未定稿

1 日時

平成11年11月17日(水)10:00〜12:00

2 場所

国税庁第二会議室

3 議題

仲介者の介在と通信方法

4 議事概要

  1. (1) 事務局から仲介者の介在と通信方法に係る論点について説明が行われたのち、討議が行われた。
  2. (2) 出席者からの主な意見
    • ○ 電子申告導入の意義は、納税者利便の向上と行政の効率化の2点にあると考えられる。電子申告によって、税務署へ申告書用紙を取りに行く手間が省けたり、24時間申告手続が可能となることを考えると、年金受給者やサラリーマンなどの還付申告者が電子申告するものと想定される。加えて、わが国に電子申告が実際に導入されるころには、一般の人でもコンピュータの操作能力が向上しているだろうから、サラリーマンなどの還付申告者などはインターネット上のウェブを利用した電子申告の方法で対応可能と考えられる。また、諸外国で直近に電子申告を導入した国では、インターネットを利用して納税者から直接当局へ送信する方法を採用しており、今後、わが国でも電子申告を導入するとすればやはりこのような方法になるのではないか。したがって、ただ単にデータを入力するとか送信するだけの仲介者は必要ないのではないか。
    • ○ 自身でコンピュータを操作できない人に対しては、今でも確定申告時期に税理士が無料税務相談を行っているように、税理士がサポートしていけばよいのではないか。
       大企業の場合は、申告手続を自ら行えるが、中小企業や個人事業者の場合は、税理士に依頼しているケースが多い。仮に仲介者を通すというのであれば、納税者利便や税務行政の効率化の観点、さらには、税についての専門的知識を有し、税理士法上の守秘義務も課されていることから、仲介者は税理士に限るべきではないか。
    • ○ 行政の効率化、適正な申告水準の維持、納税者利便の向上のそれぞれの要請がうまくマッチする方法は何かということを探るべきではないか。また、仲介者について、何らかの資格要件が必要であり、守秘義務を課すことも必要ではないか。
    • ○ 競争原理の導入が言われている時代であり、広くビジネスチャンスの門戸を開くべきではないか。仮に、青色申告会や法人会などの団体が仲介者となることで、さらに納税への理解が深まっていくことも期待できる。また、例えば、一般企業が従業員サービスのために仲介者となること、ソフト会社やインターネット・プロバイダー等が参入することが考えられるが、これらをシャットアウトして仲介者を税理士に限定することは世の中に受け入れられないのではないか。税理士は仲介者として最も信頼できる存在ではあるが、税理士だけに限定することは疑問である。
    • ○ 中小企業は税理士に依頼しているケースが多く、経営相談など税理士との関係は深いものとなっている。電子申告が導入されても、自ら電子申告できる中小企業は少ないと考えられ、税理士を介することになるのではないか。
    • ○ 仲介者を通すことを義務づけるかどうかという問題は、裏返すと電子申告をする際に手数料が必要かどうかということにも関わってくるのではないか。
    • ○ 電子申告の議論とは別に、税理士の業務独占についての議論がある。それについてはいろいろな意見もあると思うが、電子申告を導入するからといって税理士法の考え方を変えなければならないというのではなく、電子申告における仲介者については、現行税理士法を前提に議論すべきではないか。
    • ○ 仲介者を通すことを義務づけるというようなことは古い時代のやり方ではないか。税理士にすべてを依頼するのではなく、納税者自身がインターネットで電子申告できる方法を残しておくべきではないか。
    • ○ 大企業は自ら申告手続を行えるので仲介者は不要であり、むしろ仲介者を通すことを義務づけられると困るという意識があるのではないか。
    • ○ 仲介者について、税理士の独占とする必要はないと考えるが、納税者が仲介者を選ぶに当たって、不安にならないような、例えば、国税庁が承認するなど、ある程度分かりやすい環境をつくることが必要ではないか。
    • ○ 国税と地方税の関係については、地方税当局は申告を受理する側だけでなく、送信する側となり得るかどうかといったことなど、場合によっていろいろな関わり方もあり得ると思われる。
    • ○ 現在の税理士法を前提に考えると、仮に税理士以外の者が送信を行う際に税務相談を行えば当然税理士法違反となるが、単に作成済みの申告データを送信するだけの業務について、特別な資格が本当に必要なのかどうか。仮に納税者の保護や利便を考えて、そのような資格をオーソライズするとしても、オーソライズを受けない者がそのような業務を行うこと、また、その信頼性を納税者が自らの責任で選択するという可能性を残しておくことも考えられるのではないか。
    • ○ 仲介者の業務が、出来上がった税務書類を右から左に入力して送るだけならば、税理士法上の税務書類の作成には当たらないのではないか。しかし、納税者から申告に必要な情報を聞きとりながらデータを入力していくのであれば、税理士法上の問題があると考えられる。
    • ○ 仮に、仲介者を通すことを義務づけなくて、納税者自身が電子申告するとした場合でも、それを補佐するサービスを行う者は発生してくると考えられるので、仲介者についての議論は重要である。
    • ○ 今後、中途退職者や年金受給者が増加して、税理士だけでは対応できない状況になれば別であろうが、現状では、仲介者の範囲を税理士以外にまで広げて考えることは混乱を招くことになるのではないか。
    • ○ わが国には年末調整制度があるので、給与所得者のほとんどは申告する義務がないことから、逆に申告する場合は割と単純なケースが多く、税理士に頼まなくてもソフトウェアを利用して簡単に申告できるという面もあるのではないか。
    • ○ 電子申告については、ただ単に申告手続を電子化するということでなく、これを契機に、「税がいかに国を支えているか」など税に対する理解がより深まり、明るいイメージとなるようなPRを考えてはどうか。

以上    

 連絡先:国税庁長官官房企画課
 電話:03−3581−4161(内:3685)


(メンバー)

  • 座長 水野 忠恒 一橋大学法学部教授
  • 栗原 正明 東レ株式会社経理部主計課税務グループリーダー
  • 小室 裕一 自治省税務局企画課長
  • 篠原 滋子 株式会社現代情報研究所代表取締役所長
  • 田中 一志 日本税理士会連合会情報システム委員会副委員長
  • 利根川 政明 利根川印刷株式会社代表取締役社長
  • 本庄 資 国士舘大学政経学部教授

(当局側)

国税審議官、企画課長、事務管理課長、法人税課長、課税企画官、国税企画官、大蔵省主税局税制第三課長