日時: 平成31年3月13日(水) 16時37分から17時20分

場所: 国税庁第二会議室

出席者:

地理的表示部会委員 三村部会長 吉村部会長代理
鹿取委員 篠原委員
奥田臨時委員 後藤臨時委員
高橋臨時委員 松本臨時委員
説明者 国税庁 吉井審議官
杉山酒税課長
齋藤酒税企画官
近藤鑑定企画官
竹内企画調整官
小濱鑑定企画官補佐
藤田酒税課課長補佐
小西酒税課課長補佐
永原酒税課課長補佐

三村部会長

それでは、定刻となりましたので、ただいまより第2回地理的表示部会を開催いたします。
皆様、お忙しいところ、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議事進行役を務めさせていただきます、地理的表示部会会長の三村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、部会の開催に先立ちまして、2点御報告をさせていただきます。
まず、1点目は委員の改選についてでございます。
本部会に属する委員の人数につきましては、平成27年6月17日の酒類分科会において、酒類分科会議事規則第3条に基づき、調査審議すべき事項に必要な人数として計8名とさせていただいたところでございますけれども、本年1月の国税審議会委員の改選におきまして、佐藤部会長代理が国税審議会委員を退任されました。また、鹿取臨時委員の国税審議会委員への就任に伴いまして、事務的な手続ではございますけれども、臨時委員の職を退任されましたので、現状、本部会委員は2名の欠員の状態になっております。
そこで、この欠員2名に対する新たな委員の選任につきましては、国税審議会令第7条第2項により、部会に属すべき委員及び臨時委員は当該分科会長が指名することとされておりますので、先ほど開催されました第20回酒類分科会におきまして、私から佐藤部会長代理の後任に吉村酒類分科会会長代理を、また、鹿取臨時委員を引き続き本部会の委員として指名させていただきました。酒類分科会の委員の皆様から、この件につきまして御賛同いただきましたことを御報告いたします。
次に、第2点といたしまして、本部会の閉会についてでございます。
御承知のとおり、酒類の地理的表示は、平成7年に制度化され、平成27年10月に更なる活用促進を図るため、指定要件の明確化などの見直しを行ったところであります。
本部会は、この平成27年10月の地理的表示制度の見直しに当たり、新たに実務的事項の詳細を定めるガイドラインを制定する上で、その内容が技術的、専門的なものとなっていたため、知見のある皆様に御協力を賜り、立ち上げることになったものです。
こうして、平成27年6月に本部会で皆様に御議論いただき、平成27年10月にガイドラインを制定し、今日まで運用しております。
このガイドラインの制定から約3年が経ち、見直し後の制度におきましても、「灘五郷」や「北海道」などといった地理的表示が新たに指定されております。また、他の産地からの新たな地理的表示の申し立てが見込まれております。
先ほど開催されました第20回酒類分科会で、事務局からこうした状況を踏まえ、本制度は一定程度定着し、本部会はその意義を果たしたものと考えられることから、本部会の閉会の提案があり、委員の皆様から御承諾いただいたところでございます。
つきましては、本日の部会では、事務局からガイドライン制定後の地理的表示制度をめぐる動きを説明させていただいた後、皆様から本制度に対する今後に向けた御意見等を賜った上で、本部会を閉会させていただきたいと存じます。
なお、今後、本制度の見直しが生じた場合には、酒類分科会において議論させていただき、その際には臨時委員の先生方にも御協力を賜りたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
私からの報告は、以上でございます。
それでは、改めまして地理的表示部会に所属しておられる委員の方々を五十音で御紹介させていただきます。
まず、奥田臨時委員でいらっしゃいます。
鹿取委員でいらっしゃいます。
後藤臨時委員でいらっしゃいます。
篠原委員でいらっしゃいます。
橋臨時委員でいらっしゃいます。
松本臨時委員でいらっしゃいます。
それから、吉村委員でいらっしゃいます。
私、三村の8名ということで進めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、本部会の部会長代理につきましては、酒類分科会会長代理の吉村委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
国税庁の出席者につきましては、お手元の配席図がございますので、御参照ください。
本日は、委員全員が御出席でございますので、国税審議会令第8条第1項及び第3項の規定に基づき、本部会は有効に成立しております。
それでは、議題に入ります前に、吉井審議官から御挨拶をいただきます。

