1 はじめに

  • ・ 食品の表示制度は複数の法律に規定され、消費者、事業者双方にとって分かりにくい等の指摘があり、また、BSE問題に関する調査検討委員会報告でも「現在の各種表示制度について一元的に検討し、そのあり方を見直す必要がある」とされている。このうような状況を受け、本懇談会は、6月から5回にわたり検討を行った。

2 食品の表示制度の目的

  • ・ 食品表示制度は、消費者の商品選択に役立つこと、衛生上の事故・危害の防止(食品の安全の確保)に役立つこと、正確で誤認を生じさせないことを目的とするもの。
  • ・ これら3つの目的は表示を利用する消費者がその主体となるものであり、したがって、表示は、消費者にとって分かりやすいものであることが大前提。

3 現行の食品の表示制度の問題点

  • ・ 現行の食品の表示制度については以下のような問題が顕在化。
    1. 1 表示制度が複数の法律に分散しており、一覧できないため分かりにくい。
    2. 2 各表示制度に基づく表示項目・表示内容の整合性がとれておらず、用語や定義の統一性が欠けているものがあり、解釈等に関する情報提供などの運用面でも統一性に欠ける。
    3. 3 監視体制や是正措置も各制度によって異なり、連携が十分でない。

4 表示項目の見直し

  • ・ 義務表示項目については、多くの消費者にとって商品選択の上で重要なものと、衛生上の事故・危害の防止のために事業者に行わせる必要があるものとすることが適当。基本的には現行の義務表示項目の維持が適当であるが、個別の表示内容等につき本懇談会とは別の消費者、事業者等関係者を交えた場で更に具体的検討を行うことが必要。
  • ・ 任意表示のうち、特定の項目を記載する場合に併せてその表示方法が義務づけられるものについては、義務表示項目の見直しと併せその内容を検討すべき。また、表示方法も含め任意のものについては、例えば公正競争規約の見直し、策定等を検討すべき。
  • ・ 複数の法律において用語や定義が異なっている表示項目等については、消費者、事業者の分かりやすさを考え、速やかに整合性の確保に向け検討に着手すべき。特に、消費期限や賞味期限・品質保持期限については、関係府省で速やかに定義や用語の統一を図ることが必要。
  • ・ 表示項目等の改正に当たっては、各府省による調整の下、施行時期をできる限り同時期にする等により、事業者の表示に係る負担を極力減らすことが必要。

5 情報提供等

  • ・ 各表示制度について一覧できるパンフレット等の作成、表示制度に関する説明会の開催等を各府省が連携して積極的に行うことが必要。
  • ・ 相談窓口の一元化(ワン・ストップ・サービス)を進めるべく、関係府省で速やかに検討することが必要。

6 表示違反の監視、是正のための措置

  • ・ 食品表示に関する監視体制の一層の充実が必要。ただし、行政で監視できる範囲に限界があることを踏まえ、行政機構全体の肥大を招かないことを前提としつつ、既存の監視体制の有効活用を図るとともに、必要な部分については監視の充実強化を図ることが重要。
  • ・ 効率的・的確な監視の観点から、専門的知識を有する担当部局がそれぞれ監視を行うとともに、国・県レベルを通じ、各法担当部局の密接な連携が必要。
  • ・ 消費者による不正表示のチェックや、消費者にとって分かりやすい表示づくりに事業者が積極的に取り組む気運の醸成などに取り組むべき。
  • ・ 監視体制を補い、事業者による表示違反行為の抑止力とするため、罰則の強化を含めた厳しい是正措置が重要。また、行政機関が違反を認定した場合には、事業者名を含め速やかな公表を原則とすべき。
  • ・ 各事業者において主体的に自らの行動を律するための行動規範の作成等の取組みを一層促進するよう啓発することが必要。

7 組織・法律の見直し

  • ・ 組織については、効率的・的確なルール設定・監視の観点から、専門的知識を有する行政組織がそれぞれ担当することが適当。
  • ・ 法律については、ア)各法で規定する食品表示について一本の法律にまとめるべき、イ)各法はそれぞれの目的に従って定められており、法律の一元化を行うと、それぞれの観点からの独立したチェックができなくなる等消費者にとってデメリットとなるので、各法は現行のままとしつつ、各府省の連携、表示項目の整合性を図ることで解決すべき等の提案があり、関係府省で検討を行い再度本懇談会に報告することを要請。
  • ・ 現在検討されている食品安全基本法(仮称)の中で、食品の表示制度が適切に運用されていることが重要である旨を規定するよう、関係部署に要望することを要請。
  • ・ 中長期的には、食品に関する行政全般の中で、表示に関する組織・法律のあり方についても改めて検討していくことが適当。

8 おわりに

  • ・ 品質保持期限及び賞味期限の用語の統一等については、関係府省で連携し速やかに対応するとともに、中長期的な検討事項については、今後とも関係府省が十分な連携をとりながら対応を進めていくことを要請。
  • ・ 中間取りまとめに盛り込まれた事項については、今後引き続き関係者の意見を幅広く聴取しながら、行政として検討を進め、検討結果については、改めて本懇談会に報告することを要請。

(※) 本概要は、厚生労働省及び農林水産省において作成したものである。