寺内酒税課長
 それでは、「清酒の製法品質表示基準の一部改正」について御説明申し上げますが、その前に、恐縮でございますが、まずお手元にございます資料について御確認をお願いいたしたいと思います。
 「議事次第」と「配席図」、それから「委員名簿」がございますが、本日の資料といたしまして、一つに「国税審議会酒類分科会検討資料」という表紙のものがございます。これをおめくりいただきまして、そこに「配付資料一覧」というのが付いてございます。配付資料は、「清酒の製法品質表示基準を定める件の一部改正について」、「未成年者の飲酒防止に関する表示基準を定める件の一部改正について」、この二つの審議事項にかかわる資料でございます。
 「清酒の製法品質表示基準を定める件の一部改正」につきましては、次のページの、資料ローマ数字の1と四角く囲ってあるものでございます。
 1ページは本日御審議いただきます、事務方で作成いたしました清酒の製法品質表示基準、この改正素案でございます。2ページ以降には、参考といたしまして、改正素案、この表示基準の新旧対照表をつけてございます。
 それから、本日の二つ目の審議事項となっております「未成年者の飲酒防止に関する表示基準を定める件の一部改正」、これは5ページの方になりますが、資料ローマ数字IIの方でございます。この資料IIは、事務方で作成いたしました「未成年者の飲酒防止に関する表示基準」の改正素案でございます。6ページ以降には、参考として新旧対照表をつけてございます。
 次に、別綴じの方の資料で、「国税審議会酒類分科会参考資料」と書いたものがございます。この参考資料の方を1枚めくっていただきますと、「配付資料一覧」がついています。配付資料は、資料1から資料16まででございます。これは、審議事項について御説明させていただく際に、参考として使わせていただく資料でございます。
 まず、1ページ目の資料1でございますが、これは酒類の表示基準を定めるための根拠法であります「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」の抜粋でございます。
 1枚おめくりいただきまして、次の2ページの一番上に、第86条の8というのがございますが、「財務大臣は、酒類の表示の基準を定めようとするときは、あらかじめ、国税審議会に諮問しなければならない。」と規定されております。この規定によりまして、本日の二つの表示基準に関します御審議をお願いするということでございます。
 なお、この法律は、平成15年、本年9月1日をもって酒類小売業免許の人口基準が廃止されるといった、酒類小売業免許に係る規制緩和が進展しております中で、未成年者飲酒防止等の社会的要請の高まりに応えると、販売場において法令を遵守した酒類の適正な販売管理を確保すると、その体制を整備するといった観点から、所要の措置を講ずるということで、今年5月1日に改正法が公布されており、9月1日から、新法が施行されることとなっております。そこの点線で四角く囲んだ部分が改正事項でございます。
 この改正事項の中で、表示基準に関する事項につきましては、1ページにお戻りいただきまして、この1ページの中ほどに86条の7というのがございます。そこに、「表示基準のうち、特に重要な基準に違反している者に対し、個別に遵守命令を発することを可能とする」、こういった改正がこの四角の中でございますが、行われております。この点について申し上げますと、お手数ですが、3ページ目の資料2の方をご覧いただければと思います。横の資料でございますが、今御説明いたしました表示基準に関する命令制度に関するスキームを「現行の制度」と「改正後の制度」を対照にして図で示したものでございます。
 現行の酒類業組合法では、表示基準のうち、特に表示の適正化を図る必要があると認められる事項につきまして、財務省令をもって表示の基準を遵守すべきことを、これは酒類業者全体に対しまして事前に命令することができることとなっています。
 しかしながら、この酒類業者全体への遵守命令につきましては、これに違反した場合、その改善を促すことなく、直ちに罰則が適用されてしまい、免許の取り消しにまで至るというような体系になっておりまして、酒類業者にとって改善する機会がなかなか与えられない厳しい体系となっておりました。そこで、今回の改正は、このような仕組みを見直しまして、表示基準のうち、下の方でございますが、特に表示の適正化を図る必要があると認められるものをあらかじめ財務大臣が重要基準として定めることとするとともに、違反を指摘された業者にも具体的に改善するための機会を与えるように改正したものでございます。すなわち、この重要基準に違反していると認められる個別の業者に対しまして、その基準を遵守すべきことを個別にまず指示をいたします。その上で、これをなお遵守しない場合、命令を行います。守ってもらうわけでございますが、まだこの命令に違反している場合に初めて罰則を科すという体系に改めるものでございます。
 次の4ページの方でございますが、資料3でございます。これは酒類の表示基準を制定するまでの手続を示しております。「清酒の製法品質表示基準を定める件の一部改正」につきましては、本日、この改正素案を御議論いただきまして御了承いただきますと、この図の中ほどにあります「パブリックコメント」及び「WTO通報」等の手続を行うことになります。
 WTO通報は、WTO協定の付属書におけます「貿易の技術的障害に関する協定」、「TBT協定」と呼んでおりますが、これに基づきましてWTO加盟国への通報を行うものでございます。