吉井審議官

ただいま御紹介賜りました、国税庁で酒類行政、酒税を担当しております審議官の吉井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様方におかれましては、本日、御多用中にもかかわらず本部会に御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
また、日頃、酒類行政、酒税はもとより、税務行政全般につきまして、深い御理解と多大なる御協力を賜っておりますことを改めて厚く御礼申し上げる次第でございます。
先ほど、三村部会長からの御説明にもありましたとおり、地理的表示制度の見直しに当たりまして、平成27年6月に地理的表示部会におきまして先生方に御審議賜りまして、同年10月にガイドラインを制定することができました。
酒類の地理的表示制度は、現在、見直し後の地理的表示に関する表示基準及びこのお決めいただいたガイドラインに沿いまして、適切に運用がなされているところでございまして、本制度も一定程度定着してきたというところでございます。これもひとえに、先生方に活発な御審議、御議論、御指導を賜りましたおかげでございまして、この場を借りて厚く御礼申し上げる次第でございます。
このように、本部会につきましては、GI制度、地理的表示制度の定着に大きな役割を果たしてきたということでございますが、その後、GI「灘五郷」、あるいはGI「北海道」などが新たに指定されるなど、地理的表示制度は日本産酒類のブランド化に向けて大きな成果を上げつつあるというところでございます。
一方、ガイドライン施行から3年が経過し、制度も円滑に運用されているということでございますので、酒類分科会におきまして、私どもから本部会の閉会を提案させていただきまして、御了承をいただいたというところでございます。
本日の議題は、「ガイドライン制定後のGI制度をめぐる動きについて」ということでございますが、本部会が閉会されることに鑑みまして、平成27年10月のガイドライン制定以後、現在に至るまでの地理的表示制度の指定状況、プロモーションの実施状況など、現状の取組につきまして、私どもから説明申し上げ、先生方から地理的表示制度に対する御意見、今後の地理的表示制度に対する御意見等を賜りました上で、本部会を閉会させていただければと考えております。
貴重な御意見、御指導を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。

