歩合55%、年間生産本数4,250本という規模のものでございますが、4合瓶720ミリリットルで2,100円というふうにされております。これは多分、そういう、私ももっとお値段が高いものが多いような印象がございますけれども、今こういう雑誌情報で見るとそういうものもあると、探せばこういう値段のものもあるよ、という例なのだと思いますけれども、こういう例がございます。
 ちなみに、旧1級という格付の1升瓶のお酒の平均的な単価が2,000円を切る1,835円というようなデータがございますので、それに比べればかなり付加価値のついたお酒というふうに整理できるかと思います。
 以上でございます。

田嶼委員
 外国の場合には、有機農産物のパーセンテージは50%以上で日本と同等の要件だというふうにお認めになるわけですね。こちらの厚い方(平成18年酒税関係法規集)を見ますと。

小林分科会長
 何ページですか。

田嶼委員
 129ページ、50%とか。ということは、やはり日本のお酒をつくる生産者に対しての方が厳しいということなのでしょうか。そうではないのですか。どういうふうに解釈……。

櫨田企画専門官
 今、田嶼委員がお話しされているのがこの法規集の128ページの「酒類における有機等の表示基準」の4番にかかわります輸入酒類にかかる取扱いといった部分だというふうに思います。先ほど課長からも説明いたしましたとおり、外国で生産されたお酒について、我が国に持ち込むときに有機等の表示ができるかどうかということにつきましては、外国の方で日本と同程度の有機の表示基準を設けている国から輸入する場合には、その先方の輸出国の国とか関係機関の証明があれば有機等と表示できるといったことをこの4番の方で規定をしておるところでございます。 その場合、50%云々ということではなくて、日本と同程度の基準ということでございまして、日本では95%という数字を持っておりますけれども、それと同程度の基準を持っていると、農林水産省の方で認めた国からの輸入酒については有機の表示ができると。

小林分科会長
 表示につきましては、やはり先進国どちらも大体同じようなところでしょうけれども、発展途上国の中にはこういう基準を満たさないところはたくさんございますので、その辺のスクリーニングは農林水産省主体となりまして、事前にチェックするという制度にはなっているわけですね。ただ、その制度が効果があるかどうかはまた別の問題だと思いますけれども。

櫨田企画専門官
 ただいま田嶼委員からお話がございました50%の表示につきましては、国内における取扱いを定めたものでございまして、「有機」や「オーガニック」という表示ができるかということと、有機の原材料を使っているという表示ができるかということとを分けて考えていただければ。有機の原材料を95%以上使っていなくても、有機の原材料を使っているというのは事実ですので、その事実までも書いてはだめだよということではなくて、一定のルールで書いてくださいと。ただし、それには「有機」や「オーガニック」の表示はできませんと、単に有機の原材料を使っていますという表示に過ぎません、という取扱いの差を設けているというところでございます。

小林分科会長
 ~津委員は、今の御説明でよろしいでしょうか。

~津委員
 はい、それはいいです。
 あともう一ついいですか。この表示例のところなのですけれど、5ページの。一番上が一番いいものですよね、95%以上ということですから。でもこれ、何か見ているとこれが一番いいのかなというのをちょっと、一番いいかどうかが何となく……。次が有機農産物80%使用とはっきり出ていて、一番上は95%以上なのですけれど、95%以上という言葉は出ていないのと、有機農産物加工酒類と、「加工」とか書いてあると、見た目の問題なのですけれど、何か有機米使用清酒というのが横にあってこれは良さそうだというのはわかるのですけれど、何となくどれが一番いいかというものの感覚が、もしかするとつかみにくいかもしれないなという気がちょっとしますけれど。これは酒飲みが買いに行ったときだけの話ですけれど…。

小林分科会長
 確かにそうですね。

櫨田企画専門官
 この表示につきましては制定当時、私どもでたくさんパンフレットを作りまして、流通業界の方々にお届けしておりまして、またホームページにもこういったものを掲載いたしまして、できれば皆様に御覧いただいて、この中身について御理解いただければと思っているのですけれども。こういった表示の意味するところにつきましては、例えば小売の業界の方々にもよくよくこういったお話をさせていただきまして、流通の方々を通しまして消費者の方々にもお薦めいただければ有難いというように考えております。

小林分科会長
 飯村委員、どうぞ。

飯村委員
 今、清酒の例が随分出てまいりました。先ほどお話ししましたように、この表示については内容が保証されれば私はそれでいいと思いますけれども、もう一つ、清酒以外の例えば蒸留酒などの場合は、こういう原料への依存度といいますか、こういう有機ということに対する依存度が低くなってくると思うのですが、蒸留酒などの場合も同じような表示、もしそういう事例が出てきた場合は同じようなやり方でいくのでしょうか。その辺のところは。