 「TBT協定」は、工業製品などの各国の企画・基準認証制度が不必要な貿易障害とならないように、国際規格を基礎とした国内規格の策定の原則、規格作成の透明性の確保を規定しております。清酒の表示基準、これは外国で製造されますお酒についても対象となりますので、この協定の対象となるわけでございます。
 一方、「未成年者の飲酒防止に関する表示基準」の方でございますが、これは後ほど御説明いたしますが、酒類の陳列場所に係る表示基準でございますので、この協定の対象とはならないということで、WTO通報は必要ないこととなります。
 それから、6ページの資料4から資料16、最後までですが、これらは御審議いただく際の参考として、これから御説明させていただく中で使わせていただきます。
 それから、説明資料という、最後にまた別綴じの資料がございます。これは審議事項が終了いたしました後に御説明申し上げます。
 以上、配付資料でございますが、資料に不足がございませんようでしたら、先ほど分科会長からお話がございました、一つ目の審議事項ということで、まず「清酒の製法品質表示基準を定める件の一部改正について」御説明いたします。
 本件は、本日、2回目の御審議ということになります。今回新たに委員となられました方もいらっしゃいますので、前回御説明いたしました内容を補足しながら御説明申し上げます。
 それでは、恐れ入りますが、参考資料の方を御用意いただきまして、7ページの方をお開きいただきたいと思います。
 7ページでございますが、資料5「清酒の製法品質表示基準」をご覧いただきたいと思います。
 現行の「清酒の製法品質表示基準」がそこにございます。平成元年11月に制定されまして、翌年、平成2年4月から適用されているものでございます。
 本日、御出席の委員の皆様方の中には、この表示基準を初めてご覧になられる方もおられるかとは思いますけれども、最初にこの表示基準を定めるに至った背景を簡単に御説明申し上げます。
 昭和63年当時でございますが、清酒につきましては、純米酒、吟醸酒、本醸造酒等、いろいろなタイプのものが市場に供給されるようになっておりました。それらの表示につきましては、業界の自主的なルールが置かれておりましたが、消費者から、どのような品質のものなのかよくわからない、といったような声が高まっておりました。また、昭和63年度の酒税法改正によりまして、長年親しまれてまいりました、いわゆる特級、1級、2級といった、いわゆる級別制度が廃止されることになりました。そこで、清酒の製法、品質等につきまして、法的なルールの必要性が高まっていったわけでございます。
 こうした状況の中で、昭和63年度の酒類業組合法の改正によりまして、先ほど御紹介いたしました、酒類の表示基準を定めることができることになりました。清酒につきましても、その製造方法・品質に関する基準を定めることが、一般消費者の商品選択というものを保護し、ひいては、清酒の安定的な取引の確保に資するという観点から、この7ページの「清酒の製法品質表示基準」が定められることになったわけでございます。
 この表示基準の中で、ゴシック体に濃くなっている部分がございますが、これは後ほど御説明いたします「清酒の製法品質表示基準の概要」に関連する部分でございます。ここでは、特定名称酒、いわゆる特定名称の清酒は、「吟醸酒」とか、「純米酒」とか、「本醸造酒」という三つのタイプに分類されていると。「吟醸酒」とは、「精米歩合60%以下の白米、米こうじ及び水、又はこれらと醸造アルコールを原料として、吟味して製造した清酒で、固有の香味、色沢が良好なもの」と。あるいは、「純米酒」とは、「精米歩合70%以下の白米、米こうじ、水を原料として、醸造アルコールを使わず製造した清酒で、香味、色沢が良好なもの」と。「本醸造酒」とは、「精米歩合70%以下の白米、米こうじ、醸造アルコール及び水を原料として製造した清酒で、香味、色沢が良好なもの」といったことが定められていることを御記憶いただければと思います。
 15ページの方をご覧いただきたいと思います。15ページに資料10というのがございます。15ページの資料10に今般の表示基準の改正理由の背景の一つとなっています「米だけの酒」等の課税移出数量をつけております。
 「米だけの酒」と書いてございますのは、これは代表的な商品名でございますが、純米酒と同様に、米、米こうじ及び水のみを原料として製造した清酒のことでございます。ただ、その使用した白米の精米歩合が70%を超えておりますため、純米酒の精米歩合であります70%以下という基準から外れまして、純米酒の用語を用いることができない、いわゆる普通酒のことでして、一般的に総称として呼んでいるものでございます。
 「米だけの酒」は、醸造設備や製造技術の進歩といったことから、例えば精米歩合が75%の白米を原料とした清酒であっても、この純米酒、つまり精米歩合70%以下のお酒ですが、これの品質に匹敵するようなものが製造できるようになったということから生まれたものであります。これは代表的な名称でございますが、この名称のほかに、米だけでつくったということを強調するために、例えば「米100%の酒」とか、「米と宮水の酒」とか、あるいは「米だけのやさしい思いやり」とか、そういった「米だけの酒」と……。

小林分科会長
 ここで副大臣におかれましては御退席されます。どうもありがとうございました。

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