三村部会長

ありがとうございました。
それでは、議題「ガイドライン制定後のGI制度をめぐる動きについて」、事務局から御説明をお願いいたします。

杉山酒税課長

酒税課長の杉山でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
資料2「地理的表示制度をめぐる動きについて」ということでございます。
おめくりいただきまして、最初に「酒類行政の基本的方向性」という資料を2枚ほど付けさせていただいております。
業況、課題等々は御案内のとおりかと思います。
2ページ目ですけれども、酒類業の振興の強化に国税庁としてしっかり取り組んでまいりますということで、法執行は当然大事なわけですけれども、事業所管官庁として酒類業、重要な産業が更に発展をしていくように、私たちとしても、酒類業の振興ということに一層取り組んでまいりたいと思っております。
その上で、主な具体的な取組ということで幾つかに整理させていただいておりますけれども、この部会で御指導をいただきました地理的表示、あるいはそれとワンセットということでワインの表示ルール、こうした点は、日本産酒類のブランド化の推進ということにとって、大変重要な取組であるというふうに認識しておりますし、また、そういう位置付けをしております。
地理的表示の普及、拡大ということについて、一層取り組んでまいりたいと思っておりますし、ワインの表示ルール、これをしっかり定着をさせていく、認知されていくようにしっかりとやってまいりたいというふうに思っております。
おめくりいただいて、3ページ目以降、まず「地理的表示について」でございます。
制度の詳細は、先生方御案内のとおりだと思います。
4ページ目ですけれども、「地理的表示の指定状況」ということで、昨年6月に清酒の「灘五郷」、それからワインの「北海道」、この2つを新たに指定したところでございます。これで合わせて10ということになっております。
今後について、個々のものを申し上げることは難しいのですけれども、今後も幾つか指定をしたいというような、指定してほしいというようなことでお話をいただいております。そうした点については、私どもとしても、しっかりとサポートをしてまいりたいというふうに思っております。
5ページ目です。このGI普及・拡大ということのために、国内に向けたプロモーションということと、海外に向けたプロモーションということで、国税庁においても取り組んでいるところでございます。国内向けは、各国税局で実施しておりますし、また各関係団体におかれても、いろいろと精力的に取り組んでいらっしゃいます。
シンポジウムというのは、どちらかというと一般消費者向けのもので分類をしております。説明会は、まず事業者の方々にしっかり理解をしていただくということで行っているものでございます。
詳細は、この後、御紹介を申し上げますけれども、例えばGI「山形」、清酒ですけれども、これは岩手のワイン研究会とか、秋田とか福島で御説明を申し上げています。
GI「山形」、別にGI「山形」だけ申し上げるつもりはないのですけれども、大変熱心に活動をされています。経産省のジャパンブランド育成支援事業の補助金も採択をされて、GI「山形」を世界へといったようなことで、大変熱心に取り組まれておりまして、ほかのいろいろな皆さんにとって、モデルになるものではなかろうかというふうに思っておりますし、当然、「山梨」でもワインのGIということで、業界の皆さんを含めて、大変熱心に取り組まれているところでございますし、また、「北海道」は先ほど申し上げたとおり、昨年指定したということで、大変盛り上がりを見せているというところでございます。
6ページ目ですけれども、幾つか御紹介をしたいと思います。
これは昨年の5月ですけれども、IWC日本酒部門の山形県開催にあわせて、GI「日本酒」シンポジウムを開催いたしました。東北産日本酒の世界展開ということでございます。IWC関係者も含めて、試飲会ですとかパネルディスカッションを実施したというところでございます。
それから、7ページ目、これはちょうど来週ですけれども、地理的表示「山梨」ワインシンポジウムということで、後藤委員にも御協力を頂戴しておりますけれども、蛯原先生などにも御参加をいただいております。これは、来週こういったこともやりますということでございます。
一例を御紹介しましたけれども、こういう形で国内の一般の消費者向けに、このワインシンポジウムは300人ぐらいを定員としていると聞いておりますけれども、こうした取組、新たに指定をされたGIの産地も含めてやっていきたいと思っていますし、各地のGIのこういうシンポジウムももちろんあるのですけれども、同じワインならワイン、焼酎なら焼酎、そういった形で、連携したような形でこういう取組も今後は考えていきたいというふうに思っております。
8ページ目は、これは海外でやったものですけれども、「ジャポニスム2018」、フランスでのGI産品イベントということで、農水省との共催ということで、「Tastes of Japan Forum in Paris」という名前で、現地パリの星付きレストランのオーナーシェフ、あるいは現地のメディア80人ぐらいを御招待して、GIの食品とGIのお酒、これを実際に試していただくというようなことで、セミナーを行ったり、それから、試飲・試食会では、現地三つ星シェフなどが試作をしたような食品の料理とGIの酒類を合わせてというような取組も行ったところですし、ウェルカムドリンクということで、GIの泡盛のカクテルを提供するなど、いろいろな御紹介をしたところでございます。
9ページ目ですけれども、日EU・EPA、この2月に発効いたしました。
2つほどEU関係のイベントですけれども、昨年9月にこの日EU・EPAの批准に先立って、これを審議するという欧州議会の国際貿易委員会委員長以下の皆さんが来日をされて、各関係省庁の大臣など、要人の方と面会、意見交換をされたのですけれども、その際、GIの日本のお酒も是非経験したいというようなお話をいただいて、酒造組合中央会、あるいは日本ワイナリー協会にも御協力をいただく形で、こういう試飲説明会をいたしました。鏡開きもやりましたし、GIになっている日本酒、焼酎、泡盛、日本ワイン、こういったものを御紹介して、皆さんおいしく飲まれて帰っていったということでございます。
また、先日2月1日、日EU・EPA発効記念レセプションがEUの駐日代表部が主催して行われました。このレセプションでも、酒樽で鏡開きということですし、GIのお酒のブースを設置して、招待客の皆さんにこうした日本のGIのお酒も楽しんでいただいたところであります。
こういう形で、GIに指定されているお酒、日本産酒類のプロモーションは、別にGIに限ったわけでもないのですけれども、こういうGIに指定されたお酒は、より積極的にこういう形でプロモーションをしていきたいというふうに思っております。
それから、10ページ目以降はワインの表示ルールでございます。このルール自体は、委員の皆様方御案内のとおりでございます。
11ページ、12ページ、13ページは、その詳細です。
14ページは、よく日本ワインとGIの関係、どういう関係になっているのかということを質問されることがあるので、まとめたものでございまして、委員の皆様方御案内のとおりでございます。
こういう日本ワインについても、15ページ以降ですけれども、国税庁でいろいろな取組をしておりますので、御紹介させていただければと思います。
この「ワインラベルが語ること」というのは、表示ルールの施行に併せて、消費者向けのパンフレットということで、今日もお手元に配付させていただいておりますけれども、こういったものも作っておりますし、右側、日本ワインシンポジウムを広島で行いました。広島国税局が主催をいたしました。これも、後藤委員に御協力を頂戴いたしましたし、また、鹿取委員にも御協力をいただいたところでございます。ありがとうございます。
16ページです。
昨年、フランスで「ジャポニスム2018」ということで、日本ワインのイベントを行いました。ボルドーのワインの博物館、「La Cité du Vin」で、「Japonismes à La Cité du Vin」ということで行いました。ここで日本ワインを紹介したのは初めてということであります。日本ワインのセミナー、それからパネルディスカッション、試飲会というようなことでやったところです。こちらも後藤委員に御協力をいただいたところでございます。ありがとうございます。
それから、17ページです。
この日本ワイン、関係者一堂に会する形で、業界団体、それから各県の公設試験研究機関の皆様にお集まりいただいて、コンソーシアムというのか、日本ワインの品質向上、競争力強化ということで、醸造技術の情報共有、あるいは最先端の研究成果の技術移転を進めていくという趣旨で、昨年、酒類総合研究所との共催ということで設置させていただいたところであります。こうした取組も行っているところであります。
18ページからは、輸出促進に向けた国税庁の取組というところでございます。
詳細は省略をいたしますけれども、今年のG20ですとか、来年の東京オリパラで、日本産酒類の情報発信ということに努めてまいりたいというふうに思っております。
日EU・EPAは先ほど申し上げましたけれども、地理的表示、あるいは日本ワインの表示ルール、近年、国税庁が取り組んできたことが、この日EU・EPAの今回の発効にもつながっていったのだろうと思っております。
このGI、そして日本ワイン表示ルール、こうしたものについて、先ほど御紹介したような国内でのシンポジウム、あるいは事業者向けの御説明、あるいは海外でのプロモーション、こういったことを引き続きやってまいりたいと思っております。
それから、GIについて御要望いただいておりますが、幾つか少なからずいただいておりますし、またその運営面、こうした点については、私ども手続面でも、技術的な面でも、GIの御要望、あるいはその後の運営について、支援をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
23ページ以降は、御参考までに付してございます。御参考にしていただければと思います。
以上でございます。