櫨田企画専門官
 蒸留酒でこうした有機の原材料を使った場合にも同じように表示をしていただくことになっております。現実に私どもが調べた中では、蒸留酒としてこの有機の表示をされているのは、こちらの参考資料の14ページの方に有機等と表示された酒類の状況について取りまとめておりますが、この中で蒸留酒といいますと、焼酎の乙類ということで、19商品が確認されておりますけれども、こちらも同じようなルールで表示をしていただいております。

小林分科会長
 たまご焼酎でしたか。

櫨田企画専門官
 牛乳焼酎です。

小林分科会長
 牛乳焼酎だった。おいしいんでしょうね、飲んだことございませんけれども。
 飯村委員、よろしいですか、今のご説明で。

飯村委員
 オーガニックの寄与というのは、蒸留酒の場合は恐らく少なくなると思いますが、そのことはむしろ消費者の方の御判断に委ねるということでございますね。

小林分科会長
 では、よろしいでしょうか。「酒類における有機等の表示基準を定める件についての一部改正」案でございますが、ここで事務局案を了承するということにしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

小林分科会長
 ありがとうございます。それでは今後、この案につきまして、例によりましてパブリックコメント、それからWTO通報への手続きという形を取りたいと思っております。ありがとうございました。
 なお、パブリックコメント並びにWTO通報の結果につきましては、改めて当分科会を開催しましてお諮りすることも考えられますけれども、他方、パブリックコメントなどにおきまして、案を変更するまでのことはない、特に顕著な意見もないということであれば、改めて委員の皆様にお集まりいただき、お諮りする必要もないと考えております。したがいまして、当分科会へさらに審議をお諮りするかどうかという判断につきましては、私に御一任いただければと思っておりますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

小林分科会長
 ありがとうございます。それではそういう形にさせていただきたいと思います。
 それでは、酒類分科会了承後のこれからの手順でございますけれども、国税審議会に今日の経過を報告させていただきまして、酒類分科会として了承したということの旨を報告させていただきます。そして御承知のとおり、国税審議会は国税審議会の会長が適当と認める場合に限りですが、分科会の議決が国税審議会の議決になると、こういうことでございますので、この報告を国税審議会の議決としてよろしいかどうか、国税審議会の会長の御判断をいただくということになります。それでいいということになりますと、国税審議会の答申としての体裁を整えた上で、国税庁長官に提出するということになりますので、この点について委員の方々に御承知おきいただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして事務局からの説明に移りたいと思います。先ほど審議官がお話しされておりましたが、非常に難しい問題ですが、とりあえず遺伝子組換えの微生物を利用して製造された食品の表示の問題と、それに関する幾つかの制度の問題について、櫨田さんと松丸さんの方から御説明いただくことになっております。よろしくお願いいたします。