三村部会長

ありがとうございました。
それでは、ただいまの議題、「ガイドライン制定後のGI制度をめぐる動きについて」ということで御説明いただきましたけれども、何か御質問とか、あるいはこの制度そのものの運営とか在り方について、例えば、この点についてはもう少し改善したほうがいいとかいうようなこともあるかもしれませんが、御質問、御意見、自由にお願いいたします。
吉村委員、どうぞ。

吉村委員

1点ちょっと細かい点ですけれども、地理的表示で、「山形」というのが清酒として存在しているというのが参考資料にあるわけですが、例えば、ワインには「山形」という名称は使えるのでしょうか、使えないのでしょうか。

杉山酒税課長

地理的表示として清酒で定めておりますので、ワインについては問題ありません。

吉村委員

お酒の種類によってということでしょうか。

杉山酒税課長

酒類ごとということでございます。

吉村委員

分かりました。

三村部会長

いかがでしょうか。随分、制度として充実してきたように拝見しておりますけれども、後藤委員とか鹿取委員、先ほどの資料で活動が紹介されていましたが、何かお気づきの点とかありますか。

後藤臨時委員

GI制度は、徐々に業界や、また消費者、流通のほうにも広まっていると思いますけれども、まだまだ知名度が低いところがあろうかと思います。
また、GIを取ることによるメリットを生産者が広く認識していただかないと、更に広まるといったところの力に今後なりにくいかなと思っておりまして、そういったことも今後いろいろ検討なり、周知なりが必要ではないかなと感じているところでございます。

三村部会長

ありがとうございます。
奥田委員、いかがですか。

奥田臨時委員

私は山梨大学におりますので、教育という立場で物を考えているのですが、残念ながらワインの場合はまだ教育をする場が余りないと思います。低レベルの教育もないし、高レベルの教育もないというのが現状ですので、このGIでレベルを維持して、もしくは高めていくということを考えるとすれば、文科省とか、あとは農水省との連携も含めて、全体的に上がるような方向で進めていただけるといいなと思っております。

三村部会長

醸造の場合だけじゃなくて、例えば、ブドウ作りとか、そこまでですね。
橋委員、何かございませんか。

橋臨時委員

このいろいろな基準を作っていただいて、制度を非常に画期的に進展させていただいたと感じております。ただ、今後の課題も若干残しているのではないかというふうに私は思いますが、一番大きな問題は、この基準において、ワインについて、産地とは何かと、そこが必ずしも明確でなく振れているというか、一般にはまだはっきりと理解できないのではと心配いたします。いろいろ御苦労があった上でああいう形になったのだと思うのですけど、それをもう少し前進させていただきたいと思います。
というのは、海外との標準とかなり違っていると思います。今後、貿易が更に発達していった場合に、その違いがどう響くかというのが心配になるというのが第1点です。
もう一つは、ワインの地理的表示が、一般の食品に適用されるその他のいわゆる表示基準、つまり、地理的表示でない原産地表示基準とどう違うのかという点です。ワインについても、果実酒等の製法品質表示基準の中に、原料ブドウの85%以上の生産をしていれば、その産地は表示でき得ることになっており、地理的表示でないワインでもこの85%基準で産地表示ができるようになっているわけです。
その混同が、若干、消費者には明確に区別されないところがあるという感がします。これも残した問題だと思いますので、今後、そこら辺をどういうふうに調整していくか、よろしく願いたいと思います。
お願いすることが多いので恐縮ですが、もう3点ほどございます。先ほどお話がありましたように、私の受けた印象では、生産者にとって地理的表示になることのメリットは何かと、どうもそこが短期的には確かなメリットが余り感じられないというところがあるのではと心配いたします。
国際的な制度と比べてみても、地理的表示になった場合の生産者のメリットというのが余り強く感じられないのではと思います。そこら辺をどうするかということと思います。
次に、消費者は地理的表示と一般の食品の原産地表示とどう違うのかと、これは、私が農水省にいたときも、この点について農業側を説得するのに苦労したことがありました。まだ、今もってこの点に関連して地理的表示の価値は何かというのが消費者側においてもまだ十分には理解されていないという感じがしますので、そこら辺のところは引き続きよろしくお願いしたいと思います。
最後に、国際問題。いろいろ協定ができて進んでいますので、私の印象では、その協定等によって、EUなどのかなり厳しい貿易上の規制が若干緩和されてきている傾向にあると思います。今度のEUとの経済連携協定の中でも頑張っていただいて、非常に成果のある協定になったと思うのですけれども、EUは今後更に緩和してくる可能性もありますので、そこら辺にも十分対応して、特に技術基準とか伝統的表現とか、ああいうことについても、日本の希望ができるだけ通るようにしていただければと思います。
以上のようなことでございます。どうもありがとうございました。