櫨田企画専門官
 では御説明させていただきます。
 遺伝子組換え微生物を利用して製造された食品等の表示制度につきましてでございます。参考資料の10ページから12ページにかけまして、資料8番になりますが、こちらを御参照ください。
 食品の安全性の評価というものにつきましては、現在、食品安全基本法という法律に基づきまして、内閣府におかれました食品安全委員会が具体的な規制を行う行政機関、ここでは例えば厚生労働省、それから農林水産省になると思いますが、こうした行政機関から独立して科学的知見に基づき、客観的かつ中立構成にリスク評価を行うといったこととされております。
 1ページおめくりいただきまして、11ページをお開きください。こちらには上の方の図1として食品安全行政の全体像、それから下の図2といたしまして、安全性評価の事務的な流れをそれぞれ図示しております。この中で食品安全委員会は、自ら食品の安全性についての様々な評価基準、これを作成するということと、それからもう一つ、厚生労働省や農林水産省から安全性の評価の要請を受けまして、個々の食品や食品添加物などに関するリスク評価を行い、その結果を通知するといったことをしております。
 さらに1ページおめくりいただきまして、12ページをお開きください。こちらが食品の安全性評価のうち、遺伝子組換えの分野におきます評価基準の検討の経緯状況などについて取りまとめたものでございます。下側の表のちょうど縦真ん中の列を御覧いただきますと、食品安全委員会の基準ということで整理してございますけれども、食品の安全性の評価のうち、遺伝子組換えの分野におきましては、これまで遺伝子組換えされた種子植物、それから遺伝子組換え植物の掛け合わせ品種、遺伝子組換え微生物を利用して製造された添加物、それから4つ目として遺伝子組換え飼料及び添加物、これらについての安全性の評価基準が既に作成されております。
 食品安全委員会では、この遺伝子組換えの分野の残された基準といたしまして、ちょうどこの表の下側真ん中に少し斜めになっている字がございますけれども、遺伝子組換え微生物を利用して製造された食品に関する安全性評価基準、これを作成するということにしております。この基準が作成された場合には、遺伝子組換えの微生物を利用した食品、例えば酒類に関して申し上げますと、遺伝子組換え酵母を利用してつくったワイン、こういったものが考えられますけれども、その酵母を開発された方、あるいは酵母を使用して酒類を製造された方、こうした方々から厚生労働省に対しまして、食品としての安全性の評価が要請され、食品安全委員会において食品の安全性が認められた場合には、最終的に市場に流通するといったことが考えられております。
 したがいまして、遺伝子組換え微生物を利用した食品の表示の基準につきましても、この安全性評価基準の議論と並行して検討していくといったことが必要であると私どもは考えております。
 このため、今年5月に厚生労働省、農林水産省、それから私ども国税庁で打ち合わせを行いまして、この表示制度の策定に当たりましては、例えば同じ酵母がワインやパン、例えばワイン酵母パンというのがあるようなのですけれども、こうしたものに使用されるといったことも想定されるため、ばらばらではなく3省庁である程度足並みをそろえて検討していく必要があると考えておりまして、今後、連絡をそれぞれ密に取りながら、各省庁それぞれの審議会で検討を進めていくといったことが確認されております。
 食品安全委員会におきます、この遺伝子組換え微生物を利用して製造された食品の安全性評価基準、この検討状況につきましては、現時点ではまだ事務的な準備の段階にございまして、今後、具体的な安全性評価の要請が提出されるのを待って、具体的な検討に入るといったことが予定されていると聞いております。したがいまして、私ども国税庁を含めました関係省庁におきましても、遺伝子組換え微生物を利用して製造される酒類、その開発や商品化の状況、それから今後、予定されております食品安全委員会におきます安全性評価基準、この検討の推移などを踏まえまして表示制度の検討を進めて行くといったことになろうかと考えております。
 この表示制度の作成に際しましては、最終的に国税審議会にお諮りいたしまして、御了解いただいた上で基準を決定し、官報で告示をするといった運びになりますことから、現時点での状況につきまして皆様方に御報告をさせていただくといったことでございます。
 それでは、遺伝子組換え微生物を利用したお酒の状況につきまして、鑑定企画官室の松丸補佐から御説明をお願いいたします。

松丸鑑定企画官補佐
 それでは、私の方から醸造用の遺伝子組換え微生物につきまして御説明させていただきます。 醸造用遺伝子組換え微生物につきましては、現在、北米で2種類の遺伝子組換え用の酵母が開発されて、果実酒の製造への使用が認可されている状況です。これら2種類の酵母は、まず一つは、酵母の中に乳酸菌の遺伝子を導入してございまして、これによって果実酒の製造工程を短縮化できるようにしたという酵母でございます。もう一つは、ほかの微生物の遺伝子は導入していないのですが、酵母本来の保持している遺伝子の働きを強めるように改良を行いまして、酒類中の発がん性の疑いがある物質を低減するようにしている酵母でございます。前者は一昨年から北米で販売されているようなのですが、酵母以外の乳酸菌ではございますが、遺伝子を導入しているということで、余りワインのメーカーからは受け入れられていないというか、余り販売は思わしくないようでございますが、もう一つの方は、まだ販売とまではいっていないのですが、昨年の秋にアメリカの方で試験醸造がされて、北米の比較的多くの製造者がその試験醸造に参加されたというふうに聞いております。
 これらの状況から当庁といたしましても、そういう遺伝子組換え酵母そのものが日本に入ってくるということは、すぐにはないだろうとは思っておりますが、その遺伝子組換え酵母を利用して製造されたワインの輸入につきましては、早ければ年内にもあり得るのではないかというふうに考えている次第でございます。以上です。

小林分科会長
 ありがとうございました。具体的な目に見える物として現れれば我々は何となく反応できるのですが、原料のまたその原料の段階で遺伝子が組み換えられているということになりますと、結構、消費者としては心配の種が増えたというふうに理解せざるを得ない、そんな感じになりますけれども。その辺は何か、農林水産省はもとより、ほかの省庁でもこういった問題について対応するという動きはあるのですか。