三村部会長

ありがとうございます。
松本委員、いかがでしょうか。

松本臨時委員

私は、山梨でワイン酒造組合のほうで地理的表示「山梨」、それにずっと長く関わってまいりました。
最初、地理的表示をいただいたときには、ある程度緩やかな基準で良かったのですけれども、今回、より厳しくということで、もう一回作り直させていただきまして、それで今現在行っているところでございます。
そして、基本的には月1回審査が行われておりまして、今までに計算したところ57回、今審査が行われておりまして、出品本数が1,856本ですね。そして、合格したものが1,731本、不合格ということで92本と、そういう結果が今まで出ております。
ただし、ここまでやってきたのですけれども、出品ワイナリーの数というのが42社なんですね。80社ぐらいあるのですけれども、まだ出品してきている人たちが42社しかないと。
これはなぜかというと、地理的表示を取らなくても売れるんだと、そんな難しいことをせずに売れると、そういうことで42社にとどまっているわけですね。つまり、消費者が地理的表示「山梨」という価値をまだ認めてないというところが大きな点じゃないかなと思いますね。
海外の場合は、みんなワイナリー関係の人たちは、何としてでも地理的表示を取りたいとか、AOPを取りたいとか、そういう意欲を持つわけですね。そうすれば、それだけ値段が高く、そしてステータスが高くなると、そういうことを消費者が分かっているから、みんな取りたがるわけですね。
ところが日本の場合は、消費者がそれが何なのか分からないというところから、そんな難しい審査に出さなくても売れるのだと、そういうところで、まだ42社というところになっているわけですね。
ただし、海外にワインを輸出する場合には、GIがないとなかなか向こうが納得いかないということで、地理的表示「山梨」という重要性を持っている会社が数多くいると。ただし、これらが80社ありますので、それを全部地理的表示「山梨」を名乗っていただけるように、これからいろいろな活動をして消費者に認めてもらいたいということをしていきたいというふうに思います。
一応、山梨県ワイン酒造組合の中では、山梨ワイナリーズフェアというのを年1回行いまして、地理的表示「山梨」ということで、今まで第5回まで行っております。そこに一般向けと、そして、あとは業者向けにそれらを行っているわけですね。
あと、お陰をもちまして、東京国税局で今まで地理的表示「山梨」を主体としてやっていただいているということで、これから徐々に地理的表示「山梨」を消費者に理解していただいて、そして、それが価値があるんだというのを知っていただければ、だんだん良くなっていくのではないかなというふうに思います。
今回、EPAの関係で数多くのGI、AOPが日本に入ってくる。そうすると、だんだん消費者も、そういうものがあるのだなということに気が付いて、そうすると、日本のGIも価値が出てくるのではないかなと、そういう期待をしているところでございます。
いいワインを出したいということで、今まで官能検査、20点満点法で10点で合格だったのですけれども、それだと消費者は納得いかないだろうということで、今は12点まで引き上げてやっているところなわけですね。
そうすると、そこへ出して落ちたら困るとか、そういうメーカーもありますので、なかなか来ないのですけれども、品質を重視しないと、地理的表示「山梨」というのが続かないということで、より厳しい審査をしようということで、山梨県の技術者を入れたり、また、東京国税局から審査員に来ていただいて、そして厳正な審査を行っているというのが今の段階でございます。
将来、地理的表示「山梨」がどんどん発達、発展していただければありがたいなというふうに思っております。
以上でございます。

三村部会長

ありがとうございました。
それでは、今、何人かの委員の方から、幾つか御提案とか、これからこういうふうに強化していただきたいとか、留意点とか出されましたので、国税庁のほうから御回答か何かいただけますでしょうか。

杉山酒税課長

GIは、欧州に比べると歴史もまだ浅いということで、まさにこれからしっかりと育て上げていくと、発展させていくということだろうと思います。
そうした意味で、この地理的表示の見直し、ガイドラインができたということは第一歩でありますし、ワインの表示ルールの第一歩ということで、これをこれから育て上げていくと、そしてブランド価値を高めていくということに、これから私どもも取り組んでまいりますし、また、業界の皆様方におかれても、そういう観点で取り組んでいっていただければと思います。そういう形で御協力をいただければというふうに思っております。
そういう意味で、いろいろな消費者向けのシンポジウムなどの普及啓発みたいなことは、引き続き、私どもとしてもしっかりやっていきたいというふうに思っておりますし、また、これはGIを作った時にも申し上げていたことですけれども、GIを取れば何かが起こるということでは必ずしもなくて、GIを取ることによって、価値を高めていくということでもありますし、そのGIによってどんな価値を訴えていくのかということは、まさに地域の皆さんのどう考えるのかということでもあろうかと思いますし、そういう点で、いろいろな手続面、技術面、私どももしっかりとサポートをしてまいりたいと思っていますし、国内向け、あるいは海外向けの周知みたいなことは、私たちも、これからなお一層力を入れてまいりたいというふうに思っております。
それから、文科省、農水省との連携というお話でした。
農水省とは、ワインは特に農業の部分も大きいですので、私どもの酒類行政、全てそうなのですけれども、いろいろな関係省庁と常に連携をしながらやっておりますし、そうした面でも、更に一層連携は深めてまいりたいというふうに思っております。
農水省との連携、しっかり配慮していきたいと思っておりますし、文科省との関係も、教育面もあれば、研究面もあるのだろうと思います。そうした点についても、配慮してまいりたいというふうに思っております。
それから、日EUが発効したわけですけれども、いろいろな成果を日EU・EPAで出たわけですけれども、今後、またいろいろな、こういうこともということはあろうかと思います。そうした点についても、今後しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

三村部会長

ありがとうございました。
恐らく、今、ご説明いただきましたように、原産地表示とか品質表示と、このGIがどう違うのかということがまだ正確に伝えられていないし、確かに、先ほどご指摘の認知の面でもまだまだ問題が残ります。それは一般の消費者だけでなく、例えば、私たち大学で教える側も、意外とそれを混乱して教えている可能性もあります。そこも含めて、もう少し反省して、しっかりした形で推進していくべきだというふうに、今日、特に感じております。
いかがでしょう。もうそろそろお時間ということなのですが、そのほかに何か委員の皆様からありますでしょうか。本日は、GIの課題について、明確にしていただきました。

松本臨時委員

山梨ワイン酒造組合のほうに、こういうものが来ているんですね。「WINE ORIGINS ALLIANCE」という。これは、今、23ですか、メンバーがいるのですけれども、そこにはブルゴーニュとかボルドーとか、そのマークがその中に入るわけですね。そこにGI「山梨」も入りませんかという問い合わせが来ております。
つまり、GI「山梨」が、ブルゴーニュだとかボルドーと肩を並べるところに出させていただけると、そういう世界的にもGI「山梨」というのが知られてきたかなと。年会費を払わなきゃいけないのですけれども、そのくらいだったら山梨ワイン酒造組合にも払えるかなと。
その中で、有名な産地、そこにはリオハだとか、いろいろな海外の有名な産地のマークが入ったんですね。そこに、今度、GI「山梨」を入れさせてもらおうという、そういう動きがあって、GI「山梨」を取っておいてよかったなと、日本の中のワインの産地として世界で認められるようになってきたかなという、そういうニュースがありましたので、ちょっと御披露させていただければと思います。

三村部会長

前向きな、何かすごく楽しみになるような話でございました。ありがとうございます。
ほかによろしゅうございますか。
それでは、本日は貴重な御意見をいただき、大変ありがとうございました。
一応これで閉会ということになるわけなのですけれども、議事の終了に際しまして、最後に吉井審議官から一言お願いいたします。

吉井審議官

今日は、大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
この資料の1ページと2ページに、「酒類行政の基本的方向性」という資料があると思うのですけれども、分科会のほうで篠原会長からもお話がありましたように、高付加価値なものを消費者が求めていて、多様な嗜好に応えていくと。そういう中で、ブランド化を図っていくというのは大変大事。この資料にもありますように、事業者、あるいは消費者に分かりやすい表示提案のようなことがあって、それは、GIとか、あるいは食とのマリアージュだとか、いろいろな論点があると思いますけれども、事業者のメリットが分からないと。その一方で、消費者の方の受け止めも少ない。
それは、ある種、裏腹の関係があると思っておりまして、もう少し我々も、業界あるいは先生方の御意見をよく賜りながら、より良いGI制度の運用というのを目指していかなければならないと思っております。
今日、賜りました意見は、そういう意味で大変貴重な御意見でございまして、今日、賜りました御意見をしっかり受け止めてまいりまして、今後のGIのより良い執行に努めてまいりたいと思っております。
誠に、今日はありがとうございました。

三村部会長

ありがとうございました。
それでは、本日の議事要旨及び議事録の公開につきましては、国税審議会議事規則第5条第2項、酒類分科会議事規則第4条にのっとりまして、まずは簡潔な内容のものを議事要旨として公表し、議事録は完成次第公表させていただきたいと存じます。
また、議事録につきましては、公表前に皆様の御発言内容に誤りがないかを確認させていただいた上で、公表するということにいたしたいと思います。
議事要旨の内容等につきましては、部会長一任ということで、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)

三村部会長

ありがとうございました。
それでは、そのように進めさせていただきます。
本日は大変貴重な御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。
以上をもちまして、地理的表示部会を閉会とさせていただきます。
一応、これで閉会ということなのですが、今後とも制度の発展に向けて、皆様の御協力を是非よろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――