櫨田企画専門官
 この遺伝子組換えの食品につきましては、我が国の法律では食品衛生法で安全性が認められたものだけが流通されるといったことが決まっております。法律としてはこの法律集の1,060ページになります。食品衛生法の第11条、基準・規格の設定ということでございまして、こちらの1項、2項を御覧いただきますと、厚生労働大臣が販売の用に供する食品などの規格を定めることができると。第2項の方で、規格が定められたときは基準に合わないものにつきましては販売とか輸入ができませんということになっております。この遺伝子組換え食品につきましては、この食品衛生法に基づきます規格の中で、食品安全委員会の安全性の確認を受けていないものにつきましては、販売できないといったことにされておりまして、輸入というものについて申し上げますと、外国から輸入されるときの検疫でサンプリングとして抜き取り調査をして、成分分析などをして遺伝子組換えのものが混入していないかといったものを確認をする、抜き取り検査をするといったことをしておりますし、もちろん、これを輸入する場合には、食品安全委員会の安全性が確認されたものであるという証明書を添付して国内に持ち込むといったことで、国内で流通が認められていない遺伝子組換え食品が国内で流通するのを水際で防いでいるといった、こういった体制を取っているところでございます。

小林分科会長
 ありがとうございます。今のお二人の御説明で何か御意見あるいは御質問ございますでしょうか。
 飯村委員。どうぞ。

飯村委員
 この遺伝子組換えをした微生物、研究段階では酵母とか麹菌がいろいろあると思います。それで、その利用については、恐らく十数年前から議論はいろいろされてきたと思うのです。これをただ単に傍観的に見ていたらいいのかといいますと、やはり技術というのは進んできておりますので、それは何らかの形で入ってくると思います。それが積極的に取り入れられるという状況があれば、それはむしろちゃんと検討していかなくてはいけないと私は思うのですけれども。
 そこで、大切なことは、これは新しい技術として非常に有用だと思いますけれども、決して急いでその技術を酒類まで持って来るということではなくて、やはりこれは事例をいろいろ重ねていって、個々の事例について安全性が確かめられて、そして、また消費者にも、安全性が定着するということ、それが非常に大事ではないかと思います。
 それで、酒類の場合は発酵食品の中でも一部でして、例えば農林水産省あたりで扱っておりますものの中には、直接的に組換えをした微生物というものを、例えば食べるとか、飲むとかというようなことの事例が出てくるかもしれません。ですから、そういう事例が将来出てきた場合に、それで安全性というものを多方面から検討して、その上で酒類の方でもそれを評価していくということが私は一番良いのではないかと思います。
 酒類では、一つはほとんどの場合、その微生物を取り除いてしまいますので、組換え微生物がそのまま製品に残存するということは、ほとんどないと思います。それからもう一つは、先ほども御説明がありましたように、例えば酒類にとって不利な部分、酵母といってもオールマイティーではございませんから、不都合な性質というものもあるわけです。それを除いてしまうということは、これは新しい遺伝子を入れるということではなくて、むしろ不都合な遺伝子を除去してしまう。ですから、継ぎ足さないのです。このように遺伝子を除去するという技術ももちろん組換えの技術の中にあるわけでございます。したがってそういう技術を含め個々によく検討して、もしお酒の味や、それから安全性に、より寄与できるものであったら、将来慎重に取り入れていってもいいのではないかと思います。

小林分科会長
 ありがとうございました。

荒井審議官
 今、飯村委員の御指摘を踏まえまして、我々自身も中でこういうことについてしっかりした議論を始めたばかりなので、今の御意見も参考にしながら、中でまた議論を深めたいと思います。

小林分科会長
 よろしいでしょうか。そろそろ時間が参りました。もし特別の御意見、御質問がなければ本日の分科会を締めくくらなくてはいけない時間になりました。
 なお、本日の議事要旨、それから議事録の公開につきましては、国税審議会議事規則に則りまして、まずは簡潔な内容のものを議事要旨として公表することになっておりまして、議事録の方はその後に公表するということになります。ただし、その公表前に、委員の皆様の御発言の内容に誤りがないかどうか確認させていただくことにしたいと思います。他方、始めにお話しした議事要旨につきましては簡単なものですので、私が事前にチェックするということで一任させていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

小林分科会長
 ありがとうございます。
 では、これをもちまして第7回酒類分科会を閉会させていただきます。今日はお忙しいところをご出席いただき、有益なご意見をありがとうございました。

―― 了 ――